長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

記念すべき我が生涯初ビックリ映画 『サイコ』(1960年) やっととば口

2011年09月14日 14時48分25秒 | ふつうじゃない映画
 あづいっす。どうもこんにちは~、そうだいですぶすぶすぶ。
 まいりましたねぇ、まさかこんなに暑い日が続くとは……そりゃまぁ、1ヶ月前にくらべたらいくぶんかは手加減してもらってるんでしょうけど!
 この、何もしてないのにじわじ~わと身体の水分が失われていく感覚がたまんないねぇ。今日もクーラーのかかっている場所で働けるのが本当にありがたいです。


 え~、数回前からつらつらと思い出話ばっかりつづっているわけなんですけどね。ガシャポンとかホラー映画とかヒッチコック監督関連の。

 実は、このあたりの話をしようかと思いついた時には、
「そういうわけのわからないガシャポンが、SDガンダムのブームに隠れてひっそりと発売されていて、それにハマッてしまったのが私のホラー映画好きのきっかけだった。」
 くらいのガシャポンまわりだけの話題だけでチャッチャとおしまいにしようかと思っていたんですよ。

 何がきっかけだったのかはよくおぼえていないのですが、今月のはじめ、ある涼しい風の吹く夜に唐突にあのホラーガシャポンシリーズのことが頭に浮かんできました。この『長岡京エイリアン』ではまったく別のことをつづっていた時のことです。

「よおーし、次はガシャポンの話にしよう。じゃあ……フロはいるか。」

 私の住んでいるアパートは増築に増築をかさね……とは言いすぎなのですが、ある程度は歴史のある建物のようで、外からざっと観ても、1階の部屋の間取りと2階の部屋の間取りとがずいぶんと違っているように見えます。
 特に私のいる部屋は奥の独立した位置にあって、もともとあったトイレしかない間取りにバスルームを増築したような構造になっているのです。そのため、だいぶ家賃も安くてそれなりに古い部屋ではあるのですが、いちおうトイレとお風呂が「セパレート」になっているのがちょっとした良さになっているのです。
 これね、私はとってもうれしい! 昔、大学時代に4年間住んでいたアパートは新築だったんですけど、トイレとバスルームがいっしょになっているユニットバスってぇのがあっしは苦手でねえ。洗い場が狭くって、思いっきりシャワーを浴びるのに気が引けてしまうのが好きじゃなかったんです。

 まあとにかくね、そんな(アパートの安さに比較すると)広く感じるお風呂に、その時も入ってビバノンノンとしたわけです。昭和の表現だねい。
 で、すっきりした気分でバスルームから出てきて足ふきマットの上にのっかり、それから私は右足を1歩踏み出してちょっと離れた場所にあるバスタオルをつかみました。
 んで、バスタオルを頭にひっかけながら、踏み出した右足をまた足ふきマットに戻そうと思って、すっとひいた。すると、

ふらっ、がつん。

 あ痛っ。キッチンに足をぶつけちゃった。

 1歩踏み出してバスタオルを取るという動きは、お風呂に入った時にはいつもやっている行動だったのですが、その日にかぎって、戻るときにちょーっとだけよろめいてしまって、戻す右足を近くにあるキッチンの下のカドにぶつけてしまったんですね。
 かかととアキレス腱のつなぎ目のあたりに鈍痛が。

 でも、昔から「タンスのカドに足の小指をぶつけた」系の小事故が発生した時には、「痛がると、この小事故をくわだてた小悪魔的ななにかの思うつぼなので、怒りをもってノーリアクションでとおす」という対応をしていた私は、この時も足の痛みをガン無視して髪の毛をくしゃくしゃとバスタオルで拭いていました。
 足の小指とはまた違った種類のしつこい痛みを感じながら濡れた髪の毛を拭いて、そろそろおさまったかな?と、身体を拭くついでにちらっと問題の右足首を見てみたら。

「あ……足首が……赤い?」

 ギャー切れちゃった! 血ぃ出てる血ぃ出てる。
 あわてて私はバスルームに引きかえし、シャワーで傷口を洗い流すことに。

しゃ~……

 言うまでもなく、ぶつけて切っただけだったので傷はあさかったのですが、全裸でバスタブに腰かけながら、出血が止まるまで3分間シャワーに濡れつづける自分の足元を見つめているという、疲れきったバブル期のOLみたいな体験をしてしまいました。

しゃ~……

 3分間という短い時間だったし量だってたいしたことはなかったのですが、足首から流れ出るあざやかな赤い血が白いタイルをすべり、渦を巻いて排水口に消えていきます。ケガをして血を流すのは当然ながらやりたくないことなのですが、「流れる血」というのは良かれ悪しかれ見るものに不思議な影響を与えるものです。ぶるぶる。
 そして、その時ふっと思っちゃった。

「そうだ、ガシャポンからつなげて『サイコ』までいっちゃおうかな。」

 ふらっとよろめいてケガをしたのは正真正銘の偶然だったのですが、「シャワールームの血」を見ちゃったらさぁ。そうなるっしょ。これもなにかの「縁」ですよ。
 ダメ押しになったのが、血が止まったあとであわてて部屋の引き出しから取り出したバンソーコーで、いくつかあった中からつかんだのが、

