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「おおすみ」事故調査委員会の報告とマスコミ報道

2015-02-11 | 自衛隊

「おおすみ」事故調の報告が出ました。
時事ドットコムの記事です。


(略)運輸安全委員会は9日、海自艦が針路・速度を変えずに航行したことと、
釣り船が右に曲がり近づいたことが重なり、衝突したとする調査報告書を公表した。
安全委は、海自艦が減速などの対応をより早く取れば、衝突が避けられた可能性を指摘したが、
事故原因とは言えないと判断。
釣り船については、船長の死亡で旋回理由などが解明できず、指摘には至らなかった。 


報告書によると、海自艦は衝突の約6分前に真南に針路変更し、17ノットで航行。
釣り船はこの時、左前方約1キロの地点を南南西に進んでいたとみられる。
双方が同じ針路と速度で進めば、釣り船は海自艦の約60メートル前方を通過した可能性がある。
おおすみの航海長は衝突の危険はないと考えたが、双方の距離を広げるため、衝突の約1分20秒前、
艦長に「先に(釣り船を)行かせるため」と話し、2~3ノット減速を指示。
艦長もさらなる減速を指示したが、大型艦のため速度が下がったのは衝突直前だった。 


釣り船は衝突約1分前から徐々に右旋回し、海自艦に近づいたとみられ、
約40秒前に艦の見張り員が接近を報告した。
艦長は停止と右急旋回を指示し、5回汽笛を鳴らして警告したが、衝突した。 


安全委は通例、月末に報告書を公表しているが、後藤昇弘委員長は
「社会的関心が高く、極めて異例だが定例日前に公表した」と説明。
減速や停止に時間がかかる大型船に近づきすぎないよう小型船に求めるなど、対策周知に努めると話した。
事故は昨年1月15日午前8時ごろ発生。
釣り船に乗っていた4人のうち船長ら2人が死亡し、1人が負傷した。


 
ふーむ。


事故調の「護衛艦も悪い」は交通事故の「どちらも動いている場合過失ゼロにはならない」
という大前提の上に立って
世論に配慮したかのような、いかにも大岡裁きっぽい、
いかにもお役所的な結論の述べ方ですね。
しかし、そのあたりを取っ払って一言で言えばこの調査報告は

「釣り船の急な進路変更が原因だった」

という結論だったため、釣り船側は「常識的にありえない」と不満を口にしているようです。

「おおすみに巻き込まれる形でぶつかった」

今でも釣り船の生存者はこう証言しているそうですが、そもそも証言は最初から大きく食い違っていて、




いやこれねー。この二つの証言を並べた図、皆さんどう思われます?
というかわざわざ図にしてまで並べて検証する話かい?
わたしは

「両者は比較の対象にもならず、そもそも信用度において次元の違うもの」

と法律的な観点から断言しますよ。

まず疑問なのですが、なぜ「第三者」対「当事者」(その一方だけ)という構図なのか。
同じ対立させるなら本来「おおすみ」対「とびうお」乗員のはずでしょ?

そもそも当事者の証言が「法的根拠」にならないのは周知の事実ですよね?

まあ、何処かの国の人たちは

「わたしがそう言ってるんだから慰安婦の強制連行はあった」
「わたしたちがそう言ってるんだから竹島は我らのものだ」

という不思議理論で法的正当性を主張することもあるようですが、ここは日本なので。
しかもですね。
この二つの証言がなされた時点での両者の現在状況ですが、
第三者の陸からの目撃証言と、当事者の海の上で今まさにぶつかりながらの証言。

これ、ごく中立の立場から見て、どちらが信用できますか?
このときの第三者に、事故当事者となんらかの利害関係があればともかく、
どちらにより法的正当性があるかはあらためて考えるまでもないではないですか。

それに皆さん、もし自分が小型船に乗っているとして、自分が操舵しているわけでもないのに

船体の位置とか舵の方向とかがどうなっているのかあなたは海の上で正確に把握できますか?
つまり自分が近寄ってい
ってるのか向こうが近づいてきたのか、判断できます?



