ゴールデンウィーク、大突にゅー!! みなさま、いかがお過ごしでしょうか? そうだいです~。
今年の黄金週間、私としましては「なんとかかんとか『週間』になってる……?」という感じでやや短めなのですが、まぁお休みをいただけるだけありがたいだろ文句言うな!ということで、ね。満喫したいと思います~。
つい昨日も、同じ山形県の米沢市で行われていた「米沢上杉まつり」の最終日イベント「上杉軍団行列と川中島合戦再現」を見てまいりました。
このイベントほんっとに大好きでして、応募して合格すれば上杉軍の雑兵になって軍団行列や合戦に参加できるということで、私は2022年度と24年度の2回、従軍してまいりました。かなり疲れるけどとっても楽しいです。
今年は普通に観客として行列と合戦を楽しんだのですが、いちおう自分の中では、もう雑兵としての参加はしないことにしております。体力的には全然問題が無いのですが、去年の川中島合戦であんな最高な体験をしちゃったら、たぶん今後それ以上の満足感は得られないんじゃなかろうかと思いますので……具体的にどんなことがあったのかは、私と信玄公(演・角田信朗さま)とのヒ・ミ・ツ☆ おそらくは永禄四(1561)年にあった本チャンの第4次川中島合戦でも起きなかったであろう奇跡がぁ~ん。
米沢上杉まつりの何が好きって、米沢市のまさに老若男女がこぞって集まって祭りを楽しんでる感がひしひしと伝わってくるのが最高なんですよね。単に歴史好きな人と地元のお年寄りだけが頑張って盛り上げてるわけじゃないんですよ。
よく、ああいう歴史イベント、特に合戦の再現行事に対して「ちゃちい」とか「笑いながらやってて真剣感が無い」とか、謎の上から目線でエラそうにぬかす声がありますが、そういうことは実際に兵士になって炎天下や寒い風の下で数時間歩きまわって数百m の戦場を駆けずり回ったことのある人だけ言っていただきたいです。
特に米沢の川中島合戦に関しては、戦場の雑兵の半分以上が現役の地元高校生のみなさまでして、貴重なゴールデンウィークのさなか、朝もはよから集合させられて重たい鎧装束を着させられて夕方まで従軍させられてるんですよ! それでも友達同士で笑顔でやり切ってくれるんですから、日本の未来も明るいよ!! 上杉軍の中でも最強と謳われた柿崎和泉守景家の先鋒隊は、めっちゃ日焼け止めクリームのにおいがするぞ!!
実際、昨日私が観客席に座って合戦を観ていたら、前に座っていた歴史イベントに似つかわしくないギャルギャルしたお嬢様がたが、「なつかしー! あたし水原(常陸介親憲)隊だった。」とか、「がんばって思い出したら、今でも柿崎隊やれっかも!」とかワイワイはしゃいでおられたのには吃驚してしまいました……戦国最強とも恐れられた上杉謙信の兵として従軍した経験のあるティーンがけっこういる町・米沢! 火縄銃マジうるさい。
どこでも人口減少が止まらないと言われている地方都市ですが、一年に一度だけでも、こういう町をあげての大イベントがあるっていうのは素晴らしいことですよね。私の住んでる山形市も山形城の復元だけじゃなくて、例えば「東北の関ヶ原」とも言われた長谷堂城の攻防戦あたりを再現したらいいのになぁ。でもあれ、現代で人気のある直江兼続とか前田慶次郎利益とかが完全に敵側なんでね。同じ山形県の同胞である米沢を敵にまわすのは得策ではないのう。
まま、こんな感じで今年も米沢上杉まつりは楽しかったです。前日が大雨でもこの日だけは毎年絶対に暑いくらいの快晴になるのが不思議ですよ。祭りも最高なんですが、実は個人的には、その後の夕方に行く米沢のスーパー銭湯「鷹山の湯」のひとときも欠かせなくって……電気風呂が死ぬほど好きです。
……え~、そんでもってまぁ、今回は荒俣宏先生の小説の感想です。脈絡が無さすぎる。
あのね、つい先日に「池松壮亮さんの金田一耕助シリーズを観るのがゴールデンウィークの楽しみだ」とかなんとかほざいていたのですが、NHK BS での放送は「2週に1回」ということで、みごとにゴールデンウィークをまたいでしまっておりました。もう、いけず!
ですので、この連休中は荒俣先生の小説を読むということで代替とさせていただきます。なんと実に30年以上前の作品ということで、鮮度もタイムリー感もあったもんじゃありません。でも、これこそが『長岡京エイリアン』クオリティ!!
「シム・フースイ」シリーズ(1993~99年 全5作)とは
「シム・フースイ」シリーズは、荒俣宏による風水ホラー小説シリーズである。現在、角川書店角川ホラー文庫から5巻まで刊行されている。
『帝都物語』シリーズ(1983~89年発表)に登場した風水師・黒田茂丸の孫である黒田龍人が主人公となり、風水の力を用いて怪事件を解決していく。のちに TVドラマ化(再編集され映画化)、ゲーム化された。ちなみに黒田龍人は小説『帝都物語外伝 機関童子』(1995年6月刊)にも登場する。
TV ドラマシリーズ『東京龍 TOKYO DRAGON』(1997年8月放送 全4話)
NHK のハイビジョン試験放送にて1997年8月25日から4夜連続で放映されたエンターテイメント番組『荒俣宏の風水で眠れない』内で放送された、「シム・フースイ」シリーズ作品を原作とした1話約30分のミニドラマシリーズ。
『荒俣宏の風水で眠れない』は2部構成となっており、第1部がドラマ、第2部が風水を易しく解説したミニ講座『東京小龍』(出演・田口トモロヲ、荒俣宏、建築家の毛綱毅曠)となっていた。
本作は再編集され、1997年11月に映画『風水ニッポン 出現!東京龍 TOKYO DRAGON』(配給エースピクチャーズ)として劇場公開された。
なお、本作は映画編集版がビデオリリースされたが DVDソフト化はされていない。
おもなキャスティング
黒田 龍人 …… 椎名 桔平(33歳)
有吉 ミヅチ …… 中山 エミリ(18歳)
庄野 夕子 …… 清水 美砂(26歳)
矢崎 昭二 …… 中尾 彬(55歳)
佐久間 …… 清水 綋治(53歳)
新井 美樹 …… さとう 珠緒(24歳)
鈴木 英夫 …… 三代目 江戸家 猫八(75歳)
サキコ …… 若松 恵(17歳)
ゼネコン役員 …… 寺田 農(54歳)
留守電の依頼客 …… 青野 武(61歳)
黒田 茂丸 …… ミッキー・カーチス(59歳)
おもなスタッフ
監督 …… 片岡 敬司(38歳)
脚本 …… 信本 敬子(33歳)、山永 明子(40歳)
音楽 …… 本多 俊之(40歳)
CGI スーパーバイザー …… 古賀 信明(38歳)
プレイステーション用ゲームソフト『闇吹く夏 帝都物語ふたたび』(1999年4月リリース ビー・ファクトリー)
「シム・フースイ」シリーズ第4作『闇吹く夏』(1997年6月刊)を原作としたアクションアドベンチャーゲーム。
きましたきました、角川ホラー文庫、初期の名物シリーズとなっていた荒俣先生の「シム・フースイ」シリーズのご登場だ!
