長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

私の人生のすべては、ここから始まった……たぶん  映画『霊幻道士』  ~やっぱ資料だけ~

2013年07月31日 10時56分01秒 | ホラー映画関係
映画『霊幻道士』(1985年 香港 96分)
 ※原題『殭屍先生 Mr.Vampire』

監督 リッキー=ラウ(サモ=ハン=キンポー監督作品の撮影監督だった。本作が初監督作品)
脚本 シートゥ=チャホン
製作 サモ=ハン=キンポー(33歳)
武術指導 ラム=チェンイン、ユン=ワー

配給 嘉禾電影有限公司(ゴールデン・ハーベスト)

公開 1985年11月(日本公開 1986年4月)

制作費  850万香港ドル
興行収入 2千万香港ドル

 『霊幻道士(れいげんどうし)』は、1985年公開の香港映画で、チャイニーズアクションホラーコメディ。日本での公開は1986年4月で、観客動員数20万人。
 サモ=ハン=キンポーが監督と主演を兼任した香港映画『妖術秘伝 鬼打鬼』(1980年)の系譜に連なるアクションホラー映画。
 中国古来の伝承に登場する妖怪「キョンシー」を物語の主軸に据え、特殊効果とカンフーアクションを織り交ぜたコミカルなホラー映画として「キョンシーホラー」と呼ばれるジャンルを作り上げ、後に続くキョンシーシリーズの基礎を確立した。
 香港、台湾、日本などで大ヒットを記録し、その後『幽幻道士 キョンシーズ』シリーズ(1986~92年 台湾)などの無数の亜流作品が各国で製作されることになる。
 『妖術秘伝 鬼打鬼』との関連性から「サモハン・ホラー第4弾」として扱われるが、この作品以降は「霊幻道士シリーズ」として独立する。

ストーリー
 19世期中期~20世紀初頭の中国。ある日、街の富豪ヤンから父親の墓の改葬を依頼された道士コウ。ところが、墓を掘り起こしてみると、遺体は20年間も埋葬されていたにもかかわらず全く腐敗していなかった。ヤンの父親は生前に大きな恨みを買っており、呪いで風水的に誤った方法で埋葬されていためにキョンシーになりかけていたのだ。
 呪いが進行して危険な状態であると悟ったコウが遺体を引き取り処置を施そうとするが、弟子のミスによって遺体は完全にキョンシー化し、安置所から姿を消してしまった。
 その夜、ヤンはキョンシーとなった父親に襲われて殺害され、翌日に現場捜査に訪れたヤンの甥の保安隊長ウェイの勘違いで、コウは殺人容疑者として逮捕されてしまった。

登場人物
道士コウ …… ラム=チェンイン(32歳 1997年没)
 ※日本語版吹替 …… 青野 武(49歳 2012年没)

弟子モンチョイ …… リッキー=ホイ(39歳 2011年没) 
 ※日本語版吹替 …… 古川 登志夫(39歳)

弟子サンコー(日本語吹替版ではチュウサム)…… チン=シュウホウ(?歳)
 ※日本語版吹替 …… 塩屋 翼(27歳)

富豪ヤン …… ウォン=ハー(?歳)
 ※日本語版吹替 …… 嶋 俊介(53歳 2003年没)

ヤンの娘ティンティン …… ムーン=リー(20歳)
 ※日本語版吹替 …… 佐々木 るん(29歳)

保安隊長ウェイ …… ビリー=ラウ(30歳)
 ※日本語版吹替 …… 屋良 有作(37歳)

コウの弟弟子の道長 …… アンソニー=チェン(33歳)
 ※日本語版吹替 …… 仲木 隆司(49歳)

がめつい米屋の主人 …… ウー=マ(43歳)
 ※日本語吹替 …… わかんなかった(よく聴くおじさん声なんだけどなぁ!)

董小玉(日本語吹替版ではシャンシー)…… ポーリン=ウォン(23歳)
 ※日本語版吹替 …… 小山 茉美(30歳)

キョンシー(ヤンの亡父)…… ユン=ワー(35歳)

用語
キョンシー(殭屍)…… 吸血ゾンビの一種。この世に恨みや怨念を残して死んだ者や、風水的に間違った方法で埋葬された者の死体が成仏できずに甦ったものである。

コンシー(乾屍)…… 中国の道士や道長が法術を用いて、人間の死体を指示するままに動かせるようにしたもの。多くの場合は、遠方で死去した旅人の遺体を効率的に故郷に帰すために利用された移動手段だったが、適切な処置をおこたるとコンシーもまたキョンシーとなり生きている人間を襲うようになる(日本上映版の劇場用パンフレットのために、日本の配給会社・東宝東和がオリジナルに創作したネーミングだが、直接の関係はないものの、中国にはミイラ化した妖怪という意味の「乾屍」の伝承は存在する)。

