K1とK2の断片。

2008-04-28 10:17:39 | 自ら援くる者以外はその在るを神も認めず。
隙あらば或いは隙をこじあけて嫌われても弱音を吐き続けるK1を掠めていった憶えがとしこさんにあっただろうか。としこさんは二人姉妹で、ご主人は既になくお姉さんと暮らしていた。ときを惜しむように多くのことに取り組み、今となれば寂しいまでにひとことすらの弱音もなくK1を含む他人へのそれと同じくらいの気遣いで肉親と接していたらしいことが、喪主である15歳年上のお姉さんの挨拶で知れる。薄曇りの優しい日ざしとそれに紛れるK1を措き排気音とともにいった。

冬の或る日の電話で縁を切ったと思わせたK2は、あの時は一番ひどいときだったからと春の初めにK1に電話してきた。照れ笑いのような声は子らを措いてひとり暮らしになる賃貸契約保証人の依頼だった。成約後はまた音沙汰なく、2度の留守番電話に応えがない。K1は他人に死体を見つけられる前に行かなくては、と数えるようにゆっくりと思う。

大槻ケンヂ氏の古い詩によるとサーチライトを当ててあげたい人間は、たくさんいるそうだ。見せてくれよライトを当てて。もう一度電話をしたら通じて、ひとり暮らしはずいぶん久しぶりだからいろいろ大変だよとK2はかなり明るく笑うがK1は安堵しながら信じていない。信じていないことを喋りはしないしK2はそれを知ってマアネと横を向きつつK1について相当ヤバイと思っている。

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