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アヴァターラ・神のまにまに

精神世界の研究試論です。テーマは、瞑想、冥想、人間の進化、七つの身体。このブログは、いかなる団体とも関係ありません。

ヤコブ・ベーメの決定的な15分間

2024-11-23 19:40:01 | 錬金術neo

◎隠された自然の最も内奥の根底へ

(2017-02-05)

 

ヤコブ・ベーメは、1575年にボヘミアに近いドイツの小村アルトザイデンベルグに農家の五人兄弟の4番目として生まれた。彼は靴職人として靴屋に徒弟として入り、24歳で親方になり、結婚もした。

靴屋の遍歴修行時代の18歳の頃、彼は魂が輝かしい安息に導き入れられ、神的光に包まれて七日間の間、神の観照と大歓喜のうちにあった。

そしてベーメ25歳のときに決定的な15分間の体験とは言えない体験が起こる。彼は再び神的な光に捉えられ、錫の容器にしばらく見入るうちに、彼のきらめく魂の霊とともに隠された自然の最も内奥の根底あるいは中心へと導き入れられたという。

残念ながらこの時起きたことを彼は語るすべなく、そのことが文章に昇華されたのは12年後の37歳の時であり、それがアウローラ(黎明)という著作になった。それまでは、それは起きることは起きたが、彼には理解できなかったというものである。

 

アウローラの内容は全体的には霊がかりではあるが、世界の創造のあり様をも幻視しており、それなりのレベルではある。

それと15分は、黄梁一炊の夢の時間にも相当し、本人は15分だと感じているが、実際は数秒だったかっもしれない。なんとなれば、彼は蘇生し、生還したからであって、目立った肉体の損傷もなかったように見受けられるからである。

15分も血流が止まっていれば、肉体はいろいろな後遺症を抱えるものなのではないか。

またやはり、「世界の秘密を見た者はそれを語りたがる」の法則があるのだろう。

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ヤコブ・ベーメ

2024-11-21 13:03:43 | 錬金術neo

◎怒りの水銀、神の水銀

(2006-12-10)

 

ヤコブ・ベーメは、1575年生れの北ドイツのゲルリッツの無学な靴職人。

 その著作の一つであるシグナトゥーラ・レールムの次の文を読むと、錬金術の述語である水銀、黄金、肉体、キリストなどの用語が、自らの体験を裏付ける表現として用いられていることがわかる。

 『(人間は)黙って横たわった。既に形は崩れ、獣のような醜い姿になっていた。とても天使には見えない。ましてや天国に迎え入れられるとは思えない。悪魔の原石のようだ。

 そこに含まれた金は、じっと身を潜め、沈黙している。至福の姿は彼にあってなきが如し、目には映らない。肉体は毒の中でまだ生きのびてはいたが、まるで悪臭を放つ死体のようだ。それはまた邪悪の茨の茂みのようでもある。

 けれどもそこからは清らかなバラの莟が、いばらを超えて顔をのぞかせ、有毒な怒りの水銀の中で隠れてじっとしていたものが姿をみせる。

 造り主である錬金術師が手にとって、死に絶えていたその金に、至福の姿に、生きた水銀を注いでやることによって。

 そうして神の優しさと根源的な愛から生れたものが、一時隠されていても、ふたたび莟をもち花開く。神の水銀、すなわち神の言葉によって。それは沈黙していた人間の心にしみ入るのだ・・・・・。

 そののち天から授かった水銀は、怒りの水銀をあるべき姿に変え、そしてキリストが誕生する。キリストは悪魔の頭を叩きつぶし、・・・・・そして清く正しい人間がよみがえり、神の前に生きる。(神々しいその姿は)地上の材料に潜んでいた金のように輝き始める。』

(錬金術 心を変える科学/C.ジルクリスト/河出書房新社P99-100から引用)

 

水銀は最初は有毒であるが、後に神の言葉に変容するところをみると、かの白銀色のエネルギー・コードが神から肉体までを貫いているクンダリーニのアーキテクチャーからすれば、水銀とはクンダリーニのことと意識していた印象を受ける。

 生きた水銀である神のバイブレーションを注いでやることによって、クンダリーニは活性化し、神とつながり、キリストとして誕生する。「自分自身がキリストとして誕生する」とは書けないので、誰が成るのだかわからないが、キリストが誕生すると書いたのだろう。

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ニュートンの世界観

2023-04-22 11:24:45 | 錬金術neo

◎第五元素の説明

(2006-12-30)

 

錬金術書の挿絵や説明が、ユング派の心理学者が主張するような人格の成長やら自我の形成・確立という心理現象に留まるものではないように、ニュートンの物理学的世界観には、物質、時間、空間を一歩超えている形跡を見ることができる。

 

