写真は先日の十勝での住宅見学での様子。
この現場は、設計者は本州地区からの移住者で、
建て主さんも同様な方なので、
デザインにおいても和風の仕上げを希望されて取り組んでいる現場です。
ただし、住宅性能は落とすことなく、
北海道で必要とされるレベルを確保する努力をしている。
断熱と気密をしっかり確保して、和のテイストをどう出していけるのか、
たぶん、これからの北海道の住宅デザインの方向性のひとつには違いないと思います。
ここでは真壁の作りの内部と、大壁的な作りの「付加断熱層」の組み合わせで
基本構造を作り上げています。
で、この写真は「軒の出」の様子です。
詳細なデータは入手していないのですが、
この軒の出部分は非常に繊細な薄さ、ほっそりとした印象になっている。
このような仕上げの場合、軒の構造材には丹念な気密化作業が発生するハズです。
断熱は、この軒の出とは無関係に成立させるのでそのようになると思われる。
非常に面倒な作業になるけれど、
そこのところは一体どのように納めたのか?
興味を持ちました。
日本の家屋はこの「軒の出」の細さを競うようなところがある。
どうしてそのような傾向になるのかについては
論議があると思うのですが、
白井晟一さんの秋田県に遺された住宅を見学した記憶があり、
まさに軒の出の細さが強調されたデザインになっていた。
屋根の存在感が、まさに「かかっている」という語感に近いように迫ってくる。
ただし、無造作にこういうデザインを取り入れれば、
積雪寒冷地では、積雪荷重に耐えきれず軒は折れてしまう可能性が高まる。
であるのに白井晟一さんは秋田県内にこうした建築を多く遺している。
そういった日本の住宅デザインの流れを北海道で再現したいと思っているのか。
一度、設計者にお話を伺ってみたいと思いました。
ただ、そうしたこととはまた別に、
「軒の出」のほっそりとした印象、というものが
果たして、北海道の人に「日本住宅のデザインの特異性だという「伝統的認識」が
あるかどうか、そこもよくわからない。
数寄屋建築においては、それはそうだとは言えるけれど、
どうもそれは、北海道の人はそれほど価値を見いだせないかも、
と思う次第なのですね。どうなんでしょうか?
もうちょっと、考えてみたいテーマだと思いました。