オセンタルカの太陽帝国

私的設定では遠州地方はだらハッパ文化圏
信州がドラゴンパスで
柏崎辺りが聖ファラオの国と思ってます

風雲児たち9。

2007年09月27日 15時37分51秒 |   風雲児たちindex.

風雲児たち9 【幕府鳴動編1】☆ (1985年5月1日刊)

   ~彦九郎が行く

表紙絵;正義の味方の彦九郎
◆裏表紙絵;
彦九郎の2人の妻

プロローグ (7ページ)
時期;天明元年(1781)
登場人物;仙台藩医
工藤平助、青木昆陽、野呂元丈、林子平、高山彦九郎、中川淳庵、前野良沢、大槻玄沢
エピソード◎工藤平助について(変な人、頭のいいアホ)

第一章 彦九郎暴れる  (25ページ)
トビラ;
工藤平助と前野良沢
時期;天明元年(1781)
登場人物;
工藤平助、前野良沢、大槻玄沢、峰子ちゃん玄沢の兄弟子たち、杉田玄白、建部清庵の5男伯玄、高山彦九郎、山賊たち、彦九郎の友人30名
エピソード
◎工藤平助は前野良沢が大好き/◎工藤平助は顔が広い(大槻玄沢の帰藩を延期させる)/◎『赤蝦夷風説考』について/◎杉田玄白、男子に恵まれない/◎建部清庵の息子を養子に/◎彦九郎、山賊を諭す/◎彦九郎、故郷の一揆を聞き参加に向かう/◎彦九郎は常に鎖かたびらを身につけている/◎彦九郎の友人30名あとを追う

第二章 彦九郎もてる (30ページ)
トビラ;彦九郎もてる
時期;
天明元年(1776)8月~11月
登場人物;高山彦九郎、悪人たち、悪人に襲われている女性その1、悪人に襲われていた女性その2、彦九郎の祖母、彦九郎の兄専蔵、友人たち30名、細谷村の代官筒井、林子平、仙台藩家老佐藤伊賀守
エピソード◎彦九郎、女性を助ける(数年前の話)/◎上州細谷村に着いたら一揆は終わっていた/◎彦九郎の兄、弟を憎む/◎彦九郎京に戻る(祖母の愛)/◎林子平、天明の大飢饉を予言→藩に長大な建白書→無視

第三章 江戸城大ゲンカ (30ページ)
トビラ;
仙台城(俗称青葉城)
時期;
天明元年(1781)~天明2年(1782)7月15日
登場人物;
林子平、みなもと太郎、(ヘイト)、新オランダ商館長チチング、司馬江漢、杉田玄白、大槻玄沢、荒井庄十郎、桂川甫州、中川淳庵、(ツンベリー)、前野良沢、田沼意次、田沼意知、白河藩主松平定信、薩摩藩主島津重豪、
エピソード;
◎林子平の建白書についてのみなもと太郎の考察/◎カピタンの江戸参府(おかしな慣習)/◎商館長チチングと中川淳庵の会話/◎ツンベリーと中川淳庵の往復書簡/◎日本の中のオランダ語達人ランキング/◎司馬江漢、銅版画の奥義に目覚める/◎司馬江漢主役になる! 苦悩の日々/◎印旛沼干拓工事/◎松平定信、ことあるごとに田沼にケチをつける/◎度重なる自然災害が田沼の政治のせいにされる/◎松平定信が田沼意次を嫌う理由(御三卿から東北の僻地の藩主に追いやられたから=言いがかり)/◎御三卿のシステムとその弊害について/◎天明の大地震

第四章 震災余波 (24ページ)
トビラ;潰れた家
時期;
天明2年(1782)7月15日~11月
登場人物;松平定信、田沼意次、田沼意知、兄弟子たち、杉田玄白、大槻玄沢、建部伯玄、建部清庵、前野良沢、高山彦九郎、林子平、彦九郎の2人の妻と3人の子、チチング、
エピソード;◎天明の大地震の被害/◎田沼を怨嗟する町人/◎息子意知山城守に出世、嫌われ者に徹する田沼/◎天文台を神田から浅草に移転/◎大槻玄沢江戸に帰還/◎大槻玄沢改名、建部清庵死去/◎高山彦九郎帰郷、2人の妻、2人の娘、1人の息子/◎彦九郎京へ/◎林子平長崎へ、オランダ船をスケッチ/◎英蘭戦争、チチング帰国できなくなる;日本研究の意欲に燃える『日本図説』『将軍列伝』『日本人の結婚と葬式』『日本王代一覧』『蘭和辞典』/◎オランダ、日本人に弱小国であることを悟られないように苦心する

第五章 彦九郎運動する (24ページ)
トビラ;林子平画
『蘭船蘭人図』
時期;天明2年(1782)9月~12月14日
登場人物;林子平、商館長チチング、長崎奉行柘植長門守、高山彦九郎、名前の分からない公家、彦九郎の同士たち、大黒屋光太夫、神昌丸の乗組員たち
エピソード;◎林子平とチチングの初対面/◎林子平、長崎で世界情勢を研究する/◎「蘭船蘭人図」を売って資金を調達/◎高山彦九郎、御所に向かって土下座をする/◎京都に勤王学校建設計画/◎出世いちじるしい田沼意知/◎遠州灘で神昌丸遭難

第六章 漂流者たち  (30ページ)
トビラ;
海と島と帆船
時期;天明2年(1782)12月14日~天明3年(1783)初春
登場人物;
徳川家康、大黒屋光太夫、神昌丸の乗組員16名(三五郎65歳、磯吉17歳、次郎兵衛?歳、小市31歳、作次郎?歳、藤助23歳、勘太郎?歳、庄蔵31歳、安五郎?歳、清七25歳、新蔵24歳、幾八42歳、九右衛門55歳、長次郎23歳、藤蔵?歳、与惣松?歳)、高山彦九郎、名前の分からぬ公家、工藤平助
エピソード;◎大型船の帆について/◎徳川家康の大型船建造禁止(500石船まで(のちに千石船まで許可)、帆は一本)/◎北前航路、羅針盤、漂流/◎天明2年12月の嵐は24隻の船を遭難させた(助かったのは1隻だけ)/◎漂流生活(みんなで伊勢に帰ろう)/◎学校建設、幕府の横やりで不許可/◎彦九郎、救民運動を開始/◎赤蝦夷風説考脱稿

●特別附録 読んでおもろい風雲児たち年表  (17ページ)

……「幕府鳴動編」の始まりです。
登場人物のほとんどはこれまですでに登場していた人たちばかりですが、主役と脇役の交代があるので、この巻は「人物紹介のやりなおし」「承前」みたいな構成になっています。ても、この漫画はそういう巻こそ一番楽しい。おもしろい登場人物ばっかり。そして、みんなが平和にギャグに興じている間にも、江戸後期の日本はどんどん取り返しの付かない方向へと転がり進んでいってしまうのです。あははははははは。

