三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【安藤忠雄・淡路島「本福寺」水御堂】

2017年01月02日 06時15分58秒 | Weblog


さて、徐々に年末関西圏建築歴訪の様子をアップしたいと思います。
本日は、よく雑誌で目にしていた表題の建築。
設計― 安藤忠雄/安藤忠雄建築研究所
竣工― 1991年
敷地面積― 2991m²
延床面積― 417m²
構造― RC造
規模― 地下1階
受賞― 第34回建設業協会賞
平安時代後期建立の真言宗御室派の寺院で淡路四国第59番霊場。
境内からは大阪湾が一望できる。
六月になると、約2000年前の地層から発見された大賀ハスが
大輪の花、夏には大きな蓮池一面に色とりどりのスイレンが開花。
蓮池の中心に下降階段があり、その先に本堂・・・という概要。
木造の寺院建築の裏手に花の小径のような回遊動線をつくり、
やがてそれがコンクリートの壁が造形する動線に変化していって
視線が一気に開放されるのが、コンクリート製の蓮池。
ここらあたりの動線設計は、体感的にもここちよさを感じさせられる。
そこから動線は折り返されて、蓮池を大胆に割って、
そのほぼ中心線に沿って地中に導かれていく。
胎蔵界に入っていくかのような、あるいは曼荼羅内部に没入するような
そんなイメージが沸き上がってくる行動心理の動線ですね。




たしか、雑誌で初めて見たとき、
この蓮池がこの建築のテーマだろうなと思った通りの体感でした。
建築の目的である本堂と仏像は撮影不可ということですが、
この上の写真の中間位置で、参拝者は劇的に遭遇させられる。
たぶん導入階段と、本尊との向きは同じだろうと推測されました。
その辺も計算と配置が建築的と強く感じさせられる。
まっすぐとか規則的曲面とか、非常に動作体感が「建築的」に意識される。
寸法・向きとか長さとか、そういうものの規則性がカラダに伝わってくる。
本堂ではわたしは真言宗が宗旨なので、家族とともにありがたく読経。
宗教空間体験としては、まことにシンプルで、
こう来るだろうな、という仕掛け方は非常に明瞭にその目的性を見せる。
そういう意味では、予定調和的なリズム感があって好ましい。

安藤忠雄さんは、こうした宗教建築が実に似合っていると思います。
ただあまりに似合いすぎているかもと、一抹の疑問も。
コメント
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