長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

検証・ニャニャニャの猫娘ヒストリー ~『ゲゲゲの鬼太郎』サーガより~ 「ね」の章

2010年11月27日 22時48分23秒 | ゲゲゲの鬼太郎その愛
 ボンソワ~ル。そうだいです。秋ももう終わりなんでしょうか。日が暮れてからほんとに寒くなってきましたねぇ。
 今日も、夜に東京に行ってお芝居を観てきました。早稲田の学習院女子大学構内で上演された、ポかリン記憶舎の第17回公演『冬の穴』です。
 作品本編のほかにもおもしろい要素がいろいろあって、お客さんといえども入構許可証が必要な女子大に入るというイベント感があったり、敷地が地方ほど広くない都内の大学だけあってビルのような高層な学部棟が林立している様子に圧倒されたり。公演の会場も不思議で、構内にあるホールではなく、ホールの入り口エントランスで芝居を上演するというフェイントの妙。お話の舞台として、空間の間取りがとてもおもしろく活用されていました。
 作品の内容もおもしろかったのですが、惜しむらくは、私のとなりにものすごくかわいい女子大生(友だちとの会話から類推するに早稲田大生か)がいたため、芝居に集中することができなかったところでしょうか。残念!
 もう、気になっちゃって気になっちゃって……もちろん、しげしげとはながめられなかったのですが、もんのすごく気になる! 浜崎あゆみさんがノーメイクになって、ヒョウ感が20%アップしたような顔立ちの娘さんでした。
 さすがネコ科顔。上演中は微動だにせず、じーっっと舞台を前のめりになって見つめていました。あれよ、ネコの、「あ、あんた、人間が見えないもの見えてるでしょ!」といった感じで虚空を見つめている表情よ。Oh,It’s ミステゥリアス!

 好きなんですねぇ、こういう顔! なにもかもお見通しなんじゃないかと思わせるその眼光。意外と感情豊かではあるんだけど、基本的にクールな表情とその身のこなし。ある時はシャシャッと目にもとまらぬ素早さで跳躍し、そうかと思うと天気のいい日にはボヨ~ンと日だまりに丸くなっている……そんな猫と、それを思い起こさせるネコ顔の女性。クール、スマート、オフの時には思いっきりオフ! そのイメージにあこがれちゃうんでしょうか。

 ネコつながりですし、前回に『ゲゲゲの鬼太郎』関連の話もしたので、今回は「鬼太郎」サーガに欠かせない存在となっている「猫娘」のことをつづってみたいと思います。
 猫娘! 大好きなんですよ、このキャラクター。そんなに数多くアニメを観ているわけでもないので大きな口はたたけないのですが、私が好きなアニメの女性キャラクターの中でも、ランキング第2位に入っているお方です。そんな猫娘さんをおさえてランキングトップになっているのは……そちらのお話は、また機会をあらためて。

 ところがこの猫娘、実は現在の「鬼太郎のフィアンセ」「鬼太郎サーガのヒロイン」という不動の位置をおさえるまでには、非常にけわしい山あり谷ありの道ゆきをたどらなければならなかった、マンガ史上屈指の苦労人キャラクターでもあったのです。
 1980年代生まれの私にとって、もっとも印象に残っている猫娘はというと、1985~88年に放送されたアニメ第3期版『ゲゲゲの鬼太郎』(鬼太郎の声・戸田恵子)にレギュラー出演していた猫娘(声・三田ゆう子)です。しかしこの第3期のヒロインは、猫娘ではなく真人間の天童ユメコというオリジナルキャラクターでした。
 2007~2009年に放送されたアニメ第5期版では押しも押されもせぬ「萌え萌えヒロイン」と化していた猫娘は、いったいどんな経歴をたどって今の地位を築きあげたのでしょうか? その歴史をひもといてみましょう。

 まず、すべてのいできはじめの親・水木しげるが、『ゲゲゲの鬼太郎』のもととなった『墓場鬼太郎』をはじめて描いたのは1954年のこと。最初はマンガでなく紙芝居というかたちでした。
 さらに言うと、『墓場鬼太郎』の物語は水木しげるがゼロから創り上げたものではありません。もともと別の紙芝居作家さんが描いていた『墓場奇太郎』という物語の設定を水木先生がゆずりうけたのだそうです。残念ながら、その先生のものも水木先生のものも、紙芝居作品は現存していません。
 さらにさらに言うと、「鬼太郎サーガ」のうちの記念すべき第1話「鬼太郎の誕生」の大筋は、江戸時代から伝えられていた怪談『飴屋幽霊』がもとになっています。つまり、「ゲゲゲの鬼太郎」は江戸時代生まれのキャラクターともいえるわけなんですな。