高山彦九郎、おもしろいなぁ。
ほんとにこんな変人(←彼は寛政の三奇人の一人です。林子平・蒲生君平と並んで)が後世に大きな影響をもたらすのかなぁ、と思うくらいの変人。奥さんが2人いてうらやましいのですが、漫画では2人とも顔が同じ(で仲がよい)のがおもしろいと思うのですが、私が描いたら同じ顔になりませんでした、みなもと太郎、なにげにすごいね。
大黒屋光太夫の初登場!
私は緒方拳の映画を観て以来の大黒屋光太夫という歴史人物の大ファンなのです。緒方拳の光太夫も凄いけどこの漫画の光太夫もスゴい。でも初登場の顔は、後の巻の彼の顔と全然違いますね。(ヒゲが生えてないから)。
この巻で一番好きだったのが、工藤平助でした。
こんなに豪快でおちゃめで絶対憎めないひとが、これまで全然目立たない存在でいたとは(第5巻にも出ているそうですけど)。のちに出てくる蒲生君平より遥かに奇人です。彼が前野良沢の家に遊びに行くときの、「まぁぁえのりょっうたっくく~~~ん♪」というコマが好きです。峰子ちゃんも寝転がってファッション雑誌読むような格好で赤蝦夷風説考眺めてるし。仙台藩に仕える工藤さんということは、天城湯ヶ島出身のわれらが工藤庄司行光のご子孫かなと思いきや、平助は紀州のうまれでのちに仙台に仕えたんですって。へえ。
あとは松平定信。みなもと太郎はこういうタイプの政治家が大嫌いなんですね。毒があります。ワイロまみれの田沼意次には愛があります。描き方が一面的すぎる、、、、 と言おうかと思ったのですが、のちに同じ様な改革をやった水野忠邦はすっごくおもしろおかしく描いているので、いいとするか!(田沼意次(相良)と水野忠邦(浜松)は両方私と同じ遠州人なので♪)

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風雲児たち8。

2007年09月25日 01時57分07秒 |   風雲児たちindex.

風雲児たち8 【蘭学黎明編4】☆ (1984年12月25日刊)

   ~さらば源内

表紙絵;幻灯を回す源内(風雲児たち名場面集のフィルム)
◆裏表紙絵;
風雲児たち名場面集のフィルム

第一章 初登場!? 司馬江漢  (24ページ)
トビラ;
アイヌのフクロウの儀式
時期;安永5年(1776)
登場人物;
林子平、長崎奉行柘植長門守、司馬江漢、オランダ商館長ヘイト、スウェーデンの植物学者ツンベリー、中川淳庵、桂川甫州、前野良沢
エピソード◎長崎奉行にアイヌの風習を教える林子平/◎子平の琉球旅行計画(三国図譜の構想)/◎司馬江漢、林子平に会いに行く/◎銅版画/◎子平琉球へ、一月後帰還/◎参府していたオランダ人たちの長崎帰還、ツンベリーと子平の出会い/◎日本に来たい他国人/◎中川淳庵、ツンベリーに会ってオランダ語の会話が通じる事に感激/◎前野良沢のツンベリーへの手紙/◎ヘイトの子平への決闘申込み

第二章 対決!! ヘイトvs子平 (24ページ)
トビラ;欧州の馬上騎士試合
時期;
安永5年(1776)
登場人物;商館長ヘイト、林子平、植物学者ツンベリー、平賀源内、細工職人弥七、お奉行様
エピソード◎ヘイトの馬術/◎日本の西洋馬術/◎長崎出島の中の植物園/◎江戸でツンベリーと平賀源内が出会わなかった不思議/◎エレキテルの贋物出現/◎エレキテル贋物裁判「浅草の見せ物は裁けぬ」/◎源内の憤慨

第三章 奥州の蘭学者 (24ページ)
トビラ;佐竹曙山画
『湖山風景画』
時期;安永7年(1778)
登場人物;
杉田玄白、陸中の医師建部清庵、その子亮策、若き大槻玄沢、前野良沢、峰子ちゃん、平賀源内、弥七
エピソード;
◎杉田玄白の手術光景/◎麻酔はまだ無い/◎江戸の玄白と奥州の建部清庵の文通(和蘭医事問答)/◎前野良沢の引きこもり生活/◎大槻玄沢、前野良沢に弟子入り/◎ニセモノ細工職人弥七、身を持ち崩して逮捕。源内に呪詛を吐く/◎納沙布岬にロシア船来航

第四章 ロシア船出現 (30ページ)
トビラ;平賀源内のカブキ姿
時期;
安永7年(1778)~安永8年(1779)新春
登場人物;ロシア人たち、蝦夷地の役人新井田大八&工藤八百右衛門、故ベニョヴスキー、伊能忠敬、その妻通、平賀源内、小田野武助、司馬江漢、長崎通詞荒井庄十郎、肥前屋、福助、杉田玄白、大槻玄沢、桂川甫州、田沼意知、田沼意次
エピソード;◎ロシア人、初めて北海道に上陸/◎アイヌ人たちの驚き/◎ロシア船の千島列島南下(ラッコを追いかけて、ベニョヴスキーの予言実現)/◎通商条約の要求/◎アイヌ人通訳を介した史上初の日露会談/◎1年後の再会談を約束/◎新年も忙しい源内/◎インチキ職人弥七の獄死/◎金儲けの手段を教える源内/◎新台本(『霊験宮戸川』『実生源氏金王桜』)を次々と書く源内/◎金に困る源内/◎血を吐く小田野武助/◎荒井庄十郎を杉田玄白に紹介する源内/◎田沼邸の新年の訪問客/◎源内に便宜を図る田沼/◎世界初の気球計画/◎源内と田沼の関係に目を光らせる松平定信

第五章 凶宅 (28ページ)
トビラ;
吉原の女郎屋
時期;安永8年(1779)
登場人物;平賀源内、ロシア人たち、蝦夷役人新井田大八&工藤八百右衛門、ロシア人通訳フョードル、福助、大江戸不動産、死んだ高利貸し神山検校、小田野武助、司馬江漢
エピソード;◎ありがたい牛/◎源内の奇行が始まる(「源内大明神」「生き神様」)/◎陸中仙人山で亜鉛鉱脈発見/◎1年後、ロシア船再訪→松前藩士間に合わず/◎厚岸で会談、通称の拒否/◎ロシア人は日本語を話せる=70年前にペテルブルクに日本語学校/◎松前藩は会見内容を秘匿/◎その後の密貿易/◎平賀源内、新宅を購入(橋本町の幽霊屋敷)

