三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【ヒトの「いごこち感」の研究】

2017年01月21日 10時56分39秒 | Weblog


2日間にわたった北海道の断熱技術資格BISの講習、
きのうで無事に終了いたしました。
はじめて本格的に本州地域での講習開催でしたが、
2日間で130名近くのみなさんが参集いただき、
北海道地域の立場のものとして、みなさんに篤く御礼いたします。
この上は、ぜひ参集されたみなさんが2月14日の試験を通られて
BIS資格を手にされて、北海道水準の住宅断熱技術を
それぞれの地域で推進して欲しいと強く念願いたします。

さて、そんなことできのうの午前の「更新講習」は
ひとつの情報摂取機会として聴講しておりました。
図は札幌市立大学の齋藤雅也先生の講義での説明資料。
住宅建築は、感受性豊かな人間のくらしのイレモノを考える営為。
暑い,寒いという温熱についての実態に沿った人間感覚、
「いごこち」を大きな対象範囲とする人間工学的環境形成行為。
たぶん、現代の建築ではこの領域が未踏の領域として
大きな「環境的テーマ」として注目が高まっている。
それはひとり設備の問題ではなく、建築的な空間作りと
両方の領域からせめぎ合っていって、論議するべきテーマ。
先生の昨日の講義では、2枚目の図のような
人間の温感、冷感などの人体センサー位置などまで
研究対象として提起されていました。
その図の解説では、冷感は非常に皮膚表面に近いところに
感覚センサー組織があるけれど、
温感は、もうちょっと下にあるというような解題がされていた。
また、先生は札幌市の特別公務員という立場から
市営の円山動物園の動物飼育環境についても
その研究テーマが及んでおり、
人間とDNAがほとんどそっくりな類人猿種の生態観察も
その居住温熱環境コントロールを通して実証的研究を重ねられている。
熱環境的にさまざまなケースでのかれらオランウータンのふるまいから、
一定の温度環境のムラの無さと同時に、
ある程度のスパンでのホットスポット、クールスポットの
計画的配置によって、かれらのより活発な「健康増進」が実現した
そういう興味深い研究結果のお話しもありました。
北欧の住宅はほとんど輻射暖房だけれど、
そのあるスパンでの温度ムラが「快適ゾーン」を形成している様も
同じように解説されていました。
人間の感覚領域は非常にセンシティブであり、
より詳細な探求が、これからも奥深く展開されてほしいものと、
とくに暖房設備について決定打のないいまの時代には、
非常に有為な研究領域だと思いました。
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【仙台で北海道BIS講習 難波和彦東大名誉教授も受講】

2017年01月20日 06時18分12秒 | Weblog
高断熱高気密住宅に取り組む東北の有力ビルダーさんからの
悩み相談で、北海道が住宅技術地域認証として推進してきた
BIS〜断熱技術者資格を「流してしまっている」旨の相談が寄せられ
道庁や資格を管理する北海道建築技術協会にわたしどもで掛け合っていた
北海道外でのBIS講習がついに昨日、仙台で開催実現しました。
東北フォーラムさんから主導的・積極的に受け入れ準備を進めていただき、
新住協や日本建築家協会東北支部、さらには、宮城県・仙台市など
公共自治体からも後援などをいただくことができて、
きのう初日の「養成講習」には、なんと申込み77名という多数の受講者。
いわば言い出しっぺとして当社Replanとしても、
こうした公的資格制度の講習会に対し一民間事業者ながら、
「協力」というかたちで末尾に当社名表記までしていただいておりました。
わたしどもとしても、北海道を基盤とするものとして、
東北・本州地域との住宅技術のつなぎ役ができてうれしく思っています。

