ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

「あさひ」のスマホ収納庫〜2019年度観艦式中止に伴う一般公開

2019-10-24 | 自衛隊

天皇陛下の即位の礼、みなさまご覧になりましたでしょうか。

朝から降り続いた陰鬱な雨が、式典の始まる少し前から晴れたことに、
人智を超えた神秘的な力を感じた方は多かったでしょう。

巷にこれを「天皇晴れ」と呼ぶ向きもあるそうですが、
わたしはやはり天照大神の御意志を思わずにいられません。

このような奇跡のような存在である象徴を戴く国に生まれたことを
こころから嬉しく、有り難く感じさせてくれた一日でした。

 

さて、今日こそは最終回の観艦式中止に伴う艦艇一般公開シリーズです。
9時前から船越に始まり逸見の基地を4時間休みなしで歩き、
さすがのわたしも疲労を覚えつつ最後に乗艦した三隻の護衛艦。

「はるさめ」の甲板を舷側に沿ってできた列に並びながら歩いていたとき、
となりの「あさひ」艦橋の窓に人影を認めました。

一人の海曹さんが見学客の現在状況を確認しているようです。
理由はすぐにわかりました。

なかなか前に進まない列に粛々と並ぶ多くの乗艦客に向けて、
「あさひ」艦橋ではウィングからパフォーマンスを行うことにしたようです。

先ほど来客状況を確認していたのとは違う海曹がMCを行い、
「総員起こし」に始まるラッパの展示を行いました。

終わると、

「みなさま拍手をお願いします」

というコールに対し、並びながら皆素直に拍手を送ります。
続いて「食事」のラッパに続き、アナウンスの人が

「それでは陸自の食事のラッパをお聴きください」

予定になかったのか、ラッパ手は一瞬え?とためらっておられましたが、

「どっどどどっど みっみみみっみ どーみどーみそっそっそー」

「みなさん、こちらはコマーシャルで聴かれたことありますよね。
そう、正露丸です!」(商品名バッチリ)

正露丸はもともと日露戦争のとき「征露丸」(ロシア征伐のお供という意味)
として売り出されたもの、ということをこの海曹くんは知ってるかな?

続いて、「課業はじめ」、そして、ラッパ的に難しいらしく、
時々失敗してしまうこともある「出航ラッパ」が演奏されました。

そのとたん、後ろに並んでいた女の人が、

「あ、この人上手い」

とわたしが思ったのと同時に言いました。

「ドミソドー、ドミソドー、ドミソドッミソッソソー」

という音形はゆっくり吹けばたぶんなんでもないのですが、
出航のシーンにちんたら吹いていてはいけない!と気が逸るのか、
たいていの人は急ぎ過ぎて失敗しているようにお見受けします。

【出港らっぱ10連発】いろんな護衛艦の「♬出港よ~い!!」集めてみた

ちょうど面白い(そして画質がいい)出航ラッパ特集を見つけました。
初ラッパなのか超失敗して動画を撮っている人が笑ってしまっている艦あり。(-人-)

「あさひ」のこの上手なラッパ手さんはベテランの余裕でしたが、
誰でも最初に吹く出航ラッパは、とにかく緊張するものとお察しします。

ところでこのビデオで一番上手いの、みなさんはどの艦だと思われますか?

わたしは決して速すぎず、最初のドミソが潰れず、最後のソーに伸びがある
「かしま」を推します。

「ふゆづき」は最後の「どみそどっみそっそそ〜〜」のあとの「ド」が
わざとなのか間違いだったのかで評価が分かれるところです。

 

「あさひ」の舷門にたどりつきました。
なぜ列がなかなか進まないかというと、ラッタルは安全上一人しか乗れず、
前の人が渡り切るまで待たなくてはいけないからでした。

就役してまだ1年半の「あさひ」の看板は木肌も新しい感じです。

新鋭艦だけに、舷門脇には電光掲示板があるという充実ぶり。
ちょうど「ださい!」となっていますが、狙ったわけではなく偶然ですよ?

近接武器システムは「むらさめ」以降一貫してファランクス。
本体の右側に見えているレンズ状のものは赤外線センサーです。

「あさひ」甲板から「はるさめ」甲板に並ぶ人たちを見たところ。
こちらより混雑しているように見えますがその通りで、「はるさめ」でも
艦内見学を実施していたため、艦橋に上る列の外側に
通過して「あさひ」に行きたい人の列ができていたからです。

 

「あさひ」の主砲はアメリカ海軍製のMk.45 5インチ砲。

自衛隊では「あたご」以降の汎用DD、つまり「あきづき」型、
この「あさひ」型(『あさひ』『しらぬい』)、そして
現在公試試験中の「まや」型にこのMod4を搭載します。

「あさひ」艦首部分。

せっかくここまで来たので、中も見学することにしました。
艦橋やその他の見学はできませんが、当たり障りのなさそうな食堂の階は公開しています。

現在はまだ2代目で余白の方が多い歴代艦長の名簿、そしてまだ艦歴は始まったばかり。

平成30年3月1日 第二護衛艦隊 第二護衛隊に編入

令和元年5月17日〜6月3日 日米豪韓共同訓練(PV19-1)

令和元年6月19日〜7月2日 G20大阪サミット支援

これだけです。

まだまだ廊下もいたるところに巡らされたパイプの類もピカピカです。

艦内神社の神棚も白木も芳しい状態ですが、写真に撮ってみると・・・

「あさひ」には御祭神がまだ座しておりません。

祖神のないままの神棚というのは初めて見たわけですが、
特に御祭神を定めず鏡を御神体としているとか・・・・?