第六章 殺人  (28ページ)
トビラ;
源内の発明品の数々
時期;安永8年(1779)11月20日
登場人物;
平賀源内、大江戸不動産、ご家老、大工の秋田屋久五郎、工事役人松本十郎兵衛、福助
エピソード;◎東北の不作/◎源内の新発明「日本一安い費用で立つ建築」/◎神田の大名の別荘の建築会社入札「他が9万両ならうちは3万両でお釣りを出してみせましょう」/◎源内に秘密を聞きに行く久五郎/◎源内の天才に感嘆する久五郎「建築の革命だ!」/◎夜中に錯乱する源内/◎秋田屋久五郎を殺害

 ●第七章 懺悔  (30ページ)
トビラ;
香川県志度町にある平賀源内銅像
時期;安永8年(1779)12月18日
登場人物;
杉田玄白、中川淳庵、松本十郎兵衛、奥医師千賀道有、田沼意次、肥前屋、ご家老、前野良沢、林子平、司馬江漢、佐竹義敦、小田野武助、田沼意知、松平定信、
エピソード;◎源内の殺人事件江戸の大ニュースに/◎各方面での救刑活動/◎源内の狂気説(小便をありがたがる絵)/◎源内の追善興行の稽古/◎伝馬町牢屋敷について/◎松平定信、源内の原型活動を邪魔する/◎蘭学に対する非難高まる/◎田沼の絶望/◎入牢28日目に牢内で源内衰弱死

●第八章 さらば源内  (22ページ)
トビラ;
台東区橋場総泉寺跡にある源内の墓
時期;安永9年(1780)春~初夏
登場人物;
杉田玄白、中川淳庵、奥医師千賀道有、田沼意次、前野良沢、林子平、司馬江漢、佐竹義敦、小田野武助
エピソード;
◎源内の死に愕然とする一同/◎福助の死/◎遺骸の無い葬式/◎玄白による源内の墓碑/◎罪人の碑の建立は許されず(昭和5年に建造)/◎小さな福助の墓/◎小田野武助の死去/◎佐竹公の絵への情熱失われる(秋田蘭画の終焉)/◎死してなお慕われる源内/◎平賀源内生存説/◎司馬江漢の決意/◎源内の発明した竹とんぼ/◎フランス人ラウノウ・ピアンヴニュがプロペラ発明(1780)/◎モンゴルフィエ兄弟の気球(1783)

●エピローグ (4ページ)
登場人物;中津藩主
奥平昌鹿、前野良沢、頼春水、その妻静子、頼山陽
エピソード;◎奥平公死去/◎良沢の回想/◎頼山陽生誕

……とうとう「蘭学黎明編」が終了です。平賀源内も死んでしまいました。淋しいなぁ。
この巻で再び平賀源内の偉大さの数々が語られます。ほんとすごい人でした。
残念なのは、源内が発明したという「建築の革命」が、源内の殺人によって実現しなかったことで・・・・ どうやろうとしたんだろう? 見当違いかも知れませんが、一年前に姉歯建築士による耐震偽装問題のニュースを盛んに聞いていたとき、私が思い浮かべていたのは源内のこの巻のことでした。源内だったらもっとうまく出来ていたんでしょうねぇ。ともかく平賀源内は、好きじゃない人がいない歴史人物だと思いました。

杉田玄白による墓碑銘は、原語で全文が載っているんですが、読むのが面倒なので意訳して書き写しておきます。 処士鳩渓墓碑銘 …ここに眠る平賀君、いみなは国倫、あざなは子彜、鳩渓と号し、風来山人と称す。信州の平賀源心の子である。難を避け信州から讃岐国志度に移り住んだ。君子のような人であった。小さい頃から才弁があった。気を尚び剛傲としていた。書を読むとき細かな章句にこだわらなかった。高松公が彼を採り上げ役人とした。嘆いていわく、生活のために生きていても国家の為にはならない。郷里で黙っていても駄目だ。何をしたらいいだろうか。そして彼は職を辞して四方を旅した。各地の産物を知る事を極め、山河を知り尽くし、各種技術に詳しくなった。諸侯に会っては国の利益になる事を説いた。人に対しては各人の利益になる事を説いた。ゆえに世間に愚かな人がいなくなった。世の人はみな平賀源内の名を知った。諸侯は彼を欲しがったが、彼はそれを皆断った。彼が言うには、人生とは求められる所に行くべきである。どうして五斗の米の為に腰を折らねばならんのか。人は彼に妻を娶ることを薦めた。彼は言った。今私の家は四方に広がっている。これ以上の何を求めるのか。彼は常に客を好んだ。客が来るといつも彼は酒を振る舞い、昼から夜まで語り合い、倦むことがなかった。彼には定まった収入が無くて、しばしば懐がからになった。しかし晏然としていて気にしなかった。彼が世に出した本は物類品隲五巻がある。しかし、それ以上のことを彼は為した。薬物、火浣布などなど。彼が発明した物は百以上ある。一方で小説を書く事を好み、若干の物を出版した。安永の己亥の年、凶病で人を殺し、獄に入った。12月28日獄中で死んだ。51歳。法により彼の遺骸は引き取る事は出来なかった。有志が集まって、彼の衣類履き物を納めて浅草総泉寺に葬った。石碑も建てた。私たちは彼と親しかったから、ここに銘を刻もうと思う。ああ非常の人、非常の事を好み、非常これを行い、なんぞ非常に死するや

・・・意訳しちゃうとアレですけど、いい文章だなあ。 と杉田玄白が自分で言っていた。

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風雲児たち7。

2007年09月23日 16時58分07秒 |   風雲児たちindex.

 

風雲児たち7 【蘭学黎明編3】☆ (1984年8月1日刊)

   ~強情解体新書

表紙絵;剣を構える林子平
◆裏表紙絵;
すべての登場人物
巻頭;「すべての登場人物大集結」

第一章 その名は買いたい新書  (24ページ)
トビラ;
解体新書表紙(顔を杉田玄白と前野良沢に差し替え)
時期;明和9年(1772)=安永元年12月~安永2年(1773)
登場人物;
前野良沢、杉田玄白、中川淳庵、司馬江漢、峰子ちゃん、田沼意次、印刷屋、林子平、平賀源内、秋田藩主佐竹義敦、秋田藩士小田野武助
エピソード◎喧嘩する前野良沢と杉田玄白(「完璧な本を出したい」「時機を逸したらどうする」)/◎まず先に図譜を出して世間の反応を見よう/◎安永元年への改元(11月19日)/◎改元を風刺する狂歌/◎題名決定「買いたい新書」/◎先行パンフレット型『解體約圖』発売/◎良沢、題名に関して玄白を褒める/◎解体約図に前野良沢の名前が載っていない。その理由(玄白と淳庵が逮捕されても良沢が無事なら解体新書は出せるから)/◎蝦夷地を旅する林子平/◎秋田藩主と会う平賀源内/◎佐竹の阿仁銅山開発/◎秋田を救ける源内←→源内に感謝しない秋田/◎藩主に絵を教える源内「真上から見たおそなえ餅」/◎秋田蘭画の始まり

