◎ジェイド・タブレット-外典-10-6
◎1.死のプロセスと成道と中有行きの分岐-2
◎呼吸停止、心拍停止、肉体離脱
ケン・ウィルバーは、チベット死者の書の人間が死に行くプロセスを意識の深化の段階の材料の一つとして使っているが、それだけのものではない。チベット死者の書の、同じクンダリーニ・ヨーガのテキストとしての違いは、死の世界を正面から捕らえて見せたところが違うのである。
つまり空海の十住心論にしても仏教十界説にしても漫然と読めば、単に仏になるためのカリキュラムの目次にしか見えないが、実はその各ステップの半分以上は死の世界の修行のことを語っているのである。ところが、意識が死の世界と縁遠い一般民衆にはまずそれとは気づかれることはない。
チベット死者の書は死者の臨終シーンから始まるので、それと思い当たるが、死の世界のことを詳述するのは、実は他のクンダリーニ・ヨーガのテキストでもよく見かけることなのである。たとえばアストラル・トリップなどは、死の世界そのものであり、そのトリップの途中では、死者によく出会うものである。
チベット死者の書では、呼吸が停止し、五感が機能しなくなり、肉体から離脱し、原初の光たる光明に出会う8段階を駆け上っていく。
その8段階とは、、(1)陽炎 (2)煙 (3)蛍 (4)燈明 (5)顕明 (6)増輝 (7)近得 (8)光明
となる。
『呼吸停止、心拍停止、肉体離脱』と並べれば、脱身による窮極突入へのプロセスと同じなのだが、この辺に何か重要なものが隠されている。