事務所は、オール電化で建てました。
設計者といっしょにそのことをどういうようにデザイン表現しようか、考えました。
内部でもいろいろなことを考えたのですが、事務所でしかもミニイベントなどの施設としても使いたいという希望もあったので、けっこうファサード表現も重要。
そこで考えついたのが、古い木製電柱の再利用。北海道電力さんに聞いたら「なんも、協力しまっせ」とありがたい言葉。
電気が果たしているやわらかく暖かな雰囲気を、古電柱を外部照明として再利用することで表現できないかと思ったわけなんです。
以前の三内丸山の話題のときにも書きましたが、日本の掘っ立て技術というのは世界有数なんだとか。実はそれ、この工事の時に、教えてもらったのです。
右側は工事途中のものですが、実物の古電柱を半分に切ってもらったものを6本立ててもらいました。いまは、コンクリートで基礎の枠を固めてから立てます。むかしは一生懸命、立てる場所の土を付き固めたんだそうですが。
そこに立ててから、土で脇を固めて、しっかり付き固めるわけですね。いまは天圧機で作業できますが、むかしはひたすら人力での作業でしょうね。仕上げに砕石を敷いて完了。
むかし、というかいまでもどこかにはあると思いますが、街頭照明の、あのランプシェードを探してきて、ごらんのようにつけた次第。 って、これがけっこう大変だったみたいで、品番の確認からして大変だったと思います。 「え、あんなもの、何で今頃、注文すんのさぁ?」と、信じてもらえなかったのだろうと思います。
仕上げに、電線のたわみ具合にもこだわって、電気工事屋さんにお願いして、やわらかい曲線にしてもらいました。
電気が人間の社会に登場して、家に届けられるようになったレトロな時代のたたずまいを意識したデザイン。
ベースになった古電柱、表面炭化の具合もいい味わいを見せてくれています。
こんな、おかしな計画に大まじめに取り組んで、しかも笑いながらもそれぞれ真剣に、真摯に尽力していただいたみなさんに感謝しています。ちょっと大げさかなとは思うんですが、こういう職業的良心・誠実さが、地域に残していくべき「製造業」というものの一部分かと思う次第。
みなさん、どんなふうに感じられるでしょうか?