久しぶりの書籍紹介です。
書籍といっても、岩波ブックレットという薄めの冊子のようなものですが。
年末、空き時間ができたので図書館で本を物色していたところ、たまたま出会いました。
後藤田正晴氏については誰もが知っている大物政治家。
2005年に急逝されています。
ちなみに、自民党の後藤田正純さんの大叔父さんですね。
経歴も言うまでもないのですが、主なものをピックアップすると、
1939年:内務省入省
1969年:警察庁長官に就任
(このときに、よど号事件やあさま山荘事件などが発生)
1976年:衆議院議員に当選
1982年:官房長官に就任(中曽根内閣)
1993年:副総理に就任
1996年:政界引退
2005年:逝去
という方です。
本の内容としては、対談形式で後藤田氏の考えを引き出すもので、憲法や日米安保が
中心に語られています。
憲法については、「解釈に限界が来ている」ということで改正をすべきだとは思うが、
これまで憲法が国の運営に果たしてきた役割を考えながら慎重にすべきという立場。
憲法の意味をしっかりと考えるべきということです。
また、9条については、自衛隊を万一の備えとしておくものとして改正するが、
領域外での武力行使はしないよう専守防衛の項を設けるべしとおっしゃっています。
日米安保についても、そもそも東西冷戦の時代に作られたものであり、その仮想敵国が
なくなってしまったのだから、平和友好条約へと変える様に努力すべきとも書かれています。
そもそも自衛権は自然権として国家に認められており、その意味で自衛の軍を持つのは
普通の国とも言えます。
それを認めつつ、「普通の国と理想の国の違いを間違えてはいけない」と後藤田氏は
言っています。
国際協調の名の下に自衛隊が外へ出て行くことを危惧されていたことが、この発言以外にも
多くあります。
ちなみに、このインタビューのあった2004年ごろにも憲法改正論議があり、それに対して
危機感を持ったということがあるようです。
また、実際に自衛隊がイラクへ派遣される事態もありました。
それについて戦前から戦後を生きた方として様々な思いがあったのだろうなということが、
発言の端々に感じられます。
(実際に徴兵されて台湾にも行っておられます)
領域外での武力行使に関係しての発言で、印象的だったものを引用しますと
「どうもいまの若い人は、私らのように、いくさに行った人間と違って、いくさというのは
どういうものか本当にはわからない。いまのいくさは、非対称的な、圧倒的な軍事力を持って
おる国が弱小国に対して武力行使をしている。若い人はそれがいくさだと思っている。
だが、ちょっと気の利いた国同士が利害を対立させらたら、今日これだけ科学兵器が発達して
いるのだから、まさに勝者もなければ敗者もありませんよ。廃墟だけが残る。これが現代の
いくさなんだ。これは絶対にやめなければならない。」
書籍として厚さは薄いものの、内容は非常に濃い本です。
カミソリと呼ばれた後藤田氏の考えの一端に触れられます。
ちょうど自民党の憲法改正案を見て、「おいおい・・・」と思っていたところでこの本に
出会ったので、何となく運命的な出会いを感じてしまい、それ以来、後藤田さんの本を
読み漁っています(笑)
そのあたりの憲法に関するところは、また後日。
最後に、もう一文、印象的なものを引用したいと思います。
「やみくもな対米追従は日本を危うくする。このままじゃ日本は地獄におちるよ。おちたところで
目を覚ますのかもしれないが、それではあまりに寂しい。」
書籍といっても、岩波ブックレットという薄めの冊子のようなものですが。
年末、空き時間ができたので図書館で本を物色していたところ、たまたま出会いました。
後藤田正晴氏については誰もが知っている大物政治家。
2005年に急逝されています。
ちなみに、自民党の後藤田正純さんの大叔父さんですね。
経歴も言うまでもないのですが、主なものをピックアップすると、
1939年:内務省入省
1969年:警察庁長官に就任
(このときに、よど号事件やあさま山荘事件などが発生)
1976年:衆議院議員に当選
1982年:官房長官に就任(中曽根内閣)
1993年:副総理に就任
1996年:政界引退
2005年:逝去
という方です。
本の内容としては、対談形式で後藤田氏の考えを引き出すもので、憲法や日米安保が
中心に語られています。
憲法については、「解釈に限界が来ている」ということで改正をすべきだとは思うが、
これまで憲法が国の運営に果たしてきた役割を考えながら慎重にすべきという立場。
憲法の意味をしっかりと考えるべきということです。
また、9条については、自衛隊を万一の備えとしておくものとして改正するが、
領域外での武力行使はしないよう専守防衛の項を設けるべしとおっしゃっています。
日米安保についても、そもそも東西冷戦の時代に作られたものであり、その仮想敵国が
なくなってしまったのだから、平和友好条約へと変える様に努力すべきとも書かれています。
そもそも自衛権は自然権として国家に認められており、その意味で自衛の軍を持つのは
普通の国とも言えます。
それを認めつつ、「普通の国と理想の国の違いを間違えてはいけない」と後藤田氏は
言っています。
国際協調の名の下に自衛隊が外へ出て行くことを危惧されていたことが、この発言以外にも
多くあります。
ちなみに、このインタビューのあった2004年ごろにも憲法改正論議があり、それに対して
危機感を持ったということがあるようです。
また、実際に自衛隊がイラクへ派遣される事態もありました。
それについて戦前から戦後を生きた方として様々な思いがあったのだろうなということが、
発言の端々に感じられます。
(実際に徴兵されて台湾にも行っておられます)
領域外での武力行使に関係しての発言で、印象的だったものを引用しますと
「どうもいまの若い人は、私らのように、いくさに行った人間と違って、いくさというのは
どういうものか本当にはわからない。いまのいくさは、非対称的な、圧倒的な軍事力を持って
おる国が弱小国に対して武力行使をしている。若い人はそれがいくさだと思っている。
だが、ちょっと気の利いた国同士が利害を対立させらたら、今日これだけ科学兵器が発達して
いるのだから、まさに勝者もなければ敗者もありませんよ。廃墟だけが残る。これが現代の
いくさなんだ。これは絶対にやめなければならない。」
書籍として厚さは薄いものの、内容は非常に濃い本です。
カミソリと呼ばれた後藤田氏の考えの一端に触れられます。
ちょうど自民党の憲法改正案を見て、「おいおい・・・」と思っていたところでこの本に
出会ったので、何となく運命的な出会いを感じてしまい、それ以来、後藤田さんの本を
読み漁っています(笑)
そのあたりの憲法に関するところは、また後日。
最後に、もう一文、印象的なものを引用したいと思います。
「やみくもな対米追従は日本を危うくする。このままじゃ日本は地獄におちるよ。おちたところで
目を覚ますのかもしれないが、それではあまりに寂しい。」