ということで、お世話になったみなさんに感謝申し上げるべく参加。
きのうは千歳空港が朝からの突然の激しい降雪で、
30分到着遅れでしたが、10時半過ぎには会場に到着。
多くの顔見知りのみなさんと、ここ仙台で再会できました。
で、そういうなかで名簿を見ていたら、なんと東京大学名誉教授の
難波和彦さんのお名前も発見しておりました。
で、会場を見渡していると、講師の先生方のすぐ目の前、
受講者最前列に、難波さんを発見いたしました。
難波さんには昨年来、新建築住宅特集の「環境住宅特集」を契機に
その教え子でもある川嶋範久・東京工業大学助教との対話など
いろいろな機会で意見交換をさせていただいています。
北海道と日本の中央、東京の建築界との意見交換交流を進めていくのに
難波先生の存在は北海道総体にとって貴重と言えると思います。
休憩時間にごあいさつをさせていただくと、
「まるで新鮮な高校生時代にもどったみたいですよ(笑)」とのこと。
いま着手されている北海道江別での「箱の家」の設計が進捗し
地元設計者の山本亜耕さんも協力しているのですが、その推奨もあり
寒冷地での住宅設計にとって不可欠と、このBIS講習受講されたとのこと。
設計者としてプロジェクトへの真摯な姿勢、
また、貪欲に技術知見を深めようという若々しい気概を感じました。
そんなことから、BIS講習委員長の奈良謙伸さんはじめ講師の
北海道の住宅技術研究者の方々にも難波さんをご紹介。
「なんか立場が逆のような気もしますが(笑)」
との奈良さんの言葉でしたが
みなさん難波和彦氏の姿勢には感銘を受けられた次第です。
今後の江別での箱の家プロジェクトの進展、さらに
「環境住宅」論議のさらなる進展など、期待していきたいと思います。

さて、本日もこのBIS講習、今度は「更新」講習です。
こちらも52名の方の参加申込みがあったということ。
両日合計で129名という多数の方の講習参加ということで、
寒冷地住宅技術情報拡散、まことに喜ばしい限りであります。
今後、本州地域で毎年開催が実現出来ればと祈念しております。
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【地域医療中核建築、眺望の眼科的いごこち】

2017年01月19日 05時20分44秒 | Weblog


今回の白内障手術については、
札幌市立病院にお願いすることに致しました。
こういう場合には、やはり評判などの総合的判断。
で、調べてみたら北海道内ではダントツの施術実績になっている。
わたしは、今回目にメスを入れるという、心理的には
結構なハードルのある施術を経験したのですが、
事前の情報収集では、かなり信頼の置ける方からのアドバイスを
最重視いたしました。
やはり、情報が決定的だと思ったのです。
こういう事前調査をしっかりすることで、安心・信頼は高まる。
そういうユーザー心理というものを、こういうかたちで実感できた。
おかげさまで、術後のきのうの検診でも
顕著な視力回復ぶりが見られ、実感的にもクリアな視力感を
もつことが出来ています。
ただし、あんまり「見えがよくなった」と言いまくるのは女性たちには
微妙な反応を持たれるということも実感しました(笑)。
ほどほどに目を細めている方が平和的でもあるようです。

ということなんですが、
札幌市立病院のメリットは、この病室の驚きの環境もある。
以前、わたしの両親はこの病院で看取っていただいたのですが、
その当時とは場所も移転して、街のど真ん中から
長く空地の広がっていた桑園駅北口の現在地に移転している。
たっぷりの公共用地が保持されていたことで、
札幌市内でも有数のパノラマビューを獲得している。
その病棟でも眼科は最上階10階から眺望を楽しむことが出来るのです。
JRの駅、桑園は札幌駅から1つめで、
そちら側は電車の往来も激しいのですが、
札幌の特徴である南側のマウントビューが一望の下。
で、反対側がわたしの病室で、こちらは北大の広大なキャンパスに隣接し、
その先には遠く札幌北方の初山別連峰の山並みまで
広大な眺望が広がっているのであります。

こういう建物内での「配置計画」で、最上階に眼科を持ってくる
という「設計センス」はなかなか、褒めてもいいのではないかと思いました。
札幌市立病院は、札幌いや北海道地域医療の中核センター機能も高く、
地域としての「資産」性はきわめて高い。
医療の中核として地域総体の「いごこち」には、こうした要素も非常に重要。
その施設の設計センスは、きわめて大切なファクターだなと思わされた。
この眺望には見に来てくれたカミさんも、
「いい部屋ねぇ」と、かなり高い合格点をつけていました。
やはり人間環境の「いごこち」、本当に重要なものだと実感しますね。
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【見渡せばZEH洪水 「エコハウス」はどこへ?】

