日本ではいまは、戸建て住宅というと
ほぼ一家族のための住まいというのが一般的ですが、
外国では、よく連棟式の住まいというのに出会います。
「集まって住む」というスタイルですね。
ふつうに、都市住宅として建売なんかで、壁を共有している住宅が分譲されている。
そういう場合は、まぁ、他人同士が住んでいるわけですが、
一度、北欧の方で、ヒッピー(って古いかなぁ)たちが
自分たちの価値観を実現できるような家、というコロニー型の住まいもありました。
もともとは他人同士だけれど、いくつもの家族が集まって住むことで
ちょっとユニークなコミュニティが成立していて、
暮らし方が楽しく膨らんでいる印象を持ちます。
スウェーデン・ヨーテボリの建築家ハンス・エークさんの
「無暖房住宅」も、こういう連棟スタイルでした。
熱環境的に考えても、こういう住宅の建て方は合理性があります。
外気に接する壁面積を減らすことができるので、
少ないエネルギーで生活できるというメリットもあるわけです。
なんですが、日本ではなかなか、連棟スタイルって馴染まない。
というか、そういう発想が少ない、ということでしょうか?
この写真の家は青森県の家なんですが、
兄弟で左右に分かれて同じ棟を共有するという家です。
片方は子育て真っ盛りで、こどもとにぎやかに暮らしていて、
もう片方は、独身生活を謳歌しているという兄弟の方でした。
これから、結婚への考え方でシングルを選択するケースも増えている。
そういう場合でも、やはり距離感を保ちながらも、
肉親の安心感に包まれて暮らしていく、というのは必要な要素。
プライバシーを保ちながら、そこはかとなく存在感は確かめられる
というような距離感で暮らしていました。
もちろん、兄弟関係が良好で、お互いに納得ができている、という条件の下ですが、
こういう住まい方というのも、「家族」概念をもうすこし拡大してくれると思います。
取材していて、大きな意味での家族関係が成立していて、
たいへん微笑ましい暮らしぶりだったです。
まぁ、メリットはいろいろありますが、一番大きいのはコスト負担。
ひとつの建物をシェアするということになりますから、
建築コストをさまざまにコストダウンさせることが可能なんですね。
でもまぁ、親しき仲にもしっかりルールと、取り決めを定めて、
とくに権利関係はハッキリさせておく必要はあります。
そうした基本部分がしっかりしていて、
お互いのプライバシーへの配慮がなされれば、
楽しい住まい、ユニークな暮らし方を手に入れることができると思います。