怠慢主婦 ドイツで同居 

日本食を食べなくなり義両親のしもべと化し、すでに何年になるだろう。遠い目しながら今日も行き抜いてやるぞっ

自信を持って

2009年02月18日 | 文化
結婚式で、新郎新婦に米を撒く習慣がある。
もちろん、西洋からの輸入物だ。(背景に神社は思い浮かばないし)
「子孫繁栄」
の意味があるのだという。

「米を食べる民族は、子沢山」
という観念が西洋、あるいはヨーロッパ人移住地(中南米など)にはある。
私は科学的根拠のない偏見だ、と思っていたのだが、
ここに住んでからそれは充分根拠のある自然な現象であることを確認した。

ヨーロッパにもいろいろな気候の地域があるが、
私の住む南ドイツ、野菜などの植物の栽培は1年のうちに数ヶ月しかできない。
庭仕事が大好きな義父母と1年を過ごしているのだから、この目でちゃんと確認済みだ。
5月は太陽が強くなり暖かくなるが、8月にはすでに夏とは思えないほど寒い日がある。
9月には完全に庭の葉物野菜は終わりだ。(義父母たちはジャガイモ、にんじん等はやらないみたい)
果実、ベリー類も栽培時期は短い。
シロップ漬けやジャムにして、長い冬に備える。

冬の間、地面は凍りつき、あるいは雪で覆われているのだ。
周辺に広がる畑では、わずかに、砂糖大根を栽培しているのを観察できるが、冷たい大地を這うように生えているその様子、痛々しいくらいだ。

さて、米を主食にしている国々を考えると、それは大抵、熱帯地域周辺を中心にある。

実家周辺に住んでいるタイ人W子さんが言っていた。
「タイは、働かなくても生活できるのよ」
ほうっておいても、植物が育ち、果実や穀類が採れるのだそう。
(これはタイ南部の状況であって、北部は違うらしい。・・・いろいろ面白い話を聞いたのだが、また機会があったらブログ記事にしておきたいな)

近代化以前の暮らしを考えたとき、より豊かなのは米が栽培できる地域であったことは間違いない。
米を栽培できるほど温暖な地域は安心して子孫を残すことができたのだ。

W子さんの話を聞いたのちに、下の本を図書館で発見して、ますます納得したものだ。



すでに夫と交際して数年を経ていた。
付き合うほど、ヨーロッパについて調べるものだから、疑問も大きくなっていった私に答えをくれた1冊だった。

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近代のヨーロッパ中心主義の思想をヨーロッパ民族がつくった動機は、他の諸民族に対する嫉妬と劣等感である。・・・・・・・・
世界の各民族がそれぞれ主として自分達の土地の産物で暮らしていた近代以前においては、土地が痩せていて気候条件にも恵まれなかったヨーロッパ民族は世界の諸民族の中で一番貧しい民族であった。
もうとっくに嘘であったことがバレているが、いわゆる「未開人」が貧しく惨めな野蛮生活を送っていることを「発見」したのは、近代ヨーロッパ人の探検家たちであった。
ところが、いわゆる「未開人」を貧しく惨めな野蛮生活に追い込んだのは近代ヨーロッパ人であって、そのような「発見」はこのことを隠すために必要だったのである。
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この内容を中心に、岸田秀センセイお得意の論理が続くが、どこまで科学的に本当かわからないけど、ヨーロッパ人が長く住んでいるこの土地にいる私が「なるほど」と思うのだから、納得させる部分は大きい。
(去年の帰省時に買って、持ってきた~)

さて、私たち極東洋人、ヨーロッパを歩くときは
「野蛮で未開な人々」
と見られていることも多い。
これはヨーロッパ人より体格等の容貌が見劣りする部分を、ヒトの原始的な感覚が軽い嫌悪を感じさせているものと理解して、半ばあきらめなくてはならない。

が、日本人(または日本周辺諸国の人々)がいまだにヨーロッパ人に対して劣等感を抱くのは私は疑問がある。

日本人がヨーロッパで生活したとき、単に生活習慣の違いの不便さでない不便さを感じることはしばしばで、
「どうして、こんな不合理なことするのぉ~!!」
とキレそうなる。
日本人はもっとヨーロッパに対して、自信を持っていい、言いたい私。
だめ?