長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

君は「軍人将棋」を知っているか  ~ルールだけ丸投げです~

2013年07月24日 22時30分26秒 | 日記
軍人将棋とは
 ( Wikipediaおよび天童将棋『新行軍将棋』、『♯62 デラックス行軍将棋ゲーム』遊び方ガイドより)

プレイに必要な人数 …… 3名(うち審判1名)
準備時間      …… 2~8分程度
プレイ時間     …… 10~40分程度
運要素       …… 多少あり

 軍人将棋(ぐんじんしょうぎ)とは、通常3名で行うボードゲームの一種。行軍将棋(こうぐんしょうぎ)とも呼ばれる。軍隊の階級や兵種を元にした駒を用いて盤上で競う。ヨーロッパ圏ではストラテゴ( Stratego)という名称の同種のボードゲームがプレイされている。
 駒を盤上の自分の陣地に好きなように並べ、交互に駒を動かしていく。駒には強弱があり、駒の種類を対戦相手に明かさないようにするため裏返して配置する。このため、両陣の駒の種類を知ることのできる審判役をおき、同じマス目で駒がぶつかった場合の勝ち負けを決める。ゲームは相手の総司令部を占領するか、相手の動ける駒を全滅させた方が勝ちとなる。最後に同種の駒同士が残った場合は相打ちとなるため、両方とも全滅する場合もあり得る。
 駒は、少尉から大将までの各階級の軍人、およびタンク(戦車)、ヒコーキ(戦闘機)、騎兵、工兵、地雷などがあり、種類によって勝てる相手が決まっている。基本的には位が高い軍人の方が強いが、地雷にはヒコーキと工兵しか勝てないなど細かいルールがあり、軍人将棋のセットには、このルールを一覧表にしたものが付属している。審判役は、この一覧表を見ながら勝ち負けを判定する。
 審判役としてコンピュータを利用するという対戦ゲーム化に合った性質があり、ファミコン用ソフトや Windows用ソフト、最近ではニンテンドーDS 用のソフト『だれでもアソビ大全』などでコンピュータゲーム化されてもいる。

ゲームの目的
 一般的には敵の総司令部マスを大将、中将、少将、大佐、中佐、少佐のいずれかの駒で占拠する(これら以外の駒で、相手の総司令部に侵入できたとしても占拠したことにはならない)か、動かせる敵軍の駒を全滅させることが目的である。なお、前記の駒が相手の総司令部に入った時点で占拠したとみなされるので、後からその駒を取ることはできず、残った駒の種類や数に関係なくゲーム終了となる。
 ルールによっては、相手の大将を倒すことを最終目的とするものもある。

形態
 軍人将棋は駒と盤からなり、3名で遊ぶ。これは実際に勝負する人が2名、審判が1名という内訳であるが、審判を用いずに駒を当てた際にひっくり返して勝負する類似ゲームもある(フランスのラタックやストラテゴ)。
 駒は先攻、後攻の駒が識別できるように2色(オレンジとイエロー)に分けられている。駒の形状は一般の将棋と同じ左右対称の変形五角形。しかし種類別に大きさの違いはなく、全て同じ大きさである。以前はその多くが木製であったが、現在販売されているものの大半はプラスティック製である。
 ※木製の駒は、木目に沿って割れ目や欠けなどが発生した場合、それが目印になって駒の種類を相手プレイヤーに看破されてしまう状況が頻繁に起こった。また駒によって異なる木目も判断材料になることがあった。プラスティック製ならば、傷や割れ目、汚れがない限りどの駒も一様なので、上記のような心配がなくなった。

 軍人将棋は駒の種類、または突入口の形の違いによって数多くの種類が存在する。共通しているのは自陣と敵陣に分かれており、その間を行き来するためにはヒコーキを除いて突入口を通らなければならないことである。それぞれの陣地には総司令部がある。総司令部は陣の最後列中央にあり2マス分の広さがある。

