三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

概算要求予算

2009年10月19日 08時06分15秒 | Weblog


民主党政権、いよいよ、問題の核心が見えてきたのか。
きのう、「行政刷新会議」の仙石大臣さんが、
テレビ朝日系の政治討論番組に出ておりました。
行政刷新、という言葉はいいし、その志はまことにいい。
その仕事の進捗状況をかいま見せていた番組なんですが、
行政の現在の行き詰まりの実態を見るようでしたね。
よく、官僚が悪い、というように簡単に言い切ってしまう風潮がありますが、
やはりことはそう、簡単ではない。
総体としてのシステム全体が、
いわば機能不全を呈していることが問題なのだと思えました。
たしかに、わたしたちが日頃接している「住宅行政」という部分を見ていても、
同じように感じてくる部分があって、
そうか、このようなことが、どこでも起こっているのが現状なのだ、
っていう印象を強く持った次第です。

住宅の政策でいえば、
現場と乖離した政策行政になっていて、
目的に合致しない施策が山ほどある、ということなのです。
そしてそれらは、ひとつひとつ見ていると、
それぞれすべてに必然性があって、簡単に否定できるものではないのです。
長期優良住宅法、という法律が6月に成立したのですが、
そこでは、耐震等級2を遵守すること、という規定が盛り込まれていました。
このことは、たぶん、国の政策目標として、
継続的に取り組まれてきたことなのだろうと思います。
しかし、その法律は作ったけれど、実施段階でどのようなことが起こるか、
どうも施策の行政側には見通すことは出来ていないと思う。
で、実際に起こっているのは、
この法律に合致させるためには、
木造住宅でも「構造計算書」を作成するということになったこと。
これも、法律が示されて、事業者が実際に自分の申請する建物と
照らし合わせて、詳細に検討しなければ、すぐには判明しなかった。
一応、簡易な方法というのも示されていたけれど、
すぐに、使えない代物と判明した。
で、大急ぎで構造計算事務所に駆け込んで、20万円ともいわれる費用を掛けて
みんな計算書を作り上げた。
なかには、不慣れなソフトを扱うことで、
過重な設計要求が計算結果として出たりもしたそうです。
まぁ、そのように出てきた申請が、今度は受理する側の不慣れで、
申請許可がなかなか下りない、ということが起こった。
遅延が常態化して、現場は着工できない、という現実になった。
本来、景気刺激としての政策としてはじめられた施策が、
現実には、長期優良不況、というような言葉までささやかれるようになってきた。
そういう現実がありますが、
どうも、仙石大臣のドキュメントを見ていても、
同様の病根が、あらゆる場面で噴出しているようだと思いました。
まことに根が深い、と思わざるを得ない。
行政刷新、というのは、このようなシステムをそのプロセスごとに
解剖して、システムとしての改善方法をみつけるという
ちょっと気の遠くなるような作業だと思います。
時間がかかる・・・。しかし、時間は掛けられない。

現場的に見ていても、さてどうやったら改善できるのか、
なかなか、口で言うほど簡単なことではないと思います。
いわんや、官僚が悪い、という簡単な断罪で終わらせられる問題でもない。
しかし、道は遠くとも、普通の感覚を大切にして、
民主党政権は、頑張って欲しいと思いますね。


<写真は、落葉の散歩道>




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