ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

目黒駅界隈

2008年07月21日 | オーディオショップ
花のお江戸に、霊峰富士の見えるなごりの地名がいくつも残ったが、高層建築が静かに増殖して変容する大都会に消える風景がある。
パイ○ニアのビルディングが、なだらかな目黒の丘に突如周囲を圧倒してそびえ立つころ、遠く駿河の富士まで見通せる最上階の眺望は、初めて見るものに息を呑んだ絶景である。
そのビルディングから道路を隔てた斜向かいに、同じころ出現した『ガス・アンプジラ』『スレッショルド』など当代の名器を壁一面に蒐集展示する豪華なショールーム喫茶は、粋人が再生音楽の頂点を蒐めようとしたもう一つの眺望であったのかもしれない。
ホテルのロビーを思わせるガラス張りの壁と、タイル模様の豪華な床のオーディオ店にめずらしい右手に2人の受付嬢が起立して、左手にはレコードの輸入盤を陳列したケースが並んでいる。
衝立状の観葉植物の向こうに、ガラステーブルと皮張りのソフアがゆったりと置かれて、正面のスピ-カー、周囲の棚に陳列された逸品アンプ群が、これから鳴り響く音を約束しているようだ。
その日のお目当ての『ガス・アンプジラ』の音を聴かせてくださいと、紅茶などを注文しながら希望を伝えると、まもなく広い空間が骨太の立体感を聴かせる毅然とした音に飽和し、タンノイとは違うサウンドといえども、栄華を楽しむひとときである。
紅茶は、妙なガラス壷から注いで、まだ少し残っているからゆっくりしよう。
このような空間は、いつまでも存在するだけでありがたかったのに、気が付いたときにはいずこへか消えていたのが残念だ。
ガス・アンプジラであの空間に鳴り響いた『ウイスパー・ノット』が、いまはなつかしい記憶となった。



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