三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【家族数減少社会はどういう家を生むか】

2016年06月29日 05時40分13秒 | Weblog
図表は5年ごとの国勢調査を元にした、北海道内での住宅の
家族数と世帯数、世帯人員の構成をあらわしたもの。
20年間ほどの推移をあらわしていますが、
一貫して、世帯数は増加しているが、家族数は減少の一途。
2人世帯は2.3倍、1人世帯に至っては3.7倍になっているけれど、
3人以上の世帯は、逆に約20%減少して、0.81倍。
3人以上世帯の割合は、67%から37%に減少し、
逆に2人以下の世帯の割合は、33%から63%に急増している。

家というモノの内容は、かくも大きく変化してきた。
こんな変化は、パラダイムシフト的変化だけれど、
では、生活文化はどんなふうに変化してきただろうか?
いや、こういう変化があっても、意識における生活文化は
そう簡単には変わっていないということが言えるかも知れない。
サザエさんという「ホームドラマ」は依然日本人に強く支持されている。
あの家は、父母+子ども2人+子ども夫婦+孫1人+ネコ1匹の大家族。
ああした「家族観」がいまでも意識としては主流であるのではないか。
ただああいったドラマを、実はふたりだけで静かにあるいは、
たったひとりで懐かしむように見るのが常態的ニッポンのいまの現実。
また、あのような時代の温もりに回帰したくて
盆暮れ正月に日本人集団大移動を繰り返しているのは、
失われた「家族」という郷愁を、よき時代風景として美化しているのかも。
さらに住宅としてはどんな変化が、と考えて
符合すると思われる動きが、「平屋」や「コンパクト」という志向の高まり。
高度成長期の多家族数時代には、
総2階で「建築合理性」の高い建て方が選択されたけれど、
そういう合理性からはやや離れた選択肢として平屋や、
「コンパクトな家」への希求が顕在化してきている。
これらの住宅を取材すると、いつも基本的な住宅デザインが
夫婦2人のライフスタイル選択を基準にしていることに気付く。
子どもが生まれてもそれは一時の家族増加であって、
こどもが巣立てば、また夫婦ふたりだけの暮らしに戻るのだから、
という「生活合理性」の方に大きくシフトしてきている。

こうした「家族」の変容が引き起こしてくるであろう住宅の変化は、
しかし本番はむしろこれからであるようにも思われます。
で、ふとわが家を振り返ると夫婦2人暮らしで
83坪の4層、3階建て一部地下室付きというもの(泣)。
いろいろな諸条件からこうなったとはいえ、
日本人の主流からはかなり隔たっていることを痛感しております(泣)。

コメント
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