休憩所の案内プレートは・・・大正モダニズム?

食堂を通り抜けるのになぜか列が全く動かず、時間がかかるので、
何があるのだろうと思ったのですが、本当にただみんな
中を通り抜けているだけでした。

休憩所として開放していたらしく、テーブルには何人かがすわっています。

ロッキードマーチン社では、弊社VLSをお買い上げくださった皆様に
もれなくVLS使用中の想像画を豪華額縁入りでプレゼントしております。

MK 41 Vertical Launching System (VLS)

ついでにRM社のVLSイメージビデオをご覧ください。

新鋭艦ならではの最新機器を発見しました。
ダイヤルキー付きのスマホ収納ケースです。

任務中スマホを持てないことが若い人の募集の支障になる、
という自衛艦勤務ですが、こんなふうにチェックしやすくなっていれば大丈夫。

・・・・かな。

格納庫には艦尾に揚げるための大きな自衛艦旗が
「撮影スポット」となっていました。

そこに現れたのが特別警備隊らしき隊員の皆さん。
警備と臨検などを行う特殊部隊なので銃を携えています。

観艦式が実施されていたら、特に旗艦には重点配備されていたのでしょう。

「あさひ」では、インスタ用ボード(手作り)を投入。
船務長がシャッターを押してあげています。

 そして、護衛艦艦上で入隊を決めたらしい若者が。
この日艦上でどれくらいの申し込みがあったのでしょうか。

この公開がすこしでもたくさんの募集につながったことを祈るばかりです。

「あさひ」からは「はるさめ」「たかなみ」の後甲板を通って退出します。

「はるさめ」格納庫内に飾ってあったバナー。
DSPEとは、

派遣海賊対処行動水上部隊 (DSPE)
Deployment Surface Force Counter Piracy Enforcement

のことで、「はるさめ」が参加したのは2009、2012、
そして一番最近では2014年でした。

ソマリアの海賊対処なので、髑髏をあしらったんですね。

ここにもインスタボードをスタンバイしている隊員さんがいます。
春雨さんボードも、ある種の人々に向けての広報効果を期してのことでしょうか。

ところでこの画面の左に写っている女性が持っているバッグは、
この日の「観艦式土産」ですが、これが非常にセンスがよろしくてですね。

このようなデザインの布巾でした。
船越と逸見、どちらでももらいましたが、いくつあっても困らないので大歓迎。

 その他、訪問した艦艇ではパンフレットと「艦艇カード」を配っていましたし、
「はるさめ」では、ファイルケースを全員にプレゼント中。

一人一つづつということなので、二種類のうち最初潜水艦柄を選んだのですが、
よく考えたら同じのを持っていたので、取り替えてもらおうと、

「すみません、やっぱりUS-2に変えてください」

と持っていくと、

「いいですよ、返さなくて。どっちもお持ちください」

と結局二種類頂いてしまいました。

 ところで、観艦式のチケットがオークションで売られているかどうか
確認するために某オクを知らべたら、なんとこのお土産バッグが
オークションに出され、それに何千円も出して落札している人がいました。

売る方の神経も買う方の意図も全く理解できないんですがそれは。

ところで、先ほど乗艦したとき給油作業を始めていた油船ですが、
「あさひ」艦上で見ると、給油の真っ最中。

そして艦艇見学を終えて出口に向かうころには、作業が終わり、
ちょうど給油ホースを片付けているところでした。

引き揚げながら真水をホースにかけて塩分を洗い落としています。

自衛隊には実にいろんな仕事があると基地を訪れるたびに思います。


こうして令和元年度の海上自衛隊観艦式は終わりました。

海上での観艦式が実施されなかったことは残念でしたが、
一堂に集まったこれだけの数の護衛艦を、いわば自分が観閲官となって
その全部を巡るなんて、通常の一般公開では体験できることではありません。

次回の観艦式の時に海上自衛隊がどうなっているのか、そのときには
どんな形で、どんな艦が、誰によって観閲されるのか。

そんなことを予想しながら待つのも、また一つの観艦式の楽しみと考えながら
横須賀基地をあとにしたわたしでした。

観艦式中止に伴う一般公開シリーズ 終わり。





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3 Comments

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晴れましたね! (Unknown)
2019-10-24 06:38:19
たまたま、即位礼の日は都内に行く用があり、珍しくクルマでした。陰鬱というか、かなりの雨でしたが、午後1時ちょっと前に上がり、やっぱり「神の国だー」と思いました。

