◎猫は霊的に甚だ怜悧かつ執拗
出口王仁三郎は、猫の魂を犬に乗り移らせるなど、結構乱暴な技を見聞している。
似たようなことをやっている人間もいるらしいが、普通の人は手を出してはいけないカテゴリーのメソッドである。
またペットの状態は、一家の主人の盛衰と関連が深く、また人間の言霊がペットに与える影響は大きい。
『猫の毛を逆になでると火が出るのは、強い電気が立っているからであって、猫ほど電気に感じやすい獣はいない。天候をよく感知すると言われているのもこのためである。そのためまた霊的には甚だ怜悧でありかつ執拗である。昔から犬や馬の化けて出た話は滅多に聞かないが、猫の化けて仇をした話はしばしば聞くところである。最初に飼う時に「お前は一年間だけ飼ってやるから」と言い聞かせておいて、もし一年たって飼い主が前に言ったままで忘れてしまっていると、猫の方はちゃんと覚えていて、知らぬ間にどこかへ行ってしまうものである。だから一年たった頃に「これからもう一年だけ飼ってやる」と年期を延長して言い聞かせておくのである。こうして猫に年期を切るというのは、もし飼いっぱなしにしておくと、中には年月がたつと共に一種の霊力を具えて人を驚かしたりすることがままあるからであろう。猫が死人を踊らせた実例は私も知っている。
犬の霊が猫に憑いた面白い実例があるから話そう。綾部のある信者の家に一匹の犬を飼って非常に可愛がっていた。この犬が病気で死ぬ時、主人が「お前の肉体は死んでも、魂は残って飼い猫に憑れ」と言い聞かした。すると間もなくこの犬の死と共に飼い猫の生活状態は俄然変化してきて、食物から挙動から一切が犬と同じようになってしまった。そして家族の人たちが外出する時などには、いつも前の犬のように先に立って送り迎えをするのであった。私がその家から帰る時などには必ず送ってきた。しかし何分本来肉体は猫なのであるから、食物の関係などから身体の具合を損じ間もなく倒れてしまった。
ところがまた不思議なことには、その猫が死ぬ時に「この肉体が滅びても、この子に憑いていれ」と言いつけたところ、その猫の死と共に今度はその子猫が急に犬の真似をやりだしたのであった。がこれもまた不幸短命で終わった。精霊が二つであるから勢い肉体の統一、調節がとれ難く、無理が多くなるので短命に終わり勝ちなのである。
世間一般の千里眼とか天眼通とかの出来る霊術家が大抵短命で終わるのも、実は自己以外の他の精霊の助けを借りているがためで、前の猫の例と同じ理由によるのである。
とにかく家畜でも草木でも元来が人に属しているものであって、主人の身代わりに飼い犬や飼い猫が死んだり、また主人の死ぬ前に愛木が突然枯れたりなどするのを見ても、いかに人とこれらが密接な関係にあるかが分かる。家畜や庭木が元気なのは、その家の盛運を物語っているものである。
また人の言霊がいかに痛切にこれらのものに作用するかという事も、前の猫に対して年期を切る場合などで分かる。果樹などに対しても「来年沢山実をつけないとブチ切ってしまうぞ」と脅すと、その翌年は思ったよりは沢山になるものだということである。』
(出口王仁三郎全集 第5巻 言霊解・其他
瑞言祥語 猫から引用(旧かな使いを新かな使いに修正しました))