オセンタルカの太陽帝国

私的設定では遠州地方はだらハッパ文化圏
信州がドラゴンパスで
柏崎辺りが聖ファラオの国と思ってます

セント・エルモの火。

2022年07月30日 18時22分19秒 |   ゲーム本

きのう、新体制のダンジョンズ&ドラゴンズで、新訳(と思われる)の第5版が再展開されることが発表されました。
まあもともと(高すぎるので)全部買ってないし、でも品切れになるとさらに高くなるので、凄くホッとしています。また私が金持ちになることがあれば全部買いましょう。だがしかし高いだし、米国さんの仕事だから基本価格がさらに高くなることは予想される。高い城の高い男。
今のところ分かっていることは、ヤード・ポンド法が(廃止されるのかは分からないけど)メートル法になるという(笑)ことだけです。“D&D名物”10フィート棒は無くなっちゃうのかな。

わたくし、第5版では『プレイヤーズ・ガイド』と『ダンジョンマスター・ガイド』しか買いませんでした。
第3版(2000年)では『プレイヤー』『ダンジョンマスター』『モンスターマニュアルⅠ&Ⅱ』を買いましたけど、すぐに「第3.5版」(2005年)が出て、「こんな高い物もう一度買い直せるか!」 と腹を立ててしまったのでそれを揃えることはありませんでした。今では後悔しています。「第3版」と「第3.5版」は何が違うのか、今の私にはさっぱり分かりません。「第4版」(2008年)は凄かったですね。凄いペースで高い本が次々と出て、あまりのすさまじさに「これは買ったらいかんやつだ」と思って私はこれに手を出すことはありませんでした。今では後悔しています。「第3.5版」と「第4版」が何がどう違うのか、もう私には理解できません。

とにかく、もっと安いゲームは今ではいくらでもあるのですから、D&Dにこだわる必要なんて全然無いんですよ。
にも関わらず、D&Dの本はどれも読んでも面白いので、いつでも買える状態(買うとはいってない)であることは有り難いし、今後が楽しみですね。・・・でも3版の頃ぐらいが一番楽しかった。安くてボリュームある(ダンジョン地図のある)シナリオがたくさん売られていたから。


<第2版のヴァンパイヤ(東洋版)>

さて、ここからはゲームとしてのD&Dとは、あまり関係ない思い出話です。
今でこそいろんな資料がよりどりみどりの世の中ですが、私が子供の頃はネタ本なんてものは本当に限られたものでした。私は『モンスター事典』のたぐいが大好きでしたが、今となって思うと、『ウルトラ怪獣大事典』や『なぜなに世界の妖怪のひみつ』とか『水木しげるのご本』とか小学校の図書館に並んでいたもののほかは、ファイティング・ファンタジーの『モンスター事典』(マーク・ガスコイン)と『ダンジョンズ&ドラゴンズ(赤青緑黒)』と井村君江氏の本ぐらいしか無かった。

中でも影の世界に入り込んでいた中学生の私(←「中二病」なんて言葉もない時代でしたけど)がD&Dに対してもっとも興味を持ったのは、「アンデッド」の分類がとても独特だったことです。5才ぐらいのときから幽霊話が大好きだったので。

その頃も今も、私はゲームをするのなら全部ゆうれい話にしたい。

でも幽霊亡霊魔霊妖霊って、ゲームのデータにするとなんだこれってものになりますよね。存在を数値化することに無理がある(でもしなくてはならない)。
D&Dの赤箱にあるのが「グール」「スケルトン」「ワイト」「ゾンビ」、青箱で「ミイラ」「スペクター」「ヴァンパイア」「レイス」、緑箱では「ハウント(バンシー、ゴースト、ポルターガイスト)」「ファントム(アパリション、シェイド、ヴィジョン)」「スピリット(ドルージュ、オーディック、リベナント)」、黒い箱のがちょっと行方不明なのでよく分かんない。D&Dではアンデッドは特殊の処理をする敵なので(クレリックが一番活躍できる)分類が細かいんですね。でもねー、最初の頃のD&Dってイラストが乏しかったので、例えばワイト(塚鬼)とレイス(幽鬼)がどう違うのかって、よく分からなかったんですよ。レイスとゴーストとスペクターとファントムって、同じ物で良くない? ゾンビとミイラって包帯を巻いているかいないかの違いですよね。グールってアンデッドじゃなくても良いよね?(『ピックマンのモデル』に親しんでいた感想)。

で、初期のD&Dには出てこないのですが、私の最もの関心事は「人魂について」でした。
私の怪談物語には「人魂」「幽霊火」が絶対に欠かせない。

D&Dに限らずゲーム一般で「人魂」は「ウィル・オー・ウィスプ」と呼ばれるのですが、なんとほとんどのゲームで「人魂」はアンデッドではないのです。「死者の魂だというのは間違い」と書かれています。

人魂はターニング・アンデットできない。
では、その正体は何なのかというと、D&D第3版では「小型サイズの異形(風)」。共通語と風界語のほかに2つのボーナス言語を話す。
AD&Dの第2版では「沼地・湿地帯などに生息する悪意のある魔物」。知能は高く、継続的な振動によるおどろどろしい音声を発することができるようになったものがいる。

