いきなりですが、新たに設けてみました、書籍紹介コーナー。
趣味と実益を兼ねて読書はちょこちょことしているのですが、せっかくなので
良いものはご紹介しようかと思い立ちまして。
プラス、自身の備忘録的にも役立つだろうという思いもあります。
(これが結構大きかったりもします)
なお、紹介する本について上記以外の他意はありません。
また、時系列的にもバラバラです(読んだ順ではありません)。
さて、第一弾は
「原発危機 官邸からの証言」 福山哲郎著
です。
福山さんは、民主党の京都選出の参議院議員です。
先日、岡田さんの国政報告会に来られた際、福山さんのお話に感銘を受け、また
ちょうどこの本の中に書かれていることも話されていたこともあって、読んで
みました。
福山さんは、3.11当時、内閣官房副長官として官邸におられ、その後の対応など
内部のことを現場で体験されています。
その際に「福山ノート」と後に呼ばれる、A4サイズのノートに各所とのやりとり
などをメモされていました。
結果的にそのノートは計4冊となり、本書内でも、そのメモ書きが多数出てきます。
その経験を残しておきたいという思いと、あまりに事実と違った報道と理解が
なされ、今後の日本にとっても良くないという思いがあり執筆されたそうです。
例えば、菅総理の被災地視察について。
これはメディアでかなりの批判がありました。
批判にも一理ありましたが、私としては、一国の首相たる人がそこまで軽率に
決定をするだろうかという疑問もありました。
本書には、その決定にいたるまでの経緯が細かに書かれています。
まず、そこに繋がるものとして、ベントの問題がありました。
格納容器の圧力が高まり、水蒸気を逃がしてやらなければいけないという問題です。
細かくは書きませんが、東電からの要請や保安員などとの議論の結果、ベントを
行うことを決定し速やかに発表しましたが、東電がベントをなかなか行いませんでした。
東電が2時間でやると言って要請してきたにも関わらずです。
そこから現場の状況をただした際、官邸に詰めていた東電の武黒フェローさえ、現場の
状況をしらなかったことが判明しました。
(情報ルートは、現場→東電→フェロー→官邸だった)
2段階のクッションがあっては情報の齟齬が起こるということで、被災地の正確な情報の
取得も含めて、菅総理は被災地へと飛んだそうです。
(結局、東電を挟んでいたことで、「原発を捨てたくない」という東電の思いがあり、
冷却のために海水注入することも遅らされていました。)
行っても行かなくても批判は受けるだろうし、それなら行こうという気持ちもあったので
しょう。
帰って来て、菅さんは「これで現場と繋がった」と言ったとか。
東電に乗り込み対策本部をたてたのも、その辺りの不安と、ある意味積み重なった東電への
不信感もあったのでしょう。
また、アメリカの支援を断ったという報道も、何の根拠もなかったようです。
などなど、官邸にいなければわからないことが多く書かれています。
そして、最後にその対応の経験から、福山さんは原発というものは人に制御できるものでは
ないと感じ、脱原発を唱えて本書は締められています。
なお、福山さんは官邸の対応が全て正しかったということを主張されているものではありません。
さて、いろいろな感想があるのですが、まずはメディア情報が全てではなく、やはり様々な視点
からの情報収集が必要ということです。
(もちろん、メディアが役立っていたことも書かれています)
また、問題の本質として「原発事故なんて有り得ない」という神話から、何十年もの間、東電はもとより
官邸・省庁など政府内で原発事故の対応の準備が全くできていなかったということがあります。
(マニュアルはあったものの、現実には役に立たなかった)
原発の利権は、電力会社・省庁・関係議員とその地元など、関係者にとって莫大で、また
都合の良いものでした。
そこから神話が生み出され、その神話の上に危機管理体制が作られていたのです。
そうしたことは、原発に限らず各所にあると思います。
それを正していくためにはどうすべきか。
原発事故の情報を伝えてくれると同時に、多くの示唆も与えてくれる著書でした。
