国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ジャスミン革命は中国に波及するか?

2011年02月24日 | 中国
●Masashi Okuyama (masatheman) on Twitter 2011年2月24日

自分がその論文を書いたのは、戦略論が好きだからであり、今後何が起こるかが興味深く、ただそれを見ていたいということだけである。(E・ルトワック)
約15時間前 webから .

中国がドイツと同じ誤りを繰り返そうとしているという趣旨の自分の論文がもうすぐFA誌に掲載される予定である。実は先日、簡略版を環境時報に掲載した。西側メディアに載せる前に先に中国メディアに載せたかったのだ。中国共産党幹部は一生懸命自分の論文を読んでいるようだ(E・ルトワック)
約15時間前 webから .

現在の共産党指導層は、戦前の日本軍のようなものであり、全体のコースは変えられないと思う。米海軍校毎年留学生を送っていた日本軍の一部には、当然、米国との戦争が無謀であることはわかっていた。しかし、そうした見解は軍の方針とはならなかった。それと同じことである。(E・ルトワック)
約16時間前 webから
http://twitter.com/masatheman




●エドワード・ルトワック - Wikipedia
エドワード・ルトワック(Edward Nicolae Luttwak、1942年-)は、アメリカ合衆国の歴史学者。専門は、軍事史、軍事戦略研究、安全保障論。

ルーマニアで生まれ、イタリア、イギリスで育つ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学び、ジョンズ・ホプキンス大学で博士号取得。現在、戦略国際問題研究所シニアアドバイザー。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%83%E3%82%AF





●今回のエジプト革命は22年前の天安門民主運動と非常に類似している - 株式日記と経済展望 2011年2月24日
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/a6a3dbf9e6cc9c936d53549334feae3f




【私のコメント】
エドワード・ルトワック氏のフォーリンアフェアーズ誌に掲載予定の論文が注目される。中国はドイツと同じ誤りを繰り返そうとしているという。これは、第二次大戦でドイツが米国に宣戦布告して自滅的な二正面作戦をとって敗北したことを指しているのではないかと思われる。「現在の共産党指導層は、戦前の日本軍のようなものであり、全体のコースは変えられないと思う。米海軍校毎年留学生を送っていた日本軍の一部には、当然、米国との戦争が無謀であることはわかっていた。しかし、そうした見解は軍の方針とはならなかった。それと同じことである。」とのコメントも、ドイツと同様の日本の無謀な戦略を指摘したものである。

しかし、ヒトラーが第二次大戦で対米宣戦布告したのは、戦争でわざと負けて旧プロイセン王国のプロテスタント地域をソビエトの支配下に追いやり衰退させ、カトリックのバイエルンやオーストリアをアメリカ等の支配下で繁栄させるという戦略があったのではないかとおもわれる。欧州の第二次大戦は1618-1648年の三十年戦争と同様のカトリックドイツとプロテスタントドイツの内戦だったのだろう。そして、ヒトラーの戦略は見事に成功した。ヒトラーがバイエルンとオーストリアの国境地域で生まれ育ったことを考えれば、彼はカトリックドイツの手先であったと思われる。

日本が対米宣戦布告したのも、戦争でわざと負けて朝鮮半島や満州、台湾といった貧しい植民地を切り捨て、日本本土だけの国となって米国の衛星国となり繁栄するのが目的であったと考えられる。その戦略は見事に成功した。成功しすぎたために、1990年代に米国が日本を仮想敵国と認識して激しく攻撃したことは記憶に新しい。

この様な背景を考慮に入れると、エドワード・ルトワック氏の主張は、中国も米国にわざと負ける戦略をとろうとしていることを示しているように思われる。中国では沿海部大都市の富裕層が支配階層であり、広大な内陸農村部の農村戸籍者が被支配階層であって、その間の格差は巨大である。中国支配階層はジャスミン革命でわざと共産党政権を崩壊させ、貧しい内陸部を切り捨てて、沿海部の親米・親日都市国家として生き残ることを計画しているのではないかと私は想像している。それは、第二次大戦前の中国の租界に似た地域になるかもしれない。この戦略は、中国人の大部分が貧困状態を継続することで、世界の資源需要が小さくなる点で日米欧などの先進国にとって有益である。中国人全員が豊かになることは世界の資源供給が許さないのだろう。そして、膨大な内陸の貧しい農民達の人口の圧力に最も怯えているのは、中国の沿海部大都市の富裕層であると思われる。以前にブログ記事で書いた通り、近未来の中国では、沿海部大都市と内陸部の間に鉄のカーテンが引かれることになると私は想像している。




