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国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

日露同盟と船曳建夫氏の「国際日本」「大日本」「小日本」「中庸国家」モデル

2007年02月02日 | 日本国内
◆ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報  2007年1月31日

●『右であれ左であれわが祖国日本』船曳建夫著(PHP新書) 2007年1月刊

  昨日、都心に出るまでの列車の中で読んだ本で、新書版ですが、非常に内容は充実した本。タイトルは、ジョージ・オーウェルの"My Contry Right or Wrong"をもじったもので、以前にも副島隆彦氏が、『日本の秘密』という日本政界論の中でサブタイトルとして使っています。真の愛国者は、『右であれ左であれ我が祖国」と考えるのだ、として、オーウェルは自分の政治思想とは正反対の立場の人々を擁護したのです。そういう人工的な左右の対立にとらわれずに物事を見ようと言うメッセージでもあります。この本は日本国内が安全保障問題で不毛なレッテル貼りや罵倒合戦により分裂するのではなく、建設的に日本の選ぶべき国家像を考えようというメッセージです。

  この本が凄く重要なのは、私が再三指摘しているモデル思考を国家論に組み込んでいる点です。詳しくは別の場所で論じますが、従来日本の国家戦略論は地政学を援用しているとは言え、実際には外来学問の枠組みをそのまま日本に当てはめるという傾向が強かった。米国でつくられた地政学のモデルはあくまでアメリカの国家戦略のためにあるのだが、私の見るところでは、村田晃司などの「アメリカかぶれ」の学者たちはそのまま日本の国家戦略に利用していた感があります。

 この本はそうではなくて、日本の歴史的な外交姿勢を戦国時代から現代に渡って3種類の再単純モデルに分類し、それぞれの状況が3種のモデルの割合で認識できるという仮説を立てています。ひとつは、「大日本」もうひとつは「小日本」、もう一つは「国際日本」というモデルです。これがなかなか考えつきそうで考えつかなかったモデルで、「オッカムのカミソリ」のようなシンプルさがあるがモデルとしてまず過不足がない。

 似たような試みとして、アメリカのCFRの研究者のウォルター・ラッセル・ミードが、4種類の国家戦略モデルを作っております。(「ハミルトニアン」「ジェファーソニアン」「ジャクソニアン」「ウィルソニアン」)

 これはアメリカの特殊性に注目したモデルなので、日本にはそのまま当てはまりません。言うなれば、中国、欧州についても歴史を超長期スパンで眺めて何種類かの法則性を見つけ出す作業がなされるべきでしょう。(今、「新しい中世」モデルがブームなのは、欧州がローマ帝国モデル化しつつあることの表れかもしれない。これをグローバルに適用できるかは別の問題として)

 そうすると、世界の国家戦略はこれらの幾つかの変数を組み合わせることである程度は予測できるという可能性が出てきます。日本の現在は今、「大日本+国際日本」モデルを目指しつつ、アメリカの意向を伺いつつ、中国を牽制しながら国際舞台への復帰とNATO加盟を目指している。(安倍、麻生は、国際日本モデル7、大日本モデル3でしょう。)これは明らかに、対外関与を避けるという、「小日本モデル」とは別モデルで、米国的に言えば、ややジャクソニアンが含まれた、ハミルトニアン型(国際金融モデルはこのバラエティー・モデル)外交を目指しているようです。

 私は小日本モデルと国際日本モデルを適当にミックスした国家モデルを提唱しますが、この船曳氏はもう少し意欲的です。その辺の意見は違うのですが、国家モデルを議論する場合には、重要なたたき台になりうる本です。
http://amesei.exblog.jp/4654064/





●久間発言で明るみにでた小泉・安倍内閣の親米度

安倍・麻生両議員は、親米派なのだが、アメリカが「これこれをやれ!わかったな」と言われたとき以外にも、アメリカの苦労を察して、先回りして協力姿勢を見せようとすることで、アメリカに受け入れられることで、結果的に自分たちの理想である日本の軍事大国化を少しずつ実現しようとしていく考え方がある。前回の船曳氏のモデルに従えば、国際日本が7、大日本が3なのである。彼等が英米の組織で、大西洋同盟=ビルダーバーグ会議の要であるNATOに急接近しているのはそのためである。小沢一郎の国連モデルとは違うのだ。