2017年01月18日 06時15分34秒 | Weblog
先日も書いたように、北海道はZEHの洪水からは
やや距離感のある地域になっていますが、
関東以南、太陽光発電好適地域では、いまやネコも杓子も
ZEH情報の大洪水と言った状況のようです。
国の施策とはいえ、補助金の威力のすさまじさを感じますが、
そんな情報洪水のなか、ふと思い出させてくれた「エコハウス」の文字。
そうです、全国20箇所で環境省の施策として取り組まれた。
平成20年と言うから、いまから約10年前の話。
当時はいろいろに取りざたされ、また前真之東大准教授は、
このエコハウスの実証調査をするうちに、
「いったいエコな家とはなにか」と深く思いを致され、
「エコハウスのウソ」という本を上梓された。
その発言が多くの寒冷地の住宅関係者の目に止まって
それ以来、氏の研究領域が寒冷地・北海道東北にも拡大した。
いまや先生の研究パートナー地域として、北海道は重要な位置。
というような流れがありますが、そのエコハウスについて、
再検証して、今日的な意義を考えようという企画が立ち上がっている。
なんと、日本最南端のエコハウス設計者・沖縄宮古島の
伊志嶺敏子さんが最北端の北海道の2事例を訪問し、
彼の地でそれぞれの体験を交流させようという企画で、
東大の前真之先生も参加される企画です。
2月11日美幌、2月12日下川と開催して、仕上げとして
2月14日には札幌でオープン研修会として行われる。以下案内文。

〜平成20年・環境省エコハウスモデル事業として
全国に20棟建設されたことを覚えてますか?
北海道で(洞爺湖サミット)が開催された年です。当時は
地球温暖化防止で二酸化炭素削減が住宅においても必要と叫ばれ
①環境基本性能の確保
②自然・再生可能エネルギー活用
③エコライフスタイルと住まい方
を基本的な考え方として設計されました。
スタートしてから10年が経過・その間大震災等で
国内の新築住宅事情も大幅に変化し世間は「ZEH」オンリーになり、
エコハウスの考え方は何処かへ行ってしまったように
日本中どこでも片流れの屋根に太陽光の住宅になってしまった。〜
★研修会内容
●《宮古島エコハウス・郊外型・市街地型の特徴について》 
13:05〜14:00  伊志嶺敏子氏
●北海道エコハウスの紹介 14・00〜14:40
・美幌エコハウス・堀尾浩氏・下川エコハウス・櫻井百子氏
●全国エコハウスを視察して「エコハウスのウソ」 14:50〜15:50
東京大学准教授・前真之氏
●「今後の北海道エコハウスのあり方について」討論会 16:00〜16:55
コーデイネーター北海道科学大学教授・福島明氏
パネラー・・前真之准教授、伊志嶺敏子氏、
堀尾浩氏、櫻井百子氏、上遠野克氏、ソトダン21メンバー

平成29年2月14日(火)13時00〜17時00迄 受付12時30分〜
場所・リンナイ(株)北海道支店二階会議室(定員120名)
札幌市中央区南7条東1丁目1-1
*駐車場有り・地下鉄東豊線・豊水すすきの6番出口3分
受講料:会員2,000円一般4,000円 懇親会費6,000円
参加申込みは、FAXまたはメールにて。
【申込先】ソトダン21事務局アキレス㈱北海道営業所(担当:⼟⽥)
問い合わせ:0133-73-9598 FAX:0133(73)9590
もしくは、090-7930-8569(酒井宛)
E-mail shidayachi2727@gmail.com
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【より高感度取材を キラキラ感の白内障手術】