【2月26日追記】
●まだまだ時期尚早? 中国「ジャスミン革命」についての色々 - 大陸浪人のススメ ~迷宮旅社別館~ 2011-02-22
http://blog.goo.ne.jp/dongyingwenren/e/37caa80c637e4a7c69612faa6a99119e




【コメント追記】
中国で革命が起きるのは時期尚早であるというブログ「大陸浪人のススメ」の記事には同意する。中国革命は、中国のバブルが崩壊し生活水準が低下することが引き金になると思われる。その必要条件は、ジャスミン革命がサウジアラビアに波及して原油が暴騰することと、米国でドル・国債・株式のトリプル安が起きて大恐慌が始まり、輸出に依存した中国経済が大打撃を受けることだと思われる。





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10 コメント

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Unknown (ha)
2011-02-26 13:59:13
>日本が対米宣戦布告したのも、戦争でわざと負けて朝鮮半島や
>満州、台湾といった貧しい植民地を切り捨て、
>日本本土だけの国となって米国の衛星国となり繁栄するのが目的であったと考えられる。

これは一か八かの博打みたいなもので、冒険的な物だったのではないでしょうか
東西冷戦が起きなければ、アメリカは防共の砦にするために日本を復興させる事もなかったのではないかと思います
東西冷戦は、日本にとってまさに僥倖だったと思います
もし中国の国共紛争で蒋介石の国民党が勝利していたら、また違った結果になっていたでしょう

>近未来の中国では、沿海部大都市と内陸部の間に鉄のカーテンが引かれることになると私は想像している。

中国全土に配備されている核兵器の処理の行方が気がかりですね
地上核は旧満州や内モンゴル、チベット、四川省など内陸部に配備されています
豊かな沿岸部から切り離された内陸部が、すんなり核兵器の譲渡や破棄に同意するとは思えません
逆に核恫喝で豊かな沿岸都市国家に経済援助を要求する可能性すらあるのではないかと思います

また沿岸部の豊かさは、内陸部の労働力を安く使い捨てる事によって成した物なので
鉄のカーテンを引き、内陸部の安い労働力の供給が断たれると、豊かさを維持できなくなるのではないでしょうか
返信する
Unknown (Unknown)
2011-02-26 16:41:53
中国は反乱をねじ伏せると思いますね。また、アラブ人のように強固な宗教がなく、損得勘定しかない中国人には死んでもやる気骨は無いでしょう。また内戦を恐れる感情もあり、共産党は必要悪、と見てますから。また軍自体が支配者層ですんで、軍が民衆につくこともありません。全国で一斉暴動が起きる前に共産党は、国民に望むものを与えるでしょうし。中国にはこの革命は関係ないと思います。
返信する
haさんへ (princeofwales1941)
2011-02-26 20:13:32
>これは一か八かの博打みたいなもので、冒険的な物だったのではないでしょうか
東西冷戦が起きなければ、アメリカは防共の砦にするために日本を復興させる事もなかったのではないかと思います
東西冷戦は、日本にとってまさに僥倖だったと思います
もし中国の国共紛争で蒋介石の国民党が勝利していたら、また違った結果になっていたでしょう


東西冷戦という米国の大戦略がその様な偶然で決定されることはあり得ないと私は考えています。第二次大戦開始の段階で、米国と日独両国の間に、戦後の冷戦と鉄のカーテンの位置に関する密約があった筈です。中国国民党の敗北もその密約に含まれていたことでしょう。


>中国全土に配備されている核兵器の処理の行方が気がかりですね
地上核は旧満州や内モンゴル、チベット、四川省など内陸部に配備されています
豊かな沿岸部から切り離された内陸部が、すんなり核兵器の譲渡や破棄に同意するとは思えません
逆に核恫喝で豊かな沿岸都市国家に経済援助を要求する可能性すらあるのではないかと思います


中国内陸国家は核兵器を放棄しないでしょう。その結果、沿海部都市国家は米国、あるいは米欧露(日本も含むかも)の核兵器に安全保障を依存することになると思います。


>また沿岸部の豊かさは、内陸部の労働力を安く使い捨てる事によって成した物なので、鉄のカーテンを引き、内陸部の安い労働力の供給が断たれると、豊かさを維持できなくなるのではないでしょうか