第二章 蘭画家入門 (28ページ)
トビラ;小田野直武画「唐子図(部分)
時期;
安永2年(1773)春~12月
登場人物;秋田藩主佐竹義敦、小田野武助、平賀源内、杉田玄白、前野良沢、林子平
エピソード◎蘭画の構造(面で描く/遠近法=凹絵)/◎佐竹公と小田野画伯の君臣を越えた交わり/◎江戸で疫病流行/◎オランダ通詞の解体新書推薦文/◎推薦文を巡って喧嘩する二人/◎杉田玄白の結婚/◎源内、秋田藩のコンサルタントに就任/◎小田野武助江戸へ/◎小田野武助、解体新書の挿絵師に推挙される/◎杉田玄白の子誕生(知能障害の子だった)/◎解体新書出版を巡っての喧嘩「いいかげんな物を出しては後世への笑い者!」→杉田と前野とうとう決裂→「私の名を解体新書に出すのはお断りする!」

第三章 解体新書UP (34ページ)
トビラ;
夜道をとぼとぼ歩く杉田玄白
時期;安永2年(1773)12月~安永3年(1774)8月
登場人物;
峰子ちゃん、前野良沢、杉田玄白、中川淳庵、小田野武助、司馬江漢、(名前が不明の人)、平賀源内、田沼意次、本屋の主人
エピソード;
◎喧嘩別れした事情を仲間に告げる玄白/◎司馬江漢と平賀源内の会話(源内が江漢を前野良沢に弟子入りさせた理由)/◎解体新書の表紙絵について/◎秩父鉱山廃鉱;愕然とする源内/◎平賀源内の挫折感/◎解体新書、とうとう出版/◎喜び合う3人

第四章 平賀源内モノローグ (26ページ)
トビラ;平賀源内立ち姿
時期;
安永5年(1776)6月
登場人物;平賀源内、杉田玄白、中川淳庵、タモリ、前野良沢、司馬江漢、峰子ちゃん中津藩主奥平昌鹿、佐竹義敦、小野田武助、田沼意次
エピソード;◎その後の解体新書翻訳メンバーの姿/◎解体新書出版の反応(最初は漢方医たちによる非難、徐々に称賛)/◎杉田玄白のこなれた対応/◎杉田玄白の栄光/◎前野良沢の不遇(著者として名前が載らなかったから)/◎中津藩主奥平公だけが良沢を称賛「前野良沢はオランダの化け物」/◎田沼の政治で江戸の町はのびのびとした空気/◎司馬江漢長崎へ旅立つ/◎平賀源内の業績/◎焦る源内/◎エレキテルの完成

第五章 独立宣言 (30ページ)
トビラ;
アメリカ建国宣言のシンボル「自由の鐘」
時期;安永5年(1776)7月
登場人物;山トマス・ジェファーソン、ベンジャミン・フランクリン、ジョージ・ワシントン、平賀源内、田沼意次、林子平、長崎奉行柘植長門守
エピソード;◎独立宣言/◎エレキテルの完成(フランクリンの電気の発見より早い)/◎エレキテルに対する町の人々の感想/◎エレキテルに対する田沼意次の感想「これは国家の利益の何かの役に立つのであろうな?」/◎エレキテルを見せ物に/◎林子平、長崎奉行所専属医師に就任/◎唐人屋敷で暴動発生/◎林子平、鎮圧を任される

第六章 大暴れ林子平  (30ページ)
トビラ;
剣を構える林子平
時期;安永5年(1776)
登場人物;
林子平、唐人たち、長崎奉行柘植長門守、司馬江漢、オランダ商館長アーレン・ウェル・ヘイト
エピソード;◎長崎の唐人屋敷について(中華思想と幕府の対応に対する不満)/◎工神堂の攻防戦/◎鎮圧成功、子平の武名上がる/◎オランダ商館長が林子平との会談を希望/◎ヘイト館長、子平を見くびる

 ●第七章 洋刀七本斬り  (23ページ)
トビラ;
出島内部の植物園
時期;安永5年(1776)
登場人物;
林子平、オランダ商館長ヘイト、長崎奉行柘植長門守、故ベニョヴスキー、
エピソード;◎商館長ヘイトの前で洋刀7本斬り/◎ヘイト、子平を誉め讃える/◎ヘイトと子平の親交/◎蝦夷地について語る/◎ヘイト、子平にベニョヴスキー事件のことを語る/◎子平の決意

●資料文献一覧(第一回)  (5ページ)
トビラ;
小早川秀秋像(京都高台寺蔵)

 

……とうとう解体新書が完成してしまいましたー。
つくづく解体新書って凄いなぁ。また、「ただ本を翻訳する」ってだけなのに、関ヶ原の勇士や幕末の志士たちと同じグループに入れてしまうこの漫画も凄いです。
私にとってこの巻は、何度読み返しても泣いてしまう巻です。大好き。

私の泣けるポイント。
その1.
前野良沢と杉田玄白は、この解体新書の編集方針を巡って繰り返し激しく喧嘩をする。とうとう激高した前野良沢は、玄白に対して絶縁を突きつける。しかしその時点で本はほとんど完成していた為、無事に解体新書刊行。完成した本を持って玄白は良沢の家を訪れるのですが、それを見て良沢は泣き出し、三人ひっしと抱き合う。(それを襖の影から覗き見て、ひとり涙する峰子ちゃん)
この場面を読み返すたびに、なぜか泣いてしまうおばかなわたくし。なんで私まで泣かねばならんのだ。なんでだろう?

