アヴァターラ・神のまにまに

精神世界の研究試論です。テーマは、瞑想、冥想、人間の進化、七つの身体。このブログは、いかなる団体とも関係ありません。

白魔術とは-2

2022-12-30 10:07:31 | 【クンダリーニ・ヨーガの全貌】【ザ・ジャンプ・アウト-02】neo

○天意を読み順う

さらに唐代の禅僧普化の例を挙げる。彼は臨済録で知られる臨済の同僚である。

ある時普化が、「俺もそろそろ冬支度なんかで、ちゃんとした服装がほしくなった。」と言い出した。すると周りの本当に普化の価値をわかっている檀家が、きれいな衣を普化にあげるが、普化は「そんなもの駄目だ」と断る。

そうすると臨済だけがわかって、棺桶を作ってあげた。
普化は「臨済が俺の服を作ってくれた。」
「臨済が俺の服を作ってくれた。」と言って棺桶にひもをつけて、引きずりながら、村中を練り歩く。
それを見に村の野次馬が集まったところで、普化は、「俺は、明日北の門で死ぬことになる。俺は午後3時に死ぬぞ」と宣言する。

翌日午後3時、物見高い村人が、北の門にそれはそれは大勢集まった。ところが普化は大分遅れてやってきて「今日はちょっと日が悪いな。うん明日にしよう。俺は、明日南門で死ぬから。」とまたも予告する。

その翌日午後3時、好奇心旺盛な村人が、南の門にそれは大勢集まった。ところが普化は大分遅れてやってきて「今日はちょっと肌寒いしな。うん明日にしよう。俺は、明日東門で死ぬから。」と予定変更する。

そのまた翌日午後3時、本当に物好きな村人が、東の門に若干名集まった。集まった村人は、「普化は、きちがいだとか聖者だとか言われているが、さっぱりわからないけれど、死ぬ時にはわかるかもしれない。」などと考えている。
ところが普化は遅れてやってきて「今日もちょっと調子悪いなあ。うん明日にしよう。俺は、明日西門で死ぬから。」とまたも延期する。

そのまた翌日午後3時、西門には誰も来なかった。普化が棺桶を引っ張ってきて、周りを見ていると、一人の旅人が通りかかる。普化がその旅人に「頼むからここに穴を掘って、俺が棺桶に入ったら、そこに釘を打って、それから埋めてくれればいいから。」と頼む。
それで、普化が棺桶に入って、釘を打ってもらって、土をかけてもらった。

旅人はびっくりして、「なんか乞食坊主みたいなのが、西の門の原っぱで生き埋めにしてくれって言うから、そのとおり、棺桶に入れて生き埋めにしたけれど、あれどうなっているんだ。」などと言うと、村人は、驚いて西門に駆けつけて、掘ってみると棺桶に釘が打ってある。それをこじ開けて中を見ると草履が片方残っているだけで、もぬけの空。そして突然ちりーん、ちりーんと音がして、ずっと空の方に上がっていって、『ワッハッハッハ』なんて大笑いが聞こえてくる。

これは、もともと臨済録に出てくる話で、それをダンテス・ダイジが座談で語っているのをアレンジしたもの。(素直になる/ダンテス・ダイジ講話録4)


普化は、「北の門で死ぬ」と天意を図り、翌日になると、「日が悪いから明日南門で死ぬ」と天意の変化を告げた。また次の日になると、「肌寒いから明日東門で死ぬ」と天の予兆が変わったことを告げた。最後に「今日は調子悪いから明日西門で死ぬ」とさらに変化した前兆に順うことにした。

もとの文を素直に読めば、観客がいなくなるまで、日を変え、場所を変えたのだろう程度にしか読めない。しかし真相は、神意、天意の転変に随って死すべき場所と時間を何度か変えたのだと思う。

こういうのはバカバカしいとか児戯に等しいと思う人も多いかも知れないが、白魔術師の作法というのは、冷厳、精密である。臨済を超えるほどの悟境の普化の死が、適当な気まぐれで起こるはずはない。

時には質の違いがある。それを利用して、中国の禅者ホウ居士は、時を選んで坐脱し、日本中世の虚空蔵求聞持法修行者は、満行に時を選んだ。もっとも時を選ぶのは白魔術師だけではないのだが・・・・。

またアヴィラのテレサの言うように、奇蹟には時を選ぶタイプのものと時を選ばないタイプのものがある。白魔術師は、時を選ぶタイプの奇蹟に熟達しているのだ。

そして私たちは生まれてくる子宮を自らセレクトし、生まれてくる時刻を自らセットして誕生してきた。この生誕というある種の魔術については、万人自ら執り行ってきたわけである。

最後に、白魔術師と黒魔術師を見分けるということについていえば、自分が悟らなければそれはわかるまい。

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