駒の種類
・各陣営23枚型の場合(天童将棋『新行軍将棋』はこれ)
大将 1  大佐 1  大尉  2  工兵   2
中将 1  中佐 1  中尉  2  地雷   2
少将 1  少佐 1  少尉  2  ヒコーキ 2
軍旗 1  騎兵 1  タンク 2  スパイ  1
※盤は変形8×6を使う。

・各陣営31枚型の場合(天童将棋『♯62 デラックス行軍将棋ゲーム』はこれ)
大将 1  大佐 2  大尉  2  工兵   3
中将 1  中佐 2  中尉  2  地雷   3
少将 2  少佐 2  少尉  2  ヒコーキ 2
軍旗 1  騎兵 2  タンク 3  スパイ  1
※盤は変形8×8を使う。

突入口の種類
・突入口が自陣に4ヶ所あるX型(Xの形をした突入口が2つある。天童将棋『♯62 デラックス行軍将棋ゲーム』はこれ)
・突入口が自陣に3ヶ所あるY型(Yと逆Yの形をした突入口が1つずつある)
・突入口が自陣に2ヶ所あるI型(直線の突入口が2つある。天童将棋『新行軍将棋』はこれ)
※また、それぞれに浮島ポイント(X型、Y型の道が交わるところにあるマス)のあるなしなどの種類がある。

駒の配置
 このゲームの要となるのが駒の配置である。将棋のように開始時の配置が決まっているのではなく、自分の陣地内であれば以下の禁止事項を除き、どの駒をどこに置いてもよい。

・突入口に地雷もしくは軍旗を置く
・自陣最後尾列に軍旗を置く

 このうち、後者は禁止事項ではあるが反則ではない。最後列の軍旗は どの駒にも負ける無駄駒になり、すでに開始時から駒1つ分の威力を失っていることになるため、一般的には罰則を設けない。一方で、突入口に地雷や軍旗を置くことは絶対禁止事項なので反則負けとなる。

総司令部に置く駒について
 総司令部は通常2マス分の広さがあるが、他のマスと同様、1つしか駒を置けない。前述の通り、戦闘は将官や佐官を相手の総司令部に入れることを目的とする。よって、尉官、騎兵、工兵は佐官や将官に必ず負けるので総司令部には置かないほうがよい。スパイは大将だけには勝てるがそれ以外にはことごとく負けるため、総司令部に置いたとき、負けて占領される確率が圧倒的に高い。ヒコーキや工兵にも負けるので、地雷確認の際に前もって倒される恐れもある。少佐や中佐も、総司令部を占領できる駒の中では弱いので負ける確率が高い。タンクは佐官クラスには勝てるが、敵のヒコーキによって排除される可能性もあり、将官クラスにも負けて占領される。
 さらには、総司令部の防御をヒコーキだけに任せることも好ましくないとされる。一見すると、総司令部前の縦2列のどちらにも自由に飛ぶことができ、敵の総司令部を常に狙えるベストポジションのように見えるが、飛んだ時点で司令部は空になるので、司令部に隣接するマスに敵の佐官クラスがあった場合、その隙に占領されることもある。また、総司令部やその周辺は、地雷除去のためや侵攻経路を確保するために敵のヒコーキに攻撃されることも多く、すぐ近くに将官がいない限りヒコーキ同士が相打ちして、総司令部が開いてしまう恐れもある。こうなると、総司令部の近くに弱い駒しかないときは簡単に占領されやすくなる。また、工兵や尉官クラス、騎兵で地雷確認をされた後、すぐ近くのマスに敵の将官クラスがいれば負けが確定したようなものである。
 以上の理由から、総司令部またはその近くには将官クラスが1枚以上あるとよい。特に初心者は、大将を置くことが最も勧められる(司令部に地雷などを置き、その隣に大将を置くのもよい)。大将を置けば、中将以下による占領は単独で防ぐことができ、スパイに負けてもすぐには占領されない。中将は大将に負けるので、近くにスパイを置いて守らなければいけないが、スパイがすでに倒された場合には、敵の大将が地雷を踏むことを祈るしかなくなってしまう。大将の天敵はスパイであるが、スパイは大将以外のどの駒にも負けるので、種類がわからない敵の駒が大将に向かって来たときには、自軍の大将とスパイ以外の駒を当てて、スパイかどうかを確認するのがよい。その味方の駒が負けた時には相手はスパイでないと分かる(スパイは大将よりも排除しやすいので、総司令部の防御には大将が最も向いているといえる)。