その2.
世渡りがうまい杉田玄白の名声がウナギ登りで上がっていくのに対し、社交下手な前野良沢の家は閑古鳥。司馬江漢といっしょに膝をかかえて鼻をほじる父の姿を見て涙する峰子ちゃん。(そうですよね~。私もこの漫画読むまで解体新書の作者は杉田玄白だと思っていました)
しかし、良沢の主君の奥平昌鹿だけは行間に滲み出る良沢の業績を認め、お褒めの言葉を賜るのでした。…いいねぇ。


前野家の居候・司馬江漢

その3.
解体新書チーム3人と対照的な天才として登場する平賀源内。
源内はスーパースターです。前々巻と今巻で、源内の数えきれぬ業績が羅列され、これが凄い。売れっ子劇作家・小説家・コピーライター・洋画家・発明家・博物学者・奇書収集家・鉱山技師・治水工事家・財政コンサルタント等等々。でも、そんな源内は、解体新書を世に放った3人の姿を見て、焦りを覚えるのです。(源内の方がすごい万能人間なのに)
その結果彼が新しく作り出したのがエレキテル!
で、自慢たっぷりにこれを田沼意次に見せに行くのですが、田沼は源内に言う。「で、これはどんな役に立つのじゃ?」 この顔の田沼の表情は、決して源内をうさんくさく思っているわけじゃなくて、源内が天才だと知っているからこそ気さくに「教えて?」という感じなんですが、源内はそんな田沼に対して「電気とは何か」を説明しようとして、でもできなくて、真っ白になってしまう。このコマが好き。漫画ではこの描写が数コマに渡っていて、そのページが凄いと思う。

源内は電気という物がすごいということが分かっていて、それがすごく役に立つという事も分かっていて、テレビや洗濯機や車や電灯が満ち溢れている未来の光景も想像出来ているのに、電気が何が凄いのか言葉で現実的な田沼に説明することができない。どれもがその時代にはまだ無いものだから。それで一瞬源内はポカーンとしてしまうのです。真っ白になってしまうのです。源内が感じていた焦りとは、「無から何かを生み出しそれを世に広める」ことには時間がかかるという焦りで、でも解体新書は地味に時間を掛けてそれを成し遂げてしまった。
で、源内は手っ取り早くそれを江戸に広める為に、エレキテルを見せ物小屋にして、大ヒットしてしまうのです。見せ物として。さすが源内、何をやっても大ヒットさせてしまうです。でも、これが次巻の源内の悲劇に繋がると知っているから、泣ける。

というわけで、解体新書が完成してしまったので、前野良沢の物語は終わりなのでした。以後もちょくちょく出てきますが、もう主役ではなく、脇役なのです。私が残念なのはとても気に入っていたけなげで甲斐甲斐しいお峰ちゃんの出番も終わり、ということで、悔しいので名残にまた峰子ちゃんの絵を描いておきました。(前にも描きましたけどね)

ついでに、今まで読んでてちっとも気にならなかった人物として司馬江漢がいたんですが、今回読み直してみてやたらと気になりました。この人、何の為にこの漫画に出ているんだろう? しかし今巻の平賀源内と彼との対話には、いろいろ考えさせられる事が多かったです。

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『風雲児たち6』。

2007年04月21日 04時02分50秒 |   風雲児たちindex.

 

風雲児たち6 【蘭学黎明編2】☆ (1984年4月2日刊)

   ~海から来た男

表紙絵;大活劇のベニョヴスキー男爵
裏表紙絵;ジャパンのショーグン瓜守と面会するベニョヴスキー

第一章 放浪の異国人  (24ページ)
トビラ;長ノ名
ハロンモリツアラアゾルハンベンゴロウ 一名ヲウス
時期;明和8年(1771)7月
登場人物;モーリッツ・アラダール・フォン・
ベニョヴスキー男爵、船員たち、阿波の奉行、蜂須賀藩主、蜂須賀藩家老
エピソード◎世界航海史上もっともわけのわからん人物/◎男爵と船員たちのかけあい/◎ベニョヴスキーの波乱の半生(流刑、カムチャツカで反乱、反乱の大義はエカチェリーナ2世の征討、ジパングを目指す)/◎ベニョヴスキーの聖ピョートル号、阿波に出現/◎阿波の奉行とベニョヴスキーの珍妙な問答(ローマ帝国の海軍司令官を名乗る)/◎船乗り同士は心が通じ合う/◎阿波蜂須賀藩の事情(蜂須賀騒動、幕府による異国船の対処方法の指示)/◎水食糧だけ与えて即刻立ち去らせるべし、蛮人が蜂須賀藩の対面を汚すようなことをするするようなら一人残らず打ち殺すべし

第二章 土用丑の日 (26ページ)
トビラ;鳴門の渦潮
時期;
明和8年(1771)
登場人物;
阿波の奉行、ベニョヴスキー、船員たち、阿波の船乗りたち、杉田玄白、前野良沢、平賀源内、うなぎ屋さん
エピソード◎聖ピョートル号に乗りこむ阿波の役人/◎交渉/◎断固とした態度を示す阿波の奉行/◎ベニョヴスキー、王様宛ての書状を渡す/◎「異人にはかかとが無い」の俗説について/◎ベニョヴスキー、土佐へ/◎ベニョヴスキー長崎を目指す→奄美大島に流れ着く/◎奄美大島で「世紀の大問題のお手紙」を投函、長崎のオランダ商館宛て/◎あさって土用の丑の日/◎江戸城にベニョヴスキーの手紙(阿波藩と土佐藩に宛てられたもの)が届く

第三章 ベニョヴスキーお手紙事件 (24ページ)
トビラ;
江戸の町を闊歩する風雲児たち(前野良沢、杉田玄白、中川淳庵、司馬江漢、ベニョヴスキー、船乗り)
時期;
明和8年(1771)3月4日
登場人物;
前野良沢、杉田玄白、中川淳庵、峰子ちゃん、前野良沢の家族たち、長崎通詞たち、幕府の役人、カピタン、オランダ商館員
エピソード;
◎もはやなにがわからないのかもわからない状態で錯乱する前野良沢/◎分からない箇所には【○に十】(←轡十文字;島津家の家紋)を書き入れていくことにする/◎分からない箇所ばかりで轡十文字だらけ/◎けなげなしい峰子ちゃん/◎スポンギウス(黄色くて穴が空いたもの)とポルダァ(オランダ人は海と戦ってポルダァとした)とゼィー(ラントではないもの)とラント(ゼィーではないもの)/◎中川淳庵、初めて役に立つ事を言う/◎普段家族をないがしろにしていた前野良沢/◎ベニョヴスキーの手紙を長崎通詞に読ませようとする(長崎通詞はつい最近まで外国文書の読み書きを禁じられていた為解読出来ない)/◎政道に怒る通詞たち/◎大通詞西善三郎の思い出/◎長崎出島の様子/◎オランダ商館に解読を頼みに行く通詞たち/◎退屈で死にそうな長崎商館員たち/◎ベニョヴスキーの手紙の内容の全貌

