アヴァターラ・神のまにまに

精神世界の研究試論です。テーマは、瞑想、冥想、人間の進化、七つの身体。このブログは、いかなる団体とも関係ありません。

シロシベ-2

2022-11-18 20:19:32 | ソーマ・ヨーガ(冥想法5)neo
◎ウッタンカ仙人

シロシベは、精神活性アルカロイドのシロシビンとサイロシンを含有する、80種あると言われる幻覚性きのこの一種であり、世界中どこにでも分布している。

ただし、幻覚性きのこが呪術に結びついたと見られる事例は、南北アメリカにしか見られない。たとえば、紀元前1000年から紀元後300年のグァテマラの遺跡から多数のきのこの石器が発見されていることや、16世紀アステカの愛と春の神ソチピリの彫像の台座にキノコやタバコや朝顔などの精神活性植物のレリーフがある。

その伝統は、マサテコ族のマリア・サビナの他に、ヤキ・インディアンの呪術師ドン・ファン・マットゥス(カルロス・カスタネダのシリーズ小説で知られる)が生き残っていたことで、現代にまでその技術が伝承されていることがわかる。

人類学者のゴードン・ワッソンは、リグ・ヴェーダに出てくる神々の飲み物ソーマは、ベニテングタケであると考えていたが、偏見なく見れば、シロシベではないという証拠もない。ソーマの特徴とされる以下のものは、3.以外はシロシベにも当てはまってしまう。

1.ソーマは山に生えていた。
2.ソーマには、根、葉、花、種がない。だからきのこであろう。
3.ソーマは、生の絞り汁を飲む他に、それを食した人の尿にも幻覚性成分が残留しているので、その尿を摂取することでも幻覚を得られる。

確かにシベリアのベニテングタケの摂取例では、食した者の尿を飲む話は出てくる。ワッソンは、尿摂取の例として、インドラ神が尿の形で、不死の霊水アムリタをウッタンカ仙人に与えようとした逸話をあげているが、インドラ神が、その直前にソーマを食したということではないので、「尿摂取」がベニテングタケがソーマである証拠にはならない。

この逸話は次のような話である。

インド古代の叙事詩マハーバーラタの中で、大聖クリシュナが、彼が高く評価しているウッタンカ仙人が水を欲しいと望んだ時に、インドラ神に彼にアムリタ(飲むと不死になる霊水)を与えるように頼んだ。インドラ神は、死すべき者に対し、アムリタは与えるものではないと反対したが、とうとうクリシュナの要請に応じて、身分の卑しい漁師の姿になって、アムリタを多量の尿として、ウッタンカ仙人に与えようとした。ところがこの尿を、ウッタンカ仙人は、怒って飲まなかった。なおも漁師に繰り返し飲みなさいと勧められたが、結局飲まなかった。

結局ウッタンカ仙人は、アムリタではなく、水をいつでも飲めるようにクリシュナから雲をもらった。

シロシベを食した者の尿から、幻覚成分を摂取することが可能かどうかはわからないが、それはシロシベがソーマでない証拠ではないと思う。

不死の霊薬アムリタは、不死不壊なるものは、第六身体・アートマンレベルにしかないので、そのレベルのことであり、既に個人のことではなく、神々のことと考えられる。
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