そしてここが最もツッコミどころなのですが(ツッコミなのか?w)
なぜ第三者と片方の当事者の証言を比べるだけで「おおすみ」側の証言がどこにも出てこないんですか?





さて、その結論をいう前に、このテレビ朝日の番組で使用された図を見てください。
サブリミナルというか刷り込み効果、つまり一言で言って「自衛隊を悪者にする」
ための印象操作がそこここに見えてきますね。

まず、「衝突の状況」と左上に大きく書いてあります。
そして、8900トンの巨体がまず急激に右に進路を変え、続いて鋭角に左に舵を切り、
真っ直ぐ進んでいるだけのプレジャーボートの進路にプレジャーボートを抜いて飛び込んでいった、
としか見えない図でわざわざ当時の状況を説明しています。

そりゃそうなるでしょうさ。これは釣り船の生存者の証言そのままなんですから。

よくよく見ると
「衝突の状況」の下に小さく目立たないように(笑)
「寺岡さんの証言による(イメージ)」と書いてあります。
昔チラシに「エノケソ」と書いて偽エノケンのショーをしてた興行師みたいですねマスコミって。


しかし、もしこの番組が、この図で「寺岡さん側の証言」がこうであったと説明した後、
同じ大きさのパネルで第三者目撃による衝突の状況も同時に報じたのなら、
それは報道のやり方として非常に公平で物事を正確に伝えたものといえます。

しかし現実はそうではない。

しかもタチの悪いことに、どの局もなべてプレジャーボート側の証言をこのように図にして
視聴者に
あたかもそちらの状況が真実であったかに思わせる第一報をしているわけです。

果たして当事者証言によるこの「巨艦ドリフト航行」の図が出された途端、ネットでは一斉に、

「ねーよ」w

の嵐が巻き起こったのは記憶に新しいところです。
わざわざ言っておきますけど、戦艦「大和」とほとんど同じ大きさなんですよ?「おおすみ」って。

また、テレビではこのような印象操作を行った局もありました



衝突した船の大きさが同じでこれではどっちがどっちかわかりません(笑)
色で「おおすみ」と釣り船を見分けろってことですかそうですか。

こんなしょうもない印象操作をせず、排水量にして4500倍ちがう護衛艦と釣り船くらい
ちゃんと違う大きさで描き分けろよ、ああ?(ガラ悪くてすみません)
だいたい両者がこんな直角に向かい合う瞬間なんて現実にあったんかい!



ここでマスコミと釣り船側がどうしても今回主張を通せなかった最大の壁(笑)
客観も客観、キングオブ客観であるGPSによる航跡を見てみましょう。

「おおすみ」は衝突した後に救助のために回頭していますが、もし釣り船とマスゴミがいうような
ドリフト航行をやらかしたとしたら、GPSに衝突に至るまでこの回頭時に匹敵するような
航路の蛇行が出てくるはずなんですよ。

つまり「おおすみ」はGPSの航跡で確認しても蛇行などは確認できず、
単に釣り船が周りを付きまとった末巻き込まれたと見るのが妥当でしょう。

しかも「とびうお」の残されたGPS航跡は、衝突する前、
一度「おおすみ」に接近して見物していたことがわかっています。


でも、不思議じゃないですか?
こんなこと事故直後からわかってた、というか目撃者も含め皆そう言っていましたよね?
マスゴミと当事者以外は。


こんな簡単なことなのに、それでも俺たちならそれができる!
そこに痺れる!憧れるゥッとばかり(これ、いい加減に飽きたからもうやめます)
問題を煙に巻いてなんとか自衛隊のせいにしようとしていたのがマスコミ。

「これはコリジョンケース現象の可能性もある」

なんていう自称学者を引っ張り出してきた媒体もありましたね。
コリジョンケースを言い出す限りは条件的に

「双方がそのまま進み続ければ衝突するであろう一点に向かって真っ直ぐ進みながら、
視界が良好な場合であってもお互いを早期に視認することが著しく困難であるという現象」

となるわけですが、「ブーーーーー」(不正解)