第四章 ベニョヴスキーほら話 (24ページ)
トビラ;エレキテル
時期;
明和8年(1771)
登場人物;ベニョヴスキー、船乗りたち、幕府の役人、通詞たち、カピタン、オランダ商館員、波瀾の英雄イェルマーク、ピョートル大帝、架空の美少女アファナシア・ニーロワ
エピソード;◎ベニョヴスキーの手紙の内容=ロシア海軍の日本征服の警告/◎口の堅い(笑)オランダ商館員/◎ベニョヴスキーの手紙の胡散臭さを早くも見破るオランダ人たち/◎敢えてこの手紙の幕府への刺激を期待する/◎イェルマーク物語/◎ピョートル大帝のシベリア遠征/◎マカオのベニョヴスキー/◎フランスへ戻ったベニョヴスキー一行/◎裏技を用いてベニョヴスキー、マダガスカル総督に就任/◎ベニョヴスキー、自伝を執筆/◎破天荒なベニョヴスキー自伝の内容

第五章 不動如莫迦 (27ページ)
トビラ;
特別附録ニーロワちゃんうっふんピンナップ
時期;明和8年(1771)~明和9年(1772)2月
登場人物;
ベニョヴスキー、ニーロワちゃん、ジャパンの領主瓜守、老中たち、田沼意次、杉田玄白、中川淳庵、前野良沢、平賀源内
エピソード;◎ベニョヴスキーの日本での冒険/◎じつにきさくで明晰な頭脳の瓜守将軍と義兄弟の契りを結ぶ/◎「白鯨」の情景描写/◎ベニョヴスキー自伝大ベストセラー/◎架空の美少女ニーロワちゃんマカオで死亡の場面は演劇化/◎1789年、ベニョヴスキーの不慮の死(部下の反乱)/◎その記述がでたらめなことが暴かれ、日本以外では忘れ去られる/◎江戸城秘密老中会議/◎何もしないという事で決まり/◎江戸幕府の蝦夷地の大原野の防御的役割の過大評価/◎幕末まで変わらなかった幕府の諸外国接近に対する基本姿勢/◎明和9年=「め~わく」な年/◎田沼意次老中に昇進、実権を握る/◎前野良沢の娘の葬儀、娘への供養に医学の発展を誓う/◎休み無く続けられる翻訳事業/◎田沼が老中になったから各地を飛び回る平賀源内/◎明和2年、幕府『紅毛談(おらんだばなし)』を弾圧=理由;おらんだいろは(アルファベット)26文字が解説してあったから/◎たあへるあなとみあは出版できるのか?

第六章 目黒行人坂大火 (25ページ)
トビラ;
目黒行人坂火災絵巻(部分)
時期;明和9年(1772)2月29日~宝暦5年(1755)
登場人物;
前野良沢、杉田玄白、中川淳庵、平賀源内、長崎に留学したときにお世話になった通詞さん、田沼意次、御典医千賀道有
エピソード;◎目黒行人坂の大火(原因は僧のつけ火)、江戸の1/3を火の海に(死者1万数千←振り袖火事に比べると少ない)/◎カピタン江戸入り。長崎通詞に会いに長崎屋に行く/◎分からない箇所を通詞に聞く/◎通詞にもわからない/◎愕然とする前野良沢「もう誰にも教えを請う事ができないのです…」/◎田沼意次と平賀源内の関係/◎平賀源内、田沼意次に大坂よりも江戸が優位に立つ方法を進言する

第七章 江戸城と田沼意次 (24ページ)
トビラ;
田沼意次の顔のアップ
時期;明和9年(1772)
登場人物;
田沼意次、平賀源内、徳川歴代将軍、堀田正俊、徳川吉宗、徳川家重、徳川家治、司馬江漢(鈴木春重)、峰子ちゃん
エピソード;
◎田沼意次の本音と建て前/◎「士農」を捨て「工商」に掛ける田沼の意気込み/◎江戸幕府8代目までの後継者問題/◎ただの小姓のこせがれだった田沼意次が異例の大出世ができたわけ=吉宗が将軍になったから/◎田沼意次、享保の改革を振り返る;今は同じやり方ではムリ/◎「御三卿」の誕生;遠い親戚(御三家)より近くの親戚(御三卿)/◎田沼、白痴の将軍家重の右腕となる/◎権力は握ったが、幕政のひずみが大噴出/◎翻訳事業の参加希望者増える/◎杉田玄白、平賀源内にたあへるあなとみあの出版について相談する

第八章 ここ掘れワンワン平賀源内 (28ページ)
トビラ;
どこかの風景の浮世絵
時期;明和9年(1772)
8月
登場人物;
御典医千賀道有、杉田玄白、平賀源内、前野良沢、良沢の家族、峰子ちゃん、中川淳庵、司馬江漢
エピソード;◎意外にも翻訳事業に好意的な千賀医師/◎田沼意次にも翻訳書を一部贈呈/◎平賀源内が嫌いな前野良沢/◎翻訳書の出版のメドがついた事を喜び合う/◎前野良沢と杉田玄白の性格の違い/◎大火のあとの連続超大型台風/◎田沼意次の人気急落/◎司馬江漢の人体図、没になる(ヘタクソ)/◎図版絵師の選定に悩む/◎秩父鉱山の採掘を主張する平賀源内/◎誰も源内の眼力を信じない/◎秩父鉱山の潜在力が確認され、源内の眼の確かさが認められたのは昭和12年

……ベニョヴスキー!
こういう、「おもしろ半分で国をゆるがす大事件」をしでかす「知られざる歴史人物」を描いて、このマンガの右に出られるものはありません。ベニョヴスキー、愉快すぎ。
「ウソをつくことだけが生き甲斐」というこの人物には、とても憧れます(私も常日頃ウソばかりついていますからね)。しかしそのためにわざわざ鎖国の日本まで来てしまったというのがすごいです。
不勉強にして、わたしはこの“ほら吹き男爵”ベニョヴスキーという人物についてまったく知らなかったのですが、彼について読める本は、東洋文庫の『ベニョフスキー航海記』と、マンガの中でも紹介されているドナルド・キーンの『日本人の西洋発見』とかないのでしょうか?(どっちも未入手)

まだ中間点ですが、この巻の冒頭でまだまだほとんど翻訳作業が進まぬことに苦しんでいるのですが、終わりの方ではその作業が順調になり、スイスイ進んでいく事に隔世の感。このマンガでは前野良沢と杉田玄白と中川淳庵がドタバタ悩んでいる場面ばかりが印象的なのですが、ほんとは翻訳に掛かった時間は1年半(とちょっと)なんだそうです。これがどれだけすごいことか。
それから平賀源内!
江川太郎左衛門もそうですが、このマンガは「結構名前は有名だけと何をやったから偉いのかいまいち良く分からないスゴイ人間」を描く事についても、おもしろさにかけて右に出る物は無いですね。平賀源内の偉業についてはすでに前巻で紹介されていますが、今巻の方がすごさがじわじわと感じられる。とりわけ浜松に隣接する遠州地方の出身者としては、「土用の丑の日」を発明してくれた源内大先生を、神の如くあがめたてまつりたいぐらいです。次巻以降の源内を思うと、泣けてきます。

また、このマンガでは源内の顔の作りがとてもいいですね。
アゴが大きいのが特徴ですが、口元だけでいろいろな表情が出来る、まさしく天才です。この表情は「若い頃」の源内らしいのですが、次巻に源内はグッと老け込みます。しくしく。

あとは、ヒマでヒマでしかたのない長崎出島のオランダ人たちの様子がおもしろかったです。

コメント (2)
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風雲児たち(幕末編)10。

2007年01月09日 22時58分10秒 |   風雲児たちindex.