 小泉首相以前の日本の首相は、そのような「言われた以上のことをやる能力」は持っていなかった。状況対応型であったといえる。 しかし、安倍首相と麻生外相は最近行った訪欧で、「自衛隊を国際協力目的で出すことはためらわない」と明言している。
 これは、戦後の「小日本+国際日本」モデルからの脱却であり、戦前的な「国際日本+大日本」モデルの出発でもあるのだ。

 反して、久間氏は、情勢対応型の、小日本モデルの信奉者だと思う。しかも、多極化信奉者だ。武器輸出三原則の緩和を欧州に対しても行えと、要求している。これはアメリカの軍需産業、レイセオンやロッキードからしてみれば迷惑な話だ。欧州に渡った技術が回り回ってどこに行くか分からないと懸念しているだろうし、何よりもアメリカの一極支配が崩されるきっかけになるからだ。
http://amesei.exblog.jp/4654638/






【私のコメント】
『右であれ左であれわが祖国日本(船曳建夫著)』は、戦国時代以後の日本の歴史から三種類の日本の国家モデルを取り上げ、明治維新後の日本の国家像もこれらのモデルの組み合わせとして説明できると主張している。非常に明解な分析である。

1.国際日本モデル:キリスト教への理解、南蛮貿易、関所廃止と楽市楽座に代表される信長の政策

2.大日本モデル:キリスト教弾圧、南蛮貿易・朱印船貿易、朝鮮出兵に代表される秀吉の政策

3.小日本モデル:仏教・神道による管理(宗門人別改帳)と鎖国に代表される家康の政策(ただし、確立されたのは家康の死後)

船曳氏は今後の日本の取るべき方針として、上記の3つのモデルはいずれも困難な壁にぶつかっていると分析した上で、世界に対しては「大日本」であり続ける努力を行い、国内的には「小日本」の内に秘めた強さを保つという目標を立て、欧米のみならずアジアをも「国際日本」の舞台とする、という3つのモデルのいいとこどり、悪く言えば三兎を追うとも言える意欲的な「中庸国家」という主張を行っている。具体的には、米国及び欧州・ロシアと緊密な関係を維持し、米露を敵に回す日中同盟は避け、日中間の友好関係維持を目指すと共に紛争へのシミュレーションを怠らないことを挙げている。もし米露が東アジアへの関心を失った場合は小日本の穴熊戦法になるという。更に、台湾への親近感を政治的カードとして使うべきでないこと、インドは日本から遠く、対中牽制の効果は期待すべきでないことも主張している。第二次大戦の敗戦については、1920年代以降の大日本モデルの破綻と位置づけ、第三の道はなかったかとしている。


船曳氏は触れていないが、日本は日露戦争直前に日英同盟と日露協商の二つの路線の間で選択を迫られ、結局日英同盟を選んで日露戦争に突入したという歴史がある。日露協商を強く主張した伊藤博文は日露戦争直後にロシアとの友好関係樹立を目指して秘密会談に向かう途中で朝鮮人テロリストに殺害されているが、これは恐らく英国=国際金融資本陣営による暗殺ではないかと想像する。そして、その後まもなくロシアは国際金融資本が実行した革命により日本との友好関係の可能性を失ってしまうのだ。

将来中国が強大化した場合、ロシアはシベリアを中国に奪われる危険がある。シベリアの広大な大地は天然資源の宝庫であることを考えると、ロシアはシベリアを中国から防衛するために日本の助けを心の底から望んでいるはずだ。この観点から考えて、中国が日本の仮想敵国(最大の脅威)である限り、日本とロシアは国益が合致する。私は、伊藤博文が望んでいた日露協商モデルが最も理想的だと思う。船曳氏も明言していないがホンネではそう考えているのではないか。

