三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

耐震偽装からの脱出

2008年01月16日 06時42分37秒 | 住宅取材&ウラ話

事務所の斜め向かいに高層マンションの工事現場があります。
例の耐震偽装問題が相次いだ時期に着工され、
その後、長い間放置されていました。
基礎の工事が大規模に行われ、3階分くらいの地下掘削も行われる大規模MSでした。
確か、20階を超えるマンションのようでした。
その工事現場が、最近ふたたび動きだし、
きのう、見ていたら、既存の造作部分、たぶん、4階分ほどの
立ち上がりが重機で解体されていました。
とはいっても大型の工事なので、
解体自体もけっこうな時間が掛かりそうで、
へたすると1週間では済まないかも知れません。
聞いた話では、やはり偽装を告白した建築士が構造設計に関与していたそうで、
デベロッパーとしては、解体しての建て替えを選択したようです。
この間で、近隣500mほどの距離地点に別の会社の高層マンションも建てられることが決まって
モデルルームも公開されている中での工事再開。
他人事ながら、かなり厳しい工事再開と察せられます。

しかし、相当の敷地、たぶん2000坪を超えるくらいの近隣敷地が
工事途中で放置されている、というのも考え物。
まぁ、応援するわけではありませんが、
なんとか工事再開になったのは、喜ぶべきことではあるかも知れません。
この耐震偽装問題を契機として、
建築基準法とその運用が大きく様変わりし、
昨年は拙速との批判がある新法の施行にともなう大混乱で
「建築基準法不況」というかたちで建築業界へのしわ寄せが露呈しました。
建築着工数が1~2割程度落ち込み、
中小零細の事業者は厳しい状況にも追い込まれているのが実態。
住宅業界でも、都市部での3階建ての確認申請が大きく滞り、
大手ハウスメーカーなどでも、売上を大きく下方修正せざるを得ない状況。
最近の経済指標にも、この問題による景気への影響も顕著に出ていました。
サブプライム問題での景気後退もありますが、
実態としての経済への影響もあって、株価の低迷などに繋がっている部分。
国土交通省も、当初の危機感のなさからは脱却し、
相当手厚い施策をやらざるを得なくなっている局面になっています。

解体され、瓦礫と化す構造物を見ていて、
なんともいろいろな思いが見えてくる解体現場の様子でした。

コメント
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