バンバンシー …… キョンシーに殺害されたために死後に吸血ゾンビになってしまったもの(日本上映版の劇場用パンフレットのために、日本の配給会社・東宝東和がオリジナルに創作したネーミング)。

シャンシー …… 若くして死亡したためにこの世に強い未練を残して死んだ女性の死霊で、自分の気に入った生きている男性の前に実体を持った美女として現れ、誘惑して魂を奪い取ろうとするもの(日本上映版の劇場用パンフレットのために、日本の配給会社・東宝東和がオリジナルに創作したネーミング)。

道士 …… 体術と法術をよく修め、キョンシーに関係する仕事に従事する呪術師。義荘(ぎそう 道教の宗教施設兼遺体安置所)に住んでキョンシーの退治と供養を専門とし、時には風水や占術の相談も受け付ける。

道長(どうちょう)…… 旅先などの遠方で死亡した者に法術を施して一時的にコンシーにし、それぞれの故郷へ送り届ける移動隊を先導することを専門とする道士。

義荘 …… 何らかの理由でキョンシーになる可能性のある人々の遺体と位牌を引き取って安置し、然るべき供養が行われる霊廟で、道士の自宅でもある場合が多い。

道袍(どうほう)…… 道服または道衣、道士着とも呼ばれる、道士が身にまとう法衣。形状、模様、布地の色などは道士によって様々であるが、色は主に黄色で背面部に太極(陰陽)図を配置する共通点がある。儀式やキョンシー退治を行う際の道士や道長は必ずこれと冠巾を着用しており、道袍自体にも邪気を祓い災厄を退ける霊力が込められている。

冠巾(かんきん)…… 道袍と共に着用する冠。道士によっては冠ではなく帽子や頭巾であるなど、道袍と同様に形状は様々である。

お札 …… 黄色の紙に鶏血で呪文を記した呪符。非常に強力な退魔の法力を宿しており、キョンシーの額に貼り付けて動きを封じる基本的な使い方の他に、霊力を込めて点火してキョンシーを炎で焼き尽くす、家の窓や扉などに貼り付けてキョンシーや悪霊などの侵入を防ぐ護符として使うなど用途は様々である。道士でない者でも充分な効力を得られる道具の1つである反面、文字がかすれていたり破れたりすると効力が消えるという弱さも持ち、凄まじい怨念と邪気を放つキョンシーに対してはほぼ無力である。

鶏血(けいけつ)…… 雄鶏の生き血。鶏血自体にキョンシーを退ける力があり、お札や墨壷に用いる液体を作る上で重要な材料。

もち米 …… 魔除けの力を持つと同時に、キョンシーの毒を吸収して浄化する作用がある。微弱ながらキョンシーを退ける力を持つが、加熱の際に煙に当たると効力が失せる。

ライチ(茘枝)…… 邪気を浄化する力を持つ植物。木や枝はキョンシーとなった遺体を火葬するために最適とされており、葉は法力を込めて目に当てる事で悪鬼の正体を見抜く天眼通の力を発揮する。

墨壺(すみつぼ)…… 本来は建築工事などで用いられる工具。壺糸を紐状に強くし、壺の中身を鶏血と墨汁を混ぜた液体に置き換えたもので、キョンシーを安置した棺を封印する際の線引きに用いる他、結界や武器としての利用も可能。

八卦鏡(はっけきょう)…… 吉凶を占う作用を利用した特殊な鏡。月光を集約して法具に霊力を込める、またはキョンシーや悪霊を映し出して邪気を反射する目的などで用いられる。

桃剣(とうけん)…… 悪鬼を祓う力を持つとされる桃の木を削り出して作られた木剣。銭剣と共に儀式で用いられる法具であり、同時にキョンシーを切り裂き貫く力を持つ武器でもあるが、木製であるために非常に折れやすい。

金銭剣(きんせんけん)…… 清めた銭を赤い紐で結び繋いで作られた短剣。霊力を込める事で強力な武器となる。また、剣の形を分解して銭を繋ぎ止めた1本の縄とし、キョンシーや悪霊を縛り上げることもできる。

霊幻道士シリーズ
 日本で劇場公開されたのはサモ=ハン製作の第4作まで。

『霊幻道士2 キョンシーの息子たち!』(1986年8月 香港)
 物語の舞台は1980年代の香港となっている。興行収入1700万香港ドル。
 前作からはラム=チェンイン、ムーン=リー、ビリー=ラウが引き続き出演しており(役柄は違う)、香港アクションスターのユン=ピョウ(29歳)も出演している。