ロシア革命は明治維新と同様の国際金融資本による一種のクーデターであった。その後、明治日本と同様に国際金融資本の支援によってソ連は急速に軍事力を拡大させる。日清・日露戦争による日本の大陸進出に対応するものがソ連の第二次大戦勝利による東欧獲得なのだろう。そして、日露戦争後の日本が満鉄の米国資本との共同経営を拒否して国際金融資本の包囲網の中で苦しむことになったのと同様、ソ連も1953年のベリヤ失脚で国際金融資本の支配からの脱出を目指して西側の包囲網の中で苦しむ事になった。ゴルバチョフ以降のソ連崩壊は日本の第二次大戦敗北と同様にわざと敗北したものであると江田島孔明氏は主張している。このように考えると、ロシアは日本から約40-50年遅れて日本と同じ道のりを辿ってきたとも言える。また、1871年のドイツ帝国成立、1949年の共産中国成立も明治維新・ロシア革命と同様の国際金融資本による一種のクーデターと見なせるだろう。

冷戦時代の日ソ両国は北方領土問題を理由に表向きは激しく対立し続けていた。しかし、当時のソ連はベリヤ失脚後で国際金融資本の支配から脱出していたこと、そもそも米ソ冷戦が演出された対立であったことを考えると、裏では日ソ両国は非常に親密な関係にあったのかもしれない。軍事力至上主義のソ連と経済力至上主義の日本は対照的な国家であるが、その両者がもし同盟を組めば恐るべき力になる。仮に米国の内乱等で日米安保が機能不全になった場合には、ソ連がそれを代替するという秘密合意があってもおかしくないだろう。

現在のロシアはソ連時代の約半分の人口であり、日本の総人口より1割強多い程度である。人口規模から考えると日本とロシアはほぼ同格なのだ。これは、独仏同盟の様な安定した同盟関係が日露間に建設されうることを意味している。海洋国家と大陸国家で国益も相補的であるし、文化的には欧州化しつつも欧州ではないというジレンマに悩んでいる点も共通する。更に、ソ連がわざと自己崩壊したのと同時期にドイツは独自通貨マルクを放棄することを決定し、日本は巨大なバブルを破裂させると共に終身雇用に代表される日本型経営システムを自己否定し始めている。ソ連・ドイツ・日本が1990年前後という同時期に「わざと負ける」という戦略を採り、ロシアと日本は国際金融資本を国内に深く侵攻させた上で戦うという戦法を取っている様に思われる。これは、ナポレオンやヒトラーに対抗したロシアの伝統的な退却戦術を経済の分野で実行したと見て良いだろう。また、日本・ドイツ・ロシア(米軍も?)の間には国際金融資本に対抗する緊密な秘密同盟が結ばれていたのかもしれない。
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22 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-02-02 14:38:31
平成の大獄。ロシア派の追悼賛美歌を孔明が歌った。
「シベリア解放の為に抑圧されし諸民族を決起せよ」

東京で五道作戦を熱く熱弁を振るった。
米軍の攻撃と共に作戦は発動される。
ロシア派は数学的に粉砕する。
http://en.wikipedia.org/wiki/Second_Chechen_War
ロシアは全イスラムの敵として言明をされた。
彼らの悪を許す人間はとして刻印が打たれる。
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Unknown (Unknown)
2007-02-02 15:56:54
西で勝って、東で負けた日本;

http://tanakanews.com/070130multipolar.htm

もう一つの説である「北は後で説」が実現しないのは、アメリカは今後イランとの中東大戦争に入って北朝鮮どころではなくなるからだ。何年か後に中東の戦争が終わるころには、中国とロシアは、アメリカに対抗できる軍事力・外交力・経済力をつけ、北朝鮮は中露の傘下で安定し、もはやアメリカが手を出せなくなっている。
▼ダボス会議のテーマとなった「多極化」
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Unknown (one of scientists)
2007-02-03 02:02:16
確かに非常に面白い分類ですね。この概念を導入すると、従来のランドパワー、シーパワーでは区分できない、日本の持つ特性というものを定義できると思います。

