三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【蒸暑気候対応。急普及USパッシブと連携「PHIJP」発足】

2017年08月24日 07時54分40秒 | Weblog




既報のように、きのうは東京で表題の会合に参加しておりました。
パッシブハウスという概念は長い歴史を持った住環境の運動として
アメリカ、ヨーロッパ、日本と世界に広がってきている。
ドイツのパッシブハウス運動が政府の支援も受けるようになって
現代ヨーロッパにおいて大きく進展を見せているのは承知の通り。
そういうなかで各国においてその中身が進化しつつあると言えるのでしょう。
ドイツは世界の国の中でも気候環境的に単一っぽいとされます。
比較的高緯度でそこそこ寒冷条件ではあるけれど、
北欧やカナダ、北海道のように寒さは厳しくなく、一方で冬の日照は少ない。
基本的にこうした気候環境に沿ってドイツ「パッシブハウス」基準は作られている。
その基準をそのまま持ってくると、たとえば日本の北海道や北東北では
制約の大きすぎる基準になってしまい、
事実上、これら地域ではその基準での家づくりは進展していない。
岩手県北上の高性能住宅ビルダーが挑戦し、なんとか設計基準はクリアできたが、
その要求を満たす住宅を、多くの生活欲求もあるなかで建てるかどうかと、
悩んだ末に鎌田紀彦先生からも言われて計画を諦めた経緯は広く知られる。

やはり基準として、世界はたくさんの気候条件があるなかで、
それらを条件に加味し算入した、より柔軟な基準がふさわしいのではないか。
そういった状況が現在ではないかと思います。
とくに日本はドイツの気候風土条件よりも高温多湿でしかも日照が多い。
そういった意味では、アメリカの気候風土のほうにより親和性がある。
アメリカは国土も広く、日本以上に気候条件が多様に区分されている。
その中でもとくに東海岸から中部にかけての地域に親和する。
湿度の要素が大きな部分を占めている気候風土性。
このアメリカにおいて、ここ3年間ほどで急速に実績を拡大しているのが
PHIUSの動きだと言うことなのです。
プロジェクトベースで500棟以上、戸数では1,200戸を超える実績だという。
今回発足した「PHIJP」は、このアメリカでの動きを日本でも導入しようという活動。
特定非営利活動、NPO組織として活動を開始した。
きのうは、アメリカでパッシブハウスの「ジャンヌダルク」と言われている
Katrin Klingenbergさんが来日されて英語で講演を行った。
「PHIJP」の芝池英樹京都工芸繊維大学准教授が、解題とともに
随時、内容の通訳もされて「おおまかな」(笑)理解はできたように思います。
う〜ん、人生ここにきて英語力の不足を嘆くことが多い(泣)。

講演では、概要説明的な芝池英樹先生の講演のなかの初めの方に
先般、わたしがブログで公開した資料データも援用されていた(!)。
というような冷や汗、波瀾万丈のイベントでしたが、
その後、懇親の場ではなごやかに国際交流をさせていただいておりました。
そういうブロークンな雰囲気では恥ずかしさが消え楽しく交流できる(笑)。
また、首都圏の多くのみなさんと情報交換も出来て有意義でした。
そしてなんと、来月には北海道で講演会を予定しているということです。行動的。
気候多様性を前提としたパッシブ基準、今後の展開に注目したいと思います。
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