駒の動かし方
将官、佐官、尉官、スパイ
 ……前後左右に1マスずつ動ける。
タンク、騎兵
 ……後方と左右の1マス、または前方に2マス動ける。手前に駒がある場合は飛び越えられない。
ヒコーキ
 ……前後には何マスでも動ける。左右は1マスずつ動ける。この駒のみ、途中の駒を飛び越えられ、突入口を無視してどこからでも敵陣に攻め込むことができる。
工兵
 ……前後左右に何マスでも動ける(将棋の飛車と同じ)が、途中の駒は飛び越せない。
軍旗、地雷
 ……戦闘開始時の配置地点から動かせない。

駒の勝敗
基本駒
大将>中将>少将>大佐>中佐>少佐>大尉>中尉>少尉
 の順に強い。将官、佐官は敵の総司令部を占領できるので、尉官に比べて駒の価値が高い。

特殊駒
・ヒコーキは将官クラス以外には全てに勝つ。
・タンクは将官クラス、ヒコーキ、工兵、地雷に負け、その他には全て勝つ。
・地雷はヒコーキと工兵に負け、その他の全ての駒に勝つ。
・工兵は地雷とスパイ、タンクに勝ち、その他には全てに負ける。
・騎兵はスパイと工兵だけに勝ち、その他には全てに負ける。
・スパイは大将だけに勝ち、その他には全て負ける。動ける駒の中では最も弱い。
・軍旗は後ろにある味方の駒と同じ威力となる。たとえば軍旗とタンクが戦うとき、軍旗の後ろが少将ならば軍旗が勝つ。軍旗の後ろが大佐のときはタンクが勝つ。このとき、後ろの大佐は同時には敗退しない。軍旗の後ろが敵の駒か何もない場合、あるいは軍旗が自陣の最後列(総司令部も含む)にある場合は、どの駒と戦っても負ける。
・同じ駒同士の戦いは相打ちとみなして、どちらも盤上から撤去する。撤去した駒は再び使うことはできず、撤去した駒は自軍の駒しか見ることができない。また。将棋と異なり「持ち駒ルール」はないため、相手から取った駒を自分の駒にはできない。

戦術
 駒を動かしていき、相手の駒がある場所に自分の駒を進める場合、将棋では駒の種類にかかわらず、新しくそのマスに駒を動かした方が、前からいた相手の駒を取る(勝つ)ことができる。しかし軍人将棋では、新しく動かした駒と前からいた相手の駒を審判に見せ、審判は上記の規則に基いて駒の勝敗を判断する。プレイヤーの2人は自分の負けた駒、または勝った駒によって相手の負けた駒と残りの駒を推理する。

強力な駒の見分け方
 このゲームにおいては、何枚駒を取ったかよりも、相手の強力な駒(将官クラスやヒコーキ)がどの駒かを見分けることがより重要である。見分け方の一例として、地雷と騎兵~タンクのどちらにも勝つ、あるいは高飛び(他の駒を飛び越すこと)する駒はヒコーキ以外にありえない。

倒した駒の推測
 どの種類の駒を倒したかを推測することも必要になる。例えば、大尉を倒した駒にタンクを当てて勝ったときの相手は佐官クラス、というかたちで推測できる。特に、弱い駒を当てて勝った相手は限定されるので分かりやすい。騎兵が勝てば相手は工兵かスパイ、工兵が勝てば相手はスパイか地雷、少尉が勝てば相手は騎兵、工兵、スパイしかない。一方で、将官クラスやヒコーキは勝つ確率は高いが、倒した相手を限定しにくい。

