オセンタルカの太陽帝国

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風雲児たち7。

2007年09月23日 16時58分07秒 |   風雲児たちindex.

 

風雲児たち7 【蘭学黎明編3】☆ (1984年8月1日刊)

   ~強情解体新書

表紙絵;剣を構える林子平
◆裏表紙絵;
すべての登場人物
巻頭;「すべての登場人物大集結」

第一章 その名は買いたい新書  (24ページ)
トビラ;
解体新書表紙(顔を杉田玄白と前野良沢に差し替え)
時期;明和9年(1772)=安永元年12月~安永2年(1773)
登場人物;
前野良沢、杉田玄白、中川淳庵、司馬江漢、峰子ちゃん、田沼意次、印刷屋、林子平、平賀源内、秋田藩主佐竹義敦、秋田藩士小田野武助
エピソード◎喧嘩する前野良沢と杉田玄白(「完璧な本を出したい」「時機を逸したらどうする」)/◎まず先に図譜を出して世間の反応を見よう/◎安永元年への改元(11月19日)/◎改元を風刺する狂歌/◎題名決定「買いたい新書」/◎先行パンフレット型『解體約圖』発売/◎良沢、題名に関して玄白を褒める/◎解体約図に前野良沢の名前が載っていない。その理由(玄白と淳庵が逮捕されても良沢が無事なら解体新書は出せるから)/◎蝦夷地を旅する林子平/◎秋田藩主と会う平賀源内/◎佐竹の阿仁銅山開発/◎秋田を救ける源内←→源内に感謝しない秋田/◎藩主に絵を教える源内「真上から見たおそなえ餅」/◎秋田蘭画の始まり

第二章 蘭画家入門 (28ページ)
トビラ;小田野直武画「唐子図(部分)
時期;
安永2年(1773)春~12月
登場人物;秋田藩主佐竹義敦、小田野武助、平賀源内、杉田玄白、前野良沢、林子平
エピソード◎蘭画の構造(面で描く/遠近法=凹絵)/◎佐竹公と小田野画伯の君臣を越えた交わり/◎江戸で疫病流行/◎オランダ通詞の解体新書推薦文/◎推薦文を巡って喧嘩する二人/◎杉田玄白の結婚/◎源内、秋田藩のコンサルタントに就任/◎小田野武助江戸へ/◎小田野武助、解体新書の挿絵師に推挙される/◎杉田玄白の子誕生(知能障害の子だった)/◎解体新書出版を巡っての喧嘩「いいかげんな物を出しては後世への笑い者!」→杉田と前野とうとう決裂→「私の名を解体新書に出すのはお断りする!」

第三章 解体新書UP (34ページ)
トビラ;
夜道をとぼとぼ歩く杉田玄白
時期;安永2年(1773)12月~安永3年(1774)8月
登場人物;
峰子ちゃん、前野良沢、杉田玄白、中川淳庵、小田野武助、司馬江漢、(名前が不明の人)、平賀源内、田沼意次、本屋の主人
エピソード;
◎喧嘩別れした事情を仲間に告げる玄白/◎司馬江漢と平賀源内の会話(源内が江漢を前野良沢に弟子入りさせた理由)/◎解体新書の表紙絵について/◎秩父鉱山廃鉱;愕然とする源内/◎平賀源内の挫折感/◎解体新書、とうとう出版/◎喜び合う3人

第四章 平賀源内モノローグ (26ページ)
トビラ;平賀源内立ち姿
時期;
安永5年(1776)6月
登場人物;平賀源内、杉田玄白、中川淳庵、タモリ、前野良沢、司馬江漢、峰子ちゃん中津藩主奥平昌鹿、佐竹義敦、小野田武助、田沼意次
エピソード;◎その後の解体新書翻訳メンバーの姿/◎解体新書出版の反応(最初は漢方医たちによる非難、徐々に称賛)/◎杉田玄白のこなれた対応/◎杉田玄白の栄光/◎前野良沢の不遇(著者として名前が載らなかったから)/◎中津藩主奥平公だけが良沢を称賛「前野良沢はオランダの化け物」/◎田沼の政治で江戸の町はのびのびとした空気/◎司馬江漢長崎へ旅立つ/◎平賀源内の業績/◎焦る源内/◎エレキテルの完成

第五章 独立宣言 (30ページ)
トビラ;
アメリカ建国宣言のシンボル「自由の鐘」
時期;安永5年(1776)7月
登場人物;山トマス・ジェファーソン、ベンジャミン・フランクリン、ジョージ・ワシントン、平賀源内、田沼意次、林子平、長崎奉行柘植長門守
エピソード;◎独立宣言/◎エレキテルの完成(フランクリンの電気の発見より早い)/◎エレキテルに対する町の人々の感想/◎エレキテルに対する田沼意次の感想「これは国家の利益の何かの役に立つのであろうな?」/◎エレキテルを見せ物に/◎林子平、長崎奉行所専属医師に就任/◎唐人屋敷で暴動発生/◎林子平、鎮圧を任される