で、私もジャパンハンドラーズさんと同じで、日本のとるべき道は小日本と国際日本をその時々に合わせて適度に組み合わせる「ハイブリッド」化がもっとも妥当と思います。

大日本モデルは世界の多極化を目指す陣営にとって願ってもないモデルですが、これは非常に危険です。田中うーのような多極論者は要するに中国による「大東亜共栄圏」の復活を目指しているのです。大日本モデルを未だに信奉する人は彼らに利用されるでしょう。多極化は、彼の背後にあるロックフェラー系国際金融資本がアメリカ保守との生き残りを考えて提案しているプランです。その行きつく先は、アメリカを含む大国の「ランドパワー化」です。大国は自らのセクト内の資源を好きなように使ってよいという思想であり、有限の地球をステーキでも分割するように、略奪対象としてしか見ていません。石油にしろ、バイオエタノールにしろ、食糧にしろ、大国による「収奪」が基本の「肉食」世界です。

よって、論理的、戦略的に言って「3つのモデルのいいとこどり」は無理です。日本伝統の遺伝子を未来に残し、真のアジア諸国の平和的共存を考えるなら、小日本と国際日本のハイブリッド化しかありません。バランシングでもって、大国の力を相対化するのです。「競争と収奪」の原理から「創発」システムに脱皮するまでの時間を稼ぐには、それしかないと断言します。
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Unknown (Unknown)
2007-02-03 10:08:51
メキシコで「トルティーヤ危機」、伝統主食が高騰

 メキシコの伝統的主食トルティーヤの価格が高騰し、国内各地で抗議デモなどが相次いでいる。米国の新エネルギー政策によるエタノール需要拡大を受けた原料のトウモロコシ価格の高値が原因。就任したばかりのカルデロン大統領は「トルティーヤ危機」(地元紙)に見舞われている。

 1月31日の首都メキシコ市での野党や労働組合主催の抗議デモには4万人の市民が参加した。小売価格はこれまで最高でも1キロ6ペソ(1ペソ=約11円)だったが、今年に入り12―15ペソに上がった。(サンパウロ=岩城聡) (16:20)
● 関連サイト

* 食べ物新日本食奇行
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one of scientistsさんへ (princeofwales1941)
2007-02-03 16:24:45
>私もジャパンハンドラーズさんと同じで、日本のとるべき道は小日本と国際日本をその時々に合わせて適度に組み合わせる「ハイブリッド」化がもっとも妥当と思います。


私が理想と考える日露同盟論も小日本+国際日本路線に相当するかと思います。

まず、江戸時代の4倍の人口を抱え食料・天然資源の自給が不可能な日本は必然的に国際日本路線をとらざるを得ません。その場合、日本の十倍の人口を持ち、かつての東アジアの中華の地位を取り戻すことを文明の本能とする中国の脅威をどのように押さえ込むかという問題が出てきます。

第一次大戦以後、ロシアという東アジアの友好国候補を失った日本は中国に単独で対処することを迫られ、「大日本モデル」でやむなく中国に軍事的に進出を行います。これは第二次大戦の敗北により失敗しましたが、もし第二次大戦が起きていなければ、日本はかつての満州族のように中国全土を占領したことでしょう。そして、中国大陸の人口の多さを考えると、多くの日本人が中国を平定するために大陸に移住し、過疎となった日本列島には多数の中国人が移住することでしょう。かつて秀吉が天皇を北京に移住させることを考えたように、日本も首都を大陸に移すことになるでしょう。そして、国際金融資本は大日本帝国の支配階層である日本人と被支配階層である中国人の対立を煽り、それが成功すると大日本帝国は滅亡し、皇室は途絶え、日本人は中国人の迫害を避けるために中国人に同化することを迫られるでしょう。

かつて清の支配階級であった満州族はいまや中国人の中に飲み込まれて同化しつつあり、満州族の故郷は移住した中国人に占領されています。第二次大戦で日本が敗北していなければ、日本人もまた満州族と同じ運命を辿っていたことでしょう。満州国を支配していた日本人エリート(後に日本の首相になる岸信介など)は、満州国の支配階層でありながら少数民族に転落した満州族の悲哀を目の当たりにしたはずです。これこそが、日本が「第二次大戦でわざと負ける」という戦略をとった理由ではないかと思います。