強力な駒への対処
 敵の強力な駒の位置が判明した場合はその駒を覚えておく必要がある。特に、将官以外の駒は相手の将官を避けるように動かすとよい。尉官クラスや騎兵は倒されても支障が大きくはないので、より価値の高い佐官クラスやタンク、ヒコーキを優先的に相手の将官から逃がす。相手が大将ならば可能な限りスパイを当てるようにして、味方の中将または少将は逃げ場があれば、最優先で逃げられるようにする。しかし、相手がヒコーキの場合は、味方の佐官クラスやタンクを逃がそうとしてもヒコーキは高飛びができるため、追いつかれて倒されてしまうこともある。逃げ場がないときはその駒をあきらめて、他の手を打つほうがよいこともある。
 また、相手の駒がヒコーキであることが判明して、隣接するマスに味方の将官があればすみやかに倒すようにする。近くに味方の将官がないときは、味方のヒコーキを当てて相打ちにする方法がある。自軍もヒコーキを失ってしまうが、他の駒への被害を軽減できる。
 相手の中将や少将が突入口をふさいでいるときは、別の突入口から少将、ヒコーキ、タンクなどを突入させる。どちらの突入口も中将や少将でふさがれているときは、敵陣の奥にヒコーキを飛ばす作戦もある。

基本的な戦術
 攻撃には中将が最も向いており、動いた敵駒に積極的にぶつける。勝てばそれでよし、負けたのならば相手の駒は大将であり、中将同士ならば相打ちとなる。中将が相打ちしたら、次は少将を動いた駒にぶつけるようにする。なお、中将同士が相打ちした後、少将が負けたときも相手は大将である。相手の駒が大将と判明した場合、スパイをぶつけて相手の大将を排除することができれば、かなり有利に展開できる。しかし、常に中将の近くにスパイを置いておくと、そのことを相手に読まれやすく、スパイが相手のヒコーキやタンク、工兵などに狙われる危険もある。特にヒコーキは他の駒を飛び越すことができるので、スパイにとっては大きな脅威となる。また、工兵は横にも何マスも進めるので、スパイを動かす際には注意を払わなければいけない。スパイを失ってしまうと、相手の大将を倒すことが難しくなる。それを避けるために、中将の近くに尉官クラスなどを置いて、スパイの振りをさせる手段もある。また、スパイと悟られやすい動かし方をするのではなく、スパイを中将からある程度離れた場所に置いて敵の大将が来るのを待ち構える作戦もある。大将が近づいて来なければ、スパイを最後まで温存して大将の位置を見極める。
 中将を大将のように、少将を中将のように、ヒコーキを(他の駒と同じように1マスずつ動かして)少将のように1ランク上に見せかけて相手をだます戦略もある。この作戦が成功している間、敵の駒数を減少させ動く駒と動かない駒がはっきりしてくると、勝負が決まることが多い。
 また、倒された駒よりも1ランクだけしか強くない駒は当てないようにする。例えば、自軍の中尉を倒した駒に次の手で大尉を当てることは、駒や手数を無駄にするだけである。中尉が負けたという条件から相手の駒は少なくとも大尉以上であり、勝つことはできない。よって、ほとんどの場合は自分から駒を捨てることになる。逆に相手にとっては、動かずして敵の駒を取ることができた上に次の手に移るのが早くなるので好都合になってしまう。偶然相打ちしたとしても、相手の大尉が確実に減ったことしかわからない。相打ちになれば相手にも同じ情報を与えるので、自分だけが有利になることはない。

大将の使い方
 大将は中将や少将、ヒコーキなどに比べ攻撃に向いていない。特にゲーム初心者は、大将を攻撃の前線に出すべきではない。中将と少将は負けたときに、相手の大将または中将を特定できるという利点があるが、大将にはそれがない。スパイを特定できても、大将が倒された後では意味がない。大将同士が相殺するならばともかく、敵スパイに大将を倒されると敗北に直結してしまうことも多い。大将は、敵の中将や少将を倒した後は、スパイに狙われる破目になる。勝てる相手が多いゆえに、敵の中将や少将をいつ倒したか判断することは難しいため、いつまで生き残ったスパイに狙われるのかがわからない。
 また、スパイを倒したかどうかを判断することはほとんどできない。数少ない例外として、スパイ同士が相打ちになったときと大将の前にある軍旗が負けたときがあるが、その確率は非常に低い。
 大将を最後まで生き残らせることは基本である。大将さえ残っていれば、司令部の占領を阻止できる。中将を最後まで生き残らせるのも良いが、相手の大将が生き残っていたときは負けてしまう。スパイ自体は弱い駒なので、最後まで残すことが強い駒に比べて難しい。

