三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【空間を引き締めるナラ原木テーブル】

2018年04月18日 06時21分14秒 | Weblog



きのうお知らせした「ナラ原木テーブル」の脚部補修作業、
無事に「立ち上げられ」ました。ごらんのような立ち姿で、がっしりとした反応力。
体重を掛けて上から押し込んでもびくともしない。
やはり背景としてのコンクリートブロックの壁には
これも真物を感じさせる「素材力」しかふさわしくはないと思われます。
石と木が素朴に対話する空間が、いちばんしっくりとくる。

で、下の写真2枚。
大暴れしていたじゃじゃ馬のナラ原木テーブルの
ねじれクセや曲がり根性をしっかりと見定めて、
しかしそのイキモノ的な美しさを引き出して、テーブルとしての役割を
まっとうに果たさせるような工夫を凝らしてくれた
今回の工事を請けてくれたヨシケンさんの大工棟梁・健名さん。
わたしは一昨日、このナラ原木への加工調整したまま、
接着材などの安定のために「寝かせていた」状態まで見ていて
その後、午前中に現場に戻ったら健名さんがこいつを立ち上げてくれていた。
木をよく見て、その個性を見極めて、最適な加工をちょっとだけ加える。
そうすることで個性を活かして機能性のバランスも取る、という
大工仕事を見させていただきました。
ほんとうに楽しい気分を感じさせてもらった次第。

人間は建築とか,その材料とかと、
長い間、対話し続けてきたのだろうと思います。
この東アジア弧状列島地域では、それこそ縄文の世から、
ながく木との付き合いが続いてきた。
三内丸山、吉野ヶ里から出雲、飛騨へと、
木を扱って人間空間を作ること、その文化は日本社会に根ざしている。
木は個性を持っている。
一期一会ではないけれど、同じような生育条件によっても違いが出る。
このナラ原木はいったいどんな生地でどんな育ち方をしたのか、
まったくわからないけれど、北海道芦別周辺の山地が故地ではある。
そのなかでいったいどのような地形・土壌の環境要因で育ったのか、
こうまでねじれ、曲がりを主張するその個性に翻弄されながら、
一方でそのことに強いシンパシーも持つ。
きっとこいつはこれからもやっかいを掛けてくるに違いないけれど(笑)
こうとなれば、トコトン付き合ってみたくなる。
ただ、こいつは樹齢300年近くはありそうなので、
木は切られてからもその年数分は命を長らえるとされているから、
わたしの方がはやく寿命が来てしまうけれど、
それよりも寿命の長そうな石の環境の中で、楽しく個性を発揮してほしい。
そんな気分でおります。
コメント
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