1月24~26日まで行った伊豆旅行の続き、3回目。
ようやく2日目の朝ですよ。書くのにどれだけ時間がかかっているのか。
でも大丈夫、2日目3日目はそれほど時間がかかんないはず。歴史的なところにはほとんど行かなかったから。(ホントか?)
<1月25日>
朝6時頃、函南のネットカフェで目覚めた私は思ったのでした。
「せっかく伊豆に雪が積もった日に来たのだから、伊豆の雪山を眺めに行くべきだよな」。
そういえば、以前に聞いたことがある。「昔の伊豆の人の娯楽は、寒い日に凍った八丁池でスケートをすること」。
八丁池って私は夏にしか行ったこと無いけど、今日って最高のコンディションじゃないの?
スケート靴は持ってないけど、今日の私はちゃんとチェーンを車に積んでるよ(笑)。7時過ぎに出発しました。
知らない方に説明。
「八丁池」というのは天城山の山麓にある観光スポットです。「伊豆の瞳」と呼ばれています。
「モリアオガエルがうようよいる」という事で知られていますが、カエルはもちろん夏の生き物。でも、冬はわざわざ登る人がいないから知られていないだけで、冬の八丁池にもたくさんの森青河選はいるのかも知れません。
結構山の上の方にあるのですが、上ったって天城山は1000mちょっとの山ですからね、八丁池のある場所なんて知れたもの。
なんたって、昔は皆がスケート靴をかついで通ったっていう場所なんだし。
一路、天城を目指すんですけど、、あんなに雪が降った後だって言うのに、道端に雪が現れたのは、道の駅「天城越え」の付近に至ってからでした。
しかし、南国伊豆で雪がある光景が見られるのは一年に一度ですから、やっぱり私は車の中で興奮状態なのでした。
八丁池には遙か以前に行ったことあります。写真もたくさん撮った筈でしたが、あれはどこにいってしまったのかな。
仕事関係でオフの日に山を歩き回る会があり、天城縦走に参加させて貰った。
30人ぐらいで行ったのだと思いますが、10年ぐらい前の私は有り余る体力だけが自慢で、凄く楽しんだ記憶がある。
ただ、今だったら天狗伝説に合わせてもっともっと写真を撮りまくったんだけどなー。もう一度行きたい。
確かその時は東伊豆か伊豆高原の起点から始まって、八丁池を経由して、天城の旧トンネルの真上に下りて終了だったと思うのですが、今思うとそんなに大した距離じゃないよね。その会では富士山や下田の高根山とかも登ったんですけど、長九郎山にも登った記憶があったような無いような気がするんですけど、どっちでしたっけ。長九郎、私は行ったことがあるのか。
伊豆では雪が積もると言ってもこのくらいなんですが、伊東に通っていた頃は、このくらいでもかなり雪に悩まされました。だって伊豆の人は基本的にチェーンなんて車に積んでないから。
八丁池の登り口は、私の記憶では天城旧トンネルの入口手前にあったような気がするな。天城の新トンネルまで行っても国道135号線は全然チェーンの必要が無い状態でしたが、さすがに旧道は「チェーン必要」となっていました。水生地下の駐車場に車を停めて、いそいそとチェーンを装着し始めます。5年前に買ったけど、一度しか使ったことが無いチェーンだ。ところでこのチェーン、どこで買ったんだっけ? 諏訪だっけ。関係ないけど、天城峠付近の地名って意味不明な物が多いですよね。水生地下ってどういう意味だ。
だがしかし、(経験が乏しいせいで)チェーンが巧く装着できない。おかしいな、前はこんなに苦労しなかった記憶があるのにな。力任せにグイグイやっていたら器具が千切れて壊れそうになったので、あきらめてその状態のまま発進することにしました(笑)
当初私が想定していた登り口は「水生地」でした。
だって、何度かドライブしたときにそこからたくさんの登山人が出てくるのに出くわしたもの。
だがしかし、今回行ってみると、
ガガーン、
封鎖されておる。試しに車を降りてみると、足下の氷は堅く固まっていて私の靴ではツルツル滑って、とても危険です。
こんな道歩けんわっ。
でも運の良いことに、私はひらめきました。
考えてみたら、私が「昔は八丁池が凍るとスケートをしたもんだ」と聞いた相手は、みんな河津の人か下田の人です。私が登るべきはトンネルのこっち側では無い。向こう側にスケーター用のもっと登りやすい道があるような気がしたんです。
水生地の分岐路から天城の旧隧道に向かいます。
さすがに道路が凍ってる。下の新隧道は雪なんてほとんど無いも同然でしたが、さすがに旧隧道は良い雰囲気ですね。このあたりは温暖な伊豆でも比較的頻繁に雪景色となる地帯だと思いますけど、旧隧道は来易くて安全だから今日みたいな天候では良いスポットなのだと思います。
車でトコトコ隧道の中を通って河津側に抜けますと、なんとまあ!