地雷対策
 自軍の将官クラスが地雷を踏んで排除されると著しく不利になるため、いまだに動いていない敵駒には、将官クラスではなくヒコーキを当てるのがよい(ヒコーキは地雷に勝ち、その他にも勝てる駒の種類が多いため)。将官クラスは地雷でないと判明した駒のみに当てるようにする。運任せに駒を当てているだけでは上達できない。多数の動かない駒を保有して地雷かその他の駒かがわからない状態を維持していくことが戦術の鍵となる。
 序盤や中盤において、一度も動いていない駒が地雷かどうかを判断するには、騎兵や尉官といった弱い駒を当てる方法がある(同じ弱い駒でも、スパイと工兵はそれぞれ敵の大将を倒す、地雷を除去するという大きな役目があるため、種類がわからない駒に当てるべきではない)。これらの駒が相打ちになったときは相手が地雷であった可能性がある。負けたときや勝ったときは地雷ではないと判断できる。例えば、少尉を当てて負けたときの相手は中尉以上(軍旗の可能性もある)、勝ったときの相手は騎兵、工兵、スパイのいずれか、相打ちしたときは少尉もしくは地雷であったと考える(中尉、大尉、騎兵を当てた場合も同じ)。終盤になって動かせる駒が少なくなると、地雷とそれ以外の駒の判断がつきやすくなるため、このときに自軍の工兵を動いていない敵駒に当てるのがよい。
 敵総司令部にある駒が地雷の可能性があるとき、乗り込む前にヒコーキか工兵を使い、その駒が地雷かを確認することも必要になる(地雷を踏んでしまうと将官や佐官を失ってしまうため)。地雷は総司令部を占領できる駒には勝てるため、総司令部に設置した場合、一手に限り占領を阻止できるが、ヒコーキと工兵には占領されない代わりに負けてしまう。この点から、敵総司令部に地雷が設置されている可能性を考慮し、将官や佐官が敵総司令部に乗り込む前にヒコーキや工兵を当てて、地雷を除去する。もし工兵を当てて負けたら、その敵駒は地雷やスパイ、タンク、工兵ではないとわかる。ヒコーキや工兵がないときは尉官や騎兵といった総司令部を占領できない駒を当てて、相打ちにして地雷を除去する。ゲーム初心者は、敵総司令部にある駒が地雷かどうかを確認するためにヒコーキを飛ばすことも多いが、騎兵が2マス進める利点を生かして、総司令部の前が開いた時を狙って騎兵を当てる方法もある。

ヒコーキと工兵の動かし方について
 ヒコーキと工兵は移動能力が優れているが、ヒコーキは高飛びをすると、工兵は前に3マス以上か横や後ろに2マス以上移動すると、他の駒にはそれ以上の移動力がないため敵軍に即時に駒の正体を判断されてしまう。戦況を見極めて、多用するのか控えるのか注意するべきである。工兵はヒコーキとは異なり高飛びができないので戦闘序盤は動きが限られるが、終盤に近づいて駒の数が減ると本来もつ移動力を発揮できるようになる。ヒコーキはゲーム開始時から飛ぶことができるが、始めから飛ばして相手に正体を明かしてしまうのは好ましくないため、序盤のうちは他の駒と同じように1~2マスの範囲で動かすことが望ましい。しかし、明らかに将官クラスと判明した敵駒が自軍のヒコーキに近づいてきたときなどは、ヒコーキを失うことは戦力の大きな損失になるため他の場所に飛ばした方がよい。また、敵の将官クラスに対してヒコーキは負けるが、その代償として相手の将官クラスがどの駒なのかを知ることができる。

