◎周天は前後回転、クンダリーニは垂直上昇
道教では、気を回すことを周天という。周天を繰り返すことで、出神し、ニルヴァーナに至る。これは呂道賓によって知られる技法であり、柳華陽の慧命経でも伝えられている。
周天は、身体の前方部分に位置する任脈と背中部分に位置する督脈を経由して、気を回転させる。これは頭頂を頂上とし会陰を底として身体の前後に回転させるもの。この前後回転というのは、クンダリーニ・ヨーガや仏教の密教から入った人にとっては意外である。
クンダリーニ・ヨーガでは、脊柱付近にスシュムナー、イダー、ピンガラーと三つの脈管があり、中央のスシュムナーをクンダリーニが上昇すると説くからである。つまりクンダリーニ・ヨーガでは、回転ではなく上昇であり、そもそも身体の前後の管には関心がない。
経絡は、肉体レベルではなく、エーテル体レベルであって、半物質。エーテル体の全体図は傘の骨のようだというのは、経絡の全体図のイメージ。
そこで、任脈図とか督脈図だけを見てもわかりにくいが、スシュムナーに該当するのは、衝脈であり、これは背中の督脈のやや前方に位置する経絡である(道教の神秘と魔術/ジョン・ブロフェルド/ABC出版P279の挿絵)。
支那にもクンダリーニは軍荼利として入ってきたが、周天はそれを承知しつつ発展させた。呂道賓は、その大成者として、眼力のある周天修行者たちに尊崇されているのだろう。逆にインドに周天によるニルヴァーナ到達技法が入っていかなかったのはどういうわけなのだろうか。
周天は前後回転で、クンダリーニは垂直上昇というのは、率直に両方を学んだ人なら知っているが、意外に言及している人は少ないものだ。気は半物質でエーテル体と、とりあえず説明するが、出神がエーテル体なのかメンタル体なのかはわからない。
また出神なる別ボディでニルヴァーナに到達するのかどうかもわからない。ぼんやりとした説明しかないのだ。
さらにネットで経絡関係で言及している人は多いが衝脈について言及している人は多くはない。
またクンダリーニは、最初は、エーテル体レベルの存在だが、最後にアートマンからニルヴァーナに突入していく様を思えば、クンダリーニの存在レベルは、エーテル体レベルだけではないと考えられる。
これら周天とクンダリーニ・ヨーガの違いも、大周天とクンダリーニ上昇を一身に両方極める人が複数出てこないと解明することはできますまい。