趣味と実益を兼ねて読書はちょこちょことしているのですが、せっかくなので
良いものはご紹介しようかと思い立ちまして。
プラス、自身の備忘録的にも役立つだろうという思いもあります。
(これが結構大きかったりもします)
なお、紹介する本について上記以外の他意はありません。
また、時系列的にもバラバラです(読んだ順ではありません)。
さて、第一弾は
「原発危機 官邸からの証言」 福山哲郎著
です。
福山さんは、民主党の京都選出の参議院議員です。
先日、岡田さんの国政報告会に来られた際、福山さんのお話に感銘を受け、また
ちょうどこの本の中に書かれていることも話されていたこともあって、読んで
みました。
福山さんは、3.11当時、内閣官房副長官として官邸におられ、その後の対応など
内部のことを現場で体験されています。
その際に「福山ノート」と後に呼ばれる、A4サイズのノートに各所とのやりとり
などをメモされていました。
結果的にそのノートは計4冊となり、本書内でも、そのメモ書きが多数出てきます。
その経験を残しておきたいという思いと、あまりに事実と違った報道と理解が
なされ、今後の日本にとっても良くないという思いがあり執筆されたそうです。
例えば、菅総理の被災地視察について。
これはメディアでかなりの批判がありました。
批判にも一理ありましたが、私としては、一国の首相たる人がそこまで軽率に
決定をするだろうかという疑問もありました。
本書には、その決定にいたるまでの経緯が細かに書かれています。
まず、そこに繋がるものとして、ベントの問題がありました。
格納容器の圧力が高まり、水蒸気を逃がしてやらなければいけないという問題です。
細かくは書きませんが、東電からの要請や保安員などとの議論の結果、ベントを
行うことを決定し速やかに発表しましたが、東電がベントをなかなか行いませんでした。
東電が2時間でやると言って要請してきたにも関わらずです。
そこから現場の状況をただした際、官邸に詰めていた東電の武黒フェローさえ、現場の
状況をしらなかったことが判明しました。
(情報ルートは、現場→東電→フェロー→官邸だった)
2段階のクッションがあっては情報の齟齬が起こるということで、被災地の正確な情報の
取得も含めて、菅総理は被災地へと飛んだそうです。
(結局、東電を挟んでいたことで、「原発を捨てたくない」という東電の思いがあり、
冷却のために海水注入することも遅らされていました。)
行っても行かなくても批判は受けるだろうし、それなら行こうという気持ちもあったので
しょう。
帰って来て、菅さんは「これで現場と繋がった」と言ったとか。
東電に乗り込み対策本部をたてたのも、その辺りの不安と、ある意味積み重なった東電への
不信感もあったのでしょう。
また、アメリカの支援を断ったという報道も、何の根拠もなかったようです。
などなど、官邸にいなければわからないことが多く書かれています。
そして、最後にその対応の経験から、福山さんは原発というものは人に制御できるものでは
ないと感じ、脱原発を唱えて本書は締められています。
なお、福山さんは官邸の対応が全て正しかったということを主張されているものではありません。
さて、いろいろな感想があるのですが、まずはメディア情報が全てではなく、やはり様々な視点
からの情報収集が必要ということです。
(もちろん、メディアが役立っていたことも書かれています)
また、問題の本質として「原発事故なんて有り得ない」という神話から、何十年もの間、東電はもとより
官邸・省庁など政府内で原発事故の対応の準備が全くできていなかったということがあります。
(マニュアルはあったものの、現実には役に立たなかった)
原発の利権は、電力会社・省庁・関係議員とその地元など、関係者にとって莫大で、また
都合の良いものでした。
そこから神話が生み出され、その神話の上に危機管理体制が作られていたのです。
そうしたことは、原発に限らず各所にあると思います。
それを正していくためにはどうすべきか。
原発事故の情報を伝えてくれると同時に、多くの示唆も与えてくれる著書でした。