さすが峠の南側。雪がほとんど無い! 同じ伊豆でも南(東)伊豆と中伊豆は、隧道のあっち側とこっち側で全然違うんですね。
そのままどんどん行きますと、「二階滝」という地名があり、そこには「寒天橋」という分岐路があって、そこから(夏の間は)バスが八丁池まで向かっているんですって。
今は冬ですから当然バスなんて通ってないのですが、バスが通れるほどの道ですから、チェーンを装着している私の車は完全無敵なハズ。
と思ったら!
寒天橋のところで道路は封鎖されていまして、車では登れなかった… ばよよーーーん。
でも、さっきの水生地よりは良い道具合だったので、そこから歩いてみることにしました。
歩き始めてしばらく経って気づいたのですが、道路の上にタイヤの跡がある。
なんだよー、車で入れるんじゃないかよー。もちろん営林署かそれ関係のどなたさんかの車の跡でしょうが、雪が降ったのは昨日なのだから、この車が通ったのはそれ以降。というかつい先ほど、みたいな感じのタイヤの跡でした。なんだよなんだよ。
でも車の跡よりも鹿や猪とおぼしき獣の足跡が無数に多いのが印象的でした。
道路は気味が悪いぐらい静かで、さらさらと小さい沢の音以外は鳥の声すら聞こえません。と思ったら鹿の親子がいきなり飛び出てケーンケーン鳴いて走り去ってしまったり。
で、ほとほと歩くのに疲れ切ってしまった頃、「寒天園地」に到着しました。
カメラの記録を見ると、寒天橋を歩き出したのが8:43で、寒天園地に着いたのが9:39。な~~んだ、1時間しか歩いていないのか。もっと歩いたのかと思った。
「寒天園地」というのはバスの終着点でして、つまりここから池までは歩けってことです。
「ま、そこまで行ったらすぐそこに八丁池があるんだろうな」と思って歩き続けていたのですが、着いてみて案内板を見るとビックリ。
「現在地から八丁池まで3.2km 50分」
うをーーいっ! がっくし。
でもここまで来たら仕方が無いので、歩いてみることにします。とほほ。
問題なのは、ここから先の雪の積もり具合がさっきまでとは段違いになっていることで、でも気づくとこの寒天園地には大きな車が一台止まっており、そこから二筋の足跡が上に向かって続いている。なーんだ、先客がやっぱりいたんだ。足跡を見ると、なかなか立派なお靴を履いた方らしいのですが、なんだか不思議な足跡です。対する私は履き古したただのスニーカーだ(笑)。まさか雪山登りをするとは思ってなかったからジャンパー1枚はおっただけだし、せめて手袋ぐらい買ってくれば良かったぜ。
実を言うと地図を見たのは家に帰ってからなのですが、寒天園地って八丁池とめちゃくちゃ離れてね?
