かつてのひまな野球人の記

野球が好きだった医者が書きたいことを書き散らすブログ。今は保健センター教員をしつつ神経内科医と研究者もやっています。

核を探せ

2008年01月30日 18時44分25秒 | 実習
今日は早めに実習室に行って、眼窩から一人で再開した。ここまでくるとさすがにノミで骨を削ったり、骨鉗子で割ったりして骨を取り除いていかなければならない。眼窩の中には意外に脂肪が多く、神経を取り除かないように注意して削っていかなければならなかった。努力の甲斐あって何とか6つの外眼筋と周囲の神経を剖出することができた。続いて耳に取りかかったが、耳管を開いたところで中断して脳の続きをやることになった。
脳は昨日折半したばかりで、ここからがいわば本番である。大脳と間脳の解剖がメインだったのだが、これが難しい。これまでとちがって結合組織の中に見たいものが埋まっているのではなく、神経組織の塊なのでそれを崩していかなければならないからである。うかつにピンセットでつかもうものならすぐに崩れてしまうし、必要なところだけ崩すには少々面倒なのである。慎重にピンセットの柄をつかってほじっていくのだが、場所を判別する手がかりは色と凹凸だけである。核は神経細胞体の集合なので色は褐色のような色をしている。軸索は白っぽいので、あとは向きを見ることでおおよそわかってくる。
今日で何とか終わらせようと頑張った結果、時間がかかったものの断面を作るところまで到達することができた。一番印象的だったのが、中脳の大脳脚の線維がそのまま内包につながっていて、扇のように線維が放散していたことである。知ってはいるが、直に見るとやはり違う。
あとは脳の断面を見るだけである。頭のほうも内耳の掘り出しにかかっているようだし、いよいよ王手である。

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