2017年01月17日 05時51分40秒 | Weblog
さて本日は、住宅ネタではありません。
その住宅を取材しウォッチするのに欠かせない「目」のメンテナンス。
白内障という、主に加齢から起こる疾患ですが、
わたしの場合には、日常生活的に困るというようなことはなかった。
ただ、仕事的にはモニター画面を非常に長時間見るし、
また、取材時には一匹の「見る専門家」と化しているように
自分で自分を追い込んでもいる。
ビジュアルメディアとして、見ると言うことにはこだわりがある。
ということから、白内障の治療を思い至って、きのう、左目手術でした。
わたしの白内障は両目で発症していますが、
片方ずつ、約2週間の時間を空けて手術にあたります。
比較的症状の重かった左目側から着手した次第です。

地球上で生息する脊椎動物が誕生する過程で
環境を視認する情報組織として、いまわたしたち人類が保持している
システムを持つに至ったのには、
約5億年前に起きた全ゲノム重複という奇跡的事態が関与しているとされる。
生物が持つ遺伝情報の1セットであるゲノムが、そのまま倍加することを
全ゲノム重複という。全ゲノム重複で遺伝子数が一度に倍になると、
余剰な遺伝子に新たな機能をもたせることができるため、
生物進化の大きな原動力の一つとされている。
脊椎動物は今日の地球上で最も繁栄している生物種の一つだが、
その要因として今から5億年前にその祖先種において2回起きた
全ゲノム重複が考えられている。しかしその後5億年も経ってしまったため、
現存する脊椎動物のゲノムにはその痕跡が断片的に見られるのみである。
いま現実を認識するのに持っている立体的把握の視認能力は
そうした生物進化の過程で獲得した能力だという。
まぁたぶん、惑星規模でのクライシス、小惑星衝突などが起因して
そのときに生きていた生物が危機対応として、
今後の環境激変に対して、全遺伝子情報を子孫に伝えて
生き延びるために戦略を無意識のうちに選択していたのでしょうね。
っていうような、なんとも歴史認識なのか科学的解析なのか、
こういった知の世界が、どんどんと広がってきている。
まことにワクワクとさせられる時代をわたしたちは生きていますね(笑)。

で、なんにでも興味を持つメディア系情報人間なので、
けっこう多くの方は目にメスが入るという恐怖感に支配されるとのことですが、
この手術の時に、どんな「視界」情報が得られるのかにも、
強い興味がありました(笑)。
目を切開して、レンズの曇り原因を除去して
そこに視力を向上させる、まぁ埋め込み型コンタクトレンズを入れる。
そのときに、視神経にはどんな映像が映し出されるのか、です。
で、まぁ、ことの性質上、その映像は記録できない、
まさに一期一会の「体験記憶」としてしか残らないワケですね。
お医者さんが外科的にわたしの目に施術する様子は、
YouTUBEなどで公開されています。強い光量が瞳孔に当てられるので
視認的には「キラキラした」ちょうど太陽光のような光が反射し、
たぶん発光装置の光源のかたちだろうと思われる
幾何学的形態、馬蹄形の中間部分がスッポリと除去された
そんな残光の印象が体験記憶として残った次第です。
なんか不思議とキラキラ楽しい、みたいな印象を持ちました。
今度、2週間後、反対の右目も経験するので
また違いがあるものかどうか、再チェックしたいと思っています。
野次馬精神はきわめて旺盛そのもののようです(笑)。
<ということで写真は無関係の京都の町家再生レストランインテリア>
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【寒冷からのアジール 札幌駅公共採暖】

2017年01月16日 05時56分42秒 | Weblog
さて数年に一度の寒波の襲来というなかですが、
札幌地方は比較的穏やかな気候推移できております。
この時期に北海道を講演行脚されている東大・前真之准教授と
北海道ビルダーズ協会メンバーなどといっしょに
札幌駅近くで会食・打合せのために待ち合わせ。
前さんは室蘭から汽車で移動されてこられましたが、
途中、野生のシカが列車に激突した事故で数十分の遅れ(笑)。
シカさんの事故は見聞きすることがありますが、
イキモノなので「物損」事故としての保険も利かない
ちょっと悲惨なことになりますが、北海道では日常茶飯事です。

