飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

国語科文学作品の授業 1

2023年09月25日 05時24分38秒 | 国語科
教材文を教師が分析する。
また、その教材研究をもとに授業を組み立て、子どもたちが自らの力で新しい教材を解釈できるようにする。
言い換えると国語科における読解の基礎基本を子どもたちが身につけられるような技術を理解し、それを使いこなす技能を身につけることと言ってもいい。
この基礎基本とは何か。
10の観点というのが有名だ。
誰でも知っていることだが、整理してみる。

1 設定(時・場所・人物)
・ストーリーによって、時間的な経過があり、短期間のものもあるし、何年にも及びこともある。
・スローリーが展開される場所や舞台も流れによって、変化する。
・登場人物も、中心人物がいて、それに大きな影響を与える対役がいる。
・登場人物の定義もする必要がある。
 ①会話の中に出てくる人は登場人物とはしない。
 ②物語の中で、話したり、行動したり、考えたりしている人。
 ③登場人物は人間とは限らない。

2 題
・物語には題がついているが、分類するとこの三つになる。
 ①主人公がそのまま題になったもの。
 ②物語が一番盛り上がる場面(クライマックス)が題になったもの。
 ③物語の主題を象徴しているものが題になったもの。
・これを最初に確認しておくと、読み進めていくときにポイントの置き場所が明確となる。

3 視点
・物語の語り手(話者)がどの視点から話を語っているかを理解する。
(1)1人称視点(1人称限定視点)…話者が完全にある人物の中に入って、その人物の心を表現しているもの
 ・僕は…と思いました
 ・私は…しました

(2)三人称視点…話者が物語の外にいる状態
①3人称限定視点…視点を固定して、行動と心情を描く
 ・Aは◯◯しました
 ・Aは◯◯と思いました
②3人称客観視点…視点を固定せず、行動のみを書く
 ・Aは◯◯しました
 ・そのとき、Bは笑いました
③3人称全知視点…視点を固定せず、行動と心情を描く
 ・Aは◯◯しました
 ・Bは◯◯と言いました
 ・Cは◯◯と思いました

4 構成
★4つの部と6つの点
(1)導入部   ①冒頭…物語の設定や状況を説明する文
(2)展開部   ②発端…情景を描写する文。主要な人物が初めて出会う。
(3)山場の部  ③山場(クライマックス)の始まり…時間や場所の転換。事件の発生。
         ④クライマックスの頂点(ピナクル)…描写や会話の文。決着がつく。中心人物が変容する。
(4)終結部   ⑤結末…情景を描写する文。
         ⑥終わり…抽象的なまとめ。
★三部構成    はじめ・中・終わり

5 アイロニー・パラドックス
(1)アイロニー…話者や登場人物の行動や態度が矛盾していること
 ①お互い違う国同士の兵士なのに、なかよくなってしまう
 ②好感を抱いているのに冷たくしてしまう
 ③仲良くなりたいのに意地悪をする

(2)パラドックス…アイロニーと似ているが、「表現上」の矛盾のこと
 ①題が「野ばら」という美しいやさしい題なのに、内容は戦争によってかけがえのない友を失う話。
 ②ごんは兵十と同じ境遇で理解し合いたいのできない
 ③大造じいさんと残雪は、狩猟の獲物と猟師なのに、大造じいさんは尊敬の念を抱く。

saitani



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