アヴァターラ・神のまにまに

精神世界の研究試論です。テーマは、瞑想、冥想、人間の進化、七つの身体。このブログは、いかなる団体とも関係ありません。

魏伯陽の死-1

2022-11-23 07:13:18 | 道教neo
◎この世への未練をすべて捨てる

魏伯陽は、内丹(クンダリーニ・ヨーガ)の中国最初の専門書である周易参同契を著した人物。周易参同契の特徴は五行(木火土金水)、八卦の易の体系でもって内丹の手法を説明したところ。               

クンダリーニ・ヨーガといえば、この世の次元を超えて何かぶっ飛んだ素晴らしい体験が待っているかのようなイメージが先行するかもしれないが、その修行に入るためには、この世に対するあらゆる未練とか、世俗の欲望をすべて捨ててかからなければまず成功することはないだろうということが、以下の逸話の中に見て取れる。

魏伯陽は呉の人。ある日弟子三人とともに山に入り神丹を作った。
『丹薬は完成したが、弟子たちの心構えが、まだ十分に本気でないのを知って、これを験そうと思い、

「丹薬はできたが、まず犬にやって試してみるべきじゃ。もし犬が飛ぶようならば、その後で人間が服(の)んでよろしい。もし犬が死ぬようなら服むわけにはゆかぬ」といった。

そこで犬にやって服ませてみると、犬は即死した。

伯陽は、弟子たちにいった、「丹薬を作るのにひたすら完成を念じてきた。ところが今や完成はしたものの、犬がそれを食って死んだというのは、おそらくまだ神明の意にかなわないものと思う。服めば、たぶん犬と同様になるだろう。どうしたらよいだろうか。」

弟子たちが「先生は服用なさるおつもりでございますか。」と訊くと、伯陽は答えた、「私は世に背き家を捨てて山に籠もった。道が会得できずとも、再び戻ってゆくのは恥じゃ。死ぬも生きるも、とにかく私は服んでみる」

さて丹薬を服むと、口に入れるなり即死した。』(続く)
(出典:神仙伝)

師匠が自らの術の精華である丹薬を服用し、あっと言う間にこの世を去った。師匠亡き今、弟子たちが効果的な修行を続けて行ける保証はなくなった。
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