飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

開脚跳びのテクニカルポイント

2023年08月05日 16時36分19秒 | 体育科
授業の骨格は三つ。
①発問・指示②テクニカルポイント③場作りである。
この中のテクニカルポイントを教師だけでなく、子供も知らないと技はできるようにならない。
また、子供もなぜ知らなければならないかと言うと、グループの教え合いや交流時に、何が良くて、何が悪いかを知らなければ互いに見合っても、何ら意味のない交流になってしまうからだ。
ICTの活用が行われて、タブレットも体育科において頻繁に使用されるようになったが、ただ動画をみて、自分の演技を分析したり、互いに批評しあってもどうすればよいかがわかっていない状態で教えることはできない。
そういう授業をよく目にする。

では開脚跳びにおけるポイントは何かと言えば、手を支点とした肩の重心移動ができれば跳ぶことができる。
この原理をどうやって子どもたち体感させるかがスモールステップによる段階的指導ということになる。
この腕を支点とした重心移動を体感させる方法は2つある。
一つは、跳び箱に端に腰掛けさせて、両手で自分の体重を支えるようにして、体を浮かせ、マットに着地する。
この動作を繰り返して、体重を腕で支える感覚と肩を前に出すという動作を身に着けさせる。
この練習で多くの子供達は跳べるようになる。
もう一つのステップは実際に跳ばせてみて、補助して、補助者の腕にかかる体重の感覚の重さで判断することをするが、最近は子供の体に触れた補助は簡単にできないので、注意が必要だ。
その対策として、他のさらにステップを用意する。

ここで一旦整理する。
開脚跳びの技の動きと3ポイント。
①助走は2〜3歩でゆっくりと。
②手は跳び箱の奥につく。
③手より前へ肩を出す。
※この前段階として、馬跳び・タイヤ跳びなどで跳び越す感覚に習熟しておく。

次に、できるようになるための5ステップ。
①とびのり・とびおり(ロイター板・中3段・マット2枚) 
勢いをつけて跳び箱に跳び乗る。手は下から上へとふりあげて。両足で跳び箱の上にのったら、一回両足ジャンプをして、跳び箱の端までいき、高くジャンプしてマットに着地する。※勢いよくとびだすと前に倒れる可能性があるので、こういった動きの時には「着地は一歩で決めます」と指示すれば、適度な力加減で跳ぶようになる。

②またぎこし(ロイター板・中3+中3・マット2枚)
跳び箱にまたがって、前へ進む。できるだけ少ない回数で降りる。

③1段→3段で開脚跳び(中1・小3・マット2枚)
手前にある1段の跳び箱に両足で跳び乗る。そして、少し高い位置から開脚跳びを行う。

④1段→4段で開脚跳び(中1・小4・マット2枚)
少し高い跳び箱で③と同じ練習をする。

⑤補助開脚跳び(ロイター板・中3・マット2枚)
3ポイントを意識して、跳び箱を横にして練習する。
必要なら補助をするが配慮が必要。
補助者は着地まで肩を離さない。
前方に転倒する危険があるため。

※練習用にステップ⑥として、ロイター板・中4・マット2枚を用意する。

★よくある失敗とアドバイス
①立ち止まってしまう
ステップ①を繰り返す。
運動能力の調整力不足で、踏切前のケンパができない子もいる。
その場合は、手をとって一緒に走ってあげることも時には必要。
前段階の運動の中のケンパの動きを多めにやらせる。

②手をついて体を止めてしまう
跳び箱にまたがって、跳び箱に書かれている数字を覗き込んでから跳ぶように指示。
跳び時には視線は前へ。

③前のめりに着地する子
走りすぎです。
ゆっくり、2〜3歩の助走で跳んでみよう。

★開脚跳びの発展技
開脚跳びが跳べるようになると「もっと高い跳び箱が跳びたい」と子どもたちは言う。
教師の中にも、6段以上を跳ばせる人がいるが危険度が高い。
しかし、高さではなく、同じ高さでより大きな動きができるように促す。
着地を決めさせることも意識させる。

開脚伸身跳び
3ポイント
①足を閉じたまま高くあげる。
②手をついてから足を開く。
③体を起こして着地。

5ステップ
①開脚手たたき 着地の前に手をたたく。
②赤玉を置いて、開脚跳び 跳び箱の手前に玉入れの玉を置いて、それに触れないように跳ぶ。
③調整箱を一つ置いて開脚跳び
④調整箱を一つ置いて、赤玉を置いて開脚跳び
⑤調整箱を二つ置いて、赤玉を置いて開脚跳び

saitani



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