軍事的な鉄のカーテンを維持した状態で、沿海部都市国家が鉄のカーテン越しに内陸国家から出稼ぎ労働者を受け入れるという可能性はあり得るのではないかと思います。内陸国家には出稼ぎ労働者以外に輸出できるものがありません。現在の農民工が国境を越えた出稼ぎ労働者という形態に変わるのです。現状でも中国と米国は軍事対立しながら貿易も行っています。米中間の勢力圏の境界線が台湾海峡から沿海部都市国家国境に移動するだけのことです。
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Unknownさんへ (princeofwales1941)
2011-02-26 20:21:15
>中国は反乱をねじ伏せると思いますね。また、アラブ人のように強固な宗教がなく、損得勘定しかない中国人には死んでもやる気骨は無いでしょう。また内戦を恐れる感情もあり、共産党は必要悪、と見てますから。また軍自体が支配者層ですんで、軍が民衆につくこともありません。全国で一斉暴動が起きる前に共産党は、国民に望むものを与えるでしょうし。中国にはこの革命は関係ないと思います。


中国にとって反乱をねじ伏せることは恐らく可能だと思います。ただ、それが中国支配階層の利益になるかどうかというのが問題です。支配階層の一員である以上、中国軍中枢部も本音では、内陸の貧困層を切り捨てて、富裕な沿海都市国家の軍人となり裕福な生活を送りたいという考えはあるのではないかと思います。全国で一斉暴動を誘発し、それによって沿海部大都市を独立させることがやはり中国支配階層の利益に繋がるのではないかと私は考えています。
返信する
困った性格 (質問魔)
2011-03-03 15:43:50
>日本が対米宣戦布告したのも、戦争でわざと負けて朝鮮半島や満州、台湾といった貧しい植民地を切り捨て、日本本土だけの国となって米国の衛星国となり繁栄するのが目的であったと考えられる。その戦略は見事に成功した。

これは、いくらなんでも、ありえないでしょう?

日本人の根本的な欠陥の一つが、「死ぬまでやる」という民族的性格だ。

文明国の戦争であれば、1945年3月の「東京大空襲」の時点で降伏したはずだ。

また、米国の主張「原爆投下が日本の降伏を早めた」
について、日本人の多くは反発、否定するが、多くの年配者が、当時の状況について、
「本当に原爆投下がなくても、すんなり降伏したかどうか、は断言できない。確信が持てない」
と答えます。

この「死ぬまでやる」性癖は今日でも一向に直らず、「過労死」が国際語になるほどです。

日本の将来を考えるとき、この点が最も不安です。





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Unknown (Unknown)
2011-03-03 22:23:59
それは軍部による洗脳でしょ。

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質問魔さんへ (princeofwales1941)
2011-03-03 23:06:40
>日本人の根本的な欠陥の一つが、「死ぬまでやる」という民族的性格だ。


その様な民族的性格があるのは認めます。しかし、日本には「負けるが勝ち」「名を捨てて実を取る」という戦略もあるのです。接待麻雀や接待ゴルフでわざと負けて取引先の歓心を買い、取引の条件を良くして利益を得るのはその典型です。

第二次大戦で、駐米日本大使館は、宣戦布告文書の翻訳を遅らせるという致命的なミスをしています。しかし、その様なミスをしでかした関係者は戦後に皆大出世しているそうです。実に不思議なことです。私は、このミスは日本が悪者を演じる為に故意に仕組んだのではないかと妄想しています。
返信する
接待ゴルフ (質問魔)
2011-03-04 10:38:56
>待麻雀や接待ゴルフでわざと負けて取引先の歓心を買い、取引の条件を良くして利益を得るのはその典型です。

それを、最終ホールで“わざとらしく”負けると、かえって逆効果で不評を買います。経験者が言うのだから間違いありません。

基本的に外交不器用な日本人はやらない方がいいですね。

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中国の民主化に反対です (Unknown)
2011-05-09 16:22:58
日本は、軍事力はとっくの昔に抜かれ、経済でも今年から中国の後塵を拝すまで落ちぶれた。

更に、中国が民主化されたら、日本の中国に対する優位性は一つも無くなる。

外交は国際社会でのイメージ戦争でもあるのだ。
中国が共産党一党独裁体制であり続けることは、日本にとって国益でもあるのだ。
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中国の民主化に反対です (Unknown)
2011-05-09 16:28:57
更に、一言。

中国が自由民主主義国家になったら、台湾や韓国までもが、自ら、中国に併合を申し入れるかもしれないのだ。

中国の民主化には絶対反対である。
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