なんでここにバスが入ってここから八丁池を目指す人が多いのか。
というようなことは歩いていた時の私はちっとも知りませんので、先にどんな道が待っているのかさっぱりわかんない。
遊歩道には「オオルリ歩道」「コルリ歩道」とかいう名前が付いていましたけど、鳥にほとんど詳しく無い私は、それほどのどかな気分にもなれない。
一番困ったのは、雪が容赦なく靴に入り込んでくることで、まあただの靴だからしょうがないことだよな。冷たいんですが、頑張って足を動かしていればその冷たさはあんまり気になりませんから、一生懸命雪を蹴散らして先人の足跡をたどっていきます。
頼りになるのは先に歩いている人の足跡のみ。
最初は夏は遊歩道であると容易に見て取れる景色だったのですが、雪が深くなってまたゆるやかな上り坂とゆるやかな沢が交互に繰り返すうち、遊歩道らしい雰囲気がだんだん分からなくなってきました。こりゃー、この足跡が無かったら、私は確実に道に迷っていたに違いないぞ。私は幸運だった。
私の先を行く人の足跡はとうとう、道とはとうてい呼べないような斜面を上がっていくようになりました。
…。
……。
このあしあとって、本当に八丁池を目指しているんだろうな?
斜面の吹きさらしに立つと、ビュンビュン吹く風は鋭くて、顔と手に痛い。
…いや違う、ぞっ
先を行く2人の人の足跡は次第に乱れるようになり、あっちをうろうろこっちをうろうろ、しかも明らかに高い方を目指していっていました。
道を知る人の足跡なら、こんな変な風にはならないっ
この二人は何かを捜しているっ(水地以外のね)
そして、私の目指す水地は上では無くて、しばらく登ってから見下ろす場所にあるはずなのだ。(池だから)
私の靴では雪にさらさらと滑りながら、道を登って行き、とうとう足跡のヌシを見つけました。
ふたりの元気そうな高齢な方が、立派なカメラを掲げて、立派な木の写真を撮ってるぞっ
ここまで、この人たちの足跡だけを頼りにここまで歩いてきた私は、途方に暮れました。
「八丁池はどっちの方ですか?」
と、とりあえず聞こうとして二人に近づいて、
でも「うわっ」という声と共に怪訝な顔で見つめられたので、
(そりゃそうだ)
「こんちわー」という声だけ発してそそくさと私はその場を退散しました。
さて、ここから私はどうすりゃいいのか。
八丁池はどっちですか?
とりあえず、来た道を戻る必要があります。
少なくとも途中までは遊歩道だったわけだから、その道は八丁池に向かっている(はず)。
しかし、戻ろうとして、、、 私はどっちから来たんだ?(笑)
って言っても自分の足跡がたくさん残っているから、それを辿ればいいんですけどね。
そうすると、戻る方向はあっちで本来進むべき方向はあっちだったから、
とりあえず自分が今進むべき方向はあっちのほうらしい、ということも分かってきますので、ショートカットしてそっちに向かうことにします。
(あとになって思うと、この思考は非常に危険でしたね。付近の地図・地形すら自分の頭に入っていないのに)
ふと足下を見ると、ところどころに赤い目印が顔を出しています。
これはっ、道の目印だっ。
これを辿っていけばどこかそれらしいところに出て行くに違いないっ
(これは正しい判断でした)
赤い目印は稜線には無く、
谷の際の歩きやすいところを選んで歩いて行きます。
実は風が吹きさらすところは積む雪も少なくなっているのでそれなりに歩きやすいのですが、
谷の陰の道には雪が溜まっていて、ツルツル滑る。雪のせいで赤い目印が埋まってしまっている場所も多々あった。道の上に雪が斜面を成していて、「ここで滑ったら谷底に落ちるぞ」って場所もいっぱいあって、
歩きながら青くなっていました。
「冬山で軽微な装備で死ぬ人のニュース」をよく耳にしますが、それは私みたいな人なんだろうなと、歩きながら考えていました。
アルプスの中ならともかく、南国伊豆のこんな低山なんかで滑って凍死したくなんかないぞっ
やがて、別の人の足跡を発見しました!
なんだかカンジキらしきものを履いている、2、3日前の足跡のように見えるのですが、
今度こそ八丁池に向かう人の足跡にまちがいありません!(根拠は無いけど)
まー結論から言うと、この足跡を辿って、無事に八丁池にたどりつけました。
死ぬかと思ったぜ。
写真の記録を見ると、私が間違った道でふたりの写真家に挨拶してから展望台に立つまで、50分かかったらしい。
足と手が冷たい~~。
何度も雪で転び、買ったばかりのカメラがどうかなっちまわないかと冷や冷やしました。
<展望台から見た伊豆の瞳>
白い。
たしかにスケートができそうだ。
でも、森阿尾賀選りはいませんでした
さて、ここまでで昼になってしまいました。
おなかが空きました。
道を戻ってふたたび鯨屋さんに行くことも考えましたが、それでは面白くないと思い直し、南の方に向かうことにしました。懐かしい河津のあたりでラーメンでも食べることも考えたんだけど、せっかくだから下田まで行ってみようと。そういえば、須崎でスイセン祭りをやっているはず。
須崎半島に着いてみると、おお、さすがに良い景色です。
一気に現世(南国)に戻ってきた気分。
しかしいそいそと駐車場に車を止めようとすると、駐車場のおっちゃんに言われました。
「一昨日の雪嵐でスイセンがみんな潮水を浴びてしまい、枯れてしまった」
うわぉ、なんてこったす。
祭りも何もないじゃん。現地の人は困っちゃってるだろうなあ、観光の目玉が一瞬にして消えて無くなってしまったわけだから。
咲いてない。いや、咲いてるけど、地味。
でもいいんです、私はここに昼飯を食べに来ただけだから(笑)
駐車場から見下ろしたところに漁協だか地元の海産屋さんだかが開いているお店があって、そこに向かう。
下田の名産物といったらサンマ寿司。
(正確に言うとサンマ寿司をウリにしているのは下田の白浜地区と稲取だったっけっか)
むかし下田に住んでいた頃には数えるほどしか食べたことがなかったけど。
この爪木崎のお店では海産物をふんだんに使った海産ラーメンのメニューが多かったのですが、
それらには目を向けず、サンマ寿司を食べてみることにしました。
普通のサンマ寿司は600円だけど、“炙り”にしてもらうと700円ですって。
遠慮無く炙ってもらう。
サンマ寿司ウマーい!!
こんなにウマイものだとは思わなかった。
それから「漁師汁」(500円)。
これはタカアニガニ(深海生物)の味噌で取ったダシの味噌汁の中に、ワタリガニ(非深海生物)とキンメダイ(深海魚)が入ってるんですって。
豪華! そしてウマイ。
それからサザエ(非深海生物)の壺焼きも買ってみた。
2つで1000円ぐらいだったっけ。
伊豆に住んでた頃はサザエなんて飽きるほど食ってたが、浜松に越してきてから全く食べる機会無くなりましたもんなあ。
サザエは旨いなぁ。
酒飲みたいなぁ、、、、 でもこのお店の食べるスペースは露台になっていて、
風が吹きすさぶ中で私はこれらを食べたのでした。
いやぁ、風が吹くって言ったってここは南国パラダイスだから、寒いってもんじゃなかったけどね。
漁師汁が熱々で美味かったから。
で、ここで食べたのがあまりに美味しかったので、私はもう一日を下田で過ごすことに決めたのでした。
とりあえず、暗くなるまで時間を過ごす為に、
須崎の他の場所を探索。
須崎半島の爪木崎の反対側に、「恵比寿島」っていう島があるんですけど、まずそこに行ってみる。
確かここには古代遺跡があったんじゃなかったっけ。まぁ、何度も来たことのある場所だが。
下田の須崎半島は極めて特徴のある形状だと思うんですけど、爪木崎と恵比寿島以外の場所に地名があるんでしょうか?
もちろんひとつひとつにあるはずだと思うけど、少なくともgoogleの地図では岬の名前とか不明。
恵比寿島。逆光だった。島だけど橋が架かっていて、歩いて行けます。
ここにある遺跡について、
私の頭の中には、「古代の祭祀場」とか「伊豆に独特の洞窟古墳跡」とか「黒曜石遺跡」とか「吉田松陰が潜んだ場所」(※それは弁天島という名前の別の島)とかいう情報がグルグルするんですけど、よくわかんない。(調べてないから)
でも面白く変な島でした。
風が強かった。
(…つづく)