ついでに、アドヴァンスド・ファイティング・ファンタジーでは「亡者の魂を喰らう魔法生物」。墓地や遺跡に出る。
ルーン・クエスト、トンネルズ&トロールズ、ウォーハンマー等では(私の持っている限りでは)出てこない。T&Tでは1レベルの呪文に「ウィル・オー・ウィスプ」があって自分で呼べます(明かりとして)。ビヨンド・ローズ・トゥ・ロードではウィル・オーウィスプはアンデッドなのですが、ファー・ローズ・トゥ・ロードでは妖魔の分類になってしまいます。(ただこの作品には別に「亡者火」というのもいるんですけど、実はわたくし『ユルセルーム博物誌』と『大旗戦争』しか持っていないので、詳細がよく分かりません)。
そもそもD&Dではウィル・オー・ウィスプがすごい強いんですが、人魂状のあまたある同種の生き物(?)の中で特に強大なものだけが取り上げられていて、その他一般の人魂は、攻撃力ないものとして無視されているのかも知れない。怪談話でもめちゃくちゃ攻撃的な火の玉なんていないし、、、 (いやいや、そうでもないぞ)。
そもそもD&Dって原作(?)ではただ泣いている婆さんなだけのバンシーを、とても強い怪物(ヒットダイス;26d12!)にしてしまうようなゲームですしなあ。

こちらのサイトさんに、「第5版のウィル・オー・ウィスプはアンデッドの一種」って書いてありますが、本当でしょうか。
「第5版のモンスター・マニュアルも買わなきゃならないのか」とむにゃむにゃしています。


<これは第3版>

もう、私たちの知っているお墓の上をただよっている火の玉と、沼地に出てくるウィル・オー・ウィスプは別物だと思うのしかないのですが。
欧州では火の玉ってふつう沼地に出るものなのか?
日本の火の玉だって、水辺や海の上に出るのがいないとはいいませんけど、「沼地に多く出る」と言われたら違和感を訴えたくなります。

でもそもそも「ウィル・オー・ウィスプ」の語源的に、二度死んで冥界に行けず現世をさまよっている男の魂なのですから、これがアンデッドじゃないのはおかしいじゃないですか? くだんの「ひとつかみの藁のウィリアム」の逸話でも、別に彼は「じめじめしたところをさすらえ」とか「泥沼に人を引きづり込め」とか、そういう指令が出たとかはなかったと思う。・・・と思ったら、哀れな彼の姿を見て、ある悪魔が言ったそうです。「燃えた石炭をひとつやるから、これで身体を温めろ」。ところが彼はそれを明かりとして、愚かな人間を沼地に落とすことに使いました。彼は心底性格が悪かったのです。ウィルは聖ペテロをうまく言いくるめて地獄行きをまぬかれたくらいの奴なので、そのもじりでターン・アンデッドは逃れられる設定にするのはいいかもしれませんね。でもググってもまったく出てきませんが、泥炭の多いイングランドとかドイツ低地とかに、「人魂がよくでる」という場所があるんでしょうか。(たくさんありそう)。それよりも、なんで「鬼火」の一般名がどのゲームでも「ウィル・オー・ウィスプ」になっちゃってるんでしょうか。D&Dだとウィル・オー・ウィスプの武器は電撃ですよ。名前として「イグニス・ファトゥス(愚者の火)」が格好いいし矛盾は無いと思うんですが。

沼地に出てくる火の玉のイメージとして思い浮かぶのは、トールキンの『指輪物語』の「死者の沼地」です。指輪はD&Dの元ネタの主要なひとつですから。

でも、『指輪物語』では死者の沼地の鬼火は、はっきり死者の怨念と絡めて語られています。ターンアンデッドが効くかどうかは不明ですけど、ガラドリエルの玻璃は効きそう。「しとをだます明りだよ。人魂(しとだま)なのよ。そうよ、そうだよ、知らん顔したがいいよ! 見るんじゃないよ! ついてくんじゃないよ!」「でないと、ホビットさんたちも下に沈んで死人たちの仲間入りよ。そしてちっちゃい蝋燭をともすよ。スメアゴルについておいで! 明りを見るんじゃないよ!」

原作では亡霊のように空中を踊りながら飛び廻っていましたが、映画では、まるで沼の底から湧き出すメタンガスに火が付いているかのように、水面に近いところから力強く出火し、その場を動かず燃え続けていました。これはこれで私たちの思う「人魂」とは違う形ですけど。

「人魂」と「鬼火」は違う物、とは水木しげる氏もたびたび書いておられるし、「狐火」や「天狗火」とかいう似た様な別の存在も日本にはたくさんいます。
天狗火にはターンアンデッドは効かないだろう。
日本の場合、鬼火にもいろいろ種類があって、その8割が死者の亡魂が素材になってるのですが、そうでないのもいるにはいる。
「生き霊」もよく火の玉の形になって飛んでいきますが、死んでいない人の魂にはターニング・アンデッドはいかがなんでしょうか。例えば、「火の玉のようなものが家の周りをゆっくり飛び廻っていたので気味が悪く思っていたら、翌朝に寝たきりだった九州のおばあちゃんがなくなったという知らせが届いた」というのに間違えてターニングアンデッドしちゃったら、婆さまが生き返ったりして。
そもそも「人魂」には攻撃力は無いもので、(※鬼火にはありますよ)、ゴーストとかスペクターの付属物扱いでいいのかもしれませんね。

ここで、イングランドやアイルランドの妖精の話。
英国周辺では、ある種の幽霊って妖精の一種なんですよ。

 

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