『霊幻道士3 キョンシーの七不思議』(1987年12月 香港)
 主演のラム=チェンインは第1作と同じキャラクター「コウ道士」を演じているが、それ以外の設定はすべて第1作と関連がない。興行収入1900万香港ドル。
 前作からはラム=チェンインとビリー=ラウが引き続き出演しているが、作中にキョンシーは登場せず、死霊や魔術師が活躍するストーリーとなっている(が、日本版の字幕やパンフレットなどでは強引にキョンシーだと設定されている)。

『霊幻道士・完結篇 最後の霊戦』(1988年12月 香港)
 ラム=チェンインが出演していないシリーズ唯一の作品で、サモ=ハン=キンポーが製作した最後のキョンシー映画。興行収入1400万香港ドル。
 キョンシーが再び登場し、物語の舞台は第1作よりもさらに古い19世紀・清帝国の時代となっている。

『霊幻道士5 ベビーキョンシー対空飛ぶドラキュラ!』(1989年 香港)
 ラム=チェンインの初監督作品。
 ラム演じるコウ道士とチン=シュウホウ演じる弟子、ビリー=ラウ演じるウェイ保安隊長が再登場しているが、作品同士の関連は特にない

『新・霊幻道士 風水捜査篇』(1990年 香港)
 物語の舞台は1990年の香港で、キョンシーは登場せず日本人の女魔術師が敵役となる。女魔術師を演じたのは、香港やハリウッドでスタントウーマンとして活躍している西脇美智子(33歳)。
 ラム=チェンインは道教に専門的な知識を持つ刑事を演じている。

『霊幻道士6 史上最強のキョンシー登場!!』(1992年 香港)
 ラム=チェンイン演じる道士は脇役であまり活躍せず、香港では公開3日で上映打ち切りになっている。

『霊幻道士7 ラストアクションキョンシー』(1992年 香港)
 シリーズ第1作のラム=チェンイン、チン=シュウホウ、リッキー=ホイ、ビリー=ラウがほぼ同じ役柄で再び共演し、第1~4作目で監督だったリッキー=ラウがシリーズで最後に監督を担当した作品。
 ラム演じる道士は黒髪に口ヒゲで第1作よりもやや若返っており、作品全体もキョンシーがあまり登場せずコメディ色が強い。

『霊幻道士8 空飛ぶドラキュラ・リターンズ』(1992年 台湾)
 ラム=チェンインが出演する最後のキョンシー映画。
 ラム演じる道士は実年齢通りの外見で第1作よりも若返っている(黒髪、ヒゲなし)。
 作中に登場する西洋人の吸血鬼の正体はこの世に強い未練を残して事故死したカトリック神父であり、ドラキュラ伯爵とも『5』の吸血鬼ともまったく関連がない。

TV ドラマシリーズ『霊幻道士 キョンシーマスター』(1995~96年放送 2シーズン)
 原題『殭屍道長 Vampire Expert』( CS放送スター・ブラス)
 放送は好評を博し第3シーズンの製作が予定されていたが、主演のラム=チェンインの病気のため製作中止となった。
 物語の舞台は第2次世界大戦終結直後の中国で、ラム演じる道士の名前は「毛小方(モウ シウフォン)」となっており、映画の『霊幻道士』シリーズとの直接の関連はない。

サモハン・ホラーシリーズ
『妖術秘伝 鬼打鬼』(1980年12月 香港)
 監督・主演はサモ=ハン=キンポー(28歳)。
 キョンシーも登場し、ラム=チェンインは道士ではない役(警察署長)として出演している。

『霊幻師弟 人嚇人』(1982年 香港)
 主演・脚本・製作をサモ=ハン=キンポーが担当した。
 キョンシーは登場しない幽霊ものだが、ラム=チェンインが初めて道士役として出演している(ただし、かなり高齢)。

『霊幻百鬼 人嚇鬼』(1984年 香港)
 製作をサモ=ハン=キンポーが担当した(出演していない)。
 キョンシーは登場しない幽霊もので、ラム=チェンインが京劇の旅一座の座長役で出演している。

『鬼喰う鬼』(1990年 香港)
 サモハン・ホラーシリーズの最終作で、日本でも劇場公開された。
 主演・製作をサモ=ハン=キンポー、監督をリッキー=ラウが担当した。
 第1作以来にキョンシーも登場し、ラム=チェンインは『霊幻道士』と同じキャラクター「コウ道士」を演じているが、それ以外の設定は特に関連がない。

ラム=チェンイン演じる道士が登場する作品の時間軸(そうだい予測)
『8』 → 『キョンシーマスター』 → 『7』 → 『1』 → 『5』 → 『3』 → 『鬼喰う鬼』 → 『6』 → 『霊幻師弟』 → 『2』(子孫?) → 『新』(子孫?)
 ※他の作品と比較して、『キョンシーマスター』だけ時代設定が「第2次世界大戦終結後」とかなりくだっているのですが、あくまでもラム演じる道士の外見と内面の「若さ」を重視して、『7』以前の作品と置かせていただきました。
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