毎年ノーベル文学賞候補に挙がる村上春樹は今年も候補のままだった。そもそも日本の文学賞のように候補がまず発表されるわけではないのでメデイアが勝手に候補と呼ぶだけ。その根拠はブックメーカーの1番人気だからという理由である。
他のノーベル賞と違い日本人作家が文学賞を受賞するのはハードルが高い。まず世界中で読まれていることが必須条件であるから、他の言語に翻訳されていることが必要である。次に政治的メッセージを含んでいること。
村上春樹の場合は各言語に翻訳されていて世界中にファンもいる。しかしどう考えてもどの作品にも政治的メッセージは皆無である。作者の人生観に読者が共感するというタイプの作品が多く、その人生観がかなり特殊だからファンが多いのだろう。
村上作品のまどろっこしさを英語に翻訳して、それを英語圏の人がどのように解釈するのかは大変興味があるところだが、羊をめぐってノーベル賞というのはどうもハルキ作品のイメージに合わないし、やっぱり毎年候補にあがるだけでいいのではないだろうか。
村上春樹のエッセイの中で一番好きな文章がある。正確な描写は忘れたがこんなかんじだ。「女は腹が立ったから怒るのではなく、ただ怒りたいから怒っているのだ」。うーん、Deepな文章である。
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