長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

美は乱調にあり  今だからこそ久住小春・驚異のこはるんランド 脱出口

2012年01月18日 23時43分26秒 | すきなひとたち
 どもども、こんばんは~い。そうだいでございますよっと。
 いや~、ここ数日はあったかくなる気配もあんまりないしインフルエンザもはやってるらしいしで、まだまだ気をゆるめられない真冬が続いておりますなぁ~。


 あの~、まぁ前回までなんやかやと「月島きらり starring 久住小春」という恐るべきアイドルに感服した次第をつづってきたわけなのですが。

 やっぱり、「歌手の魅力」はその「歌」そのものを聴いていただけないとわからない部分も大きいと思うんです。なんで、いくらこの『長岡京エイリアン』でつたない文章を使ってそのスゴさを説明しようとしても、おのずと限界が見えてきてしまうのが非常に私は無念なんですね。

 ただ、私が少なくとも、これらの2枚の CDアルバムを聴いてみて、楽曲のリズムや歌詞を通じてわかる音楽プロデューサーの才覚や、ぶっ飛んだ内容の歌をかわいく唄う久住さんの歌唱「だけ」によって感動したのではないということだけはよく覚えておきたいんです。
 つまり、確かに前回にあげたようなとてつもない歌の数々、それらが作られたということ自体もすごいはすごいのですが、最終的にいちばん感動したのは、そういった海のものとも異次元世界のものともつかない難曲たちを、まさに「これ、わたしの歌~!!」と喜々として自分のものにしようとして、しかも見事にそれをやりおおせてしまった久住さんの小細工を弄しない正面突破の姿勢なんですね。歌のうまさや演技力ではない、身体の芯からくる「真摯さ」と「強さ」にうをを!と感動してしまったわけなんです、あたしゃ。


 前回にもふれましたが、言わずと知れたハロー!プロジェクトの天才プロデューサー・つんく♂さんは、この「月島きらり」としての久住さんの楽曲のプロデュースはいっさいおこなっていません。
 月島きらりの楽曲に関してはっきりした「チーフプロデューサー」はいないらしいのですが、『きらりん☆レボリューション』のテーマソングに使用されていたような主要な楽曲は、前回に名前のあがった作詞家の方々と、迫茂樹(『バラライカ』)、吉田勝弥(『Loveだよ☆ダーリン』『恋の魔法はハビビのビ!』)、他には『おどるポンポコリン』の織田哲郎、フレンチ・キスの『カッコ悪い I love you!』の黒須克彦、『ハレ晴レユカイ』の田代智一といった複数のアーティストの作曲で制作されていました。

 つまりは、いろんな楽曲はあるものの一貫した「方向性」や「世界観」が通底していたモーニング娘。の諸作と違って、月島きらりの作品にはある程度の「作品ごとの顔の違い」ができていたわけなのですが、正調のアニメ主題歌といい実験テイストむんむんのアルバム収録曲といい、すべての楽曲をひとつにまとめあげていたのは、これはもう、どうしようもなく個性的な久住小春「その人」だったといってよいでしょう。ここがガッチリしてるんだよなぁ。

 なんと言ったらわかりやすいのか難しいのですが、久住小春という歌手の魅力は、「音程のぶれ」というプロの歌手にあるまじきウィークポイントを、むしろドレスのフリフリのような「装飾」のごとく楽曲全体にあしらうという、そのコペルニクス的転換にあるといってよろしいでしょう。
 比較がわかりやすいのでまたここでも引っぱり出してきてしまうのですが、高橋愛さんのスタイルが「ゴシック」だとするのならば、久住さんのスタイルはこれ「バロック」! 崩してナンボ、カジュアルでナンボというわけなのです。

 最初に久住さんの楽曲を聴いた時、私はビックリして誰か雰囲気の似た歌手はいないものか……と考えてみたのですが、しいて言えば「歌手」じゃなくて「ラジオパーソナリティ」をやっている時の中島みゆきさんと、『ねらいうち』などのソウルフルな楽曲を熱唱している時の山本リンダさんを連想しました。
 要するに、声のふれ幅や高低のぶれが尋常じゃなくぐわんぐわんしているので決して「聴きやすい歌声」ではないのですが、なにかしらうまさじゃないところで人の耳を引きつける「熱」があるんですね。


 前回に紹介した楽曲のように、アルバムの中にはそ~と~ふざけた内容の歌詞もあって、たとえば『はなをぷーん』で引用した、

「あと何分? あと1分! はなをぷーん!」

 というくだりは、なんと「歌い手が歌唱中に曲の残り時間を確認する」という、およそプロの歌手にはあるまじき態度が明確に作品に投影された古今未曽有の衝撃的瞬間です。疲れたロックバンドか!?

 いくら「ぷん」で韻をふんでいるからとはいえ、こんな歌を生半可な歌手が唄ってしまったら「ふざけんな!」となってしまうわけなのですが、これを久住さんが心から楽しんで唄ってるから、なぜか何回も飽きずに聴けてしまう名曲になっちゃうんですよねぇ。みなさんもヒマがあったらぜひとも聴いていただきたい!

 また、どなたがキャスティングされたのかはわからないのですが、この『はなをぷーん』を歌唱しているアイドルデュオ「きら☆ぴか」で、久住さんの相方をつとめている℃-uteの萩原舞さんの歌声がいいんだなぁ!
 この萩原さんの、当時若干11歳とはとても信じられない落ち着いてクールな声が久住さんの熱さと好対照でいいコンビネーションなんですよ。藤本美貴さんの歌唱法に通じる「裏声のさし込み方」がミョ~におとなっぽくて、調べてみるまでは萩原さんが久住さんの4歳も年下だったとは思いもよりませんでしたよ。


 ここまでの文章をたどってみると、私は「ヘタでもアツいからいい」という見方で久住さんのことをほめているような感じなんですが、ことはそう簡単でもない。
 昨今の「アイドルブーム」と呼ばれる活況の中で、歌のうまさでない部分でがんばるグループの姿は多く見受けられるのですが、そのいつわりのない努力に感心はするものの、私自身は「アツさでなんとかしようとする」というか、「若くてかわいいんだからカンベンして!」という言い訳が見え隠れしているようでいまひとつついていけません。そういったあたりと久住さんとの間には大きなへだたりがあるんだなぁ。


 私はどちらかというと、当時の久住さんの「アツさ」よりも、「アツさを選択した迷いのなさ」が好きなんですね。

 前回のラストで、私は「高橋愛さんは柳生新陰流で久住さんは薩摩示現流」と言いましたが、これはつまり、攻防を理論的に分析して有利に導こうとする正調のプロフェッショナルにたいして、とにかく乾坤一擲、自分が反撃されて手傷を負うリスクをしょってでも、絶叫とともに相手の間合いに飛びこんで渾身の一撃で勝ちをつかむことに命を賭ける示現流に、久住さんのスタイルを観た気がしたからなのです。

 あの時、モーニング娘。にいて少なからぬ苦労を体験した久住さんだからこそ到達できた、迷いの消え去った驚異の新天地・こはるんランド。

 久住さん、またソロやってくんないかなぁ。「ドリームモーニング娘。の最年少」という認識にとどまるにはあまりにももったいない大器です!

 今年でやっと20歳。百花繚乱の春はこれからだよ~☆彡
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする