オセンタルカの太陽帝国

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モンティパイソン&ホーリーグレイル(2)。

2007年09月29日 22時01分50秒 | 映画

思わず1万文字を越えてしまいました。gooのブログは1記事あたり1万文字っていう制限があるのが困りますね。1万じゃ少なすぎる。最近いつもそれが脚を引っ張ります(←文を推敲しろという神の声だってば)。でももうちょっと続きまーす。


モンティパイソンのギャグは、みなもと太郎のギャグに似ているところがあるからこんなに好きなんだと、最近気付きました。キャメロットの騎士たちのミュージカルを見てアーサー王が「近寄るのやめよう。アホが伝染る」というところとか、死んだと思っていたキャラが「お前の死は無駄にしない」「まだ死んでません」「お前の重い傷の仇は必ず取る」「軽傷です」と言うところとか、遠くに見えていたはずの敵が一瞬で瞬間移動してくるとか。


“騎士の中の騎士”ラーンスロット卿はすごくかっこいいのですが、一番ヘンなやつです。森で「城に閉じ込められて結婚させられようとしています。助けて!」という矢文を見て、乙女が塔に幽閉されていると思い込み、救出に向かうのですが、彼は血を見て逆上してしまって結婚式に集まっている村人を虐殺してしまいます。そのときのこの人の高笑いが最高。そのあと我に返って謝罪するのですが、そのセリフが「ごめん、ついうっかり」みたいな感じ。全然反省していません。この映画がニューヨークで初演されたのがちょうどベトナム戦争まっただなかで、この描写の部分を一番心配したのだそうですが、その結果はとても興味深い物だったそうです。(どんなだったのか)
この一連の場面のセリフはどれも絶品です。ランスロットは嬉しそうにハハーアッ、ハハーアッと叫びながら門番を斬り殺し、それを見てもう一人の門番は「ヘイ」と言うだけ

 


“ちょっと勇者”のサー・ロビンは、実在しない円卓の騎士ですが、この映画一番の存在感を放っています。「アングノーの竜と戦おうとし、ブリストルの鶏を退治しかけ、ベイドン山の戦いで密かに失禁」したと描かれるロビン卿。盾の紋章までが「ニワトリ(チキン)」というこだわりぶり。でも、彼がこんなに輝いている一番の理由が、吟遊詩人が常に彼の後ろについて彼の武勇を歌っている事です。「サー・ロビンの歌」は一度聴いたら自分でも必ず繰り返し歌いたくなるくらいの名曲です。(※参考;コチラさんで替え歌を紹介してます。替え歌ですが歌詞も曲も全く同じです(笑) すげえ)。この吟遊詩人を演じているのが、「イギリス一の変なミュージシャン」「モンティパイソンの7人目」と言われるニール・イネスで、この映画の音楽はすべて彼の手によるものだそうです。この映画の曲ってすべて名曲じゃなくなくね? 映画のサントラがあったら絶対買いますよ。しかしニール・イネスは力を入れて早い段階で全曲をがっちり作り上げたそうなのに、両監督は「重すぎるからギャグに合わない。使うのやめよう」と言ったそうですし、イネスはトロイのうさぎに押し潰されたり牛に押し潰されたり、そんな役ばっかりやらされてる(笑)
注目はニール・イネス以外の吟遊詩人で、

特にうしろの笛を吹く女性の人、とびはねながらついてきて、すごく楽しそうなのです。サー・ロビンにはカリスマがあったのね。ただし後のシーンで、「1年間冬の荒野を旅している間に、吟遊詩人たちは食糧にされた」と(テリー・ギリアムの漫画により)語られます。不憫。この服装とニールの一瞬の表情の変化最高。

 

一番の不思議な存在は、「ニッ!の騎士」です。
この騎士は「聖なる言葉の守り人」を自称し、人に向かって「ニッ!」と叫ぶ事によって支配下に置いてしまう不思議な力を持っていて、アーサー王に「植え込み」を捜してくることを要求する、、、、、これ、何なんですかね。何かの元ネタがあるのでしょうか?  

聖なる言葉とか鹿の角を生やしたその姿とか深い森の中にいるとか、アーサー王物語には欠かせない「ドルイド?」とか「マーリンが出ないからその代わり?」とも思ったんですが、家来たちの服装を見るとヴァイキングっぽくもありますね。5世紀の英国が舞台ならアングロ・サクソン人がアーサー王の最大の敵となるはずなのに、10世紀になってしまった事で敵の地位がフランス人にとって変わられ、北欧からのヴァイキングの存在がすっとばされている。そういうのが関係している描写かとも思いました。ニッ!の騎士の正式名称“ニッ”“ペング”“ニーワム”も何か意味があるのかも知れない。(ないかもしれない)。英国伝統芸能のガーデニングが北欧由来のものであるという暗喩かもしれない(笑)。で、アーサー王が必死こいて植え込みを捜してくると、ニッの騎士はさらなる植え込みを捜してくる事を要求し、ニッ!の騎士から「エキエキエキエキプタングルッポイングムタールグリュンプルン」と改名したことを告げ、さらに「ニシンで」大木を切るようにと要求し、しかし「それ(It)」という単語に敗北する。・・・もう何が何だか。

ねえねえ、ちょっと疲れたから肩もんでくれない?…この、ニシンでな!!!  どがじゃーん! …クセになってしまいそうな言い回しです。
ニシン、、、 ニシンと言えば北欧(ノルウェー)ですよね。デンマークでもニシンの酢漬けってありましたっけ。ブリューゲルの中にとかニシンのことわざとかあるのかな、と思いました。ウドにニシンとか(仲の良い夫婦のたとえ)とか「ニシンが網に入るまでは自分のニシンとは言えぬ」(オランダ)とかニシン御殿(北海道)とか。英語では、なぞなぞを出すときにわざと関係の無い攪乱語句を交ぜる事を「乾燥ニシン(Red Herring)」と言うそうです。(※例);ニシンの太郎君とウズラのジョージ・シンダン君が産婦人科に行きました。その日その病院で妊娠したと診断されたのは誰でしょう? とか。(答え;近所の奥さん)。意味不明。この文章自体が乾燥ニシンです。
ついでに言うと、アーサー王はたまたま植木職人のロジャーと出会う事で難を逃れるのですが、この植え込みロジャーがえらく格好いい(←演じているのはサー・ロビンですが)。この人物の造形が紳士の国の英国の良識ある人間を代表していて、この髪型は実際この時代にあった髪型だそうです。(とコメンタリーで監督が語っている)

しかしこの商人ロジャー、良く見ると人の腰に鎖を付けて自分を引かせてるぜ。こわっ。

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