この観点から考えて、日本が滅亡しないためには大日本モデルは選択してはならないものであり、必然的に小日本モデルと国際日本モデルの折衷が唯一の選択肢になります。

小日本モデル+国際日本モデルの致命的な欠点は、日本への対抗意識を持ち超大国になりうる中国を押さえ込むことができないことです。かといって、日本単独で中国を押さえ込むのは亡国の大日本モデルとなります。このジレンマを解決する唯一の方法は、中国の脅威からシベリアを防衛することに必死になっているロシアを日本の同盟国として、ロシアと共同で中国を封じ込めることです。アメリカ・欧州は日本からあまりに遠く、日本の見方になってくれる保障はありません。むしろ、日本と中国を戦わせて漁夫の利を得ることを狙う国際金融資本に絶好の機会を与えることになります。

ドイツは第二次大戦での敗北によって英仏伊と同等の人口規模に縮小し、「英国と組んでソ連に対抗する」というヒトラーの理想がドイツの敗北によって実現されました。

冷戦での敗北によってできたロシア連邦は日本、独仏連合と同等の人口規模に縮小しています。私は、ソ連=ドイツ帝国、ロシア連邦=西ドイツ、日本・独仏連合=英・仏・伊という対応関係が成り立つのではないかと考えています。日本、独仏連合と組んで中国・イスラムの脅威に対抗するというソ連の理想はソ連崩壊によって実現されたということです。
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横レスですが (面白い発想だが)
2007-02-03 22:38:53
横レスで申し訳ないですが、少々気になった点があったので書きます。
印象的には、従来の概念とそれほど違わないのではと思います。

日本で「国際」という場合に世界システムへの適合つまり、国際金融資本との提携という意味で用いられるときがあります。意識しないで使われる場合もあるのですが、船曳氏の場合は「日本の歴史的な外交姿勢を戦国時代から現代に渡って」と限定したうえで、信長型としてこの国際日本を規定しているので、明らかにこれは国際金融資本との提携を念頭に置いていると思われます。なお、管理人氏のように世界システムが国際金融資本からロシア中心に変ると規定するならば、必ずしも当てはまりません。

また「大日本」と「小日本」の差は日本の領土という意味にもとれますが、これから将来のことも含めると、漢字の意味からも中華世界との関わりの程度を規定すると考えるのがすっきりすると思います。これは原著を読んでいないので、孫引きからの感覚的なものです。これは船曳氏と中田氏で違う意味なのかもしれません。
だとすると、現在は正式な外交関係もあり、かなりの企業が中国市場に死活的な利益をもっていますので、田中角栄以後の日本はかなり「大日本」の要素が入っています。

問題は、核ミサイルの時代に、江戸時代の鎖国政策のように政治的に中華世界と関わらないことが可能かということです。安全保障を考える上で、必然的に関わりを持たざるを得ない。おそらく、現政権はこれを国民に肌で感じてもらうために北朝鮮に活躍してもらっているのでしょう。むろん核ミサイルの時代に日米安保体制と憲法9条で小日本でいけたのですが、1972年までは中共自体が核はもちながらも、ほとんど鎖国でしたので、本当の意味で真価を問われたことがなかったともいえます。ポスト日米安保の時代にジャパン・ハンドラーズ管理人氏がどう考えているのか聞きたいとところです。

> むしろ、日本と中国を戦わせて漁夫の利を得ることを狙う国際金融資本に絶好の機会を与えることになります。

最後に、ポスト日米安保つまり、孤立主義にもどった米国の時代には、国際金融資本というより、米国保守派がこれを望みそうです。超大国からの滑り落ちのあとの経済的な焼け野原からの復興には、北米大陸以外での戦争が特効薬だからです。
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Unknown (Unknown)
2007-02-03 23:24:09
アメリカと中国と組んでシベリアの有色人種を解放するか、ロシアと組んでアメリカと中国と戦うか、究極の選択
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「面白い発想だが」さんへ (princeofwales1941)
2007-02-04 00:32:43
>船曳氏の場合は「日本の歴史的な外交姿勢を戦国時代から現代に渡って」と限定したうえで、信長型としてこの国際日本を規定しているので、明らかにこれは国際金融資本との提携を念頭に置いていると思われます。なお、管理人氏のように世界システムが国際金融資本からロシア中心に変ると規定するならば、必ずしも当てはまりません。


船曳氏は、近未来の「国際日本モデル」の対象の中心を欧米勢力よりもアジア諸国に置いている様です。つまり、中華的華夷秩序を復活させず、アジアに西欧的な対等な国家間の外交関係を築くことを狙っている様です。