第五元素とは、地水火風の四元素の次のものであるが、ニュートンの手稿によれば、そのような捕らえ方となっている。

『とくに興味深いのは、ニュートンの一覧のなかに第五元素が含まれていることである。イシス、ユノ、ケレスと、さまざまな民族によってさまざまに呼ばれたこの元素を、ニュートン自身は「クィンテセンティア〔第五元素〕もしくはエレメントールム・カオス〔諸元素のカオス〕、すなわちムンドゥス〔世界〕」と呼ぶのだと言い、それは錬金術ではアンチモンあるいは「マグネシア・ゲブリ〔ゲーベルのマグネシア〕」と表わされるのだと注記している。「マグネシアとは、火でも空気でも水でも土でもなく、それらのすべてである」と彼は述べている。

 

それは火のようでも、空気のようでも、水のようでも、土のようでもある。熱であり、乾であり、湿であり、冷である。水のような火であり、火のような水である。物質的霊であり、霊的物体である。それは濃縮された世界霊である。

 

要するに、天界の第五元素が天を地に上から結びつけているがごとく、下から地を天に結びつけているのが錬金術師の第五元素なのである。 』

(錬金術師ニュートン/Bドッブズ P195-196から引用)

 

このように第五元素とは、四元素とは全く同列ではなく、もはや物質とは呼べない物質のことである。ここで形容されている第五元素(マグネシア、アンチモン)の属性は、冥想体験の深化の中で、自分というものを持ちながら、神を見た時に得られるビジョンと同様であるので、ニュートンは錬金術研究のプロセスの中で、それを見たか、直観したかのいずれかなのだろうと思う。

 

錬金術研究という一つの行に打ち込む”一行三昧”により、このような窮極についての洞察か、もはや体験とはよべない体験が起こったとしても、それは不思議なことではないと思う。

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世界樹の見え方

2023-03-07 20:41:49 | 錬金術neo

◎それはひっくり返っている

(2009-12-26)

 

世界樹は哲学の樹(アルボル・フィロソフィカ)とも呼ばれ、北欧神話ではイグドラシルとも呼ばれる。錬金術文書では、転倒した樹(アルボル・インウェルサ)とされ、上から下に成長し、樹冠が下に、根が上にある。この転倒した世界樹は、古代秘教的世界観から来るもので、神である根から世界が発出しているという見方に、人間からの見え方を加えたものである。

 

『ある錬金術の文書では、「鉱物の根は空に、枝は大地の下にあり、これを引き抜くと、恐ろしい音がして、大いなる恐怖が続く」と記されている。『世界の栄光』では、哲学者たちの言葉として「その鉱物の根は空にあり、梢は大地の下にあり」と述べられている。

(中略)

 

転倒した世界樹の数多くの例の中で最も有名なものは、『ウパニシャッド(奥義書)』にあるものだろう。樹の宗教的意味がアルボル・フィロソフィカのそれと似ている。

 

この宇宙は永遠に存在する樹であり、その根は高く、枝は下に広がる。

樹の純粋な根が梵であり、その中に三界(欲界と色界と無色界)が存在し、これを超越する者はいない。』

(ヨハンネス・ファブリキウス/錬金術の世界/青土社p229から引用)

 

悟っていない人間には、世界樹は根が下に枝が上に広がって見える。世界樹の根を目撃した瞬間に、世界樹の見え方はひっくり返る。世界樹の根は神であり、仏であり、タオであり、ニルヴァーナである。

 

この逆転した世界観こそ覚者の証拠である。悟った人が周辺に理解されないのはここに最大のキーポイントがあるのではないか。

 

また霊が見えようが、ハイアーセルフと話ができようが、世界が逆さまに見えない人は本物ではあるまい。タロット・カードの木から吊るされた男こそ、覚者の姿である。吊るされて世の中がひっくり返ることほど恐ろしいものはない。実はそちらの方が真相だったと。それ以外にアセンションはあるまい。

 

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エメラルド・タブレットの秘儀

2022-12-13 11:34:13 | 錬金術neo
◎ヘルメスのつぼ

12世紀頃西欧に現れたとされるエメラルド・タブレットについては、過去2種の訳文を引用したが、これは3種目。
錬金術書のごちゃごちゃのジャングルや荒海の如き内容を見ていくのにエメラルド・タブレットの「灯台」は欠かせない。

エメラルド・タブレットは心理学でもなく、哲学でもなく、物質変成の化学でもなく、クンダリーニ・ヨーギの見る現実そのものである。とりあえずヘルメス・トリスメギストスはこの世は夢だとは言わない。この世の展開と収斂の説明だからである。

『一、こは真実にして偽りなく、確実にしてきわめて神聖なり。

二、唯一者の奇跡の成就に当たりては、下なるものは上なるものの如く、上なるものは下なるものの如し。

三、万物が一者より来たり存するが如く、万物はこの唯一者より変容によりて生ぜしなり。

四、太陽はその父にして、月はその母、風はそを己が胎内に宿し、大地は乳母なり。

五、そは万象における完全なる父(テレスマ=原理)なり。

六、その力は大地の上に限りなし。

七、汝は、火と大地を、精と粗を、静かに巧みに分離すべし。

八、そは大地より天に昇り、たちまち降りて、優と劣の力を取り集む。かくて汝は全世界の栄光を己がものとして、闇はすべて汝より離れ去らん。

九、そは万物のうちの最強者なり。すべての精に勝ち、全物体に浸透するが故に。

一○、かく、世界は創造せられたり

一一、かくの如きが、示されし驚異の変容の源なり。

一二、かくて我は世界霊魂(アニマ・ムンディ=叡知)の三部分を備うるが故に、
ヘルメス・トリスメギストス(三倍も偉大なるヘルメスの意)と呼ばれたり。

一三、太陽の働きにかけて、我は述べしことに欠く所なし。』
(魔術師たちのルネサンス/澤井繁男/青土社P135から引用)