風雲児たち【幕末編】10☆ (2007年1月28日刊)

表紙絵;荒海の勝麟太郎、フハビウス、クルチウス
◆オビの言葉
平岡正明喜氏、激賞!!「安政大地震が終わって…」 堂々登場!!」 裏オビ「安政大地震が終って、幕末血風録へ。やだやだ、江戸が敗けちゃうんだなぁ… やい江戸っ子、お江戸焼き払ってなぜ薩長と市街戦やらねえんだ。(ジャズ評論家・平岡正明)」
トビラカラー;この巻の主人公たち

第一章 安政大地震余波 (32ページ)
トビラ;
震災後、大流行した「ナマズ絵」のひとつ
時期;安政2年(1855)10月2日~半月
登場人物;老中
阿部正弘、北町奉行池田播磨守頼方、南町奉行根岸肥後守衛奮、(遠山金四郎)、高野長英の娘おモト、松平容保、老中首座堀田正睦、勝麟太郎、中島三郎助、桂小五郎、望月大象、鈴藤勇次郎、フハビウス、佐々倉桐太郎、下曽根次郎助、矢田堀鴻
エピソード◎安政の大地震の死者=3万人もしくは10万人、最大22万人/◎お米蔵を開け/◎阿部正弘の震災後対策/◎素早い救済政策/◎品川台場の悲劇/◎吉原の遊女たちの悲劇/◎高野長英の娘の死の記録/◎‘投げ込み寺’浄閑寺/◎藩による震災被害報告の違い/◎阿部邸全焼、再建のため公務を堀田正睦に委任/◎阿部の改革に対する不満/◎「洋学調所」を「蛮学調所」と改名(これだけで政道批判はやわらいだ)/◎船の上の勝麟太郎/◎長崎へ向かう伝習生の面々/◎勝海舟の船酔い体質/◎天然理心流について/◎下関に到着

第二章 長崎海軍伝習所  (30ページ)
トビラ;長崎の景色
時期;
安政2年(1855)10月~
登場人物;勝麟太郎、お民、中島三郎助、桂小五郎、フハビウス、川路聖謨、(江川太郎左衛門)、阿部正弘、堀田正睦、水戸斉昭、鍋島閑叟、からくり儀右衛門、吉田寅次郎、(高山彦九郎)、高須久子、富永弥兵衛
エピソード◎下関で江戸の大地震の報を聞く伝習生たち/◎伝習生たちの家族の安否の確認を最優先する幕府/◎地震の中の勝家の様子/◎地震の中の桂小五郎の状況判断/◎伝習生活開始/◎死んだ江川太郎左衛門の仕事をすべて押しつけられた川路聖謨(めちゃくちゃ忙しい)/◎忙しい川路聖謨/◎水戸で反射炉完成(日本で4番目)/◎佐賀で日本初の蒸気機関車(のミニチュア)完成/◎吉田寅次郎野山獄を出る/◎松下村塾再開/◎「松陰」と名乗る/◎野山獄の囚人釈放の嘆願/◎高須久子のみは放たれず/◎松下村塾に入門者押し寄せる

第三章 最後の商館長 (30ページ)
トビラ;
蔵六、おイネ、松陰、小五郎
時期;安政2年(1855)12月~安政3年(1856)
登場人物;
フハビウス、勝麟太郎、吉田松陰、クルチウス、新長崎奉行川村修就、ヤン・ヨーステン、ウィリアム・アダムス、初代商館長ヤックス・スペック、モチヅキとスズフジ(長崎へ来ていた江川塾の生徒)、安藤広重、斎藤弥九郎、桂小五郎、村田蔵六、緒方洪庵、福沢諭吉
エピソード;
◎日蘭和親条約締結/◎江戸時代の「観光」について/◎観光丸(旧名;スンビン号)/◎最初期の松下村塾(幕政批判はしない)/◎最後の商館長(162代目)クルチウスの感慨(300年の長崎出島オランダ商館の歴史)/◎積極さを増すクルチウスの幕府への建言;身分制度について、「踏み絵」の撤廃/◎懐中時計の急激な普及/◎フハビウスとクルチウスの対話;江川太郎左衛門の爆裂弾の完成に驚く「日本の兵力は世界一かも知れない」「そんな国に軍艦をタダでくれてやって軍事教練もしてあげてるのか」/◎幕府の政策の緩和、世の中が変わっていく実感/◎安藤広重「名所江戸百景」/◎桂小五郎、神道無念流の塾頭に。長州への帰国を断念する/◎蔵六、江戸へ行く途中大坂の適塾に寄る/◎村田蔵六(のちの大村益次郎)と福沢諭吉の出会い

第四章 適塾の生徒たち (30ページ)
トビラ;蔵六、洪庵、諭吉、手塚
時期;
安政3年(1856)3月~4月
登場人物;村田蔵六、琴子ちゃん、緒方洪庵、福沢諭吉、手塚良庵、橋本左内、越前藩主松平春嶽、宇和島藩主伊達宗城、諭吉の兄(三之助)
エピソード;回想;鋳銭寺村に帰った蔵六/◎蔵六、江戸を目指す/◎適塾にて/◎福沢諭吉にびびる村田蔵六/◎諭吉を愛する緒方洪庵/◎橋本左内の越前藩での異例の出世/◎蔵六江戸に到着/◎江戸で蘭学塾を開く/◎諭吉チフスに/◎つきっきりで看病する緒方洪庵

第五章 講武所の生徒たち (24ページ)
トビラ;
蔵六、おイネ、男谷精一郎、高島秋帆
時期;安政3年(1856)4月
登場人物;緒方洪庵、福沢諭吉、手塚良庵、住友吉左衛門、番頭広瀬宰平、諭吉の兄、男谷精一郎、高島秋帆、下曽根金三郎、阿部正弘、斎藤弥九郎、山岡鉄太郎、斎藤新太郎、太田くん(適塾から付いてきた蔵六の右腕)、二宮逸二(二宮敬作の息子)
エピソード;◎生死をさまよう福沢諭吉/◎諭吉の快復/◎天才医師緒方洪庵の診療/◎諭吉、中津へ帰る/◎旗本たちの武芸・砲術・軍事訓練所「講武所」、築地に完成/◎講武所の最高の教授陣/◎おののく軟弱な旗本たち/◎徳川旗本八万騎は日本最弱!/◎講武所に入る事を嫌がって旗本達は次々と家督を幼い子供たちに譲る;講武所が幼稚園に/◎蔵六は番町に「鳩居堂」を設立/◎最初の生徒