 さて、『墓場鬼太郎』は水木先生の手によって、紙芝居から貸本(1959~64年)、そして貸本から連載マンガ(『週刊少年マガジン』1965~69年)、さらに第1期アニメ版(1968~69年 モノクロ)へと、みるみるうちに立派な国民的マンガへと成長していきます。
 ここで、鬼太郎の歴史の追跡はいったん中断して本題。猫娘が鬼太郎ファミリーにめでたく加入したのはいつからなのか?
 実は、第1期アニメまでの段階で、猫娘はまだレギュラーキャラにはなっていません。他の、砂かけ婆や子泣き爺、一反もめんや塗り壁といった連中も、マガジン版原作の『妖怪大戦争』というシリーズ屈指の一大エピソードには出演していますが(猫娘は不参加!)、レギュラー登場はしていないのです。
 今ではすっかり有名となった「鬼太郎ファミリー」が形づくられていくのは、1971~72年に放送された第2期アニメ版(こっちはカラー)と、同時に連載が開始された『週刊少年サンデー』版の原作マンガからです。鬼太郎、『マガジン』から『サンデー』への電撃移籍。すげぇ!(1986~87年連載の『新編 ゲゲゲの鬼太郎』では、再び古巣の『マガジン』に帰ってきています。)
 ついでに言っておくと、第1期アニメ版までにレギュラー出演できていたのは、鬼太郎、目玉の親父、そしてねずみ男の3人のみです。シンプル&むさい! このへんのテイストは、数年前にフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」でアニメ化された貸本版「鬼太郎」をもとにした『墓場鬼太郎』をごらんになるとわかりやすいんじゃないでしょうか。でもはっきりいって、原作マンガ版の方が100倍おもしろいけどね! 『墓場鬼太郎』の鬼太郎はダーティですよ……いっつも片頬で笑ってるふてぶてしい顔つきだし、つぶれてる左眼は髪の毛でかくしてないし、平気で他人を地獄におとすし(比喩じゃなくてガチで地獄送りにする)、小学生なのにヘビースモーカーだし……みなさん、『墓場』の鬼太郎の長距離の移動手段ってなんだか知ってます? 『ゲゲゲ』の鬼太郎だったら一反もめんかカラスコプターですよね? 『墓場』の鬼太郎は「盗んだバイク」なんですよ。目玉の親父も公認の不良小学生です。

 このように、蝶よ花よともてはやされるヒロインとして最初から登場していたわけではなかった猫娘なんですが、現在活躍している彼女のモチーフとなった別のキャラクターは貸本版の『墓場鬼太郎』に登場していました。
 これも、「ノイタミナ」の『墓場鬼太郎』でおぼえている方も多いかと思うんですが、人間の世界で生活することにした鬼太郎父子が下宿した三味線屋「ねこや」のひとり娘・寝子(ねこ)がそうです。アニメ版の声優はご存じ!中川翔子先生が担当。
 寝子は、鬼太郎が入学した小学校の同級生でもあり、白いブラウスに赤い吊りスカートというおしゃれなファッションの似合う、普通の人間の女の子です。服装こそのちの猫娘と同じものですが、髪型はロングヘア、まつげが長くうれいをおびた大人っぽい表情、小学生にしてはスラッと背の伸びたモデル体型と、ごく正統派のマンガヒロインといった感じです。
 一見、猫娘とはほど遠いイメージがあるのですが、この寝子は先祖代々ネコを殺して三味線を作ってきたことによるたたりから、魚やネズミのにおいをかぐと凶暴な猫娘に変身してしまうという奇病にかかっていたのです!
 こういった「奇病を持った人間」という寝子のキャラクター設定は、水木先生が1958年に発表した貸本『怪奇猫娘』の主人公のものを継承しています。
 ひとつ屋根の下に同居している鬼太郎はそんな寝子の秘密に、幽霊族(人類とは違う地球の先住民族)の最後の生き残りである自分の普通でない境遇を重ね合わせて同情し、寝子もまた、鬼太郎の理解に好意を寄せるのでした。いい感じの仲です。
 そんな特異体質をひた隠しにしながら新人歌手としてデビューする寝子(現役小学生)だったのですが、鬼太郎をおとしめようとするねずみ男(ここでは敵!)とニセ鬼太郎の奸計により殺されてしまいます。キッツい展開!
 鬼太郎は黄泉の国にわたって寝子の魂を現世に連れ帰ろうとするのですが、あたりかまわずネコに変身してしまう自分の呪われた体質にほとほと嫌気のさした寝子は、現世に戻ることを拒否して黄泉の国にとどまるのでした。
 鬼太郎よ……小学生の身としてはあまりにつらい失恋です。これが、のちに正義のヒーロー「ゲゲゲの鬼太郎」となる彼のパーソナリティにおよぼした影響は甚大なものがあったことでしょう。

 こうして、異常な境遇に生まれた鬼太郎は親父以外の唯一の理解者であった寝子を失ってしまったわけなんですが、めげずに全国をさすらいはじめ、妖怪の悪行に苦しむ人々、もしくは人間社会の増長に苦しむ妖怪たちを助けるダークヒーローとしての活動を開始するのでした。最初の出会いでの相性は最悪だったねずみ男も、いつのまにか腐れ縁のように行動をともにする、かけがえのない「強敵と書いて“とも”と読む」関係になっていくのでした。

 さぁさぁそれでは、現在は鬼太郎のフィアンセとなって、キャンギャルやラーメン屋などのアルバイトを通して人間社会の学習にいそしんでいる「猫娘」は、いつどのように鬼太郎サーガに登場したのか?
 「ニャニャニャの猫娘」の、いよいよ核心にせまっていく内容は次回ということで! おったのしみに~ん。
 

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