澤井繁男氏の説明では、四項はアリストテレスの四元素だとするが、そのとおりで、太陽が火、月が水、我は風で、地がある。また父は硫黄、母は水銀。

七項の「分離」は、七つの身体の精粗を意識したものだろうか。それを四元素の分離と言えばそういう説明もあるかなと思う。

澤井繁男氏は、八項は、賢者の石を産出する『ヘルメスのつぼ』の中の動きを描いているかの如しとの説明。八項は、今見れば、ダンテス・ダイジのいうところの中心太陽突入と帰還、そしてエネルギーシャワーによる肉体とチャクラの復活調整と見れないこともない。

そういうことなら、ヘルメスのつぼの説明を探してみよう。

八項、九項の「そは」のそは、賢者の石と見るが、上昇と下降ということならば、賢者の石とは、クンダリーニのエネルギー・コードだろう。

一一項。洋の東西を問わず、全世界の発生と変容と展開と収斂という世界の構造を見た者は、なぜかそれをひとくさり説明したがるものなのだろう。
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エメラルド・タブレットの世界

2022-12-13 11:26:28 | 錬金術neo
◎古神道の世界観との類似

エメラルド・タブレットは短文過ぎてよくわからないという感想が多い。そこでその世界観を出口王仁三郎の神示の宇宙と比較してみる。

エメラルド・タブレットの世界観では、太陽と月と大地があらゆる生物、生物を発生せしめ、育成する元となっている。これは、神示の宇宙では、太陽と月(太陰)と大地が、他の天体とは一線を画したメインな天体として存在していることと似ている(天文学の天体とは全く異なることに注意)。そして、太陽は陽であり火であり高御産巣日神、月は陰であり水であり神御産巣日神。この神霊原子の水火が結びついて、万物が生成化々する。

更に神示の宇宙では太陽も水火の呼吸を行い、月も大地に対して水火の調節を行う。
これぞエメラルド・タブレットの「下なるものは上なるものの如く、上なるものは下なるものの如く」である。

昇降を繰り返し、あらゆる精妙なものに打ち勝ち、あらゆる固体に滲透するものとは、神霊原子が変じた流体である葦芽彦遅神(あしがひひこぢのかみ)と固体である常立神(とこたちのかみ)(霊界物語第6巻第一章 宇宙太元)を意識した表現であって、ここは宇宙太元なる「湯気とも煙とも何とも形容の仕難い一種異様の微妙のものが漂う」なる天御中主神のことを言っているのではないと思う。

さて昇降するものは、自分以外のものであれば、天地神明のこと。あるいは自分が昇降するのであれば、クンダリーニの昇降のことだろう。只管打坐の急速に対して、クンダリーニ・ヨーガは「ゆっくり」なので、この昇り降りはクンダリーニ・ヨーガでの昇降を言っているので間違いあるまい。

エメラルド・タブレット:
『≪こは真実にして偽りなく、確実にしてきわめて真正なり。唯一なるものの奇蹟の成就にあたりては、下なるものは上なるもののごとく、上なるものは下なるもののごとし。≫

≪万物が「一者」より来たり存するがごとく、万物はこの唯一なるものより適応によりて生ぜしなり。≫

≪「太陽」はその父にして「月」はその母、風はそを己が胎内に宿し、「大地」はその乳母。万象の「テレーム」(テレスマ Telesma≪意志≫)はそこにあり。≫

≪その力は「大地」の上に限りなし。≫

≪汝は「大地」と「火」を、精妙なるものと粗大なるものを、ゆっくりと巧みに分離すべし。≫

≪そは「大地」より「天」へのぼり、たちまちまたくだり、まされるものと劣れるものの力を取り集む。かくて汝は全世界の栄光を我がものとし、ゆえに暗きものはすべて汝より離れ去らん。≫

≪そは万物のうち最強のもの。何となれば、そはあらゆる精妙なものに打ち勝ち、あらゆる固体に滲透せん。≫
≪かくて世界は創造されたるなり。≫

≪かくのごときが、ここに指摘されし驚くべき適応の源なり。≫

≪かくてわれは、「世界智」の三部分を有するがゆえに、ヘルメス・トリスメギトスと呼ばれたり。「太陽」の働きにつきてわが述べしことに、欠けたるところなし。≫ 』
(ユタン・セルジュ/有田忠郎訳/『錬金術』/(文庫クセジュ)白水社から引用)
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