飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

翻作表現法 詩の書かせ方

2024年09月04日 11時51分52秒 | 国語科
教師になって指導の中で悩むことがある。
そのナンバー3にはいることに詩の書き方があるだろう。
どうやったら子どもたちは詩を欠けるようになるのだろうか。
自分も若い頃、よく先輩教師に聞いた。
その答えを様々だった。

「まず感じたままに(感じたままがまず怪しい)作文みたいに書かせる。
 そして、その文章を一文にいていく。
 できるだけ気持ちを入れて書かせる。
 重複している意味の言葉やテーマから外れている言葉が削る。」

「まずテーマを決める。
 例えば『夏休み』。
 そしたらウェビング法で関連する単語を繋いでイメージを広げる。
 その単語に形容詞や副詞、修飾語をつけてフレーズにする。
 そのフレーズを文にして、様々なレトリックで飾る。
 体言止め、倒置法、リフレイン、オノマトペ等」

「書く前に互換を研ぎ澄ませることを言う。
 視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚の五感を忘れずに見たり聞いたり、体験したことを詳しく説明する。
 その時に、感情を交える。」

こんなアドバイスを教えていただいて自分なりに取り組んで、それなりに子どもたちは書けるようになったのですが、本当にこれが優れた方法なのか全く自信がない。
そもそも、自分が日常的に詩を書くことないのが、教師としての資質欠如だと思うが、日常的に詩を書いている教師を自分の周りでみたことがない。
その自分でも書けない詩の作成を子どもたちに指導するのだから、道は険しいことは創造できる。
しかし、どの地区にも「◯◯文集」みたいなその地区の各学校から選抜された子どもたちの作文や詩をまとめるものが存在する。
年2回位あるが、その時期が迫ってくると各担任はざわつく。
「なんとかして詩を書かせないと。」
日常的に詩を書かせている担任(ほとんどいないと思うが)はいいが、自分みたいな担任はあたふたするのである。

別の方法論としての詩の書き方に翻作表現方法というのがある。
これは千葉大学の首藤久義氏が紹介している方法だが、この翻作法を知らなくても、似たような手法をとって子どもたちに書かせている教師はいるかも知れない。
翻作表現法を定義すると、「何らかの原作をもとに、それをなぞったり変えたりして表現する学習法」となる。

教育の世界には今だに、人まねはいけないという偏見がある。
そっくりそのまま真似ることは優れた上達方法だと自分が考えているが、何も分からない人は「猿真似はいけない」なんて意味不明なことをいう。
自分の若い頃、そう言われて何度も避難され嘲笑されてきた。
もっとも、そんな言葉は意に介さず、どんどん追試をしていたが。

人類の進歩を冷静にみればわかることだが、すべては模倣から生まれているのである。
一見すると個性的で独創的な思考や作品も、すでにある既出のアイディアにヒントを得ていたり、思考の組み合わせ方や順序を変えたにすぎないものばかりである。
上達論においても、まず型を覚えることは基本であり、守破離という芸事のセオリーもまずは「守」なのである。

まずは真似る、優れた作品をなぞるという作業が大事であり、出発点になる。
では、具体的どのように子どもたちに指導していくのかという実践案が必要になる。
ここでの最大のポイントは、どの詩をもとに、子どもたちに創作させるかということ。
この詩選びが、教師の力量であり、実践の良し悪しを決める。

次の詩を子どもたちに提示する。
そして、子どもたちに投げかける。

「君たちもこんな詩を書いてみませんか。
 真似していいんですよ。
 できればちょっと変えるだけでもOKです。」


「なくぞ 」 谷川俊太郎
なくぞ
ぼくなくぞ
いまはわらってたって
いやなことがあったらすぐなくぞ
ぼくがなけば
かみなりなんかきこえなくなる
ぼくがなけば
にほんなんかなみだでしずむ
ぼくがなけば
かみさまだってなきだしちゃう
なくぞ
いますぐなくぞ
ないてうちゅうをぶっとばす

この詩の真似できるところを整理してみよう。
①◯◯◯ぞ
 ぼくは(わたしは)◯◯◯ぞ
②いまは◯◯◯
 このさきは◯◯◯(もっとすごくなる)
③誇張法をつかう(ありえないくらいに大げさに言う)
④「ぼくが◯◯すれば
  ◯◯◯」というリフレインをつかう
⑤この他にも何でもつかって良い


「まずは『なくぞ』を何かに変えます。
 何か動きを表す言葉いいかもしれません。
 たとえば『あそぶぞ』である子はこんな詩を書きました。」

「遊ぶぞ」

私 遊ぶぞ
今は一人だって
皆を巻き込んで
すぐ遊ぶぞ

私が遊べば
笑い声がたえなくなる
私が遊べば
授業も中断して
皆遊びにくる

遊ぶぞ
世界のみんなを巻き込んで

「ぼくはふつうだぞ」

ぼくはふつうだぞ
いっぱんてきななんだぞ
すごいんだぞ
おもしろい
どうだ

だから
あたまがよくないんだぞ

それからひとつだけすごいことがある
運動神経がすこしいいんだぞ


「ぶたはでぶだぞ」

ぶたはでぶだぞ
本当にでぶだぞ
わかったか

だから
体はとうぜん
ぷよぷよなんだぞ
だからすごいでっかいぞ


こんなことがきっかけで詩を作成する抵抗感がなくなるといいと思う。
意外と簡単に書けるんだという気持ちなってくれれば嬉しい。

saitani