ここのところ、魔人・加藤保憲に憑りつかれたかのように小説『帝都物語』シリーズの読書感想をつづってきた我が『長岡京エイリアン』なのですが、無事に『帝都物語』本編の全12巻も終わりまして、お次はそこから派生した諸作品についてというふうにお鉢が回ってまいりました。
それで、順当ならば『帝都物語』以降で最初の派生作品となる小説『帝都物語 外伝』(1995年)にいくべきなのかも知れませんが、実はその前に荒俣先生、『帝都物語』の登場人物である風水師・黒田茂丸の孫であるとされる黒田龍人が活躍する「シム・フースイ」シリーズを始めておりましたので、「毒を喰らわば皿までも」ということで、まずこっちから扱うことにいたしました。
こういった、「『帝都物語』の登場人物の孫が出てくるシリーズ」という関係なので、いわゆる「スピンオフ」とさえも言えないうっすい繋がりです。余談ですが、この「既出登場人物の孫が活躍」っていう設定、奇しくもこの「シム・フースイ」シリーズが始まる直前の1992年末からマンガ連載が始まった『金田一少年の事件簿』と共通していますよね。もしかして荒俣先生、ここからヒントもらった!?
でも、なんてったって荒俣先生が満を持して世に出す「風水ホラー小説」だってんですから、スルーする手なんてあろうはずがないのであります!
……とかなんとか威勢のいいことを言ってますが、まぁ、こっちの「シム・フースイ」シリーズ、私は一冊も読んだことが無かったんですけどね。
しょうがないね~。でも、中高生時代に『帝都物語』でガツンといてこまされちゃった私に、もはやその他の荒俣先生作品を読む余力などあろうはずもなかったのでありまして。あれから30年の時を経て、やっと腰をすえて読める「荒俣パワー半減期」が訪れたのだということでカンベンしてつかぁさい!
このシリーズは1993年に創刊した角川ホラー文庫の最初期からラインナップされていたので、作品自体は読んでなくても、同じホラー文庫から出ていた鈴木光司の『リング』とか瀬名秀明の『パラサイト・イヴ』とかを読んだ人だったら、巻末の宣伝ページでタイトルだけ見たことはあるのではないでしょうか。
かくいう私もその口でして、当時角川ホラー文庫から出ていた江戸川乱歩の諸作品(『屋根裏の散歩者』とか『化人幻戯』とか)をチェックしていた身としては、「シム・フースイ」シリーズは近くて遠い存在だったのでありました。でも今さらながら、なんで乱歩作品が「ホラー」だったのか……まぁ、裏でなんかいろいろあったんでしょ。
でも今回調べてみて、このシリーズがいちおう映像化されていたということも初めて知って驚きました。NHK ハイビジョンでやってたってことは、当時は私の実家では視聴できなかったのかな。レンタルビデオ店でも見たことないなぁ~。主人公の黒田龍人を椎名桔平さんが演じているということで、これはおそらくドラマ版『東京龍』以前、1995~96年にテレビ朝日で深夜に放送されていた伝説の SF犯罪捜査ドラマ『 BLACK OUT』での主演をうけてのキャスティングだったのではないでしょうか。『 BLACK OUT』は近未来の科学捜査で怪事件を解決してゆく『怪奇大作戦』系統の内容だったのですが、こちら「シム・フースイ」シリーズは東洋伝統の風水術で現代の怪事件に挑むということで、プロセスはだいぶ違っていても雰囲気は似ていると思うんですよね。そして、作品で扱うテーマも共通項が多いような気がします。当然、発表の順番としては荒俣先生のほうが先であるわけなのですが。
ちなみに、当時の私が椎名桔平さんの存在を本格的に認識するようになったのは、『 BLACK OUT』でも『東京龍』でもなく、その後1998年以降のやたら椎名さんの全裸ショットを全面的に押し出した「日清ラ王」のコマーシャルからでした。ミーハーだねー!! やっぱあの会社のCM、昔から頭おかしい……
ということでありまして今回、名前だけは昔からよく知っていたシリーズをやっと初読していくということで、『帝都物語』の再読とはまた違った感じでワクワクしております。
まぁ、大好きな魔人カトーご本人が登場する期待値はほぼゼロに近いのですが、荒俣先生の風水ホラー小説ナンボやねんということで、まずは記念すべき第1作から、いってみよー!!
シム・フースイ Version 1.0『ワタシ no イエ』(1993年4月)
角川書店角川ホラー文庫から、角川ホラー文庫の創刊ラインナップの一冊として書き下ろし刊行された。
本作に『帝都物語』シリーズの登場人物は再登場しないが、作中に主人公・黒田龍人の祖父である「黒田茂丸」に加えて「東京の龍脈」、「とんでもない魔人」、「土師氏」、「大谷光瑞」といったキーワードが言及される。
あらすじ
1992年12月、ある新婚家庭。新妻の小林雅子は、悪夢にうなされて目を覚ました。カビ臭い。新築の家なのにカビが異常に繁殖する。生命保険会社が配る占いカードも最悪の運勢を示し、雅子はノイローゼにおちいってしまう。困り果てた夫の正彦は、半信半疑ながらもある事務所の扉を叩いた。「風水師・黒田龍人」。彼は土地や建物を看て吉凶を判断し、適切な処置を施すというのだ。
同じ風水師の女性・有吉ミヅチとともに調査を開始した黒田は、恐るべき邪気の存在を知ることとなる……
おもな登場人物
小林 雅子
7月に正彦と結婚したばかりの専業主婦。1960年1月生まれ。痩せぎすで面長、切れ長な目の女性。翌9月に移り住んだ埼玉県新川越の新興住宅地の一戸建て新居で感じる異変の連続に神経を消耗させていく。11月に妊娠していることが発覚する。
小林 正彦
7月に雅子と結婚したばかりの教科書出版会社社員。1959年8月生まれ。島根県出雲地方の出身。黒縁の眼鏡をかけて口ひげを生やしており、筋肉質よりの肥満体型。翌9月に購入した新川越の新居で憔悴していく雅子を心配する。同月に加入した大東生命保険の外交員・河合が持ちかけた「ネオバイオリズム占い」が異常によく当たることを不気味に感じる。身長180cm。
黒田 龍人(くろだ たつと)
本シリーズの主人公。1958年7月生まれの痩せた男性。「都市村落リゾート計画コンサルタント」として東京都中央区九段の九段富国ビル5階1号で事務所「龍神プロジェクト」を開いているが、インテリアデザイナーとして風水の鑑定も行っている。風水環境をシミュレーションできるコンピュータプログラム「シム・フースイ」の開発者の一人。黒が好きで、黒い長髪に黒シャツ、黒のサンドシルクズボンに黒の革靴で身を固めている。喫煙者。乗用車はボルボ。
有吉 ミヅチ(ありよし みづち)
黒田の3年来のパートナーで「霊視」の能力を有する女性。1971年2月生まれ。北海道余市市(架空の自治体だが北海道余市町は実在する)の出身だが、自分の素性は龍人にも話さない。その霊能力の維持のために自らに苦痛を課す。病的に痩せた体形で、龍人と同じように黒を好み、黒いセーターに黒のミニスカートもしくは黒タイツをはいている。髪型は刈り上げに近い短髪。常に青白い顔色で薄紫色の口紅を塗っている。胸に七支刀をデザインした銀のペンダントをつけている。飼い猫のお通について遅れずに猫の道を移動できるほど高い運動能力とバランス能力の持ち主。仏法と北の方角を守護する神・毘沙門天に仕える巫女で、自身を鬼門封じの武神・弁財天の生まれ変わりだと信じている。
お通(おつう)
ミヅチの飼っている青毛の太った猫。その名の通り猫だけが知っている秘密の「道」に通じ、ミズチの危機を救おうとする。
梶原 寅太
大東生命保険総合サービスセンター室長。口ひげを生やした太った男。東京都荒川区南千住の大東生命本社ビルにやって来た黒田に応対する。大東生命の香港支社に勤務していた経験から風水術を知っている。東京都台東区浅草育ち。
柴田 昌寛
大東生命保険コンピュータ室主任。「ネオバイオリズム占い」を行うコンピュータシステムを管理しているが、顧客から大量のクレームがついたネオバイオリズム演算システムを危険視している。若いが頭髪が薄くなっている。
河合 佐知子
大東生命保険の外交員。11月から保険に加入した小林夫妻を担当する。金歯をつけてやや小太りな中年女性。コンピュータで運勢を占う「ネオバイオリズム占い」で顧客の正彦を占う。
小田 雄太郎
正彦の会社に駐在する企業内カウンセラー。正彦に雅子のノイローゼと新居の異常を相談され、黒田龍人を紹介する。
大石 範夫
精神科博士。女子医大付属病院に入院したミヅチと雅子の精神障害を診療する。
布施 晃
微生物研究室博士。大石博士の依頼により、小林家やミヅチが幽閉されていたビルの部屋に異常発生して戸口の開閉を困難にしていたカビの成分分析を行う。
田網 奇鑛(たあみ きこう)
建築家。白髪まじりの中年男。大東生命保険に「ネオバイオリズム占い」を算出するネオバイオリズム演算システムソフトを提供していた。
メディアでも多く取り上げられる有名な建築家だが、チベット密教を修行してダライ・ラマとも親交がある。地相や家相を基本に取り入れた「幸運を呼ぶ住宅づくり」を提唱する一方、東京都台東区上野の Mビルで占いソフトウェアの開発事務所も経営している。南千住の大東生命保険本社ビルの設計も担当していた。自邸は目黒区碑文谷にある。
モデルは、ドラマ『東京龍』を放送した NHKハイビジョンのエンターテイメント番組『荒俣宏の風水で眠れない』(1997年放送)にもゲスト出演していた建築家の毛綱毅曠(もづな きこう 1941~2001年)。
おもな風水用語解説
羅盤(らばん / ロプン)
風水術で使われる専門道具のひとつ。「風水羅盤」とも呼ばれる。流派により、三元羅盤(三元盤)と三合羅盤(三合盤)の2種類がある。
中心に磁石の方位磁針が埋め込まれており、外周に向かって地盤・人盤・天盤の三盤から構成されているのが基本である。地盤は、子・丑・寅と方位を示す二十四方位が刻印されている。子を北極星の方角に定位させておく。人盤も二十四方位を示すが「二十四山」と分類してそれぞれの地龍を読むために用いる。地龍とは、陽宅(占う住居)に住む者に流れ込む地のエネルギーのことである。天盤も二十四山で読むが、川の水龍が溯って陽宅に飛び込んでくるエネルギーを占うもので、水龍は地龍と合体して力を発揮するという。
八卦鏡(はっけきょう、はっかきょう)
風水術で使われる専門道具のひとつ。正八角形の盤の中心に鏡を埋め込み、周囲に先天図の八卦を記したもの。
凶作用を反射させて軽減したり、吉作用を集中させて増幅させる目的で使用される。鏡の種類は凸面鏡、凹面鏡、平面鏡の3種類が一般的である。
平面鏡は凶を反射させて軽減するために使用するが、凸面鏡は反射させた凶作用を周囲に拡散させる効果を持つ。凹面鏡は吉作用を反射させて特定方向に集中させる目的に使用する。
魯班尺(ろはんしゃく)
風水術で使われる専門道具のひとつ。「風水尺」とも呼ばれ、物の大きさや長さの吉凶を判断する物差し。中国大陸の春秋時代(紀元前770~前403年)の発明家・公輸盤(こうしゅ はん 別名・魯班 紀元前507~前444年)によって考案されたとされる。長さの目盛りは上下で分かれており、上段が「門公尺(もんこうじゃく)」、下段が「丁蘭尺(ていらんじゃく)」と呼ばれ、計る対象物によって使い分ける。赤い目盛りは吉、黒い目盛りは凶を示す。
門公尺 …… 建築建物の寸法の吉凶を占う。単位は5.4cm 刻み。吉文字は「財、義、官、本」、凶文字は「病、離、劫、害」。
丁蘭尺 …… 墳墓の寸法の吉凶を占う。単位は3.88cm 刻み。吉文字は「丁、旺、義、官、興、財」、凶文字は「害、苦、死、失」。
烏眼鏡(うがんきょう)
風水術で使われる専門道具のひとつ。一見ただのサングラスのようだが、ガラス面に特殊な塗料が塗られており、これをかけると空間の微妙な偏光を見ることができる。これによって空間の「気」の滞りを察知することができるが、風水術の熟達者でなければ使いこなすことができない。
はい、というわけで『帝都物語』に続く新たなる「シム・フースイ」シリーズの第1作にあたる本作なわけですが、
め~っちゃくちゃ面白かった!! スピンオフ作品によくある手抜き感など皆無な全力投球作!!
という感想でございました。いや~やっぱ荒俣先生ハンパねぇって!
上の情報にあります通り、本作は角川書店の当時の新レーベル「角川ホラー文庫」の創刊ラインナップの一作であり、言うまでもなく角川書店が生んだメディアミックスの大ヒット作品『帝都物語』の原作者である荒俣先生の繰り出す新シリーズということで、それはもう相当な鳴り物入りでの出版であったことは想像に難くありません。
余談ですが、本作は「シム・フースイ」シリーズ5作の中でも最大のボリュームを持った(文庫本で約460ページ)長編作であり、結果的には『帝都物語』の「荒俣&角川春樹タッグ」による最後の小説ということになります。ほら、本作が出た4ヶ月後の8月に麻薬取締法違反とかでとっつかまっちゃったから、あの奈須香宇宙大神宮大宮司。
この作品は、序盤のすべり出しこそ、埼玉県で新居を購入した新婚さん夫婦が見舞われるカビの異常発生からスタートということで、それこそ当時から大人気だったフジテレビのオムニバスホラードラマシリーズ『世にも奇妙な物語』(1990年~放送)のように日常生活の些細な異変から物語が始まる形式であるため、どうしても稀有壮大な歴史大河ドラマだった『帝都物語』と比べるとスケールダウン感は否めません。ま、小説の形式が違うので比較すること自体ナンセンスではあるのですが。
ところが、話が進んでいくと本当に雪だるまのように話の規模が際限なく肥大化していき、挙句の果てにゃ、クライマックスで黒田龍人ら主人公チームの目の前に顕現する存在は、なんとまぁ『帝都物語』の平将門公にさえ全くひけをとらない「超大物」という大盤振る舞いなのでございます! 世界的に有名な神格よ、このお方……本邦では大黒さまとして浸透していますよね。
いやほんと、生命保険会社が持ちかけてくる「当たりすぎて怖いコンピュータ占い」という話が、最終的にはチベット密教 VS 大東亜共栄圏という、ある意味で『帝都物語』以上に規模の大きい国際オカルト戦争になるってんですから、娯楽小説ここに極まれりですよ! すごいなホント、荒俣先生は!!
ただ、この「シム・フースイ」シリーズの特色として忘れてならないのは、主人公たる黒田龍人という人物が、見た目こそ全身黒ずくめのファッションで異様感はあるものの、ほんとのほんとに「風水術の専門家」であるだけで、超能力とか霊能力とかいう特化能力をいっさい持ち合わせていない、ごくごくふつうの人間であるということです。ここを徹底的に順守しているのが面白いところなんですよね。
本作に関していうと、この龍人は世間の一般人たちには「怪しげな占い師のたぐい」として白い目で軽視されるし、暴漢に襲われればロクな抵抗の一つもできずに重傷を負いますし、密かに(バレバレですが)愛しているヒロインのミヅチをやすやすと拉致されてしまうという、頼りないこと昭和ドラマの小倉一郎のごとしな小人物です。物語の後半で重要な場所になってくる「あのどろどろプール」でだって、勝手に足を滑らせてプールに落ちたせいで「あれ」に追いかけられて「助けて!!」って絶叫するし、最後の最後に勇気を振り絞ってミヅチをラスボスから助け出したのに「あんな目」に遭っちゃうし、主人公なのにその後の経過はエピローグで「ナレーション処理」されちゃうしで……徹底的に「平均かそれ以下のひ弱な人物」として描写され通しています。ふびんすぎ……
その点、本作のヒロインであるベリーショートの短髪も凛々しい黒豹のような魔性の美女・有吉ミヅチはというと、邪悪な存在を敏感に感知できる「霊視」の能力に長けており、その他テレパシーやサイコキネシスの超能力も持ち合わせているらしい、ホラー小説にふさわしい特異なキャラクターに設定されています。
そうではあるのですが、こちらもこちらで『帝都物語』いらいの伝統である「ヒロインはロクな目にあわない」という鉄則にのっとり、辰宮由佳理や目方恵子にも余裕で肩を並べることのできそうな「痛い・キツイ・げろげろ!!」体験の洗礼をじゃぶじゃぶ浴びてしまうのでした……荒俣先生、まだシリーズの1本目ですよ!? 本当に当時の荒俣小説のヒロインの扱いは苛烈すぎです。令和の御世でこれやったら、ヒロインのなり手がいなくなっちゃうよ!!
だいたい、本作でひどい目に遭うのは人間だけじゃないですから……動物愛護の点からも本作レベルの展開を描くのは令和の出版業界では不可能だと思います。いや、本作を読んだからって真似をするような狂人はそうはいないでしょうが。エアガンだとかハサミだとかいう次元の話じゃないですからね。歯て!!
いやホント、この有吉ミヅチってキャラ、映像版では当時キャピキャピのヤングアイドルだった中山エミリさんが演じてたんですよね!? よくやったな、こんな異常ヒロイン……と思いながら実際に『東京龍』を観てみたら、99% 別人の無難なキャラクターに設定変更されてました。出身地も北海道とは180°真逆の沖縄の与那国島になっちゃってるし、「14歳の時の真っ黒な経験」のくだりはもちのろんで全カットです。当たり前よね……こんなもんハイビジョンで映像化できるかバカー!!
あぁ、そういえばドラマ版のミヅチって、確か名前の表記が「有吉ミズチ」ってなってたな! なるほど~、これ誤記じゃなくて別人ってことなんだな。うん、それでいいと思います……原作のミヅチを演じたい女優さんなんて、この世にいるかな? イザベル=アジャーニぐらいじゃない? そんな奇特なお人。
ともあれ、荒俣ヒロインのこういった「敵の攻撃オール総受け」のノーガード戦法、どっかで見たことがあるなーと思ったら、水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』の原作マンガにおける、鬼太郎が喰われたり切り刻まれたり溶かされたりハゲさせられたりかまぼこに加工販売されたりした上で反撃に転じていく、「誰かの自己犠牲が聖性を生み悪を祓う」っていう観念に通じるものがあると思うんですよね。これは「敵対者には攻撃で対抗」という人類の尋常な価値観とは全く違う、さかのぼれば説教節の『身毒丸』さえ経由しそうな「世界の浄化法」だと思うんですよ。う~ん、深い! 社会の犠牲、人柱になる女性の人権はどうなんだという話にもなりそうなのですが、そういう観念とはまるで別の次元の問題なんですよね。だって、荒俣ヒロインが対峙しているのは人間ではなくて、地球規模の自然災害や大自然そのもののような絶対的上位存在の「なにか」なのですから。
こういった主人公ペアの意図的な「弱体化」を押し通した物語であるため、本作のクライマックスも、一連の不可思議な事件を引き起こした「ラスボスらしき存在」にやっとこさたどり着くことはできるのですが、その正体を白日の下に暴いたり退治したりする余力などあろうはずもなく、みんなで全力で逃げてラスボスのいた空間を封印して調査打ち切り!という、けっこうとんでもない未解決っぷりを遂げてしまいます。だいたい、龍人に事件解決を依頼した人もああなっちゃってるし……シリーズ第1作にして、すがすがしいまでの大黒星です! 大丈夫か!?
でも、この潔すぎる主人公ペアの弱さ、連帯感のなさ、ギスギスっぷりが、それゆえにシリーズ第1作としての奇妙な魅力を放っているというか、それ以上堕ちようがないんだから、ここからシリーズを重ねていくにつれて、この2人がどう「浮上」していくのかが大いに気になってしまうという引力を発生させているんですよね! さっすが荒俣先生、うま……いのか? あれよ、これまた古い話になってしまうのですが、この手のジャンルドラマの世界的大ヒット作と言われる『 X-ファイル』(1993~2018年)の第1シーズンみたいな不安感ですよね。あ、でも「シム・フースイ」シリーズのほうがギリ先輩なのか。
ミヅチ「龍人、あなた疲れてるのよ……あたしのせいで(笑)」
さぁこんな感じで、第1作からものすごい大負けを喫してしまった黒田龍人くんではあるのですが、ここからどう巻き返していくのか? ミヅチとのよりは戻していけるのか? そして『帝都物語』シリーズの登場人物のゲスト出演はあるのか?
さまざまな不安まじりの期待に胸をふくらませつつ、次回以降も「シム・フースイ」シリーズの読書感想を続けていきたいと思いま~っす!
ほんと、なんで2025年にこんな企画をやってるんでしょうか……なんぴとのためにもあらず、ただ自分のために文章をつづる個人ブログの真骨頂、ここにあり!! いえ~。
今年の黄金週間、私としましては「なんとかかんとか『週間』になってる……?」という感じでやや短めなのですが、まぁお休みをいただけるだけありがたいだろ文句言うな!ということで、ね。満喫したいと思います~。
つい昨日も、同じ山形県の米沢市で行われていた「米沢上杉まつり」の最終日イベント「上杉軍団行列と川中島合戦再現」を見てまいりました。
このイベントほんっとに大好きでして、応募して合格すれば上杉軍の雑兵になって軍団行列や合戦に参加できるということで、私は2022年度と24年度の2回、従軍してまいりました。かなり疲れるけどとっても楽しいです。
今年は普通に観客として行列と合戦を楽しんだのですが、いちおう自分の中では、もう雑兵としての参加はしないことにしております。体力的には全然問題が無いのですが、去年の川中島合戦であんな最高な体験をしちゃったら、たぶん今後それ以上の満足感は得られないんじゃなかろうかと思いますので……具体的にどんなことがあったのかは、私と信玄公(演・角田信朗さま)とのヒ・ミ・ツ☆ おそらくは永禄四(1561)年にあった本チャンの第4次川中島合戦でも起きなかったであろう奇跡がぁ~ん。
米沢上杉まつりの何が好きって、米沢市のまさに老若男女がこぞって集まって祭りを楽しんでる感がひしひしと伝わってくるのが最高なんですよね。単に歴史好きな人と地元のお年寄りだけが頑張って盛り上げてるわけじゃないんですよ。
よく、ああいう歴史イベント、特に合戦の再現行事に対して「ちゃちい」とか「笑いながらやってて真剣感が無い」とか、謎の上から目線でエラそうにぬかす声がありますが、そういうことは実際に兵士になって炎天下や寒い風の下で数時間歩きまわって数百m の戦場を駆けずり回ったことのある人だけ言っていただきたいです。
特に米沢の川中島合戦に関しては、戦場の雑兵の半分以上が現役の地元高校生のみなさまでして、貴重なゴールデンウィークのさなか、朝もはよから集合させられて重たい鎧装束を着させられて夕方まで従軍させられてるんですよ! それでも友達同士で笑顔でやり切ってくれるんですから、日本の未来も明るいよ!! 上杉軍の中でも最強と謳われた柿崎和泉守景家の先鋒隊は、めっちゃ日焼け止めクリームのにおいがするぞ!!
実際、昨日私が観客席に座って合戦を観ていたら、前に座っていた歴史イベントに似つかわしくないギャルギャルしたお嬢様がたが、「なつかしー! あたし水原(常陸介親憲)隊だった。」とか、「がんばって思い出したら、今でも柿崎隊やれっかも!」とかワイワイはしゃいでおられたのには吃驚してしまいました……戦国最強とも恐れられた上杉謙信の兵として従軍した経験のあるティーンがけっこういる町・米沢! 火縄銃マジうるさい。
どこでも人口減少が止まらないと言われている地方都市ですが、一年に一度だけでも、こういう町をあげての大イベントがあるっていうのは素晴らしいことですよね。私の住んでる山形市も山形城の復元だけじゃなくて、例えば「東北の関ヶ原」とも言われた長谷堂城の攻防戦あたりを再現したらいいのになぁ。でもあれ、現代で人気のある直江兼続とか前田慶次郎利益とかが完全に敵側なんでね。同じ山形県の同胞である米沢を敵にまわすのは得策ではないのう。
まま、こんな感じで今年も米沢上杉まつりは楽しかったです。前日が大雨でもこの日だけは毎年絶対に暑いくらいの快晴になるのが不思議ですよ。祭りも最高なんですが、実は個人的には、その後の夕方に行く米沢のスーパー銭湯「鷹山の湯」のひとときも欠かせなくって……電気風呂が死ぬほど好きです。
……え~、そんでもってまぁ、今回は荒俣宏先生の小説の感想です。脈絡が無さすぎる。
あのね、つい先日に「池松壮亮さんの金田一耕助シリーズを観るのがゴールデンウィークの楽しみだ」とかなんとかほざいていたのですが、NHK BS での放送は「2週に1回」ということで、みごとにゴールデンウィークをまたいでしまっておりました。もう、いけず!
ですので、この連休中は荒俣先生の小説を読むということで代替とさせていただきます。なんと実に30年以上前の作品ということで、鮮度もタイムリー感もあったもんじゃありません。でも、これこそが『長岡京エイリアン』クオリティ!!
「シム・フースイ」シリーズ(1993~99年 全5作)とは
「シム・フースイ」シリーズは、荒俣宏による風水ホラー小説シリーズである。現在、角川書店角川ホラー文庫から5巻まで刊行されている。
『帝都物語』シリーズ(1983~89年発表)に登場した風水師・黒田茂丸の孫である黒田龍人が主人公となり、風水の力を用いて怪事件を解決していく。のちに TVドラマ化(再編集され映画化)、ゲーム化された。ちなみに黒田龍人は小説『帝都物語外伝 機関童子』(1995年6月刊)にも登場する。
TV ドラマシリーズ『東京龍 TOKYO DRAGON』(1997年8月放送 全4話)
NHK のハイビジョン試験放送にて1997年8月25日から4夜連続で放映されたエンターテイメント番組『荒俣宏の風水で眠れない』内で放送された、「シム・フースイ」シリーズ作品を原作とした1話約30分のミニドラマシリーズ。
『荒俣宏の風水で眠れない』は2部構成となっており、第1部がドラマ、第2部が風水を易しく解説したミニ講座『東京小龍』(出演・田口トモロヲ、荒俣宏、建築家の毛綱毅曠)となっていた。
本作は再編集され、1997年11月に映画『風水ニッポン 出現!東京龍 TOKYO DRAGON』(配給エースピクチャーズ)として劇場公開された。
なお、本作は映画編集版がビデオリリースされたが DVDソフト化はされていない。
おもなキャスティング
黒田 龍人 …… 椎名 桔平(33歳)
有吉 ミヅチ …… 中山 エミリ(18歳)
庄野 夕子 …… 清水 美砂(26歳)
矢崎 昭二 …… 中尾 彬(55歳)
佐久間 …… 清水 綋治(53歳)
新井 美樹 …… さとう 珠緒(24歳)
鈴木 英夫 …… 三代目 江戸家 猫八(75歳)
サキコ …… 若松 恵(17歳)
ゼネコン役員 …… 寺田 農(54歳)
留守電の依頼客 …… 青野 武(61歳)
黒田 茂丸 …… ミッキー・カーチス(59歳)
おもなスタッフ
監督 …… 片岡 敬司(38歳)
脚本 …… 信本 敬子(33歳)、山永 明子(40歳)
音楽 …… 本多 俊之(40歳)
CGI スーパーバイザー …… 古賀 信明(38歳)
プレイステーション用ゲームソフト『闇吹く夏 帝都物語ふたたび』(1999年4月リリース ビー・ファクトリー)
「シム・フースイ」シリーズ第4作『闇吹く夏』(1997年6月刊)を原作としたアクションアドベンチャーゲーム。
きましたきました、角川ホラー文庫、初期の名物シリーズとなっていた荒俣先生の「シム・フースイ」シリーズのご登場だ!
ここのところ、魔人・加藤保憲に憑りつかれたかのように小説『帝都物語』シリーズの読書感想をつづってきた我が『長岡京エイリアン』なのですが、無事に『帝都物語』本編の全12巻も終わりまして、お次はそこから派生した諸作品についてというふうにお鉢が回ってまいりました。
それで、順当ならば『帝都物語』以降で最初の派生作品となる小説『帝都物語 外伝』(1995年)にいくべきなのかも知れませんが、実はその前に荒俣先生、『帝都物語』の登場人物である風水師・黒田茂丸の孫であるとされる黒田龍人が活躍する「シム・フースイ」シリーズを始めておりましたので、「毒を喰らわば皿までも」ということで、まずこっちから扱うことにいたしました。
こういった、「『帝都物語』の登場人物の孫が出てくるシリーズ」という関係なので、いわゆる「スピンオフ」とさえも言えないうっすい繋がりです。余談ですが、この「既出登場人物の孫が活躍」っていう設定、奇しくもこの「シム・フースイ」シリーズが始まる直前の1992年末からマンガ連載が始まった『金田一少年の事件簿』と共通していますよね。もしかして荒俣先生、ここからヒントもらった!?
でも、なんてったって荒俣先生が満を持して世に出す「風水ホラー小説」だってんですから、スルーする手なんてあろうはずがないのであります!
……とかなんとか威勢のいいことを言ってますが、まぁ、こっちの「シム・フースイ」シリーズ、私は一冊も読んだことが無かったんですけどね。
しょうがないね~。でも、中高生時代に『帝都物語』でガツンといてこまされちゃった私に、もはやその他の荒俣先生作品を読む余力などあろうはずもなかったのでありまして。あれから30年の時を経て、やっと腰をすえて読める「荒俣パワー半減期」が訪れたのだということでカンベンしてつかぁさい!
このシリーズは1993年に創刊した角川ホラー文庫の最初期からラインナップされていたので、作品自体は読んでなくても、同じホラー文庫から出ていた鈴木光司の『リング』とか瀬名秀明の『パラサイト・イヴ』とかを読んだ人だったら、巻末の宣伝ページでタイトルだけ見たことはあるのではないでしょうか。
かくいう私もその口でして、当時角川ホラー文庫から出ていた江戸川乱歩の諸作品(『屋根裏の散歩者』とか『化人幻戯』とか)をチェックしていた身としては、「シム・フースイ」シリーズは近くて遠い存在だったのでありました。でも今さらながら、なんで乱歩作品が「ホラー」だったのか……まぁ、裏でなんかいろいろあったんでしょ。
でも今回調べてみて、このシリーズがいちおう映像化されていたということも初めて知って驚きました。NHK ハイビジョンでやってたってことは、当時は私の実家では視聴できなかったのかな。レンタルビデオ店でも見たことないなぁ~。主人公の黒田龍人を椎名桔平さんが演じているということで、これはおそらくドラマ版『東京龍』以前、1995~96年にテレビ朝日で深夜に放送されていた伝説の SF犯罪捜査ドラマ『 BLACK OUT』での主演をうけてのキャスティングだったのではないでしょうか。『 BLACK OUT』は近未来の科学捜査で怪事件を解決してゆく『怪奇大作戦』系統の内容だったのですが、こちら「シム・フースイ」シリーズは東洋伝統の風水術で現代の怪事件に挑むということで、プロセスはだいぶ違っていても雰囲気は似ていると思うんですよね。そして、作品で扱うテーマも共通項が多いような気がします。当然、発表の順番としては荒俣先生のほうが先であるわけなのですが。
ちなみに、当時の私が椎名桔平さんの存在を本格的に認識するようになったのは、『 BLACK OUT』でも『東京龍』でもなく、その後1998年以降のやたら椎名さんの全裸ショットを全面的に押し出した「日清ラ王」のコマーシャルからでした。ミーハーだねー!! やっぱあの会社のCM、昔から頭おかしい……
ということでありまして今回、名前だけは昔からよく知っていたシリーズをやっと初読していくということで、『帝都物語』の再読とはまた違った感じでワクワクしております。
まぁ、大好きな魔人カトーご本人が登場する期待値はほぼゼロに近いのですが、荒俣先生の風水ホラー小説ナンボやねんということで、まずは記念すべき第1作から、いってみよー!!
シム・フースイ Version 1.0『ワタシ no イエ』(1993年4月)
角川書店角川ホラー文庫から、角川ホラー文庫の創刊ラインナップの一冊として書き下ろし刊行された。
本作に『帝都物語』シリーズの登場人物は再登場しないが、作中に主人公・黒田龍人の祖父である「黒田茂丸」に加えて「東京の龍脈」、「とんでもない魔人」、「土師氏」、「大谷光瑞」といったキーワードが言及される。
あらすじ
1992年12月、ある新婚家庭。新妻の小林雅子は、悪夢にうなされて目を覚ました。カビ臭い。新築の家なのにカビが異常に繁殖する。生命保険会社が配る占いカードも最悪の運勢を示し、雅子はノイローゼにおちいってしまう。困り果てた夫の正彦は、半信半疑ながらもある事務所の扉を叩いた。「風水師・黒田龍人」。彼は土地や建物を看て吉凶を判断し、適切な処置を施すというのだ。
同じ風水師の女性・有吉ミヅチとともに調査を開始した黒田は、恐るべき邪気の存在を知ることとなる……
おもな登場人物
小林 雅子
7月に正彦と結婚したばかりの専業主婦。1960年1月生まれ。痩せぎすで面長、切れ長な目の女性。翌9月に移り住んだ埼玉県新川越の新興住宅地の一戸建て新居で感じる異変の連続に神経を消耗させていく。11月に妊娠していることが発覚する。
小林 正彦
7月に雅子と結婚したばかりの教科書出版会社社員。1959年8月生まれ。島根県出雲地方の出身。黒縁の眼鏡をかけて口ひげを生やしており、筋肉質よりの肥満体型。翌9月に購入した新川越の新居で憔悴していく雅子を心配する。同月に加入した大東生命保険の外交員・河合が持ちかけた「ネオバイオリズム占い」が異常によく当たることを不気味に感じる。身長180cm。
黒田 龍人(くろだ たつと)
本シリーズの主人公。1958年7月生まれの痩せた男性。「都市村落リゾート計画コンサルタント」として東京都中央区九段の九段富国ビル5階1号で事務所「龍神プロジェクト」を開いているが、インテリアデザイナーとして風水の鑑定も行っている。風水環境をシミュレーションできるコンピュータプログラム「シム・フースイ」の開発者の一人。黒が好きで、黒い長髪に黒シャツ、黒のサンドシルクズボンに黒の革靴で身を固めている。喫煙者。乗用車はボルボ。
有吉 ミヅチ(ありよし みづち)
黒田の3年来のパートナーで「霊視」の能力を有する女性。1971年2月生まれ。北海道余市市(架空の自治体だが北海道余市町は実在する)の出身だが、自分の素性は龍人にも話さない。その霊能力の維持のために自らに苦痛を課す。病的に痩せた体形で、龍人と同じように黒を好み、黒いセーターに黒のミニスカートもしくは黒タイツをはいている。髪型は刈り上げに近い短髪。常に青白い顔色で薄紫色の口紅を塗っている。胸に七支刀をデザインした銀のペンダントをつけている。飼い猫のお通について遅れずに猫の道を移動できるほど高い運動能力とバランス能力の持ち主。仏法と北の方角を守護する神・毘沙門天に仕える巫女で、自身を鬼門封じの武神・弁財天の生まれ変わりだと信じている。
お通(おつう)
ミヅチの飼っている青毛の太った猫。その名の通り猫だけが知っている秘密の「道」に通じ、ミズチの危機を救おうとする。
梶原 寅太
大東生命保険総合サービスセンター室長。口ひげを生やした太った男。東京都荒川区南千住の大東生命本社ビルにやって来た黒田に応対する。大東生命の香港支社に勤務していた経験から風水術を知っている。東京都台東区浅草育ち。
柴田 昌寛
大東生命保険コンピュータ室主任。「ネオバイオリズム占い」を行うコンピュータシステムを管理しているが、顧客から大量のクレームがついたネオバイオリズム演算システムを危険視している。若いが頭髪が薄くなっている。
河合 佐知子
大東生命保険の外交員。11月から保険に加入した小林夫妻を担当する。金歯をつけてやや小太りな中年女性。コンピュータで運勢を占う「ネオバイオリズム占い」で顧客の正彦を占う。
小田 雄太郎
正彦の会社に駐在する企業内カウンセラー。正彦に雅子のノイローゼと新居の異常を相談され、黒田龍人を紹介する。
大石 範夫
精神科博士。女子医大付属病院に入院したミヅチと雅子の精神障害を診療する。
布施 晃
微生物研究室博士。大石博士の依頼により、小林家やミヅチが幽閉されていたビルの部屋に異常発生して戸口の開閉を困難にしていたカビの成分分析を行う。
田網 奇鑛(たあみ きこう)
建築家。白髪まじりの中年男。大東生命保険に「ネオバイオリズム占い」を算出するネオバイオリズム演算システムソフトを提供していた。
メディアでも多く取り上げられる有名な建築家だが、チベット密教を修行してダライ・ラマとも親交がある。地相や家相を基本に取り入れた「幸運を呼ぶ住宅づくり」を提唱する一方、東京都台東区上野の Mビルで占いソフトウェアの開発事務所も経営している。南千住の大東生命保険本社ビルの設計も担当していた。自邸は目黒区碑文谷にある。
モデルは、ドラマ『東京龍』を放送した NHKハイビジョンのエンターテイメント番組『荒俣宏の風水で眠れない』(1997年放送)にもゲスト出演していた建築家の毛綱毅曠(もづな きこう 1941~2001年)。
おもな風水用語解説
羅盤(らばん / ロプン)
風水術で使われる専門道具のひとつ。「風水羅盤」とも呼ばれる。流派により、三元羅盤(三元盤)と三合羅盤(三合盤)の2種類がある。
中心に磁石の方位磁針が埋め込まれており、外周に向かって地盤・人盤・天盤の三盤から構成されているのが基本である。地盤は、子・丑・寅と方位を示す二十四方位が刻印されている。子を北極星の方角に定位させておく。人盤も二十四方位を示すが「二十四山」と分類してそれぞれの地龍を読むために用いる。地龍とは、陽宅(占う住居)に住む者に流れ込む地のエネルギーのことである。天盤も二十四山で読むが、川の水龍が溯って陽宅に飛び込んでくるエネルギーを占うもので、水龍は地龍と合体して力を発揮するという。
八卦鏡(はっけきょう、はっかきょう)
風水術で使われる専門道具のひとつ。正八角形の盤の中心に鏡を埋め込み、周囲に先天図の八卦を記したもの。
凶作用を反射させて軽減したり、吉作用を集中させて増幅させる目的で使用される。鏡の種類は凸面鏡、凹面鏡、平面鏡の3種類が一般的である。
平面鏡は凶を反射させて軽減するために使用するが、凸面鏡は反射させた凶作用を周囲に拡散させる効果を持つ。凹面鏡は吉作用を反射させて特定方向に集中させる目的に使用する。
魯班尺(ろはんしゃく)
風水術で使われる専門道具のひとつ。「風水尺」とも呼ばれ、物の大きさや長さの吉凶を判断する物差し。中国大陸の春秋時代(紀元前770~前403年)の発明家・公輸盤(こうしゅ はん 別名・魯班 紀元前507~前444年)によって考案されたとされる。長さの目盛りは上下で分かれており、上段が「門公尺(もんこうじゃく)」、下段が「丁蘭尺(ていらんじゃく)」と呼ばれ、計る対象物によって使い分ける。赤い目盛りは吉、黒い目盛りは凶を示す。
門公尺 …… 建築建物の寸法の吉凶を占う。単位は5.4cm 刻み。吉文字は「財、義、官、本」、凶文字は「病、離、劫、害」。
丁蘭尺 …… 墳墓の寸法の吉凶を占う。単位は3.88cm 刻み。吉文字は「丁、旺、義、官、興、財」、凶文字は「害、苦、死、失」。
烏眼鏡(うがんきょう)
風水術で使われる専門道具のひとつ。一見ただのサングラスのようだが、ガラス面に特殊な塗料が塗られており、これをかけると空間の微妙な偏光を見ることができる。これによって空間の「気」の滞りを察知することができるが、風水術の熟達者でなければ使いこなすことができない。
はい、というわけで『帝都物語』に続く新たなる「シム・フースイ」シリーズの第1作にあたる本作なわけですが、
め~っちゃくちゃ面白かった!! スピンオフ作品によくある手抜き感など皆無な全力投球作!!
という感想でございました。いや~やっぱ荒俣先生ハンパねぇって!
上の情報にあります通り、本作は角川書店の当時の新レーベル「角川ホラー文庫」の創刊ラインナップの一作であり、言うまでもなく角川書店が生んだメディアミックスの大ヒット作品『帝都物語』の原作者である荒俣先生の繰り出す新シリーズということで、それはもう相当な鳴り物入りでの出版であったことは想像に難くありません。
余談ですが、本作は「シム・フースイ」シリーズ5作の中でも最大のボリュームを持った(文庫本で約460ページ)長編作であり、結果的には『帝都物語』の「荒俣&角川春樹タッグ」による最後の小説ということになります。ほら、本作が出た4ヶ月後の8月に麻薬取締法違反とかでとっつかまっちゃったから、あの奈須香宇宙大神宮大宮司。
この作品は、序盤のすべり出しこそ、埼玉県で新居を購入した新婚さん夫婦が見舞われるカビの異常発生からスタートということで、それこそ当時から大人気だったフジテレビのオムニバスホラードラマシリーズ『世にも奇妙な物語』(1990年~放送)のように日常生活の些細な異変から物語が始まる形式であるため、どうしても稀有壮大な歴史大河ドラマだった『帝都物語』と比べるとスケールダウン感は否めません。ま、小説の形式が違うので比較すること自体ナンセンスではあるのですが。
ところが、話が進んでいくと本当に雪だるまのように話の規模が際限なく肥大化していき、挙句の果てにゃ、クライマックスで黒田龍人ら主人公チームの目の前に顕現する存在は、なんとまぁ『帝都物語』の平将門公にさえ全くひけをとらない「超大物」という大盤振る舞いなのでございます! 世界的に有名な神格よ、このお方……本邦では大黒さまとして浸透していますよね。
いやほんと、生命保険会社が持ちかけてくる「当たりすぎて怖いコンピュータ占い」という話が、最終的にはチベット密教 VS 大東亜共栄圏という、ある意味で『帝都物語』以上に規模の大きい国際オカルト戦争になるってんですから、娯楽小説ここに極まれりですよ! すごいなホント、荒俣先生は!!
ただ、この「シム・フースイ」シリーズの特色として忘れてならないのは、主人公たる黒田龍人という人物が、見た目こそ全身黒ずくめのファッションで異様感はあるものの、ほんとのほんとに「風水術の専門家」であるだけで、超能力とか霊能力とかいう特化能力をいっさい持ち合わせていない、ごくごくふつうの人間であるということです。ここを徹底的に順守しているのが面白いところなんですよね。
本作に関していうと、この龍人は世間の一般人たちには「怪しげな占い師のたぐい」として白い目で軽視されるし、暴漢に襲われればロクな抵抗の一つもできずに重傷を負いますし、密かに(バレバレですが)愛しているヒロインのミヅチをやすやすと拉致されてしまうという、頼りないこと昭和ドラマの小倉一郎のごとしな小人物です。物語の後半で重要な場所になってくる「あのどろどろプール」でだって、勝手に足を滑らせてプールに落ちたせいで「あれ」に追いかけられて「助けて!!」って絶叫するし、最後の最後に勇気を振り絞ってミヅチをラスボスから助け出したのに「あんな目」に遭っちゃうし、主人公なのにその後の経過はエピローグで「ナレーション処理」されちゃうしで……徹底的に「平均かそれ以下のひ弱な人物」として描写され通しています。ふびんすぎ……
その点、本作のヒロインであるベリーショートの短髪も凛々しい黒豹のような魔性の美女・有吉ミヅチはというと、邪悪な存在を敏感に感知できる「霊視」の能力に長けており、その他テレパシーやサイコキネシスの超能力も持ち合わせているらしい、ホラー小説にふさわしい特異なキャラクターに設定されています。
そうではあるのですが、こちらもこちらで『帝都物語』いらいの伝統である「ヒロインはロクな目にあわない」という鉄則にのっとり、辰宮由佳理や目方恵子にも余裕で肩を並べることのできそうな「痛い・キツイ・げろげろ!!」体験の洗礼をじゃぶじゃぶ浴びてしまうのでした……荒俣先生、まだシリーズの1本目ですよ!? 本当に当時の荒俣小説のヒロインの扱いは苛烈すぎです。令和の御世でこれやったら、ヒロインのなり手がいなくなっちゃうよ!!
だいたい、本作でひどい目に遭うのは人間だけじゃないですから……動物愛護の点からも本作レベルの展開を描くのは令和の出版業界では不可能だと思います。いや、本作を読んだからって真似をするような狂人はそうはいないでしょうが。エアガンだとかハサミだとかいう次元の話じゃないですからね。歯て!!
いやホント、この有吉ミヅチってキャラ、映像版では当時キャピキャピのヤングアイドルだった中山エミリさんが演じてたんですよね!? よくやったな、こんな異常ヒロイン……と思いながら実際に『東京龍』を観てみたら、99% 別人の無難なキャラクターに設定変更されてました。出身地も北海道とは180°真逆の沖縄の与那国島になっちゃってるし、「14歳の時の真っ黒な経験」のくだりはもちのろんで全カットです。当たり前よね……こんなもんハイビジョンで映像化できるかバカー!!
あぁ、そういえばドラマ版のミヅチって、確か名前の表記が「有吉ミズチ」ってなってたな! なるほど~、これ誤記じゃなくて別人ってことなんだな。うん、それでいいと思います……原作のミヅチを演じたい女優さんなんて、この世にいるかな? イザベル=アジャーニぐらいじゃない? そんな奇特なお人。
ともあれ、荒俣ヒロインのこういった「敵の攻撃オール総受け」のノーガード戦法、どっかで見たことがあるなーと思ったら、水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』の原作マンガにおける、鬼太郎が喰われたり切り刻まれたり溶かされたりハゲさせられたりかまぼこに加工販売されたりした上で反撃に転じていく、「誰かの自己犠牲が聖性を生み悪を祓う」っていう観念に通じるものがあると思うんですよね。これは「敵対者には攻撃で対抗」という人類の尋常な価値観とは全く違う、さかのぼれば説教節の『身毒丸』さえ経由しそうな「世界の浄化法」だと思うんですよ。う~ん、深い! 社会の犠牲、人柱になる女性の人権はどうなんだという話にもなりそうなのですが、そういう観念とはまるで別の次元の問題なんですよね。だって、荒俣ヒロインが対峙しているのは人間ではなくて、地球規模の自然災害や大自然そのもののような絶対的上位存在の「なにか」なのですから。
こういった主人公ペアの意図的な「弱体化」を押し通した物語であるため、本作のクライマックスも、一連の不可思議な事件を引き起こした「ラスボスらしき存在」にやっとこさたどり着くことはできるのですが、その正体を白日の下に暴いたり退治したりする余力などあろうはずもなく、みんなで全力で逃げてラスボスのいた空間を封印して調査打ち切り!という、けっこうとんでもない未解決っぷりを遂げてしまいます。だいたい、龍人に事件解決を依頼した人もああなっちゃってるし……シリーズ第1作にして、すがすがしいまでの大黒星です! 大丈夫か!?
でも、この潔すぎる主人公ペアの弱さ、連帯感のなさ、ギスギスっぷりが、それゆえにシリーズ第1作としての奇妙な魅力を放っているというか、それ以上堕ちようがないんだから、ここからシリーズを重ねていくにつれて、この2人がどう「浮上」していくのかが大いに気になってしまうという引力を発生させているんですよね! さっすが荒俣先生、うま……いのか? あれよ、これまた古い話になってしまうのですが、この手のジャンルドラマの世界的大ヒット作と言われる『 X-ファイル』(1993~2018年)の第1シーズンみたいな不安感ですよね。あ、でも「シム・フースイ」シリーズのほうがギリ先輩なのか。
ミヅチ「龍人、あなた疲れてるのよ……あたしのせいで(笑)」
さぁこんな感じで、第1作からものすごい大負けを喫してしまった黒田龍人くんではあるのですが、ここからどう巻き返していくのか? ミヅチとのよりは戻していけるのか? そして『帝都物語』シリーズの登場人物のゲスト出演はあるのか?
さまざまな不安まじりの期待に胸をふくらませつつ、次回以降も「シム・フースイ」シリーズの読書感想を続けていきたいと思いま~っす!
ほんと、なんで2025年にこんな企画をやってるんでしょうか……なんぴとのためにもあらず、ただ自分のために文章をつづる個人ブログの真骨頂、ここにあり!! いえ~。