>近接武器システムは「むらさめ」以降一貫してファランクス。

「はつゆき」型以降、短SAM,主砲,CIWSのセットが標準の対空武器になっています。

>そこに現れたのが特別警備隊らしき隊員の皆さん。
>警備と臨検などを行う特殊部隊なので銃を携えています。

これは各艦選抜メンバーの立入検査隊で、特別警備隊ではありません。特別警備隊は他の特殊部隊と同じように基本的には顔出ししません。昔、護衛艦にカッターがあった頃の艇員(漕ぎ手)のように、体力がある人が選ばれ、食事に一品デザートが付くとか特典?があります。

>「あさひ」では、インスタ用ボード(手作り)を投入。

かわいいウェーブさんでしたが「身体強い」徽章持ちでした。
返信する
採光装置 (お節介船屋)
2019-10-24 09:43:11
艦橋窓もこの採光装置に分類されますが、平成初期までは艦橋はオープンブリッジとの考えで冷暖房や通風装置はなく、わずかに足元数か所に電気ヒーターが装備されているだけでした。窓もワイパーの付いている窓は固定式でしたが、上部にヒンジを付け、開閉式となっていた窓も多くありました。この開閉式は視界不良や操艦者が窓を開けて指揮をしたり、外の声を聞いたりするほか、夏場の通風換気のためでした。
現代はクローズドブリッジの考えから冷暖房装置も装備され固定窓が多くなっています。
そのためかワイパーの装備数が多く目立ちます。なおこのワイパー見ての通り上部についているモーターが厳つく大きいですが耐衝撃性となっているためです。昭和時代は乗用車と同じようにシングルアームで払拭面積が小さく、スイッチを切るタイミングが悪いと目障りな位置に止まったりしましたので扱いがちょっと難しい面がありました。平成初めからトラックやバスのようにダブルアームとなり払拭面積が大きくなり、右側定位置停止装置や可変速度式となりました。
また塩分が波や飛沫で付くと視界不良となりますので写真にもある通り、下側からノズルが出ていますがこれで窓洗浄用の温水または清水が出ます。温水、真水切り換えは艦橋内の弁によります。
窓の手入れ用に上部に手すり、下部に足場が取り付けられているのも写真で分かります。
クローズドブルッジとなったためジャイロレピーターが艦橋内に配置され、レール上を前後に移動可能となっている艦もあります。
窓はECガラスと呼ばれている曇り止めや凍結防止用に電気ヒーターが内蔵されているものもあります。
近年ヨーロッパの艦艇には1枚が大きな窓を採用する傾向がありワイパーもアームが左右に動く、商船と同様な払拭面積の多いものが装備されていますが耐衝撃性や防弾上の配慮はどうなっているのか疑問です。
ただ海自もソマリア沖に派遣される護衛艦は艦橋回り等に防弾版を取り付けて行くようですが窓は防弾仕様にはなっていないようです。
海保は不審船事案から船橋部分は防弾仕様で窓は数センチの防弾ガラスを装備しています。
参照海人社岡田幸和著「艦艇工学入門」
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「あさひ」の主通路 (お節介船屋)
2019-10-24 14:00:03
エリス中尉が廊下との名で撮られた写真の真っ直ぐに伸びた通路の写真から。
第2甲板、俗に応急甲板上を前後に通ずる通路です。可能な限り真っ直ぐでクリア幅1,200㎜、高さ1,850㎜を標準とされています。この応急甲板以下に被害極限のため主横水密隔壁、縦水密隔壁に通路用開口部は設けません。
真ん中に扉が見えますがここが主横水密隔壁の水密扉で、原則外舷側開きとなっています。写真は艦首側から艦尾側を撮影されており、左側が右舷外舷と分かります。この扉の右側虎テープで覆われている部分にハンドルがあり、確か8個だったと思いますが壁に爪が付いていて扉を閉め、このハンドルで一斉にこの爪を動かし、確実に扉が水密となるよう締め上げます。ただ乗員により扉に当たるコーミングや、ゴム、爪、爪当り、ヒンジ等の常日頃の整備があっての事です。寸法も800×1650㎜と決まっています。この扉は溶接で作成していましたが、写真はプレス押出で作成しているようでこの辺にも船価低減の配慮があるのかなと思います。
写真の手前が応急員待機所で応急用具、消火栓、消火用ホース、応急用電線が見えています。応急用電線は結構長いものですが電線が切れた場合、切れた部分の近傍の応急用端子箱から端子箱間を接続し電源確保のためです。短く切って1本1本被覆を剝いで電線を繋ぐのではなく、プラグを端子箱に差し込む方式です。

赤い1本線のテープが巻いてある配管は消火管で1本で前後に通っているだけでなく被害にあっても使用できるように、艦中央部で前後で左右に分けるリングメイン方式となっており、仕切弁を数多く設置し被害区間の閉鎖、なおかつ消火ポンプも4台以上分散配置させ、各消火栓間の距離は15mのホース2本で接続出来る範囲内に配置され、艦内1区画内の消防主管が使用不可能となっても艦内外全般で消火海水が使用出来る状態となっています。
参照海人社岡田幸和著「艦艇工学入門」
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