三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

盛岡再生5_解体

2006年04月13日 06時18分06秒 | Weblog

さて、盛岡での住宅再生型リフォーム工事。
いろいろ寄り道しながら連載しているので、なかなか進展しません。
すいません。工事写真がたくさんありすぎて、いろいろな写真を発見して
その都度テーマが出てくるという状態(笑)ですので、ご容赦を。
きょうは解体工事です。
リフォーム工事で、事前に完全にその家を把握することが難しいのは
「解体してみなければ、どうなっているのか実際にはわからない」
というポイントがあります。
この家の場合、写真左のように、鉄骨の梁が解体してみて初めて発見されました。
また、右写真のように、構造材の腐れなどが発見されて
それを取り替えたりしなければならない、ということにもなります。
ですから事前に、そうしたすべてのことを「見積もり」しきれないわけですね。

この問題、実はもっと複雑で、困る問題なんです。
リフォーム希望の住宅でよくあるのが、図面などが一切ないケース。
注文住宅であれば、建築時点では建築会社から渡されると思うのですが・・
いや、きちんと渡されていない場合すらある。
また、それをきちんと保管するという建て主さんも少ない。
途中で売買されて、その時点ですでに図面が引き渡されない。というケースもある。
また、もっと問題なのは、たとえ図面があっても、
最終的な出来上がりの建築仕様が、記載されていないのが一般的だと言うこと。
え~~っ、と思われるかも知れませんが、多いんです。
多くの場合、「建築確認申請」のために、工事より前に、図面というのは作られるのですが
建築確認申請を通ってしまった後、通常、いろいろな「変更工事」が行われるのです。
まぁ、「軽微な変更」であれば、それほど問題ではない、となるのですね。
極端に言えば、現場で大工さんと打ち合わせて、変更しちゃうケースまである。
どうなっているのか、確認することすら困難になっている。
そのうえ、そういう変更工事の一切を図面化する、という法的根拠になる仕組みがない。
ですから、完全な現状仕様を図面化するというのは
多大な手間だけ掛かって、工事側にはメリットがないんですね。

いま、北海道建設部建築指導課では、こういう問題に対して
建築時点のその家の記録をきちんと残そう、という働きかけを始めています。
以前なら、まだしも住宅金融公庫の申し込み時点で、
図面などの提出が必要だったけれど、いまはそういうチェック段階すら
なくなってきているという、現実があるんです。
中古住宅として、もし売買することを考えたら、このことの重要性は
おわかりいただけますよね。
現に、不動産屋業界からは、そういう資料などがきちんと保管され、
客観的に性能がいい、という証明が可能な不動産物件は
そうでない物件より、高値での売買も可能だ、という声を聞くことがあります。

まぁ、住宅の「証明書」みたいなものになりますね。
残念ながら現状では、そういうものが、整理されるような仕組みすらきちんとなっていない、
ということになっているのです、う~む、む、む。
コメント
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