たとえば、ヴィヴァルディだったら≪四季≫、バッハは≪G線上のアリア≫≪ブランデンブルク≫、ヘンデルも≪私を泣かせてください≫≪調子の良い鍛冶屋≫≪メサイヤのハレルヤ≫≪勇者が帰るから見てや見てや≫≪ヘンデルのサラバンド≫とか、≪ラモーのガヴォット≫とか≪パッへルベルのカノン≫とか≪リュリの赤い音楽≫とか≪コレッリのクリスマスジングル≫とか、著名作曲家には名刺的な著名曲があるものですが。
テレマンには有名な旋律のある曲がひとつも無い。
にもかかわらず、テレマンの曲ってどれも密度が高く完成度が高く、聴いていて凄く感銘に打ちのめされるので、聴くたびに「この人って天才だ」と思うわけです。
「代表作がない天才」ってどういうことだ。・・・もちろん『夕飯の音楽集(ターフェルムジーク)』が代表作なのですが、この中にもキャッチーな音楽は一曲も無い。なのにすべての音楽が親和性に溢れ、いずれも傑作なのは疑いがない。テレマンって凄いよね。この人はメロディーに重要性を置かなかったのだ。いや、もちろん音楽なのだから心揺すぶるメロディを多々ちりばめているのに、テレマンは多才な技量でわざとそのメロディを心残らないものにしている(なぜ)。テレマンって生前はヘンデルやバッハの3倍の人気を誇っていたそうですけど、これは、当時の人が記憶に残るメロディーよりも、目の前で繰り広げられる極彩色の音色の饗宴に熱狂していたって事ですよね。もちろんヴィヴァルディもバッハもヘンデルもそれを追求したのだろうけど、(当時は)テレマンの方がずば抜けていたって事で。結果論なのだけれど。時代的にはテレマンが勝ち組だったのですよ。
テレマンの曲はどれもすごい。“侘び寂び”があるのです。少し尖っているのに心地良い音。
カール・フィリップ・エマニュエルの音楽もそれなりに聴いたので、次はゲオルク・フィリップだ!
私が持っているCDは10枚程度。どれもがすごい。大バッハの3倍の曲数があるということですが、そろそろCD(笑)を集めようと思います。
バロック音楽はテレマンがラスボスです。
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