軍旗の後ろに置く駒について
 軍旗を自陣の最後列に置くことが許されるルールもあるが(一般的には禁止されている)、最後列の軍旗はどの駒にも負けるので軍旗は最後列に置かないようにする(特に総司令部に軍旗を置いてしまうと、味方の駒が入れない上にそこに何もないことと同じになってしまうので、総司令部には絶対に置かないこと)。

 地雷の前に軍旗を配置する戦術もある。この場合は地雷が1個増えることと同じになる(ただし、軍旗の後ろの地雷が先に除去された場合は軍旗の地雷能力も失なわれる)。このとき、工兵が当てられて軍旗が負けた場合も、騎兵や尉官などの駒で工兵を排除できる(もしこの騎兵や尉官が負けたら、敵駒は工兵ではなくヒコーキである)。その後、敵軍は地雷を排除したとみなして残った地雷本体を踏んでくれる可能性もある。この戦術では、敵軍に弱い駒しか配置されていない進路だと誤認させる必要がある。

 地雷以外ならば、軍旗の後ろには大将または中将を置くことが最も望ましい(軍旗が勝つ確率が最も高くなるため)。
 また、軍旗の隣にはスパイ(もしくは大将以外の動ける駒)を置くとよい。軍旗の後ろに中将もしくは大将を置いたとき、軍旗にぶつかった敵駒が少将もしくは中将以下ならば軍旗が勝つ(動くことはできないが、自軍の中将もしくは大将が盤上に2つ存在することと同じになる。動いていない味方の駒が多いうちは、軍旗と悟られにくいので効果的である。また、地雷と勘違いしてヒコーキや工兵などがぶつかってくる公算も高くなる)。この場合、敵軍の中将もしくは大将が軍旗にぶつかれば相打ちになるため相手の中将もしくは大将を排除できる(このとき、自軍の軍旗も中将もしくは大将の代わりに取り除かれることになる)。相手の大将もしくはスパイがぶつかった場合は、自軍の軍旗が中将もしくは大将の身代わりとなって排除される代償に敵駒の正体が判明し、自軍はスパイもしくは大将以外の駒をぶつけて、敵軍の大将もしくはスパイを排除できる。

審判について
 基本駒(将官・佐官・尉官)同士が戦えばすぐに勝敗を判断できるが、それ以外の駒が戦いに絡むと勝敗の付け方が特殊であるため、初心者やルールを把握していない者が審判を務めると時間がかかったり、その都度勝敗表を確認したりする仕草から相手の駒を予想しやすくなる場合もある。また、審判が勝敗判定を誤ってしまう恐れもあるため、審判役はある程度の熟練者が務めることが望ましい。