で、わたしも久しぶりにJRに乗っての札幌駅までの移動。
そうしたら、ホーム階から下りての改札口までの間に
写真のような「公共待合」スペースがあり、
なんとなくこういう光景に弱いので、ついつい居着いていました(笑)。
札幌駅の乗降客数はさすがに北海道の中心都市なので
夕方の混雑状況はハンパない。
東京都内のターミナル駅にはかなわないまでも、そこそこの流動数。
しかし駅構内全域までの「暖房」施設は装置されていない。
どうしても、外気との連続空間になるので、
無暖房の空間、外気温と同様の状況になる。
で、そういうなかで時間待ちがどうしても発生すると言うことで、
昔懐かしいダルマストーブ状の石油ストーブがサービスで設置され
公共的「採暖」空間が提供されていた。

北国人にとって、こうした採暖はある郷愁を誘ってくれる。
いまでこそ北海道の住宅技術は「省エネ」の基本技術と言われますが、
しかし北海道的現実では、まずは寒冷との地域社会総体としての
「生きていくこと自体での戦い」という側面の方が大きく、
こういう採暖空間には一種の「解放空間」アジール(避難所)性を感じる。
同じ苦労をともにしている共感が広がって、
どんなひとにも愛情を持って接しなければならないみたいな
共有空間としての民主主義的なものを感じさせてもらえる。
共存共苦とでもいえるようなパブリックがそこにあるようで、
ついつい、みんなといっしょに採暖を楽しませてもらった。
北国人にとっての「暖かさ」という希求は、こんな風景がベースにある。
暖房熱源が石炭だった時代には、各戸には「石炭小屋」が設置され
冬の間中、それこそ間断なく石炭が補充されてきていた。
寒冷との戦いは、個人や各家庭単位の問題ではなく、
それこそ地域総体として立ち向かうべきものであったのですね。
そんな雰囲気の断片を懐かしく思い起こされた光景でした。
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【全国ZEH:新築戸建割合、北海道最下位】

2017年01月15日 08時32分42秒 | Weblog
どうもお前が悪いんだという声が聞こえてきそうですが(笑)。
図表は、全国各地域での新築戸建て住宅とZEH採択数の割合を示したモノ。
13日の東大・前真之准教授の講演中で示されたデータ。
なんですが、なぜか「近畿」が抜けている。
で、資料の基の「環境共創イニシアティブ ZEH支援事業発表」を見てみると
近畿圏は、新築総数は34382棟で、ZEH採択は983棟でした。
なので、割合で言うと2.85%ということ。
ちなみに、平成28年の新築戸建て総数は、281,712戸。
で、ZEHの総数は、6,357棟。全国では2.2%ということになる。
比率で言えば、住宅総数では北海道は3.8%を占めているけれど、
ZEHの対全国比率は、1.1%ですからダントツ最下位。

なぜか、北海道はZEHについては全国最低の汚名であります。
でもまぁ、この発表にも書かれていましたが、
ZEHでは太陽光発電の設置が必須であり、日射量と積雪のハンデを
考えればきわめて自然な成り行きと言うことができる。
そのような条件をつけて全国的な比較すること自体に
抵抗感は否めないモノがある。
しかし、このZEHのおかげで温暖地における断熱の認識は強まったという
そのような結果になっているとされているので、
政策的には寒冷地にハンディのあるものですが、
巨視的に見れば、大いに意味はあったということは出来るでしょう。
前先生もこうした政策の委員会などに参加されて、
経産省などの側でも、こうした不均衡、条件的ないびつさを
十分に認識しているとも感じられているそうです。
そもそもの前提とされている太陽光発電の「必須」要件について
その前提化が地域バランスを大きく欠いていることを
政策的な課題として認めて、税の還元としての政策実施についての
国家的地域普遍性の確保という原点を再確認して欲しい。
一定の政策的意味合いはあったとして、
国家の政策としては、復元性を示して欲しいと思う次第です。

