性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

2×4先進地・十勝で「かわいい」在来木造

2015年08月26日 05時47分51秒 | 住宅取材&ウラ話


きのうから北海道十勝にて、北海道の工務店グループ
「アース21」の十勝例会に出席しております。
おおむね、2カ月に一回のペースで道内各地に集まり
地域の家づくりを見学しあい、お互いの情報交流、地力アップを
図っていく趣旨で継続してきています。
全国規模でも、さまざまなこうした工務店による研鑽組織はありますが、
やはりレベルにおいて、大きく隔絶した活動を行っています。
現場力を持った工務店から、生々しい声を聞ける意味で
わたしの諸活動においても、中核的な情報交流の場になっております。
地域の工務店さんばかりでなく、
さまざまな職方の専門家のみなさん、またメーカーさんなど、
幅広く情報を交換できるのは、まことに稀有。

北海道十勝は、2×4工法が圧倒的に強い土地柄。
地元に根ざした工務店と設計事務所のみなさんが、切磋琢磨してきた
メインカレントの動きがあります。
日本の2×4工法は、最初の段階で「市場占有」的な大メーカーが
初動段階で、技術的な十分な深まりのない中で一気に大量に
市場投入された。
ところが、それらが技術的な困難に直面し、
性能的な欠陥をさらけ出したりしていた。
そういうなかで、北海道十勝では地道に、年に2棟3棟といった
少数のフロンティア的な住宅が建てられ、
それを地域の工務店・設計事務所が徹底的に検証し、
欠点について大いに忌憚のない論議を繰り広げてきていた。
そういった市場導入段階での、技術的試行錯誤が、
建築技術のベースを構築し、揺るぎない工法の確立につながり、
いまや、地域の木造建築で圧倒的な主流になっている。
このことは、地域のものづくりのひとつのプライドと言えるでしょう。



しかしまた同時に、こうした2×4工法の進化拡大と歩を合わせて
在来工法の技術革新も、少数のみなさんによって追求されてきた。
写真の住宅は、十勝で活躍する水野建設さんの最新住宅。
床面積の小さな住宅ですが、
熱損失計数は、Q値で1を切っている建物。
しかも木材は無垢であったり、集成であったりするけれど、
ほぼ地元十勝産の「カラマツ」が使われている。
構造も、野太い5寸の大黒柱が2本、力強く立ち上がり、
屋根にも登り梁ががっしりとした質感を見せている。
2×4工法とはまた、ひと味違う空間の美しさを感じさせてくれます。
シンプルで3色トーンで「かわいらしく」デザインされた外観。
破風端部がシャープにカットされていて、
軽快感がいっそう際だっている。
また、玄関周りの小屋根と雨樋もまことにバランスがいい。
薪ストーブの煙突もアクセントとして秀逸。
十勝で、在来工法も頑張っているなと、楽しい気分になりました。


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