かつてのひまな野球人の記

野球が好きだった医者が書きたいことを書き散らすブログ。今は保健センター教員をしつつ神経内科医と研究者もやっています。

新展開

2008年01月29日 19時00分05秒 | 実習
予告通り、今朝実習室に行ったら既に脳の入った容器が用意されていた。脳の保存液はこれまでのカルボール液とは違ってやや酸っぱいようなにおいがする。脳は柔らかいので持つのもこわごわであったが、それなりに重量感はあった。ただ、一人だったので一人で脳の解剖を始めるのはさすがにまずいと思い、誰か来てから脳は始めることにして、頭の続きに取りかかった。まずは頬骨を外してその下の下顎骨を切り離すのだが、これがなかなか大変だった。うまいこと切り離そうとのみを振るっていたら、力加減がうまくいかずに砕けてしまった。その副産物として下顎管を通る下歯槽動静脈・神経を見ることができたので、塞翁が馬だったかもしれない。その後はその付近の動脈と神経を探した。卵円孔を通って下顎神経が頭蓋から外に出ているのを見つけて、一人で喜んだのが白眉だろうか。
さて、ようやく11時頃にもう1人が来たので、脳の解剖を始めることにした。いきなり手をつけるのではなく、まずは外見からである。動脈輪はしっかりと見え、脳神経根も8番あたりまでは見えた。が、橋と延髄の境界あたりでちぎれていてその先ははっきりしなかった。6番も辛うじて見えたがちぎれた方についていたので、がっかりだった。ところが、これがまたあとでよかったことに気がついた。実は下小脳脚も見えやすくちぎれており、その上の第四脳室の壁もよく見えていたのである。まだまだ見るものは尽きないが、かなりのスピードで進んで今日は大脳を折半したところで終わった。この調子だと明日には脳解剖が終わってしまうかもしれない。

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