ただ、それはそれとして、
やはり全国最下位という現実自体は口惜しくはある。
その原因を切開し、さらに政策当局に対して物言うべきことは言って
現実に対応して改善していくべきだと思っています。
さてどんなことができるか、可能か、
考えていきたいと思わされた次第でもあります。ふ〜〜む。
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【研究進化「人間・いごこち科学」 前真之講演】

2017年01月14日 05時59分25秒 | Weblog


東京大学の前真之准教授には、本誌Replanで
連載記事執筆をお願いして、もう3年書き続けていただいています。
いわゆる建築の「プロ向け専門書」でもない当誌からの
無理矢理のお願いでしたが、住宅内熱環境という先生のメインフィールドで
北海道との関わりというのは、お役に立てる部分もあろうかと
ずっとお願いし続けてきております。
読者のみなさんにとっては、そういった専門の先生の定期発表であり、
また北海道東北、さらに全国の住宅の作り手のみなさんにとっても、
まことに力強い援軍の研究者とも言える存在になっていただいています。

きのうは、函館地区で北海道のZEH推進で中核的な存在である、
函館eハウジンググループさんの住宅検証発表を中心に
講演されました。久しぶりにじっくりとお話を伺わせていただきました。
ちょうど、北海道内は全島が冷凍庫の中に入ったような
まさに「おあつらえ向き」の厳寒期に突入。
札幌から函館まで今回はクルマで移動してみましたが、
道中は、一昨日までの吹雪模様が収まった青空の状況。
とくに苫小牧周辺では、ふと見た外気温計でなんとマイナス17度。
しばれ上がる寒波まっ盛りでありますが、
同時にいかにも北海道らしい清涼感に満ちた清々しい寒さでもあります。



先生の講演では、まさにいまの先生の研究の現段階を
いろいろな表現方法でお伝えいただきました。
たまたまわたしのブログでも、暖房方式の「体感」についての
いろいろな雑感を書き綴っていましたが、
まさにそういった皮膚感覚での体感について、
それこそ人間の「いごこち」についての実証的なアプローチを
さまざまにうかがうことが出来ました。
コトバとして「PMV」ということの理解はあったつもりですが、
先生のわかりやすい噛み砕いたご教授で、
ふつうの人間スケール感覚で、その内容を実感することができました。
とくに先生の祖母さまの広島での生活ぶりの熱画像と
そのPMV的解題では、まことに目からウロコの思い。
拙ブログで先日「北海道の無断熱・寒い家体験」について書きましたが
うっかり先生からのFacebookでのコメントを見落としていた。
この祖母さまのケースの平行移動・北海道バージョンとして
先生の現在の研究テーマにぴったりの事例と、
狙い通りの(笑)強い関心も持っていただけたようです。
今後とも先生の研究が発展され、またその研究成果が
多くの住まいの作り手にフィードバックされるよう、期待したいと思います。
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【Yahooさんと情報交流 WEB事業拡大】

2017年01月13日 06時22分58秒 | Weblog
当社は住宅雑誌を発行している情報企業という位置付けですが、
近年、とくにWEB関連の事業が増大してきています。
世界の紙メディアの中ではじめて、WEBの方が紙の売上を上回ったという
アメリカのWALL STREET JOURNALを目標にしています。
まぁ、額ではなく比率ではなんとか目標にしたい(笑)。
そのためにはスタッフの意識改革が欠かせないと思うのですが、
かの会社のトップのインタビューなどを見ると大いに刺激になります。
当社の取引先企業は住宅関係企業が当然、圧倒的に多いのですが、
それら企業にとって、比較対照としてみたときに、
そのメディアとしての情報力とさらにWEBに関連した情報力の両方で、
WEB広報のパートナーとしての有用性を評価していただいています。
HPでの情報拡散力を高めていこうとしたら、
さまざまな住宅についての「情報力」も高めていかなければならない。
住宅を求めている人にとって、その情報収集先である住宅会社が
貧弱な情報発信力しか持っていないとすると、
その信頼性評価を落としかねないということですね。
その点、当社はそういった企業にとって、一種の情報BANKとして
バックアッパー的に機能することが可能であると思っています。

