中村亮太の活動日記

加古川市のために走り回る中村亮太のブログです

代議士の誕生(ジェラルド・カーティス)

2013-01-31 23:56:30 | 書籍紹介
書籍シリーズです。

今回は「代議士の誕生」という、結構古い本です。
最初に発表されたのは1971年。
政治学の世界ではとても有名な本です。

ジェラルド・カーティスという人はコロンビア大学の政治学の研究者で、一時は東大や慶応の
客員教授もされていた方です。

そのカーティス氏が、日本の衆議院選挙に密着し、代議士が生まれるまでを追った論文を書籍に
したのが、この「代議士の誕生」です。

対象となった方は、大分の佐藤文生氏(自民党)。
中曽根内閣で郵政大臣もされた方です。

その佐藤氏の家に住み込んで、彼が立候補してから、落選、再挑戦での当選までを一緒に体験し、
どのような活動をしてきたかを記述しています。

67年当時ですので、中選挙区制度内での自民党の一党支配時代です。
ですから、佐藤氏が当選するには、他の自民党議員の票を奪い、同じ党の人間を落選させないと
いけなかったわけです。
そもそも自民党の公認を得るだけでも非常に激しい争いがありました。

当然、今と違う制度下ではあるのですが、当時の様子を知れる上、今も共通している事柄もあって
とても興味深いものです。

あと、ここまで書いていいの?といったところも。

例えば、
・選挙の前には冠婚葬祭や老人会・宗教団体への寄付、果ては屋根の葺き替え代まで面倒を見たこと
・後援会員には、交通違反の減額や就職の世話、お歳暮などで面倒をみる
・後援会のパーティで、温泉旅館などの旅行を実質タダで行う
・選挙時は、末端の運動員まで活動費が行き渡るようにするし、有権者にも配る

などなど。

こうしたことが詳しく書かれています。

「地区の農家のどこにお金を配っていないかは一目でわかった。農家はみな朝が早いので就寝も早いが、
夜遅くまで明かりが着いている家は、まだ配っていないのだ」といった感じで。


これを読むと、そりゃお金かかるよなぁと思います。
当然、当時でも公職選挙法違反ですが、公然の事実でもあったことです。
(まあ、今こんなことをやっている人は少ないでしょうが)

アメリカ人の研究者には、かなり異質に見えたでしょうね。

ちなみに、公職選挙法についても本書で疑問を呈していました。
が、公職選挙法は、今も当時とほとんど変わっていません。

ということは、当時から変わっていない選挙のやり方や仕組みもあるということですね。

読むと今の民主主義の在り方や選挙のベースが垣間見えます。
とてもおもしろいですよ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする