長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

若大将ぬらりひょん健闘!思ったよりも頑張っとるねぇ~、チミ!! ~ぬらりひょんサーガ第41回~

2021年08月22日 21時35分44秒 | ゲゲゲの鬼太郎その愛
前回までのあらすじ≫
 江戸時代の誕生いらい、変幻自在に姿を変えて日本の妖怪文化の成長・発展にぬらっと寄り添ってきた、謎の妖怪ぬらりひょん。
 ながらく「百鬼夜行のモブ」生活に甘んじていた彼も、太平洋戦争後の日本における妖怪の人気キャラクター化を契機として、「いつの間にかいる」属性や「見た目が爺さん」属性を獲得し、ついには「日本妖怪の総大将」という称号までをもうかがう知名度を手にした!
 果たして、ぬらりひょんは本当に妖怪総大将たりえるのか。時代が彼にあたえし運命の少年「ゲゲゲの鬼太郎」の追撃も華麗にかわしながら、時には得意のペテンで他の妖怪をだまくらかすクセ者妖怪となり、時にはなぜか地獄の閻魔大王の側近となり、また時にはそのカリスマ性で日本妖怪を束ねる本物の総大将となり……ぬらりひょんは様々な立場と性格で物語に登場する、超有名妖怪の仲間入りを果たしたのだった。
 そして、日本声優界の最重要人物である大塚周夫のぬらりひょんに始まった2010年代は、なんとその子息・大塚明夫のぬらりひょんで幕を閉じるという驚異のディケイドとなったのである。
 あの鬼太郎を前にしても一歩も引かない、史上最凶ともいえるワルっぷりを発揮した明夫ぬらの堂々たる退場ののちに、新たなる2020年代はやってきた。悪役、良い役、大物、小物……もうなんか、できることはやりつくした感さえ漂ってきた妖怪ぬらりひょん。しかし、あらゆるポジションを楽しんだからと言って、外見通りに楽隠居を決め込むような安定志向型の妖怪であるわけがないことは、火を見るよりも明らかであった。
 往生際の悪すぎるよくばり妖怪ぬらりひょん! 果たして彼は、新時代にどのような次の手を打ってくるのであろうか!?


 ……って、さんざん風呂敷を広げましたけれども、今、2020年代が始まって1年半しか経ってないんですが。

 正直、ね。たった1年ちょっとでネタが集まるはずがないんですよ! 明夫ぬらだって、実質活動期間の半分2020年代ですからね。まだまだスタートしたばっかじゃないですか。

 簡単に触れておきますが、明夫ぬらを2010年代のぬらりひょんにカテゴライズしてしまいますと、純粋な2020年代生まれの最初のぬらりひょんは、昨年2020年の8~9月にテレビ朝日系列で土曜深夜に放送していた妖怪コメディドラマ『妖怪シェアハウス』(全8回)における大倉孝二ぬらりひょんということになります。
 でも、大変に不勉強なことに、私このドラマちゃんと視聴していなくて、TVで1~2回ながら見したかなってくらいで、印象が全然残ってないんですよね。のんきな一人暮らしだったらともかく、実家住まいの土曜の夜って、消灯が早いんだよなぁ! しかも「2ヶ月放送全8回」っていうのは、一体全体どんなサイズなのでしょうか。1クール13本やって一人前……という認識はもう古いのかなぁ。なんか見逃しやすいだけのような気がするのですが……でも今はネット配信の時代だし、そもそも「見逃したから観てない」っていう言い訳は存在しえないのか。「チャンネル争い」とか「予約録画したのにナイターで放送時間ズレた!」とか「Gコード予約」とかは、現代のわこうどたちには通じないワードなのかのう!

 それはともかく大倉ぬらりひょんなのですが、こちらはまともにその生態を観察していないのでなんとも言いようがないのですが、とにもかくにも、普段は弁護士や経営コンサルタントとして人間社会になじみまくっているそのキャラクター設定は、まさしく「人の世なれ」した妖怪ぬらりひょんの独擅場と言ってもよく、人間と妖怪の世界を自由に往来でき、その知識と処世術で主人公の良きサポート役にもなれるという、他の妖怪どもになかなかおびやかされない専売特許を手にしたぬらりひょんの成功が見られる、絶好のキャスティングだなと感じました。もはや、日本妖怪の中でのぬらりひょんの地位は不動のものに!
 すばらしいですね。「妖怪総大将への野望」というギアを入れればふてぶてしい悪役にもなれるし、そこを抜けば人間側の主人公たちの頼もしい味方にもなってくれる便利な妖怪ぬらりひょん! その身軽さは、妖怪を題材とした作品が大量に作り出される現代でこそ発揮される才能なのでした。時代がやっとわしに追いついたわい!!

 そんな感じで、のっけの2020年から新しい作品に活躍の場を見いだすぬらりひょんですが、今年2021年にも、無名時代から深い縁のあるあの伝統シリーズの最新作に登板する運びとなったのでありました。そりゃそうです、彼なしにこのタイトルは語れない!


映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(2021年8月13日公開 118分 東宝)
あらすじ
 日本列島中央部の大地溝帯フォッサマグナに眠る古代の化石が結集して生まれた怨念「妖怪獣」が、東京への進撃を開始した。人間には自然の群発地震にしか見えなかったが、真相に気付き「このままでは世界が滅ぶ」と危惧した妖怪たちは、これを食い止めるべく伝説の妖怪ハンターの血を受け継ぐ小学生の渡辺兄と共に戦いを挑む。

おもな登場人物・妖怪(年齢は映画公開当時のもの)
渡辺 兄(けい)…… 寺田 心(13歳)
 主人公。伝説の妖怪ハンター渡辺綱の血を受け継ぐ小学5年生。東京都所沢市在住。亡くなった父(演・北村一輝)から弟を守るよう託される。綱が用いていた妖刀・鬼切丸を振るって戦う。
渡辺 弟(だい)…… 猪股 怜生(8歳)
 ケイの弟。赤いおみくじを引いた者と勘違いされてぬらりひょんたち日本妖怪に連れて行かれ、大魔神を呼び覚ます依代にされる。
狐面の女 …… 杉咲 花(23歳)
 ケイを導く謎の剣士。その正体は九尾の狐。
ぬらりひょん …… 大森 南朋(49歳)
 肥大した脳を持つ、頭脳明晰な日本妖怪の総大将。
隠神刑部狸 …… 大沢 たかお(53歳)
 八百八狸を従える狸妖怪のリーダー。妖怪獣により「あのお方」が復活し、人間が滅びることを願っている。牛鬼が化けた牛鬼バイクに跨る。
姑獲鳥 …… 安藤 サクラ(35歳)
 死んだ赤ん坊を抱え、血だらけの着物を着た妖怪。
猩猩 …… 大倉 孝二(47歳)
 真っ赤な肌と装束を身にまとった猿のような妖怪。本作では関西弁で話す。
天狗 …… 三浦 貴大(35歳)
 ぬらりひょんをサポートし、国際妖怪会議「ヤミット」で演説を行う。
雪女 …… 大島 優子(32歳)
 身体は氷のように冷たいが、心は熱い妖怪。冷たい態度をとる男性を好み、いつもつれない隠神刑部狸に惚れ込んでいる。
天邪鬼 …… 赤楚 衛二(27歳)
 自分の考えとは逆の回答ばかりを出す妖怪。
茨木童子 …… SUMIRE(26歳)
 武闘派な鬼一族の特攻隊長で、斧を用いて戦う。
酒呑童子 …… 浜尾 ノリタカ(21歳)
 刀を武器に戦う鬼の頭領。
渡辺 綱 …… 北村 一輝(52歳 渡辺兄と弟の父と二役)
 ケイの先祖にあたる伝説の妖怪ハンター(953~1025年)。
小豆洗い …… 岡村 隆史(51歳)
 桶に入れた小豆を洗うだけの妖怪。
夜道怪 …… 遠藤 憲一(60歳)
 托鉢僧の姿をした、子供を誘拐する妖怪。
すねこすり …… 小桜 エツコ(声 50歳)
 人間のすねにまとわりつく人懐っこい妖怪。
ドラキュラ伯爵、ミイラ、半魚人、人魚、サイクロプス、メデューサ、フランケンシュタインの人造人間、イエティ、サテュロス、魔女、殺人ピエロ、ゾンビ、メー・ナーク、刑天、トロル、生き人形、他
 中国・北京で行われた国際妖怪会議「ヤミット」に集まった世界各国の妖怪たち。ぬらりひょんから妖怪獣と戦うよう懇願されるが、断って帰ってしまう。
妖怪獣
 日本のフォッサマグナに眠る太古の化石たちの怨念が結集して生まれた存在。初期形態は高さ約300mで、巨大なアンモナイトのような形態から龍のような形態に変身する。
大魔神
 妖怪獣を止めるため妖怪たちが蘇らせようとする伝説の武神。特撮映画『大魔神』シリーズ(1966年 全3作)に登場する神で、今作ではリデザインされ、身長9.8m。
あのお方
 東京に五芒星の結界によって封印されている謎の存在で、妖怪たちの元祖とされる。雑面をシンボルとし、妖怪獣の東京侵攻によって目覚めさせられようとしていた。荒俣宏による小説版では、日本の中部・関東・近畿地方で信仰される自然神ミシャグジと同一視されている。
加藤 彦一 …… 神木 隆之介(28歳)
 兄の担任の先生。授業で兄にフォッサマグナとそこに眠る化石について教える。ラストシーンで、黒板に妖怪獣によって目覚めさせられようとしていた「あのお方」を表す雑面を描き、その正体が前作『妖怪大戦争』(2005年)の悪役・加藤保憲であることが明かされる。演じる神木は、前作で主人公の稲生タダシを演じていた。

おもなスタッフ(年齢は映画公開当時のもの)
監督 …… 三池 崇史(60歳)
脚本 …… 渡辺 雄介(41歳)
音楽 …… 遠藤 浩二(57歳)
撮影 …… 山本 英夫(61歳)
美術 …… 林田 裕至(60歳)
妖怪デザイン …… 寺田 克也(57歳)、井上 淳哉(49歳)
制作 …… OLM
主題歌『ええじゃないか』(歌・いきものがかり)


 はい、はい、そうでございます。この夏の日本のお化け映画の大本命ともいえる、角川大映伝統の「妖怪シリーズ」の、まさかの最新作でございます!
 いや~、あの神木隆之介くん主演の平成版『妖怪大戦争』(2005年)の熱狂から、もう16年になりますか。え、16年? 10周年でも20周年でもなく、16年……なんか中途半端。まぁ、妖怪の新作映画が観られるんだから文句はナシで。

 2005年版『妖怪大戦争』と今月公開の『ガーディアンズ』は、直接のつながりこそ言及されないものの同じ三池崇史監督作品です。さらには配給に角川大映が関わっていることからもわかる通り、さかのぼれば映画『妖怪百物語』(1968年)、『妖怪大戦争』(1968年)、『東海道お化け道中』(1969年)の大映「妖怪シリーズ」の直系の子孫ということになります。「妖怪シリーズ」といえば、言うまでもなく下積み時代の妖怪ぬらりひょんが、「何もせずフラフラ歩いているだけの百鬼夜行モブ」として糊口を凌いでいた臥薪嘗胆の場でしたね。因縁深い!
 ただし、純然たる時代劇の味わいが強かった昭和の妖怪シリーズと違って、前作の平成版『妖怪大戦争』は「ゲゲゲの鬼太郎ブーム」以降の現代妖怪文化を総括するようなごった煮テイストとなっており、わんさと登場する妖怪どもを現出せしめるにあたり、時に着ぐるみ、時に特殊メイク、時に CGビジュアルという様々な特撮技術の手数でさばきまくる様子は、まさに妖怪映画の見本市のようなお祭り感にあふれていました。

 妖怪の造形という点では『さくや 妖怪伝』(2000年)から始まる「原口智生監督の妖怪シリーズ」の雰囲気を受け継いでいるし、舞台が現代という点では東宝の『学校の怪談』シリーズ(1995~99年 全4作)を彷彿とさせる時代性もあり、ラスボスがあの魔人・加藤保憲という点では『帝都物語』(1988年)からの「加藤保憲三部作」の続編でもあるし、「妖怪と陰陽師」の関係で言えば野村萬斎主演の映画『陰陽師』二部作(2001~03年)の外伝とも言えるという手広さだったかと思います。後年への影響という点では、ウエンツ瑛士の主演による実写映画版『ゲゲゲの鬼太郎』二部作(2007~08年)の実現にも、平成版『妖怪大戦争』のヒット(興行収入20億円)が寄与したところは大きいのではないでしょうか。さすが三池監督、まさにお祭りといいますか、節操なさすぎ!

 今年の『ガーディアンズ』に行く前に、前作の平成版『妖怪大戦争』でのぬらりひょんの活躍を振り返ってみたいのですが、ここでぬらりひょんを演じたのは、大御所ミュージシャンの忌野清志郎さんでした。なるほど、日本音楽史にその名を残す大偉人なのに、確かにそのフットワークの軽さは妖怪じみているというか、ぬらりひょんそのものでしたね!
 そして、忌野ぬらりひょんはまさしく昭和の妖怪シリーズの直系の子孫といった感じで、派手なお大尽のような和服を着こんではいても、その実まったく役に立たない空気妖怪(でも存在感はなんかある!)という絶妙な脱力キャラとなっていました。当然、妖怪の総大将などでは全くありません。でも、あの映画に絶対にいなくてはならない妖怪なんだよなぁ。演技なぞほとんどしていないようなのですが、本当に見事なぬらりひょんっぷりでした。

 さて、その点、満を持して公開された今回の『ガーディアンズ』における最新モデルぬらりひょんの活躍は、どうだったのでしょうか。

 まず、本記事は『ガーディアンズ』の感想記事ではなく、あくまでも「ぬらりひょんがどうだったか」を考察する内容ですので、ここでは映画本編中のぬらりひょんの活躍に限定して話を進めていきたいと思います。映画全体の感想は、最後にちょろっと!

 本作で妖怪ぬらりひょんを演じたのは、今ノリにノッている中年俳優の大森南朋さんです。麿赤児さんじゃなくて、息子さんがぬらりひょんやってるよ!

 本作における大森ぬらりひょんは、国際妖怪会議「ヤミット」にも日本代表として出席するまごうかたなき「妖怪総大将」として、物語に欠かせない存在として登場します。前作の忌野ぬらりひょんとはまるで違う頼もしさ!
 先述のあらすじにもある通り、妖怪獣が東京に進撃した場合、東京に封印されていた「あのお方」の結界が破られ、その結果日本列島が分裂、崩壊してしまうことに。それを恐れた日本妖怪と総大将ぬらりひょんは、妖怪獣を食い止める力を持つ伝説の武神「大魔神」を復活させるために、平安時代にその名を轟かせた妖怪スレイヤー・渡辺綱の子孫である渡辺兄を呼び出すのでした。
 つまり、本作のぬらりひょんは日本列島の崩壊を防ごうと奮闘する大役を担うわけなのですが、かつて平成版『妖怪大戦争』においては、魔人・加藤保憲による「日本妖怪機怪化計画」を阻止しようと決起した者は猩猩(近藤正臣さんのほう)や川姫くらいだったのに対し、今作の大森ぬらりひょんはかなり迅速に日本妖怪の総意をとりまとめて渡辺兄を捜索・補足しているあたり、非常に手際のよいものがあります。まるで忌野ぬらりひょんとは別個体のようなリーダーシップ!

 実際に、本作には少なからず前作『妖怪大戦争』と同じ妖怪が再登場しているのですが、猩猩や天狗、すねこすりといったおなじみの面々も容姿や方言からして前作とは別個体で(小豆洗いを除く)、わけても我らが大森ぬらりひょんは、青白くぶよっとした頭部に赤い派手な長羽織をまとっていた忌野ぬらりひょんとはまるで違う、ヒビのように深いしわの刻まれた頭部に、くすんだからし色の中羽織を着ている枯れた老人の姿をしています。でも、身のこなしはだいぶ軽くて頭脳もしゃべり方も明晰ですけどね!

 かつてマンガ『鬼太郎国盗り物語』や『ぬらりひょんの孫』で、ペテンなし正真正銘の妖怪総大将を担った経験のあるぬらりひょんでしたが、今作での特徴は、意外と日本妖怪の中でも妖怪獣への対応の点で、諸勢力が分裂しているというところでしょうか。
 具体的には、ぬらりひょんに賛同する日本妖怪たちとは袂を分かつ形で、とりわけ人間に対立的な「鬼勢力(茨木童子、酒呑童子など)」と、妖怪獣のせいで日本の人間界がどうなろうが、野生に暮らす俺たちは知ったこっちゃないという立場の「隠神刑部狸とたぬき勢力(八百八狸軍団)」が作中に登場します。そのため、いかなぬらりひょんといえども日本全国の妖怪をしっかり束ねている、という訳ではないようです。そこらへんの苦境にわたわた慌てる大森ぬらりひょんの姿は、なかなかリアルですね。

 今作における大森ぬらりひょんは、ともかく知恵だけで日本妖怪の代表になっているような知性一辺倒のキャラクターで、その点は平成も含めて過去の「妖怪シリーズ」でのぬらりひょんとはだいぶ違った印象を与えるのですが、完全に人間に味方する正義の妖怪というよりは、渡辺党の子孫が大魔神の人柱になることを知っていながら黙っていたりする小ズルい部分も見られることから、人間社会が崩壊すると日本妖怪も活躍の場を失ってしまうから仕方なく助勢している、といった態度が見え隠れする、かなりグレーな存在となっています。こういうところは実に妖怪シリーズっぽいといいますか、「正直、人間の命なんかどうでもいいが。」という姿勢がギリ残されているのは良かったですね。あくまで独立種族であるという矜持は守っているという。
 また、映画本編を観るまでは「えぇ~、親父さんじゃなくて大森さんがぬらりひょんなの~!?」という不安もあったのですが、実際に観てみますと、やはり若すぎる感じはしますが、特段なんの超能力も、手製爆弾も仕込み杖さえも持ち合わせず、とにかく知恵と弁舌だけで日本存亡の危機をなんとかしようとするその徒手空拳っぷりは、まさしく妖怪ぬらりひょんの原点回帰を観た思いがいたしました。シンプルじじい、is the best!!


 2020年代の2人のぬらりひょんについてまとめますと、大倉ぬらりひょんも大森ぬらりひょんも(大塚明夫ぬらりひょん以来「大」が多いな!!)、過去にくっついてきた幾多のイメージの中から、「人間界との親和性が高い」という要素を上手に抽出したキャラクターになっているような気がします。そのため、無数の日本妖怪の中でも、フィクション作品にダントツで登場させやすい人気タレントになりおおせているのではないでしょうか。頭もいいし人間・妖怪双方の世界に詳しいし、味方やストーリーの説明要員にしたら、これほど頼りになるキャラもいませんよね。
 しかし、どっちのぬらりひょんも本当に角が取れてるといいますか、シリアスもコメディも両面でイケる便利な妖怪になったもんですね。これも、直前の明夫ぬらりひょんがあそこまでにド外道な悪役に徹してくれたおかげなのかな? 悪逆非道のデトックス効果!!

 まぁ、最新だからといって大森ぬらりひょんが何か新しい地平を切り開いているかというと、正直そ~でもないのですが、今はとりあえず、アブない橋は渡らずに地道にコツコツぬらりひょんの名を広める草の根運動を行っているというところなのでしょうか。その努力は、必ず大輪の花を咲かせますよ! まずは力を蓄えよ、総大将!!

 さて、このように2010年代から再開した我が『長岡京エイリアン』の「ぬらりひょんサーガ」も、なんとか最新の項目にまでたどり着きましたので、いったんここで再び打ち止めとさせていただきたいと思います。
 さぁ、次のこの記事を立ち上げる時は、一体どのようなぬらりひょんが現れるのでしょうか!? 2020年代も、まだまだ始まったばかりであります!!

 たかだか生まれて3~400年、まだまだ新人ぬらりひょん。休むヒマなどわしゃいらぬ! じじい青春まっただ中!!


【超蛇足ですが】
 映画としての『妖怪大戦争 ガーディアンズ』について、ちょっとだけ。
 前作よりも上映時間的には短いはずなのですが、ずいぶんと長く感じましたね……
 まぁ、大森ぬらりひょんがいたので私個人は満足だったのですが、ちょっと「妖怪獣」と「あのお方」っていうあたりのラスボスの渋滞ぶりがやけにまだるっこしくて、しかも最後には大魔神もあんな感じになっちゃうしで、後半「これいつ終わんの~!?」という気分になってしまいました。中盤に兄と弟が別行動を取っちゃうのが、重大なテンポの鈍化につながっていたような気もします。
 最後の荒ぶる大怨霊の鎮め方がアレっていうのは、非常にオーソドックスで良いと思ったのですが、そこにいくまでに色々と残念なマイナスポイントが多すぎたような気がする。なんにせよ、前作のような勢いだけで乗り切ろうとするバカバカしいテンションが消え去っていて、どこか気の抜けたビールのようにしらけた空気が漂っているように見えたのは、ちと残念でしたね。
 大森さんだけでなく、杉咲さんや大沢たかおさんをメインキャストに据えているあたり、俳優陣を大幅に若返らせることで前作との差別化を図ったのかも知れないのですが、それだけに前作の菅原文太さんや近藤正臣さんのような包容力のある登場人物がいなかったのも、役者層の幅の薄さが露呈するだけだったような気がします。特に、杉咲さん一人で前作の高橋真唯(現・岩井堂聖子)&栗山千明のトラウマ級エロティックWヒロインに対抗させようとするのは、酷にも程があるだろう! せめて、九尾の狐をフカキョンさまが演じておられたら~!! すみません、単なる個人的願望です。
 あと、最後にこれだけは言いたいのですが、今作での猩猩役の大倉さんの関西弁ツッコミが、んまぁ~うるさい! ガラが悪い!! なんで同じ方言なのに、前作の阿部サダヲさんとは大違いなのでしょうか!? 不思議だ……でも、大倉さんなりに現場でなんらかの危機感を察知したから、あんなに張り切っちゃったのかもね。だとしても、ひとりで何とかできるというもんでもないんだなぁ。難しいものです!!
 とにもかくにも、忌野清志郎に井上陽水に水木しげるという前作の「奇跡感」だけが際立ってしまう、今回の『ガーディアンズ』なのでありました。魔人・神木保憲の本格登板は……なくてもいっかな!?


≪夏休み特別ふろく 大映妖怪シリーズの歴代百鬼夜行メンバー総ざらえ!!≫
※妖怪名に続くカッコ内の数字は、シリーズにおける通算登場回数
1、『妖怪百物語』(1968年3月 監督・安田公義)
 …… おいてけ掘、人魂、化け提灯、河童、牛鬼、ひょうすべ、一つ目小僧、油すまし(演・別府敏保)、ぬっぺっぽう、ぬらりひょん、火吹き婆、青坊主、カラス天狗、泥田坊、馬頭鬼、般若、とんずら、陰摩羅鬼、毛倡妓、土転び、のっぺらぼう、一角大王、白粉婆、おとろし、ろくろ首(演・毛利郁子)、傘化け、狂骨、大首(演・小柳圭子)、姥が火、呼子

2、『妖怪大戦争』(1968年12月 監督・黒田義之)
 …… 河童(2 演・黒木現)、油すまし(2 演・別府敏保)、青坊主(2)、雲外鏡、ろくろ首(2 演・毛利郁子)、二口女(演・行友圭子)、傘化け(2)、ぬっぺっぽう(2)、海坊主(演・松田剛武)、三つ目坊主、牛鬼(2)、陰摩羅鬼(2)、ひょうすべ(2)、ぬらりひょん(2)、一つ目小僧(2)、泥田坊(2)、火吹き婆(2)、とんずら(2)、カラス天狗(2)、大天狗、雷神、毛倡妓(2)、白粉婆(2)、狂骨(2)、一つ目の妖怪、のっぺらぼう(2)

3、『東海道お化け道中』(1969年3月 監督・安田公義と黒田義之の共同)
 …… 百々爺、蛇骨婆(演・石井喜美子)、ぬらりひょん(3)、木の枝のお化け、土転び(2)、のっぺらぼう(3)、泥田坊(3)、妖怪水車、火吹き婆(3)、ひょうすべ(3)、白粉婆(3)、青坊主(3)、一角大王(2)、毛倡妓(3)、狂骨(3)、カラス天狗(3)、一つ目小僧(3)、人魂(2)、抜け首

4、『妖怪大戦争』(2005年8月 監督・三池崇史)
 ……(登場した妖怪の数がハンパなく多いため主要なもののみ記述)猩猩(演・近藤正臣)、河童の川太郎(3 演・阿部サダヲ)、川姫(演・高橋真唯)、小豆洗い(演・岡村隆史)、すねこすり(声・竹内順子)、一本だたら(演・田口浩正)、大天狗(2 演・遠藤憲一)、砂かけ婆(演・根岸季衣)、ろくろ首(3 演・三輪明日美)、雪女(演・吉井怜)、豆腐小僧(演・蛍原徹)、大首(2 演・石橋蓮司)、ぬらりひょん(4 演・忌野清志郎)、油すまし(3 演・竹中直人)、魍魎、牛頭鬼、雷神(2)、飛縁魔(演・荒俣泰子)、柳婆(演・武良悦子)、鍛冶が媼、姑獲鳥(演・今井久美子)、化け猫、毛倡妓(4 演・藤倉みのり)、野寺坊(演・マメ山田)、雨降り小僧、百目、納戸婆、小鬼、のっぺらぼう(4 演・成海璃子)、塗り壁、袖引き小僧、三つ目坊主(2)、一つ目小僧(4 演・広野健至)、木霊、カラス天狗(4)、かみきり、ぶるぶる、手の目(演・藤山信雄)、山童、なまはげ、泥田坊(4 演・森﨑えいじ)、青坊主(4 演・荒川真)、瀬戸大将、おとろし(2)、ぬっぺっぽう(3)、姥が火(2)、センポクカンポク、白粉婆(4 演・今野紀子)、むじな、黒かみきり、二口女(2 演・清水能子)、蕪大臣、コロポックル、瓶長、赤鬼、青鬼、方相氏、木魚達磨、払子守、白蔵主、犬神、絡新婦、鉄鼠、呼子(2)、土転び(3)、倉ぼっこ、お歯黒べったり、のぞき坊、塗仏、骨女、箕借り婆、天井なめ、見越し入道、百々爺(2 演・井上淳哉)、一反木綿、傘化け(3)、徳利転がし、くだん、輪入道、雲外鏡(2)、化け提灯(2)、化け狸、遠野河童、釜鳴、禰々子河童、つるべ火、山ン本五郎左衛門(演・荒俣宏)、神ン野悪五郎(演・京極夏彦)、妖怪大翁(演・水木しげる)

5、『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(2021年8月 監督・三池崇史)
 …… 九尾の狐(演・杉咲花)、姑獲鳥(2 演・安藤サクラ)、猩猩(2 演・大倉孝二)、大天狗(3 演・三浦貴大)、カラス天狗(5)、雪女(2 演・大島優子)、天邪鬼(演・赤楚衛二)、茨木童子(演・SUMIRE)、酒呑童子(演・浜尾ノリタカ)、土蜘蛛、小豆洗い(2 演・岡村隆史)、夜道怪(演・遠藤憲一)、大首(3 演・石橋蓮司)、ひかきん、ぬらりひょん(5 演・大森南朋)、隠神刑部狸(演・大沢たかお)、八百八狸(2)、牛鬼バイク(3)、雨降り小僧(2 演・荒俣宏)、河童(4 演・木村風太)、一本だたら(2)、雲外鏡(3)、すねこすり(2 声・小桜エツコ)、水龍、枕返し(演・マメ山田)、手の目(2 演・岩永ひひお)、戸隠の鬼女、砂かけ婆(2 演・諏訪太朗)、ろくろ首(4 演・新井舞良)、ぬっぺっぽう(4)、キジムナー、二口女(3)、豆腐小僧(2 演・佐藤佐吉)、座敷童子、かわうそ、シバテン、油すまし(4)、ひょうすべ(4)、輪入道(2)、姥が火(3)、一つ目小僧(5)、かみきり(2)、瀬戸大将(2)、子泣き爺、徳利転がし(2)、一反木綿(2)、傘化け(4)

つまり、百鬼夜行のスーパー常連妖怪は!?
全作品5回皆勤 …… カラス天狗、ぬらりひょん、一つ目小僧
4回登場 ……  河童、ろくろ首、ぬっぺっぽう、油すまし、ひょうすべ、傘化け

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