きのうは、そんな当社の状況を踏まえて
Yahooさんから、講師をお迎えしてWEB情報・広告の研修を実施しました。
WEB広告におけるメディアと広告会社との関係といった感じでしょうか。
わたし自身は新聞やテレビ、雑誌といった旧来型メディア広告を扱っていた
広告代理店マンであったので、このような研修は
普通はテレビ局や紙メディアの方たちから聞くような経験が多かったのですが、
いまの時代、自分の会社スタッフにとっては、Yahooから聞くというのが
まことに、時代の移り変わりを感じさせてくれて
情報の世界、広告の世界の様変わりをまざまざと実感していました。
ただ内容について言えば、その交わしている単語には違いがあるけれど、
基本的には企業と消費者ユーザーとのコミュニケーション活動には違いがないし、
いまの時代の先端的なリアリティ把握ができることが非常に楽しい。
それと、昔きいていた既存メディアに対して
むしろWEBの方が、よりセグメントされたリーチがまざまざと見えるので
それをハンドリングするのに、リアリティがある。
わたし自身も、このようなブログを書き、毎日のようにWEBメディアでの
コミュニケーションを図っているので、はるかに身近に感じられる。
本当に面白く、刺激的な時代になって来たなと実感しています。
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【北側雪反射光活用のデザイン断熱住宅】

2017年01月12日 06時29分49秒 | Weblog


新年がスタートして、当社では各種会議などを開催中。
その一環で、スタッフによる住宅見学を行っております。
住宅は年間で北海道東北で数百棟単位で取材している現状ですが、
やはり現在時点の皮膚感覚を感覚するには、
現場での作られようへの「体験記憶」が不可欠だと思います。

そんななかできのうは北海道の設計者・大杉崇さんの自邸を訪問。
きのうも書いたようにちょうどわたしは「環境住宅」について、
いろいろ取材を進めている最中でもあるので、興味を持ったのは、
表題のようなことであります。
東京で交わされている家づくりのコトバで、
「自然と繋がる」というコトバがあって、その意味するモノが
北海道的な受け止め方と、「東京」的な受け止め方に
ズレや、感覚の違いを意識させられることが多いのです。
わたしども北海道的な感覚からすれば、
周辺環境とその住宅の「繋がり」とは、まさに窓の開け方そのもの。
北海道で家を建てるということは、この気候風土・自然の中、
ある選び取り方で選択した敷地条件を踏まえて
その「環境」が持つポテンシャル的な優位性を最大限に引き出すか、
どのようにその「環境と応答する」暮らし方を創り出すかということ。
そのときに、より自由に「窓を開ける」ためにこそ
「断熱」し性能を強化をするのが、基本スタンスだと思う次第です。
きのうの見学では大杉さんのコトバは、まさにそのまんま。
この家では、北側の豊かな山林の眺望を活かして
それを生活環境の中で最大限に取り込み暮らす意図を持って作っている。
常識的に考えれば、北国で大開口を北側に設置すれば
熱環境的には大きな弱点になるけれど、
そこにこそこだわって、断熱の技術の最先端を注ぎ込んで創意に満ちた
設計意匠を創造させていると思いました。



冬の間、12月から3月いっぱいまでは
この周辺では後背の傾斜地には深い積雪が継続する。
それを逆に利用することで、きわめて安定した反射光が室内を満たす。
寒冷という条件に対して断熱という手法をフル活用していけば
熱的な損失をなんとかクリアさせながら、一方で雪の反射光という
まったく違う価値観を北国の暮らしに取り込むことが出来る。
北海道の冬は寒いけれど、けっして暗くはなく、
むしろこの反射光は、なんども室内でバウンドさせられることで、
あたらしい明るい北国の居住体験をもたらしてくれている。
日本人の「花鳥風月」感覚への新しいデザイン提案ではないだろうか。
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