この学者(かどうかは知りませんが)はこれによると「おおすみ」の方も
コリジョンケース現象によって相手に気づいていなかったと言いたかったようですが、
「おおすみ」の方は警告のために警笛を5回鳴らしているのです。
何を以ってコリジョンケース現象というのか。
というかコリジョンケース現象言いたいだけ違うんかい、この学者(かどうかは知り略)


ところでみなさん、
この事故調の最終報告が出てきたこと、テレビの特にニュースショーで取り上げました?
わたしはテレビを持っていないのでこういうこともチェックできないのですが、
インターネットによると

「おおすみに過失がなく釣り船のせいらしいと分かった時点で報道がぷっつりなくなった」

ということらしいですね。(あくまでも自分で確かめたわけではないので念のため)
「なだしお」の頃と違って報道のさじ加減で世論を味方につけ、「推定有罪」の
ムードに持ち込むという手口が使えなくなったので、印象操作したままトンズラてことですかね。

そこで冒頭の大疑問、

「どうして報道は第三者の目撃証言と釣り船側の証言を並べたのか」

ですが、答えは簡単です。

「第三者の目撃とおおすみの証言が一致していたから」

でしょう?
もひとつついでにいえば、

おおすみ証言=第三者目撃証言=GPS情報≠釣り船側証言

ってことじゃなかったんですか?
なぜそこであえて釣り船側を擁護するかねえ、マスコミ・・・。

それに、釣り船は恒常的に護衛艦の近くに寄って行って客に見物させる”サービス”をしたり、
また前を横切れば大漁になるというジンクスを持っていたりするそうじゃないですか。
これも未確認情報ですから「とびうお」の船長がそうだったと断言はしませんが。

さて、それでは最後にキンブオブ客観資料をもとに推定された、当初の航路予定図。



どう見てもそのまま進んでいたらボートが先に行っていたのに、
右に舵を切ってきたのでぶつかってしまったと。
もうこれは図を見ただけで一目瞭然でボートの過失であることがわかります。



そして、GPSによる動かぬ証拠だけでなく、小型船舶の免許をとったことがある方なら
ご存知だと思いますが、
海上衝突予防法の第9条第6項にもこうあります。

長さ20メートル未満の動力船は、狭い水道等の内側でなければ
安全に航行することができない他の動力船の通航を妨げてはならない」

「とびうお」は20メートル未満で、「おおすみ」は深喫水船、つまり
「水路の内側でなければ安全に航行することのできない動力船」ですよね?

第15項には

「 2隻の動力船が互いに進路を横切る場合で衝突するおそれがあるときは、
他の動力船を右舷側に見る動力船が他の動力船の進路を避けること」


今回右舷側に相手を見ていたのは「とびうお」の方ですよね? 
・・・・と素人が船舶法をチラ見しただけで該当する条文がでてきます。

いうわけで、どう考えても釣り船に過失あり、というのが事故調の報告結果だと思うのですが、
これを理解できないのか、理解したくないのでしていないふりをしているのか、

「どちらにも過失あり」

みたいな報道をさらっとして言い逃げみたいに終わったニュースが多いとのこと。
権力の監視とやらを大義名分にすると、報道の公正性の基準を変えても構わないってことですかね。
マスコミ的には。


この後、おそらく自衛隊の中では独自の機関が立ち上がり、再発防止に向けて、

様々な予防策が対応されるのだと思われますが、この結果をマスコミと同様の解釈で
「おおすみにも過失があった」とし、
かつての「いなづま」の事故のように
直接の過失はないのにもかかわらず、
「おおすみ」の艦長以下責任者たちに
不必要にに重い責任を取らせるような事態には決してなってほしくないものです。


若干心情的となる老婆心かもしれませんが・・。


しかし、いい時代になりましたね^^というか「おおすみ」、危なかったですね。
GPSで航路が検証できなければ、マスコミが騒いで被害者証言が通っていたかもしれません。

マスコミも、そろそろそのやり方では科学的証拠の前に信用を失い
反感を買うだけだと気づいて、結論ありきの印象操作報道を改めないと、
いいかげん国民からテロ起こされちゃうよ?