ローカルルール
・味方の大将が倒されたら、自軍の総司令部を占領されていなくてもその時点で負けとなる。
・地雷が勝っても、撤去しない(天童将棋『新行軍将棋』、『♯62 デラックス行軍将棋ゲーム』もこのルール)。
 ……すぐには地雷と悟られないことになる。この場合、相打ちではなくなるため大将や中将やスパイなどを当てても勝てないとなると対象の敵駒は地雷しかない、というように推理する他ない。これにより、時には早い段階で重要な駒が消失する可能性もあり、ゲームの難易度が上がる事もある。その反面、一般ルールと同様に騎兵や尉官を当ててから工兵に撤去させる戦術もあるが(ヒコーキは勝てる駒が多いので勝った時に 敵駒が地雷だったかどうかが判断し難い)、地雷だと確信するまでには可能な限り自軍の被害を少なく抑えなければならない。よって、このローカルルールでは、まだ動いていない駒にヒコーキ以外の駒を当てることは駒の無駄な損失につながる恐れがあるため、特に将官クラスは敵軍の動いている駒にのみ当てるようにする(これは一般ルールにも共通して言える)。 総じて、尉官クラスなどの弱い駒で相打ちによって地雷を撤去できる一般ルールと比較すると、地雷が残るこのローカルルールは難易度が高くなると言える。
・軍旗も動くことができる(この場合、軍旗は戦闘開始時に配置した後ろの自軍の駒とゲーム終了まで同じ能力となる)。
・工兵は前後左右にすきまのある範囲に限り、一手で自由にどのマスにでも移動できる。
 ……このローカルルールでは、敵総司令部までの経路が開いていれば、一手で工兵は総司令部にたどり着いて地雷確認ができることになり、一般ルールに比べて敵総司令部にたどり着きやすい。一方で自軍の総司令部に地雷やスパイを置いたときには、工兵から守るために、回りを他の駒で囲んで守る必要がある。
・工兵、タンク、騎兵も前後左右1マスしか動けない。
・騎兵、タンクは横や後ろにも2マス動ける。
・騎兵、タンクは途中に駒がなければ、前後左右に自由に何マスでも進める(工兵と同じ動き)。
・タンクが工兵に勝つ。
 ……このローカルルールは各種の TVゲームを通じて一般ルールとして定着しており、排除すれば TVゲームから増加したユーザーに混乱を招くおそれもある。そのため将来的には公式に一般ルールになる可能性も否定できず、今やローカルルールとは言えない実情にある(天童将棋『新行軍将棋』もこのルール)。
・騎兵と地雷を同じ強さとする。
・ヒコーキは工兵に負ける。
・ヒコーキは横マスに動けない。
・ヒコーキは横にも何マスでも動ける(途中の駒も飛び越せる)。
・ヒコーキは味方の駒がない場所なら一手で任意のマスにどこにでも移動できる。
 ……このローカルルールでは、ヒコーキをどこに配置しても、狙った敵駒を直接攻撃できる。スパイを移動させる際には、ヒコーキに狙われる危険が大きくなる。
・総司令部には地雷やヒコーキを置けない。
・戦闘開始時に総司令部に置いた駒は、地雷以外の本来ならば動ける駒でも戦闘終結まで動かせない(総司令部の外に出ることができない)。
・総司令部の自軍駒が排除された後でも、残りの駒を総司令部に入れることができない(総司令部を外の通常マスに配置した自軍の駒で防衛しなければならないため、一般ルールに比べて総司令部を守ることが難しくなる)。
・総司令部には必ず将官クラスを配置しなければならない。

ラタックとの違い
 軍人将棋と同じく中国の暗棋などをベースにしていると思われるフランスのボードゲーム「ラタック」(1908年~)や「ストラテゴ」(1961年~ ラタックの改良型)では、軍人将棋と違って審判を必要とせず、駒同士が衝突した時に両駒を表にして勝敗を決め、以後、勝った駒は表に向けたままゲームを続行する。

歴史
 中国のボードゲームである「チュンチー(軍棋)」や「闘獣棋」、それを元にしたフランスのボードゲームである「ストラテゴ」には盤の形や駒の種類、勝敗で類似点が見られる。いずれも盤には中央に「河」に相当する緩衝地帯があり、「将棋」や「チェス」よりも「シャンチー(象棋)」に似ている。
 また、シャンチーの駒を裏返して行う中国のボードゲームとして「アンチー(暗棋)」がある。駒の動かし方や勝敗は軍人将棋などと似ており、これらの情報制限型ボードゲームの起源となっている可能性がある。
 明治40(1907)年に書かれた解説書『世界遊戯法大全』(編・松浦政泰 博文館)には、軍人将棋は「いくさ将棋」の名称で紹介されている。その中では、『これは日清戦争の頃(1894~95年)に出来たものかと思うが、仕組みが中々面白い所から、今は全国に普及して居るのでここに説く必要がない。』と記されている。

類似した現代将棋
川中島将棋(1894年~ 日本発祥)
 ……軍人将棋とほぼ同じ時期に生まれたと考えられる、中国のシャンチー(象棋 12世紀発祥)を直接日本風にアレンジしたボードゲーム。「川中島」と銘打ちつつも、使用される駒は「将軍」「近衛兵」「士官」「軍曹」「騎兵」「砲兵」「歩兵」と当時の近代戦争をイメージしたものとなっている。ただし、暗棋方式ではなく駒同士の勝敗に関する優劣もないため、軍人将棋とはまるで違う種類のゲームになっている。
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