◎男性には必須、気で身体をつなぐ
この本気でやるということをできるだけ排する風潮の時代に、気合ということは半ば死語となっている。中高年向けのきくち体操では、どんなに筋肉があっても頭と筋肉が連動しないと改善しないと強調する。これは、頭で考えた通りに手足、筋肉が動かなくなってしまうと、精妙なるきくち体操をもってしても筋肉の復活はないということをいう。なお、きくち体操は、百歳まで自分の足で歩くが一つのスローガン。そのためには筋肉のやせを防ぎ、毎度頭と筋肉をつなげるという練習を行う。
私の毎朝の運動メニューには、古神道の禊の神事五種のうち二種(振魂の行事、天の鳥船)しか入っていない。残り三種もやるべきだとは思っていて、合気道用の帯まで買って(雄健(をたけび)の禊では帯が必要)、やらずにいたが、改めて始めてみようと思った。これは、出口王仁三郎の天の鳥船の解説で『天の鳥船:衆心一和の禊、渾身に力をこめる。特に臍のあたりに力をこめ、気合とともに、櫓を漕ぐ動作を百千回反復する。運動それ自体が修練となる。また、気合術の練習にもなる。』(霊界物語 第75巻第1章禊の神事から引用)という一文を見たせいである。天の鳥船も気合を入れてやるのだ。
なお大声を出すのは、いろいろあるので、無音でやらざるを得ない場合があると思う。なお、達人が本当に大声を出すと、街全体に聞こえるとか、三つの山を越えても聞こえる(唐代の高僧巌頭が賊に襲われ、数十里先まで聞こえるほどの大絶叫を上げた)とかあるので、近所迷惑以上のことになることもあり得る。
出口王仁三郎曰く、『禊の間は、食事を減らす。朝夕に一合の粥と三粒の梅干、少量のごま塩以外は食べない。しかし、内部の根本精神が興奮緊張するために、疲れたりやつれたりすることはない。』(上掲章)、とあり、気合が上達すれば、この連日の体温越越えの37度を越す猛暑の中でも、ある程度動けるようになるかもしれない。
きくち体操は、中高年女性向けとして発展してきた経緯があって、基本女性向けだと思う。そもそも女性は生まれながらに肚ができているので、男性のように後天的に練習して丹田(肚)を作る必要はない。つまりきくち体操はいわば既に丹田(肚)ができた人向けの体操なのだろうと思う。よって肚がふわふわしている男性としては、おそらく頭と筋肉をつなぐとは、肉体と神経系とエーテル体(気)を結ぶということであって、全身を一気につなげる気合の強化(エーテル体の強化)が必要なのだろうと思った。
【古神道の禊の神事】
1.振魂の行事
2.天の鳥船
5.伊吹の神事