名古屋での新住協総会のセミナーなどの日程を終えて
その後は、現場見学などの日程が組まれていたのですが、
飛行機の時間もあって、そちらには参加せず帰る予定だったのですが、
少し、時間があったので、参加していた西方設計・西方さんからの情報で
名古屋城本丸御殿の復元の様子が公開されているよ、
というささやきに誘われて、見学してまいりました。
しかし、行った日には工事が休みと言うことで、
残念ながら、大工工事の様子などは見学できませんでした。
でも復元途中ではあっても、公開されている部分もあって
たいへん興味深く見学できました。
名古屋城というのは、
江戸時代の初めに、徳川家支配の象徴的な意味も持たせた
大公共事業として営まれたものであることが、歴然としています。
御三家として、徳川家の威光を示すということが目標の工事だったのでしょう。
これでもかという「無節」のきれいな木材がふんだんに使われています。
庭に面した開口部から入ってくる光が、バウンドしながら
室内の金襖に残影する様子は、陶然とするような光景。
しかし、こんなに節のない材料ばかり使っては
あまりにもムダが多すぎるのではないかと、そんな心配が頭をよぎります。
「木取り」の模型も上の写真のように展示されていましたが、
これを「無節」とするためには、歩留まりが当然悪くなる。
まぁしかし、そうは言っても、復元工事なので、本来あった状態に
復元していくことを考えれば、やむを得ない非エコロジーぶりなのか。
以下、名古屋市の復元計画の概要。
(1)復元方針
本丸御殿の歴史的意義を踏まえ、焼失前と同等の文化的価値を有するとともに広く
市民が活用でき、世界的な市民の財産となるように、
工期を3期10年で総事業費約150億円をかけて本丸御殿を復元するものとします。
(2)復元手法
焼失前の本丸御殿と同等の歴史的文化的価値を有する建物を再現するよう、
原則として旧来の材料・工法による、旧状再現を図るものとします。
なお、現代の技術や生産事情、活用方法や維持管理も考慮して取り組むこととします。
(3)復元時代設定
将軍の上洛に伴う上洛殿が増築されることにより本丸御殿の格式が
最も高まった寛永期(1624-1644)とします。
(4)建築概要
構造・階数 木造平屋建(書院造)
延べ面積 約3,100平方メートル
建築面積 約3,600平方メートル
ということで、本格的な完成は平成29年度で、30年に完成公開されるとのこと。
国家としての、正直な歴史をあきらかにする為には、
意義のある工事だとも思います。
しかし、こういう「威光を示す」という部分が、
見栄が優先されるような名古屋の地域風土になったのかなぁと
駅前の高級ショップ群と重ね合っても見えてきた次第であります(笑)。
おっと、貧乏人のやっかみになってしまいました。