第六章 鳩居堂の生徒たち  (30ページ)
トビラ;
おイネと蔵六
時期;
安政3年(1856)7月
登場人物;
シーボルトおイネ、二宮敬作、シーボルト、村田蔵六、二宮逸二、二宮敬作の弟子三瀬周三、お滝さん、おイネの娘忠子ちゃん、水戸斉昭、林子平、江川太郎左衛門英敏、タウンゼント・ハリス、ヒュースケン
エピソード;◎宇和島の蔵六からの手紙を待つおイネ/◎二宮敬作の酒乱癖/◎二宮のもとへシーボルトから手紙が届く/◎長崎(シーボルト)へ行くか江戸(村田蔵六)へ行くか悩むおイネ/◎二宮敬作とシーボルトおイネ、長崎へ/◎二宮敬作、長崎で開業/◎シーボルト来たらず/◎二宮敬作脳卒中/◎二宮逸二を江戸へ送る/◎蔵六はハトが好き/◎水戸藩建造洋式帆船・旭日丸/◎女性の髪で作った綱/◎旭日丸、厄介丸と呼ばれる。明治まで活躍/◎海国兵談の禁書指定解除/◎海国兵談再評価/◎サン・ハシント号下田へ

第七章 ハリス来日  (29ページ)
トビラ;
ハリスの肖像画3点(全部顔が違う)
時期;
安政3年(1856)7月
登場人物;阿部正弘、クルチウス、堀田正睦、ハリス、ヒュースケン、激怒する水戸斉昭、アームストロング提督、坂本龍馬、中岡慎太郎、武市半平太
エピソード;◎悩む阿部正弘「時間が欲しい」/◎阿部、ハリスとの交渉を堀田に任す/◎日米和親条約の領事派遣の項についての日米の解釈の相違/◎ハリスへ退去勧告、激怒するハリス/◎下田(からちょっと離れた)玉泉寺を仮領事所に選定/◎ハリス、玉泉寺に星条旗を立てる/◎ハリスの前半生;貿易商&ニューヨークの教育委員長/◎ハリスとヒュースケンの決意/◎沈鬱なハリスの予感/◎短絡的な幕府役人の交渉にハリス怒る/◎幕府、ひきのばし作戦でハリスをじらせることとする/◎江戸に超大型台風襲来/◎民衆は「相次ぐ天災は異人が日本に来たせい」と考えるようになる→攘夷思想の流行;浦上三番崩れ

 

…出ました最新刊。
ようやくハリス登場! とにかくハリスが来ないと時代を幕末だなんて呼べないじゃないですか。幕末編と名乗っていながらハリスの登場が10巻目って、一体これはどういうマンガなのでしょう!? ……って語ろうかと思っていたのですが、ハリスが出たのは最後の最後にちょろっとだけ。それ以外には展開的に語る事のない、とりわけ停滞した巻でした。

っていっても、登場人物は多くて各キャラによる滅茶苦茶面白いギャグはてんこ盛りなんですけどね。どうも作者は各キャラクターを丁寧に語りすぎているような気がしますねぇ。それは群像劇を描いているこの作品の宿命でもありますが、あまりにも長すぎる嵐の前の静けさなのでした。嵐はいつ来るのでしょうか?(←着実に近づいています)

今巻の中の数多いギャグのうち、極めつけは「手塚治虫ギャグ」でした(^-^)。
手塚治虫の『陽だまりの樹』という作品に出てくる、手塚治虫の本当のご先祖の“手塚良仙”という人物がこの作品にも出てくる、という事は前巻の感想でも書きましたが、このキャラ、思いっきり暴走しまくっています。

キャラの見た目は手塚治虫の肖像をデフォルメしたものなのですが、絵の角度によってこの髪型がベレー帽に見える(笑)ようになっておりまして、緒方洪庵の適塾の学生である彼が、適塾の優秀な先輩である村田蔵六の奇天烈な顔を見て『ヒョウタンツギ』を、適塾の先生である緒方洪庵を見て『ブラックジャック』のキャラクターを思いつくというくだりがあるのです。(もちろんフィクションであるという作者の註がありますが)。でもおもしろい。あははははは。きっと鉄腕アトムは桂小五郎、ビッグXは西郷どん、七色いんこは福沢諭吉、青いトリトンが勝麟太郎か榎本釜次郎で、火の鳥はシーボルトのオウムか蔵六のハトがモデルだったのでしょう。

しかしながら大変な事に気付きました。「フィクションをもとにしたものなのに、みなもと太郎の手塚良仙と手塚治虫の主人公は、えらく顔が違うなぁ」と思っていましたら、よくよく思い直してみると、手塚治虫の漫画では主人公の名前は「手塚良庵」で、手塚良仙とはそのお父さんの名前ではないですか。そう考えてみると、みなもと太郎の手塚良仙は手塚治虫の良庵のお父さんの顔にそっくりじゃないですか。(手塚治虫も主人公の父の顔に自分の顔をモデルにしたので、あたりまえのことなのですが)

 

あわてて手塚治虫の本をめくってみますと、小学館文庫版の『陽だまりの樹』の第一巻の解説に、主人公の手塚良庵の本名は「手塚良仙光亨」で、その父の本名は「手塚良仙光照」で、通称が「良斎」であるということでした。そういえば良く読めば、六巻目に主人公が、父の死によって「良仙」の名を受け継ぐというシーンがありますね。蘭学医である手塚家では、「良仙」というのが先祖代々受け継ぐ名であったんですね。ホッ。そう考えると、みなもと太郎のこの作品も一瞬ギョッとさせてその後にホッとさせる(顔は父に似せてあるんですから)、そういう憎い効果を狙ってるんですね。
しかし、だとすると、適塾在学中の手塚が「良仙」を名乗っているのはどうしてなんでしょう?

あとは江川太郎左衛門。
江川が死んではや2巻ですが、回想やなんかで頻繁に江川はまだ登場してまして、ト書きで「死んだのに毎回オレ登場してるなぁ」と言わせてくださっているのです。江川好きには嬉しい♪ 今回は江川の息子(英敏)も登場してました。こりゃ「芝新銭座大小砲習練所」のこともきっとこれから触れられますぞ(わくわく)

 

あとは、山岡鉄舟。
手塚治虫の『陽だまりの樹』に出てくる鉄舟とはぜんぜん正反対の人でした(笑)

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