第六章 大暴れ林子平  (30ページ)
トビラ;
剣を構える林子平
時期;安永5年(1776)
登場人物;
林子平、唐人たち、長崎奉行柘植長門守、司馬江漢、オランダ商館長アーレン・ウェル・ヘイト
エピソード;◎長崎の唐人屋敷について(中華思想と幕府の対応に対する不満)/◎工神堂の攻防戦/◎鎮圧成功、子平の武名上がる/◎オランダ商館長が林子平との会談を希望/◎ヘイト館長、子平を見くびる

 ●第七章 洋刀七本斬り  (23ページ)
トビラ;
出島内部の植物園
時期;安永5年(1776)
登場人物;
林子平、オランダ商館長ヘイト、長崎奉行柘植長門守、故ベニョヴスキー、
エピソード;◎商館長ヘイトの前で洋刀7本斬り/◎ヘイト、子平を誉め讃える/◎ヘイトと子平の親交/◎蝦夷地について語る/◎ヘイト、子平にベニョヴスキー事件のことを語る/◎子平の決意

●資料文献一覧(第一回)  (5ページ)
トビラ;
小早川秀秋像(京都高台寺蔵)

 

……とうとう解体新書が完成してしまいましたー。
つくづく解体新書って凄いなぁ。また、「ただ本を翻訳する」ってだけなのに、関ヶ原の勇士や幕末の志士たちと同じグループに入れてしまうこの漫画も凄いです。
私にとってこの巻は、何度読み返しても泣いてしまう巻です。大好き。

私の泣けるポイント。
その1.
前野良沢と杉田玄白は、この解体新書の編集方針を巡って繰り返し激しく喧嘩をする。とうとう激高した前野良沢は、玄白に対して絶縁を突きつける。しかしその時点で本はほとんど完成していた為、無事に解体新書刊行。完成した本を持って玄白は良沢の家を訪れるのですが、それを見て良沢は泣き出し、三人ひっしと抱き合う。(それを襖の影から覗き見て、ひとり涙する峰子ちゃん)
この場面を読み返すたびに、なぜか泣いてしまうおばかなわたくし。なんで私まで泣かねばならんのだ。なんでだろう?

その2.
世渡りがうまい杉田玄白の名声がウナギ登りで上がっていくのに対し、社交下手な前野良沢の家は閑古鳥。司馬江漢といっしょに膝をかかえて鼻をほじる父の姿を見て涙する峰子ちゃん。(そうですよね~。私もこの漫画読むまで解体新書の作者は杉田玄白だと思っていました)
しかし、良沢の主君の奥平昌鹿だけは行間に滲み出る良沢の業績を認め、お褒めの言葉を賜るのでした。…いいねぇ。


前野家の居候・司馬江漢

その3.
解体新書チーム3人と対照的な天才として登場する平賀源内。
源内はスーパースターです。前々巻と今巻で、源内の数えきれぬ業績が羅列され、これが凄い。売れっ子劇作家・小説家・コピーライター・洋画家・発明家・博物学者・奇書収集家・鉱山技師・治水工事家・財政コンサルタント等等々。でも、そんな源内は、解体新書を世に放った3人の姿を見て、焦りを覚えるのです。(源内の方がすごい万能人間なのに)
その結果彼が新しく作り出したのがエレキテル!
で、自慢たっぷりにこれを田沼意次に見せに行くのですが、田沼は源内に言う。「で、これはどんな役に立つのじゃ?」 この顔の田沼の表情は、決して源内をうさんくさく思っているわけじゃなくて、源内が天才だと知っているからこそ気さくに「教えて?」という感じなんですが、源内はそんな田沼に対して「電気とは何か」を説明しようとして、でもできなくて、真っ白になってしまう。このコマが好き。漫画ではこの描写が数コマに渡っていて、そのページが凄いと思う。

源内は電気という物がすごいということが分かっていて、それがすごく役に立つという事も分かっていて、テレビや洗濯機や車や電灯が満ち溢れている未来の光景も想像出来ているのに、電気が何が凄いのか言葉で現実的な田沼に説明することができない。どれもがその時代にはまだ無いものだから。それで一瞬源内はポカーンとしてしまうのです。真っ白になってしまうのです。源内が感じていた焦りとは、「無から何かを生み出しそれを世に広める」ことには時間がかかるという焦りで、でも解体新書は地味に時間を掛けてそれを成し遂げてしまった。
で、源内は手っ取り早くそれを江戸に広める為に、エレキテルを見せ物小屋にして、大ヒットしてしまうのです。見せ物として。さすが源内、何をやっても大ヒットさせてしまうです。でも、これが次巻の源内の悲劇に繋がると知っているから、泣ける。

というわけで、解体新書が完成してしまったので、前野良沢の物語は終わりなのでした。以後もちょくちょく出てきますが、もう主役ではなく、脇役なのです。私が残念なのはとても気に入っていたけなげで甲斐甲斐しいお峰ちゃんの出番も終わり、ということで、悔しいので名残にまた峰子ちゃんの絵を描いておきました。(前にも描きましたけどね)

ついでに、今まで読んでてちっとも気にならなかった人物として司馬江漢がいたんですが、今回読み直してみてやたらと気になりました。この人、何の為にこの漫画に出ているんだろう? しかし今巻の平賀源内と彼との対話には、いろいろ考えさせられる事が多かったです。

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