>また「大日本」と「小日本」の差は日本の領土という意味にもとれますが、これから将来のことも含めると、漢字の意味からも中華世界との関わりの程度を規定すると考えるのがすっきりすると思います。これは原著を読んでいないので、孫引きからの感覚的なものです。これは船曳氏と中田氏で違う意味なのかもしれません。だとすると、現在は正式な外交関係もあり、かなりの企業が中国市場に死活的な利益をもっていますので、田中角栄以後の日本はかなり「大日本」の要素が入っています。



原著では、「大日本モデル」=中国に取って代わって日本がアジアの盟主になろうとするもの、と規定しています。現在の日本は軍事面では小日本モデル、経済面では大日本モデルと小日本モデルの中間と言うべきでしょう。

なお、私見ですが、現在の日本の対中貿易は中国の安価な労働力を利用した加工貿易の材料・設備輸出と完成製品輸入が中心であり、消費財の対中輸出は決して多くないと思います。従って、仮に中国が混乱に陥れば東南アジアやインド、東欧などの他の地域に工場を造れば済むと思います。つまり、日本企業の多くは中国市場には死活的利益は有しておらず、いつでも撤退できるということです。
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よくわかりました (面白い発想だが)
2007-02-04 10:46:13
> 原著では、「大日本モデル」=中国に取って代わって日本がアジアの盟主になろうとするもの、と規定しています。現在の日本は軍事面では小日本モデル、経済面では大日本モデルと小日本モデルの中間と言うべきでしょう。

なるほど、これは管理人氏の定義がぴたりとします。「大日本」は中華的世界観で日本がその中心に振る舞うということですか。

> 現在の日本の対中貿易は中国の安価な労働力を利用した加工貿易の材料・設備輸出と完成製品輸入が中心であり、消費財の対中輸出は決して多くないと思います。従って、仮に中国が混乱に陥れば東南アジアやインド、東欧などの他の地域に工場を造れば済むと思います。

マクロ的に対中貿易をみれば、管理人氏のおっしゃるとおりです。ただ、最終消費財の輸入を中共政府はずっときらっていますので、こうした中国市場向けの製品を作る企業は、中国で工場を作らざるを得ないです。そういった企業の中国への依存度は大きくなります。それで、「そういった企業もある」としました。

> 船曳氏は、近未来の「国際日本モデル」の対象の中心を欧米勢力よりもアジア諸国に置いている様です。つまり、中華的華夷秩序を復活させず、アジアに西欧的な対等な国家間の外交関係を築くことを狙っている様です

戦国時代以降と限定されているので、世界システムが確立された後と限定しているように見えました。あくまで船曳氏のモデルですので、世界システムを意識しているかはわかりません。「国際化」、「グローバリズム」などは悪意を持って使われることが多々あるので反応してしまいました。

日本の国家プランはやはり中華世界が統一されているか否かで大きな影響を受けます。さきほどの、アジア諸国の対等な国家関係の最大の障害は統一された中華世界です。中国人の「啓蒙」は少なくともあと1000年くらいは難しいでしょう。統一されている場合に「小日本」でいくには鎖国のような知恵が必要です。またこのモデルで日本がかなりの量の核兵器を持つことに、どのような意味づけをするのかということになります。また核を持たない場合には、米ロ中といった核大国とどのような関わりを持つべきなのかを真剣に議論しなくてはなりません。
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「面白い発想だが」さんへ (princeofwales1941)
2007-02-04 13:18:50
>日本の国家プランはやはり中華世界が統一されているか否かで大きな影響を受けます。さきほどの、アジア諸国の対等な国家関係の最大の障害は統一された中華世界です。


「分久必合,合久必分」と三国志演義が言う様に、中華世界は統一と分裂を繰り返す傾向があります。従って、仮に中華世界が分裂していても、いつ統一するかわからないという疑念の元に行動すべきでしょう。台湾についても、大陸と統一して日本を敵視する危険のある勢力という懸念を持っておくべきです。

日本が目指すべき戦略は、中国の周囲に存在するロシア、インド、アセアン等の地域を中国に対抗できる極として維持することに尽きると思います。
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