昔、友人からもらった映画『ハンニバル』公開記念の「レクター博士バンソーコー」

 ほんとにあったんだぜ、こんなの。
 ただ、「にやっと笑うレクター博士」がプリントされてるだけのバンソーコーなんですけど、さすがはオスカー俳優。気持ち悪い存在感がハンパありません。
 ちなみに、次の日にくだんのバンソーコーははがして捨ててしまったのですが、今わたくしは、この「レクター博士エディション」を使ってしまったことを心の底から後悔しています。でもさぁ……これを使うとしたら今回みたいなヘンな時が最適だったと思うんですよねぇ。もしくは人にかみつかれた時。

 ともあれ、足首に一泊することとなったレクター博士をながめて私の脳裏に去来したものは、

「うん、これは絶対に『サイコ』までいかなきゃ!」

 という決心でした。
 まぁ……ケガもバンソーコーチョイスもすべて私がやってるんですけど、でも、へんな「シナリオライター」の存在を感じる体験って、あなたもしたことありません? 私だけじゃあないと思うんだけどなぁ。


 とにかくですね、長くなりましたがそんな「変な体験」をしてしまったものですんで、「ホラーガシャポン」の話題からずるっと「ヒッチコック」を経由して今回の映画『サイコ』にいたる次第となったわけなのですよ。

 さぁ、本題です。
 中学生だった私は、前回にも触れたような入り方でちょこちょこっと「サスペンス・スリラーの神様」アルフレッド=ヒッチコック監督のマスターピースを観るようになったのですが、その少ないサンプルの中から私がなんとなく作りあげたヒッチコック監督のイメージは、

「お上品なエンターテインメントの名手」

 といった感じでした。
 当時、1990年代前半の日本のTVドラマは、昭和にくらべるとだいぶおとなしくはなっていたのですが、現在から見てもまだまだあからさまに過激な描写を含んでいたサスペンスものがよく放送されていました。
 まぁ要するに、「なんとかワイド劇場」の「なんとか一耕助シリーズ」とかそのお孫さんのシリーズとかなんですが、殺害シーンが直接えがかれて「口から血ブハー!」やら「首がチョンってなってピュー!」やらがブラウン管いっぱいに展開されることがザラだったのです。関係ないけど、深夜のお色気バラエティ番組も今より内容が過激で、出るもん出てましたよね。

 それと比較すると、ヒッチコック監督の諸作は殺人シーンが意図的に淡泊に処理されています。ほとんどの場合では「人が殺される瞬間」はカメラにおさめられることなく「殺人を示唆する動作や雰囲気」までにとどまっており、直接えがかれたとしても、相手の持っているピストルから煙が出たとたんにバタっと倒れるとか、首に巻きついたロープが締めつけられたらちょっとバタバタもがいてすぐに動かなくなるとかいう簡単な動作に終始しており、「はい、ここで死にました。」みたいなそっけない記号的表現に徹しているんですね。

 これは、ヒッチコック監督がバリバリ活躍していた1920~60年代の欧米のメジャー映画界にあった倫理コードの問題もあったでしょうし、当然ながら撮影技術にも限界があってリアルな人の死を再現できないということもあったかと思います。
 でも、やっぱり第一にあげられるのは生粋チャキチャキのロンドンっ子だったヒッチコックさんご自身のポリシーが、殺人描写よりも「そこまでいく雰囲気」をフィルムにおさめることに心血を注ぐものだったからなのではないでしょうか。
 確かに、その頃から「殺人描写」をバッチリえがく過激な映画もあるにはあったのですが、そういった作品は現在から見ると当時の撮影技術のチープさだけが目立つものになってしまい、今でも「古典」として楽しむことができるヒッチコック監督の作品以上に古くさくなって観るに耐えないものになっている場合がほとんどです。まさに「子どもの頃からふけている人は、大人になってもなかなかふけない」。

 とにかく、そんな感じで「お上品、安心してハラハラドキドキを楽しめるブランド」という勝手なイメージをヒッチコック監督にいだいていた私だったのですが、ある意味でそんな甘い読みをドンガラガッシャ~ン!!とくつがえしてしまったのが。

『サイコ』(1960年6月 白黒映画)

 だったんですねぇ~。

 前回にも触れたように、いくつかの情報バラエティ番組で「ヒッチコック監督伝」を観たことがあったのですが、それらで一貫して、

『サイコ』と『鳥』はハンパねぇよ~。

 という前情報が流れていたことを強烈に記憶していた私は、ついに満を持して、恐る恐るながらも親に頼み込んでレンタルビデオ店にあった『サイコ』を借りてきてもらうことにしました。まだ未成年で自分のカードを持てなかったですからね。
 そしてVHSテープをがちゃこんとビデオデッキにさし込み、固唾を飲んで正座する私の眼前に展開された映画『サイコ』の世界とは……

じゃん!じゃん! じゃらっじゃん! じゃらじゃらじゃら……

 うひぇえ~、なに、このむちゃくちゃ恐いオープニング!?
 いったいどんな恐怖の物語が繰り広げられるというのでしょうか。

 てな感じで、問題の『サイコ』驚愕の中身は、誰がなんと言おうと次回に続く~っ!

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